もし災害が起きたら? 地域の"支え合い"と安心の「家庭備蓄」とは 宮城県仙台市 被災地取材記事公開

大震災の教訓 人口100万人超の自治体・管理栄養士の提言

尾西食品株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長 古澤紳一  ※以下、尾西食品)は、防災食・備蓄のリーディングカンパニーとして、"アルファ米"をはじめとする非常食を製造・販売。「誰にとっても安心安全な食」の提供を通じ、日常の防災意識を高める活動をすすめています。定期的に、公式サイトで防災コラムを発信しており、今回は仙台市役所の方々と現地で訪問管理栄養士をされている方に取材を行いました。


非常食の備えと近くの他人とのつながりを大切に












塩野崎 淳子氏

「訪問栄養サポートセンター仙台(医療法人豊生会 むらた日帰り外科手術クリニック内)」「医療法人財団はるたか会 あおぞら診療所 ほっこり仙台」

在宅訪問管理栄養士 女子栄養大学実践栄養学部卒。管理栄養士、介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て2008年より訪問看護ステーションの居宅介護支援専門員として在宅療養者の支援を行う。2015年からは在宅訪問管理栄養士として活動


大都市で災害が起こった場合、核家族化が進んでいるので人手が足りず、飲食物を手に入れることや煮炊きをすることがより難しい状況になることが想定されます。東日本大震災を仙台市内で体験され、2歳と生後1ヶ月のお子さん2人をご夫婦で育てながら厳しい時期を乗り切った、在宅訪問管理栄養士である塩野崎淳子氏にお話を伺いました。


~備蓄していた食品や水はほとんどなく危機に直面、人と知恵で乗り切る~


――東日本大震災当日の様子を教えてください。

塩野崎淳子氏(以下 塩野崎):地震発生時は仙台市内の自宅マンションにいました。生後1ヶ月の次女に授乳をしていた時に、体験したことのない大きな揺れが襲ってきたのです。あまりの揺れにソファから立ち上がることもできず、当時2歳だった長女を抱き寄せ、何も知らずに母乳を飲み続ける次女を抱えたまま一歩も動くことができず、ただ怯えるだけでした。キッチンは食器が破損して散乱し、とても入れない状況で、電気・水道・ガスも全て止まっていました。食品や水はほとんど備蓄しておらず、とりあえず買ってあったパンとノンアルコールビールとコーラに救われました。思い返せば、私達も災害弱者でした。

 

――その後はどのような状況だったのでしょうか。

塩野崎:その後3〜4日は冷蔵庫の中の食材でなんとか食い繋ぎましたが、余震と精神的ショックにより料理をしようと思えたのは発災3日後くらいからです。ご近所のママ友さん達とも手分けをして食材を確保し、助け合って育ち盛りの子供達の面倒を見ることができました。まさに「遠くの親戚より近くの他人」という助け合いの大切さを身をもって体験したのです。電気が復旧するまでは、自宅にあったカセットコンロと土鍋にも助けられました。米1に対して1.2倍の容量の水を土鍋に入れ蓋をして強火で沸騰。ガスを節約するために、沸騰して1〜2分ほどしたら土鍋を火から下ろし、バスタオルや布団で包んで30分ほど保温すると炊き立てのお米ができます。


〜管理栄養士として・今後の災害への備えが大切〜

 

――今後の災害に備えてどのような備えが必要でしょうか。

塩野崎:いずれの家庭でもカセットコンロと共に一週間分の食物と水は備蓄しておき、それを日々消費したら追加しておくというローリングストックをしていくことが必要だと思います。災害時には新鮮な野菜などが手に入りにくくなり微量栄養素が不足しやすいので、マルチビタミンなどの健康補助食品もストックしておくと良いですね。また、停電の際にもお米が炊けるように、カセットコンロを使ったお米の炊き方も習得しておきましょう。普段できていない事は、非常時にはできません。


食物アレルギーのある方や乳幼児、嚥下困難や高齢者など、食物の面から制限のある災害弱者の方々への対応としては、急性期に食べられるものがないという事態を防ぐために、自宅での備蓄と合わせて避難所にもそういった方々のための食品を最低でも3日分は備蓄しておいてほしいと思います。また県の栄養士会にはそういった特殊食品が集まりますので、災害弱者の方は災害時に我慢するのではなく、「困っている」と臆せずに声を上げることを頭の片隅に入れておいてほしいです。

 

――備蓄食への提案。

  塩野崎:発災から数日間は、あまりのショックで食欲がない人が多いと思いますし、さらに、4日目くらいからは避難生活の疲れが出てきます。バリエーションのある備蓄食でしっかりと栄養を摂取して、少しでも前向きになれるような食事が望まれます。東日本大震災では、寒さと疲労で憔悴しきった被災者には、冷たくて甘い栄養剤ではなく、温かい具沢山の豚汁が好評だったと聞いています。備蓄食は、単に栄養を摂るという目的だけでなく、美味しくて心まで温まるようなものが求められています。


仙台からの提言。震災での教訓を生かし、世界の防災・減災とSDGs実現に貢献


(写真提供:仙台市)










御供 真人氏・村口 恭之氏

仙台市危機管理局防災計画課

荒木田 理氏・小池 伸幸氏

仙台市経済局産業政策部産業振興課


東日本大震災で被災した自治体の中で、唯一、人口100万人以上の自治体であった仙台市。甚大な被害を受けながらも、多くの住民への対応に追われました。その教訓を生かし改善を行い、さらに世界の減災につなげるための様々な取り組みを行っています。食を中心に仙台市役所の方々にお話を伺いました。


〜底を突く食料備蓄、物流体制を見直して対応〜

 

――避難所の食料備蓄や物流体制はどうだったのでしょうか。

御供真人氏・村口恭之氏(以下 御供・村口):当時、仙台市では24時間分(3食)の食料や水などを備蓄していましたが、避難所によってはその備蓄物資がすぐに無くなってしまう避難所も多くありました。区役所に物資を管理する十分なスペースがなく、また管理・集配する人員、車両や燃料が不足する事態が発生。震災3日目からは物資集配拠点より直接避難所に配送するシステムに変更、その後は自衛隊にも配送を支援頂きました。追加物資についても、当初は区役所で避難所のニーズを取りまとめることを想定していましたが、配送担当者が避難所の物資担当者から毎回物品配送依頼書を預かり直接必要な物資の情報を取得し、必要に応じて物資集配拠点で調達、次回以降の配送時に届ける方法に変更しました。現在はその時の経験を生かした物流体制としており、公的備蓄数量も24時間分(3食)から48時間分(6食)に引き上げました。

 

〜避難所での食の状況、改善に向けた取り組み〜 

 

――避難所での食事はどのような状況だったのでしょうか。

御供・村口:仙台市では震災前からアルファ米を備蓄しており、食物アレルギーの患者さんにも対応できたことは大変良かったと思います。現在ではアルファ米は食物アレルギー対応に加え宗教を考慮したハラル対応とし、食物アレルギー対応の粉ミルクも備蓄するなど、幅広い方々に対応できるように配慮しています。


――食料備蓄をされていた市民も多くおられたと聞いています。

御供・村口:避難所はサポートの位置付けであり、自宅での食料・水・生活物資等の備蓄が大切です。震災前は、市民の方々には3日分程度の食料・水を備蓄するように呼びかけをしていました。今回の震災では3日分の備蓄では十分な食料供給体制が整わなかったという意見もあったために、現在は1週間分程度の食料・水・生活物資等を備蓄するように市民にお願いしています。


――避難所の運営面でも震災後に改善が行われているとお伺いしました。

御供・村口:震災時は、避難所の運営を担当する職員が交代の都度違う職員に変わったことから、情報の共有がうまくいかないケースが見られました。震災後には避難所毎に担当課を決めて、平時より地域団体や施設管理者と連携して顔の見える関係づくりを行い、コミュニケーションが上手くとれるようにしています。さらに、コロナ禍の状況も考慮し、避難所に来ることで体調が悪化したり感染症に罹患したりしないように、備蓄食料も、大人数分の炊き出しよりも一人分ずつ包装された食品が望ましいと考えています。

 

~世界の防災・減災とSDGs実現のために~

 

――震災での教訓を提言、世界の防災・減災に産業面から役立てたい。

荒木田理氏・小池伸幸氏(以下 荒木田・小池):東日本大震災での経験と教訓を生かすべく世界に提言し、2015年に仙台市で開催された第三回国連防災世界会議にて国際的な防災の取り組み指針として「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。さらに仙台市では、この枠組の社会実装のために「防災」と「IT技術」の掛け合わせによる「BOSAI-TECH(防災テック)イノベーション創出促進事業」に取り組んでおり、国内外企業との連携も含めた産学官金による新たな防災関連事業の創出を推進しています。

 

食の分野でも、自宅避難者も含めた食生活の向上のための「被災者の食生活の把握と効果的な食の支援の実施」や「災害時の物資供給における円滑な情報共有と迅速な物資供給」に関する取り組みが行われています。また防災分野でのI S Oが策定される動きにも対応し、防災・減災に関する国際標準化と国際展開の取り組みにも参画しています。仙台市では、震災から今までの10年間は様々な取り組みを行い、防災に関する知見を深めてきました。今後10年間は仙台防災枠組の社会実装に取り組みながら、得られた知見を仙台市から国内外に発信し、世界の災害リスクの低減に少しでも貢献したいと考えます。

 

――SDGsの実現にも貢献。

荒木田・小池 2020年、仙台市は防災環境都市としてSDGs未来都市に選定されています。とかくSDGsというと環境面ばかりに目が行きがちですが、実は防災もSDGsの1要素です。仙台市としては、防災面からもSDGsの実現に向けて貢献をしてゆきたいと思います。


※本文はこちら 

非常食の備えと近くの他人とのつながりを大切に:

https://www.onisifoods.co.jp/column/detail.html?no=7


仙台からの提言。震災での教訓を生かし、世界の防災・減災とSDGs実現に貢献:

https://www.onisifoods.co.jp/column/detail.html?no=8


■尾西食品株式会社

・事業内容:長期保存食の製造と販売   

・代表取締役社長:古澤 紳一 

・所 在 地:〒108-0073東京都三田3-4-2

 いちご聖坂ビル3階 

・URL:https://www.onisifoods.co.jp/

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