株式会社マーケットリサーチセンター

    世界の前頭側頭型認知症(FTD)の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

    調査・報告
    2026年9月4日 14:00

    株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の前頭側頭型認知症(FTD)の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Frontotemporal Dementia (FTD) Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

    ■主な掲載内容

    本レポートは、前頭側頭型認知症(Frontotemporal Dementia:FTD)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。FTDは、主として前頭葉および側頭葉に進行性の神経変性を生じ、行動、人格、言語、遂行機能などに障害を来す認知症群である。アルツハイマー病とは異なり、初期には記憶が比較的保たれることがあり、無気力、脱抑制、感情鈍麻、社会行動の変化、言語障害などが前景に立ちやすい。調査会社は、FTDを比較的まれではあるものの、若年~中年発症認知症の重要な原因と位置づけており、世界の pooled incidence を10万人年あたり2.28、pooled prevalenceを10万人あたり9.17と推定している。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における発症率、有病率、年齢、性別、病型、遺伝背景、診断患者数などを分析している。

    FTDは単一の疾患ではなく、臨床的には行動型FTD(behavioral variant FTD:bvFTD)、原発性進行性失語(Primary Progressive Aphasia:PPA)、さらに運動症候群を伴う病型などを含む。したがって、「FTD全体」と「bvFTD」「言語型FTD」などの各サブタイプを区別して考える必要がある。

    典型的には40~65歳で発症するとされ、若年性認知症の主要原因の一つである。ただし、今回の資料ではピーク診断年齢が70~72歳とされており、従来考えられていたより年齢分布が広いことが示唆されている。

    この点は重要であり、「FTDは40~65歳だけの疾患」と理解するのは不適切である。若年~中年に多い傾向はあるものの、高齢者でも診断される。

    また、「典型的発症年齢40~65歳」と「ピーク診断70~72歳」は同じ指標ではない可能性がある。前者は臨床的な代表発症年齢、後者は近年の疫学解析で観察された診断数のピークを示していると考えられる。

    したがって、症状発現年齢と正式診断年齢のずれ、あるいは高齢者での診断認知向上がこの差に影響している可能性がある。

    世界のFTD発症率は10万人年あたり2.28とされる。

    これは年間 incidence rate であり、ある時点でFTDを持つ患者数を示す有病率ではない。

    一方、世界 pooled prevalence は10万人あたり9.17とされる。

    したがって、2.28/100,000 person-yearsと9.17/100,000 populationを直接比較・加算してはいけない。

    65歳未満では、世界発症率が10万人年あたり1.84、有病率が10万人あたり7.47とされる。

    これも「65歳未満」という年齢限定集団の値であり、全年齢の2.28および9.17とは分母が異なる。

    このデータは、FTDが若年発症型認知症として重要であることを示す一方、全年齢有病率9.17より65歳未満7.47の方がやや低いことから、高齢者患者も一定数存在することと整合する。

    また、FTDでは有病率が年齢とともに上昇し、米国でも65歳以上でより高いとされる。

    したがって、従来の「若年性認知症」というイメージだけでは患者全体を捉えきれない。

    性別については、資料内にやや複数の表現が存在する。

    冒頭ではFTD全体の有病率は男女でおおむね同等とされる一方、bvFTDは男性にやや多い可能性があるとされる。

    一方、詳細疫学セクションでは「Male patients demonstrate a higher global incidence」とされ、国際 pooled cohort では男性の発症率が高い傾向が示されている。

    この2つは必ずしも矛盾ではない。

    「prevalenceが男女ほぼ同等」と「incidenceが男性でやや高い」は異なる指標であり、さらに病型構成や生存期間の違いによって両立する可能性がある。

    また、bvFTDが男性にやや多い一方、他のFTDサブタイプでは性差が異なる可能性もある。

    したがって、FTDを単純に「男性優位」とするより、FTD全体の有病率は男女ほぼ同等だが、発症率や一部病型、特にbvFTDでは男性優位がみられる可能性がある、と整理するのが適切である。

    遺伝的背景もFTD疫学の重要な特徴である。

    FTD患者の約30~40%が、同様の神経変性疾患の家族歴を有するとされる。

    ただし、「家族歴あり」と「病原性変異が確認される」は同じではない。

    病原性変異が同定されるのは全FTD患者の約10~25%とされる。

    主要なFTD関連遺伝子としては、C9orf72反復配列伸長、MAPT、GRNが挙げられている。

    C9orf72はFTDと筋萎縮性側索硬化症(ALS)の両方に関係する最も一般的な遺伝的原因の一つとされる。

    ここで、30~40%の家族歴陽性率と10~25%の病原性変異陽性率を加算してはいけない。

    病原性変異陽性患者の多くは家族歴陽性群に含まれる可能性があり、両者は重複する。

    また、家族歴がなくてもde novo変異や不完全な家族情報などによって遺伝性FTDが存在する可能性がある。

    したがって、FTDでは家族歴評価と遺伝学的検査を別々に考える必要がある。

    米国では、FTD有病率が10万人あたり約15.3人とされる。

    これは世界 pooled prevalence 9.17/100,000より高い。

    ただし、この差をそのまま米国で生物学的にFTDが多いと解釈するのは慎重である。

    診断認知、専門医アクセス、画像診断、医療記録の精度、研究方法などが異なる可能性があるためである。

    米国では年齢とともに有病率が増加し、65歳以上で高いとされる。

    この点は、世界データで70~72歳に診断ピークがあるという記述と方向性として整合する。

    したがって、FTDは若年発症の代表疾患でありながら、実際の患者プールには高齢者もかなり含まれる。

    症状としては、記憶障害より先に人格・行動変化が出ることが多く、無気力、脱抑制、共感性低下、社会規範からの逸脱、感情鈍麻などがみられる。

    PPAでは言語障害が中心となり、発話、単語理解、言語産生などが進行性に障害される。

    このような非記憶症状主体の臨床像は、FTD診断遅延の原因になり得る。

    患者が精神疾患、うつ病、人格変化、職場問題などとして最初に認識される可能性があり、認知症専門診療まで時間を要する場合がある。

    したがって、疫学的な「診断患者数」は真の患者数より少ない可能性がある。

    今回の資料には未診断率の具体値は示されていないため、どの程度過小診断されているかは定量化できない。

    米国以外のドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドについては、今回の抜粋では具体的な国別有病率や患者数は示されていない。

    そのため、8主要市場を対象とするレポートではあるものの、この資料だけから国別の定量比較を行うことはできない。

    また、FTDは診断に専門的神経心理評価、脳画像、場合によっては遺伝学的検査が必要になるため、医療アクセスの違いによって国別報告有病率が大きく変動する可能性がある。

    治療については、現時点で疾患修飾療法は存在せず、基本的に症状緩和と機能維持を目的とする支持療法が中心とされる。

    行動症状に対してはSSRIやtrazodoneが使用される。

    これは脱抑制、常同行動、情動症状などを緩和する目的で用いられる。

    一方、重度の興奮や攻撃性に対して抗精神病薬を用いる場合もあるが、副作用のため慎重に使用するとされる。

    PPAなど言語型FTDでは、言語聴覚療法がコミュニケーション維持に重要となる。

    作業療法は日常生活機能、安全性、生活環境適応の支援に用いられる。

    また、構造化された日課や環境調整も重要である。

    FTDでは患者本人の病識が低下する場合もあり、家族・介護者への教育と支援が特に重要となる。

    実際、行動変化や人格変化は介護者負担を非常に大きくするため、患者本人だけでなく介護者を含めた多職種管理が必要である。

    研究開発では、tau標的治療やprogranulin関連治療などが検討されているとされる。

    ただし、今回の資料ではこれらは将来的な治療候補として述べられており、標準的な疾患修飾療法として確立しているわけではない。

    したがって、2026~2035年においても現行診療の中心は支持療法でありつつ、遺伝子・分子病態に基づく治療開発が重要な研究領域になると考えられる。

    市場の観点では、FTDは有病率自体は低いが、比較的若い年齢で発症し、長期間にわたって行動・言語・遂行機能が進行性に低下するため、患者1人あたりの社会的・介護負担が大きい。

    特に40~60歳代では就労中の患者も多く、早期退職、家庭機能低下、介護者の就業制限など、医療費以外の間接負担も大きくなる可能性がある。

    また、高齢者での診断が増えていることから、FTD患者プールは従来考えられていたより広い年齢層を含む可能性がある。

    2026~2035年の診断患者数を押し上げる第一の要因は、FTDに対する疾患認知の向上である。

    第二に、MRIや神経心理検査など診断技術へのアクセス改善がある。

    第三に、家族歴を持つ患者への遺伝学的検査が普及すれば、C9orf72、MAPT、GRNなどの遺伝性FTDがより多く同定される可能性がある。

    第四に、若年性認知症だけでなく高齢者FTDへの認知が進めば、65歳以上の患者もより多く診断される可能性がある。

    したがって、診断有病率の上昇がそのまま真の疾患発生率上昇を意味するとは限らない。

    専門医認知、画像診断、遺伝子検査の普及による症例捕捉改善の影響が大きいと考えるべきである。

    全体として本レポートは、FTDを「前頭葉・側頭葉の進行性神経変性によって、記憶よりも行動、人格、言語、遂行機能障害が前景に立つことが多い認知症群」と位置づけている。

    世界 pooled incidence は2.28/100,000 person-years、pooled prevalenceは9.17/100,000であり、65歳未満ではそれぞれ1.84/100,000 person-years、7.47/100,000とされる。これらは発症率と有病率、全年齢と65歳未満という異なる分母であり、直接合算すべきではない。

    典型的には40~65歳に発症する一方、最近の解析では70~72歳に診断ピークがあるとされ、FTDの年齢分布は従来考えられていたより広い。米国でも有病率は年齢とともに上昇し、全体では約15.3/100,000とされる。

    性別ではFTD全体の有病率は男女ほぼ同等とされる一方、世界 pooled incidenceでは男性が高く、bvFTDも男性にやや多い可能性がある。したがって、単純な男性優位疾患ではなく、指標や病型によって性差が異なると理解する必要がある。

    遺伝面では30~40%が類似神経変性疾患の家族歴を持ち、10~25%でC9orf72、MAPT、GRNなどの病原性変異が同定される。家族歴陽性率と遺伝子陽性率は重複するため加算してはいけない。

    治療は現時点では支持療法が中心で、行動症状にSSRIやtrazodone、言語障害に言語聴覚療法、日常機能に作業療法を用い、重度の興奮では抗精神病薬を慎重に使用する。介護者教育、生活環境調整、多職種支援も不可欠である。

    2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢化そのものに加えて、FTD診断認知の向上、若年性認知症へのスクリーニング、画像診断、遺伝子検査、家族歴評価の普及によって診断患者プールが拡大する可能性が高い。

    したがって、今後のFTD管理における中心的課題は、記憶障害の少ない初期患者をアルツハイマー病や精神疾患として見逃さず、行動・人格変化や進行性言語障害からFTDを早期に疑うこと、さらに家族歴のある患者では遺伝学的評価につなげることである。2026~2035年は、若年発症認知症としてだけでなく高齢者も含む幅広いFTD患者を適切に把握し、病型・遺伝背景に応じた診断と将来の疾患修飾治療へどこまでつなげられるかが、臨床・疫学・介護・研究開発・市場の主要テーマになるとまとめられる。

    ※目次構成

    1. 序文
      1.1 はじめに
      1.2 調査の目的
      1.3 調査方法および前提条件
    2. エグゼクティブサマリー
    3. 前頭側頭型認知症(FTD)市場概要 ― 主要8市場
      3.1 前頭側頭型認知症(FTD)の過去の市場規模(2019~2025年)
      3.2 前頭側頭型認知症(FTD)の市場規模予測(2026~2035年)
    4. 前頭側頭型認知症(FTD)の疫学概要 ― 主要8市場
      4.1 前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2025年)
      4.2 前頭側頭型認知症(FTD)の疫学予測(2026~2035年)
    5. 疾患概要
      5.1 徴候および症状
      5.2 原因
      5.3 リスク因子
      5.4 ガイドラインおよび病期
      5.5 病態生理
      5.6 スクリーニングおよび診断
    6. 患者プロファイル
      6.1 患者プロファイルの概要
      6.2 患者心理および精神・感情面への影響因子
    7. 疫学動向および予測 ― 主要8市場(2019~2035年)
      7.1 主な調査結果
      7.2 前提条件およびその根拠
      7.3 主要8市場における前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    8. 疫学動向および予測:米国(2019~2035年)
      8.1 米国における前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    9. 疫学動向および予測:英国(2019~2035年)
      9.1 英国における前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    10. 疫学動向および予測:ドイツ(2019~2035年)
      10.1 ドイツにおける前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    11. 疫学動向および予測:フランス(2019~2035年)
      11.1 フランスにおける前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    12. 疫学動向および予測:イタリア(2019~2035年)
      12.1 イタリアにおける前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    13. 疫学動向および予測:スペイン(2019~2035年)
      13.1 スペインにおける前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    14. 疫学動向および予測:日本(2019~2035年)
      14.1 日本における前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    15. 疫学動向および予測:インド(2019~2035年)
      15.1 インドにおける前頭側頭型認知症(FTD)の疫学動向(2019~2035年)
    16. 患者ジャーニー
    17. 治療上の課題およびアンメットニーズ
    18. キーオピニオンリーダー(KOL)の見解

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