『日本企業の経営課題2020』調査結果 【第1弾】新型コロナ...

『日本企業の経営課題2020』調査結果  【第1弾】新型コロナウイルス感染拡大の事業への影響

7割超の企業が現状のビジネスモデルや事業形態を「変更する必要がある」

一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、企業が抱える経営課題を明らかにし、これからの経営指針となるテーマや施策の方向性を探ることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、「当面する企業経営課題に関する調査」を実施しています。今年度は2020年7~8月に実施し、532社からの回答を得ました。

今回は第1弾として、「新型コロナウイルス感染拡大の事業への影響」について、ご報告します。



1.当初計画より減益見込みが半数以上(54.9%)。増益見込みは12.7%

7割超の企業が現状のビジネスモデルや事業形態を「変更する必要がある」


2.経営課題として、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が上昇

「デジタル技術の活用・戦略的投資」の重視度も高まる


3.組織・人事領域の課題として、「多様な働き方の導入」が大幅上昇

営業、購買・調達領域の課題においても、コロナ禍の影響が見られる


4.感染拡大を契機に「在宅勤務」を実施した企業が5割。8割超が今後も継続

「社員が時間生産性を意識して仕事をするようになった」が58.7%

一方で、「ストレスを抱える社員が増えた」も44.9%


※調査結果詳細は以下をご覧ください。



■「2020年度(第41回)当面する企業経営課題に関する調査」概要

調査時期   :2020年7月20日~8月21日

調査対象   :JMAの法人会員ならびに評議員会社、

        およびサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5,000社)

調査方法   :郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)

回答数・回収率:回答数532社・回答率10.6%(回答企業の概要はページ下部に記載)



1.当初計画より減益見込みが半数以上(54.9%)。増益見込みは12.7%

7割超の企業が現状のビジネスモデルや事業形態を「変更する必要がある」


○当初事業計画に比べた2020年度の利益見込みを尋ねたところ、17.7%の企業が「50%以上減少する」と回答しました。「減少する」との回答を合算すると半数以上(54.9%)にのぼっています。一方、利益見込みが「増加する」との回答の合計は12.7%となっています。

業種別にみると、特に、「輸送用機器」「不動産」「宿泊・飲食・給食サービス」において減益を見込む企業の比率が多くなっていることがうかがえます。【図1-1】


○新型コロナウイルス感染拡大の事業への影響を尋ねたところ、「影響があった」との回答(大きな~やや の合計)が、「事業全体」「国内営業・販売」で9割超に達しました。その他、「海外営業・販売」「国内仕入・調達」「人材採用」についても「影響があった」が半数を超えており、今回のコロナ禍が、国内における営業活動を中心に、事業活動の広範にわたって影響を及ぼしていることがうかがえる結果となりました。

一方、「雇用維持」については、「影響がなかった」との回答(あまり~まったく の合計)が71.4%となり、政府による雇用調整助成金等の効果もあってか、大きな影響は見られていません。【図1-2】


○また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ、今後のビジネスモデルや事業形態を変更する必要があるかを尋ねたところ、「変更する必要がある」との回答(大きく~やや の合計)が7割を超え、多くの経営者がコロナ後を見据えて事業を変革していく必要性を感じていることが浮かび上がりました。【図1-3】


○さらに、今後の事業活動の対応について尋ねたところ、「重視している」(非常に~やや の合計)の比率が高かったのは、「柔軟な働き方や勤務形態の拡充」(89.6%)、「社内情報システムの強化・拡充」(87.1%)、「営業手法の見直し」(84.1%)、「リスク管理・事業継続計画(BCP)の見直し」(83.8%)となりました。その他、「ITを活用した新しい商品・サービス・事業の開発」については、「非常に重視している」が20.3%と高めになっています。コロナ禍を踏まえ、働き方や情報システム、リスク管理などの社内体制を見直すとともに、非対面型の事業活動が迫られるなかで、営業手法の見直しや、ITを活用した商品・サービス・事業の開発に取り組んでいこうとする姿勢が表れているものと考えられます。【図1-4】


図1-1


図1-1業種

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図1-2

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図1-3

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図1-4

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2.経営課題として、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が上昇

「デジタル技術の活用・戦略的投資」の重視度も高まる


○当面する経営課題について尋ねたところ、「現在」「3年後」「5年後」のいずれにおいても、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」の比率が、昨年より大きく上昇(現在:+6.3ポイント、3年後:+3.8ポイント、5年後+4.6ポイント)するという結果が見られました。【図2-1】~【図2-3】


○「現在」の課題としては、第1位は「収益性向上」(45.1%)、第2位は「人材の強化」(31.8%)、第3位は「売上・シェア拡大」(30.8%)となりました。昨年よりも重視度の高まった項目としては、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(21.5%→27.8%、+6.3ポイント)のほか、「デジタル技術の活用・戦略的投資」(8.5%→15.4%、+6.9ポイント)、「財務体質の強化」(7.9%→14.1%、+6.2ポイント)が挙げられます。これらの課題の重視度が高まるなか、第2位の「人材の強化」の比率は昨年より9.2ポイントの低下となっています。【図2-1】


○「3年後」の課題において、昨年よりも重視度の高まった項目は、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(28.3%→32.1%、+3.8ポイント)、「デジタル技術の活用・戦略的投資」(16.0%→19.2%、+3.2ポイント)です。一方で、「新製品・新サービス・新事業の開発」の比率は昨年より3.0ポイント減少し、第4位となっています。第1位は昨年同様に「人材の強化」(39.7%)となっています。【図2-2】


○「5年後」の課題については、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が昨年よりも比率を大きく上げて第1位に挙げられています(12.7%→17.3%、+4.6ポイント)。また、「新製品・新商品・新サービスの開発」の比率も増加しています(9.8%→12.0%、+2.2ポイント)。昨年に上昇が見られた「CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決」(7.7%)は昨年から比率が変わらず、第5位となっています。【図2-3】


○全体としてみると、デジタル技術革新という大きな潮流に加え、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、デジタル技術を活用しながら事業基盤の見直しを進めていくということが、大きな経営課題として浮かび上がっていると考えられます。


図2-1

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図2-2

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図2-3

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3.組織・人事領域の課題として、「多様な働き方の導入」が大幅上昇

営業、購買・調達領域の課題においても、コロナ禍の影響が見られる


○組織・人事領域の課題について尋ねたところ、「多様な働き方の導入(テレワークなど)」を挙げる比率が、昨年より大きく上昇するという結果が見られました(8.3%→26.5%、+18.2ポイント)。第1位には、昨年同様、「管理職層(ミドル)のマネジメント能力向上」(32.9%)が挙げられています。また、「組織風土(カルチャー)改革、意識改革」も増加し(30.0%→32.3%、+2.3ポイント)、第2位に上昇しています。コロナ禍によって、在宅勤務や時差出勤等が広がるなか、「多様な働き方の導入」が大きな課題となるとともに、新しい働き方のなかでの組織風土改革や社員の意識改革への課題認識が高まっていることがうかがえます。【図3-1】 


○営業・マーケティング領域の課題において、昨年よりも重視度の高まった項目としては、「ITを活用した効率的・効果的な営業活動」(15.8%→22.2%、+6.4ポイント)、「デジタル技術の活用」(13.5%→17.3%、+3.8ポイント)が挙げられます。また、「顧客ニーズの先取り対応」が昨年より比率を高め(34.0%→36.3%、+2.3ポイント)第1位となっているほか、「顧客との直接(双方向)コミュニケーションの強化」の比率も大きく増加しています(13.3%→20.5%、+7.2ポイント)。コロナ禍によって顧客との接触機会が制約されるなか、デジタル技術を活用した営業活動や、顧客ニーズの把握が課題となっていることがうかがえます。【図3-2】 


○また、購買・調達領域の課題においては、「事業継承計画(BCP)対策・リスクマネジメントの強化」の比率が、昨年より大きく増加する結果となっており(22.9%→32.0%、+9.1ポイント)、コロナ禍によって世界的なサプライチェーンが目詰まりするなか、代替となる購買・調達先の確保など、リスク管理が大きな課題となっていることがうかがえます。【図3-3】


図3-1

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図3-2

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図3-3

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4.感染拡大を契機に「在宅勤務」を実施した企業が5割。8割超が今後も継続

「社員が時間生産性を意識して仕事をするようになった」が58.7%

一方で、「ストレスを抱える社員が増えた」も44.9%


○新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた勤務形態や働き方についての対応状況を尋ねたところ、「在宅勤務」については、約5割(47.6%)の企業が、「感染拡大を契機にはじめて実施した」と回答しました。「感染拡大前から実施」「感染拡大を契機に適用範囲を拡大」を合わせると、「在宅勤務」を実施している企業は約9割(89.9%)にのぼっています。その他、「時差出勤の奨励」「WEB会議・TV会議の活用」についても、感染拡大を契機に「適用範囲を拡大した」「はじめて実施した」企業が多数を占めています。社員の安全確保に向けた取り組みが広がっていることが確認できました。【図4-1(左)】

「在宅勤務」の今後の対応については、「継続して実施する」が61.3%、「縮小して実施する」が20.7%となり、8割超の企業が今後も在宅勤務を実施する意向にあることが分かります。【図4-1(右)】 


○また、社員への対応状況や、社員・職場への影響について尋ねたところ、「社員の働き方や健康・安全に十分に配慮した対応ができたか」については、「当てはまる」との回答(強く~やや の合計)が94.2%にのぼりました。社員・職場への影響に関しては、「社員が時間生産性を意識して仕事をするようになった」について、「当てはまる」とする企業が58.7%となっています。一方で、「ストレスを抱える社員が増えた」についても、「当てはまる」が44.9%となっており、半数近くの経営者が、就労環境の変化によって社員がストレスを感じていると捉えていることがうかがえます。社員の健康・安全に十分に配慮した対応ができているとの回答が見られましたが、今後に向けては、こうした社員・職場への影響についても対応が求められるものと考えます。【図4-2】


図4-1

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図4-2

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【調査結果を受けてのコメント】

一般社団法人日本能率協会 KAIKA 研究所 所長 近田 高志


○今回は、日本能率協会が毎年実施している「経営課題調査」の2020年度調査結果のうち、新型コロナウイルス感染拡大の事業への影響に関する項目について、ご紹介しています。


○ご覧のとおり、7割超の企業が現状のビジネスモデルや事業形態を「変更する必要がある」と答えているほか、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」を経営課題と挙げる比率が昨年より上昇しており、今年度の業績への影響はもちろんのこと、中長期的な事業の在り方に対しても大きなインパクトをもたらしていることが浮かび上がる結果となりました。


○この今後の事業の在り方に関しては、経営課題として「デジタル技術の活用・戦略的投資」の重視度が高まっていることに着目したいと思います。また、今後の事業活動の対応として「ITを活用した新しい商品・サービス・事業の開発」を「非常に重視している」とする比率が高めになっていたり、あるいは、営業・マーケティング領域の課題において「ITを活用した効率的・効果的な営業活動」を重視する比率が上昇したりするなど、具体的な対応においても、デジタル技術の活用に取り組んでいこうとする姿勢が表れています。


○デジタル革新については、以前から既に関心が高まっていましたが、コロナ禍を契機として、その取り組みが一層加速しているということが、あらためて、確認できたのではないかと思います。


○また、働き方に関する調査項目では、在宅勤務を始めとした柔軟な働き方への取り組みが、急速に進んでいることがうかがえました。また、今後についても継続するという意向が見られています。

ここでも、働き方改革として進められてきた様々な施策が加速したと言えるのではないでしょうか。


○一方で、調査結果でも見られるとおり、新しい働き方が広がるなかで、社員のストレスが高まるなどの弊害も生じてきます。こうした問題に対処するとともに、社員一人ひとりが、より自律的、創造的に仕事を進めることができる、そうした職場づくりに向けたマネジメントの進化が求められていると考えます。



【回答企業の概要】

所在地

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業種分類

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従業員数・売上高

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