現代音楽の第一線をゆく”システムの作曲家” 『松平頼曉 90...

現代音楽の第一線をゆく”システムの作曲家” 『松平頼曉 90歳の肖像』コンサート開催決定 カンフェティでチケット発売

TRANSIENT主催、『松平頼曉 90歳の肖像』が2022年2月18日 (金)に東京オペラシティ リサイタルホール(東京都新宿区)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。
カンフェティにてチケット発売中
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=64502&

公式ホームページ
https://note.com/jishizuka/n/n9e88273246a0

<松平頼曉 90歳の肖像>

松平頼曉は「システムの作曲家」である。1957年のデビュー作である≪変奏曲≫で、システムの極北ともいえる総音列技法(音高、持続、強弱等、音楽の様々な要素を数値化し、音列によって制御しようとする作曲技法。一般的には、複雑で作曲の自由度を著しく制限する方法論とされる)によって作曲を行い、以後、音列の「誤用」による(疑似)旋法性、ピッチ・インターバル技法と、用いるシステムは変われど、90歳となる今日まで、システマティックな方法論による作曲を一貫してきた。

まさに変幻自在。だが、それゆえに「松平頼曉の作品は捉えにくい」という人がいる。生物全般が遺伝というシステムを共有しながらも、その表現型が様々であるように、松平頼曉の作品の様相は、作品ごとに著しく異なる。その上、その作風を代表する一作(たとえば、メシアンの≪アッシジの聖フランチェスコ≫のような)がない/を書くことを巧妙に避け続ける、ところにこそ、松平頼曉の本領はある。人間だけをひたすら研究しても、生物全体のことを把握するのには無理があろう。ゆえに、松平頼曉の作品をトータルに理解するためには(ただし、トータルな理解など度外視して、個々の作品を愛でる、というスタンスも有り得ることは特筆しておきたい)、異なる傾向の作品を集めて聴いてみる必要がある。

<コンサートについて>

本コンサートでは作曲年代の異なる7曲の楽曲が演奏される。1950年代、70年代、80年代、90年代、00年代から1曲ずつ。10年代からは初演曲を含む2作品を選んだ。いかにも現代音楽といった無調の作品から、聴きようによっては環境音楽のように聞き流せるマイルドなものまで、その作風は様々だ。松平頼曉のデビュー作であると同時に、日本で最初の総音列技法の援用例である≪変奏曲≫。アルバン・ベルクが歌曲≪私の両目を閉じてください≫で使用した12音列を徹底的に「誤用」し、旋法的なミニマル音楽のような音世界を紡ぐ《コヘレンシー》。システマティックに音列を複雑化するプロセスを設定し、その過程を進化と見立て、聖書の言葉を歌詞にはめ込んだ《創世記》。ピッチ・インターバル技法によって作られる独特な音響の中でバッハからの引用が閃く≪スパークル≫。乱数を駆使しポワソン分布に基づいて音を配置した弦楽四重奏曲≪ポワソンの遊戯≫など。それらの作品を聴く者は、その多様な音世界と、それらを貫くシステマティックな思考の強靭さに慄くことだろう。

演奏には、多久潤一朗(fl)、菊地秀夫(cb)、村田厚生(tb)、橋本晋哉(tub)、篠田昌伸、中村和枝(pf)、篠﨑和子(hp)、神田佳子(perc)、太田真紀(sop)、亀井庸州、安田貴裕(vn)、多井智紀(vc)といった、現代音楽ファンならどこかでその演奏を耳にしている奏者に加え、オーケストラでの活動を軸に日本の現代音楽演奏の新たな顔となりつつある荒木奏美(ob)、濱地宗(hr)。多井智紀と先鋭的な活動をともにする佐久間大和(vn)、多井千洋(va)らが集結。なお、3作品で指揮を執るのは、名を石川星太郎から改め、新たな道を歩み始めた石川征太郎である。

2022年にはあれがあったと、10年後も回想される記念碑的なコンサートとなる予感がある。ジャンルを問わず、先鋭的な音楽に興味をお持ちの方は、ぜひご来場いただきたい。

プログラム

曲目と各曲の出演者(現時点で想定する演奏順)
全作品、松平頼曉作曲

コントラポジション(2004)
Contraposition
多久潤一朗(fl)、荒木奏美(ob)、菊地秀夫(b-cl)、中村和枝(pf)
弦楽四重奏曲第3番「ポアソンの遊戯」(2011)
Game of Poisson for SQ
佐久間大和、安田貴裕(vn)、多井千洋(va)、多井智紀(vc)
トリゴノメトリー(2014:初演)
Trigonometory
濱地宗(hr)、村田厚生(tb)、橋本晋哉(tub)
アークのためのコヘレンシー(1976)
Coherency for Ensemble ARK
多久潤一朗(fl)、菊地秀夫(cl)、篠崎和子(hp)、神田佳子(perc)、篠田昌伸(e-pf)、石川征太郎(cond)
(休憩)
創世記(1981)
Genesis
太田真紀(sop)、多久潤一朗(fl)、菊地秀夫(cl)、多井智紀(vc)、中村和枝(pf)、石川征太郎(cond)
変奏曲 ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための(1957)
Variations for violin,violoncello,piano
亀井庸州(vn)、多井智紀(vc)、篠田昌伸(pf)
スパークル(1997)
Sparkle
多久潤一朗(fl)、亀井庸州、安田貴裕(vn)、篠田昌伸(pf)、中村和枝(toy-pf, etc.)、石川征太郎(cond)

開催概要

『松平頼曉 90歳の肖像』
開催日時:2022年2月18日 (金) 18:30開場/19:00開演
会場:東京オペラシティ リサイタルホール(東京都新宿区西新宿3-20-2)

■出演者
多久潤一朗(fl)
荒木奏美(ob)
菊地秀夫(cl)
濱地宗(hr)
村田厚生(tb)
橋本晋哉(tub)
神田佳子(perc)
篠崎和子(hp)
太田真紀(vo)
篠田昌伸
中村和枝(pf)
亀井庸州
佐久間大和
安田貴裕(vn)
多井千洋(va)
多井智紀(vc)
石川征太郎(cond)

■スタッフ
制作: 石塚潤一

■チケット料金
一般 前売:3,500円(当日:4,000円)
学生:2,500円
(全席自由・税込)

サントリー芸術財団第22回推薦コンサート
後援:日本現代音楽協会
助成:東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
アサヒグループ芸術文化財団
野村財団
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