2020年度 新入社員意識調査<ダイジェスト版>スペシャリス...

2020年度 新入社員意識調査<ダイジェスト版> スペシャリスト志向、実力・成果主義志向の新入社員が顕著に

~アフターコロナに向けて、ますます重要になる社員の自律・キャリア支援~

一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村 正己)は、小会が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに対しどのような意識を持っているか調査を行いました。

この調査は、4月2日~4月7日に紙アンケート調査で実施し、307人から回答を得ています。



<トピックス:今年の新入社員の素顔>

1. スペシャリスト志向が6割超と昨年より増加。

「実力・成果主義」志向が高まって、この10年で過去最高に。


2. 仕事に必要な能力・スキルを身に着ける責任は「個人」にあるとの回答が9割近くに。

今の気持ちを表す漢字にも、「学」が増加し、第3位にランクイン。


3. 働く目的:「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」がトップに。

やりがいを求める新入社員が半数超え。


4. 理想の上司:「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」が6割に。


5. リモートワーク、カジュアルな服装といった職場環境を重視。

コミュニケーションの取り方にZ世代の特徴が如実に。


※結果の詳細は下記をご覧ください。



<調査概要>  ※回答は%表記とし、小数点第2位を四捨五入

調査名称:2020年度「新入社員意識調査」

調査期間:2020年4月2日~2020年4月7日 

調査対象:日本能率協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者

調査方法:紙アンケート調査

回答数 :307人

属性  :[性別]     男性:198人(64.5%)、女性:109人(35.5%)

     [最終学歴]   高校卒:102人(33.2%)、

             高専・専門・短大卒:33人(10.7%)、

             大学卒:138人(45%)、大学院卒:34人(11.1%)

     [学部・学科]  文系:115人(37.5%)、理系:94人(30.6%)、

             その他:91人(29.6%)

             無回答:7人(2.3%)

     [業種]     製造業:131人(42.7%)、非製造業:176人(57.3%)

     [勤務先従業員数]100人未満:73人(23.8%)、

             100~300人未満:81人(26.4%)、

             300人以上:114人(37.1%)、

             わからない:35人(11.4%)、無回答:4人(1.3%)



1. スペシャリスト志向が6割超と昨年より増加。

「実力・成果主義」志向が高まって、この10年で過去最高に。

働き方について、「A:一つの仕事を長く続けて専門性を磨きたい」、「B:いろいろな業務を経験し、仕事の幅を広げたい」か、を聞いたところ、「A」のスペシャリスト志向が63.9%(「A」「どちらかというとA」を合算)となり、昨年よりも増加しました。(図表1)


図表1 スペシャリストとゼネラリストについて(n=307)


働きたい職場について、「A:個人が評価され、年齢・経験に関係なく処遇される実力・成果主義の職場」か、「B:競争よりも、ある年代まで平等に処遇される年功主義の職場」のどちらで働きたいかを聞いたところ、「A」の実力・成果主義志向が66.1%(「A」「どちらかというとA」の合算)となり、この10年で過去最高の結果となりました。(図表2)


図表2 実力・成果主義と年功主義について(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_2.png


【解説コメント】

AIやデータサイエンス等、デジタル技術の進化などにより、より高度な能力・スキルが求められる時代になるなか、「ジョブ型雇用」を模索する議論が広がっています。加えて、新型コロナ感染拡大により、雇用情勢は不安定になっています。こうしたことが、新入社員のスペシャリスト志向、実力・成果主義志向にも一定程度の影響を及ぼしているものと考えられます。



2. 仕事に必要な能力・スキルを身に付ける責任は「個人」にあるとの回答が9割近くに。

今の気持ちを表す漢字にも、「学」が昨年より増加し、第3位にランクイン。

「仕事に必要な能力やスキルを身に付けることの責任はだれにあるか」を聞いたところ、全体では、「個人の責任である」が87.0%(「個人の責任である」「どちらかと言えば、個人の責任である」を合算)となり、9割近くにのぼりました。逆に、「会社の責任である」は11.0%(「会社の責任である」「どちらかと言えば、会社の責任である」を合算)となっています。(図表3)


新社会人としてスタートする今の気持ちを漢字1文字で表してもらったところ、「学」が昨年より増加し、第3位にランクインしました。(図表4)


図表3 仕事に必要な能力やスキルを身に付けることの責任はだれにあると思いますか。(1つだけ選択)(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_3.png


図表4 新社会人としてスタートする今の気持ちを漢字1文字で表すとしたら何ですか。漢字1文字をご記入ください。(n=307)※3人以上から回答があったものを抜粋

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【解説コメント】

トピックス1で、スペシャリスト志向や実力・成果主義の高まりが見られたのと同様に、自分の責任で仕事に必要な能力・スキルを身に付けるのは、自分の責任と考える新入社員が9割近くに達しています。こうした新入社員の高い学習意欲に対して、しっかりと成長支援をしていくことが、職場におけるマネジメントにおいて重要になってきます。一方で、コロナ禍によってリモートワークが広がるなか、従来の現場でのOJTが難しくなっている状況もあります。日々のコミュニケーションを通じた新たな育成方法を工夫してくことが必要となります。



3. 働く目的:「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」がトップに。

やりがいを求める新入社員が半数超え。

自身の働く目的について聞いたところ、「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」(52.8%)がトップとなり、約半数が選ぶ結果になりました。過去3年で比べると元々増加傾向にはありましたが、昨年比で10.4ポイントも上昇しました。(図表5)

また、第2位には「自分の能力を高めること」(42.3%)、第3位には「社会の役に立つこと」(34.5%)が挙げられています。


図表5 あなた自身の働く目的は何ですか。お金を得ること以外でお答えください。(3つまで選択)(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_5.png


【解説コメント】

「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」を働く目的とする新入社員が半数を超えました。また、「社会の役に立つこと」が第3位に挙げられています。新入社員が定着していくためにも、自社の経営理念や社会的使命を伝えるとともに、担当業務がそうしたこととどう結びついているのか意味付けをし、理解を深めていくことが重要になります。



4. 理想の上司:「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」が6割に。

「理想の上司・先輩像」を聞いたところ、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」(59.3%)、「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩」(33.2%)、「言動が一致している上司・先輩」(32.9%)の順になりました。上位3つの項目・順番に昨年と違いはないものの、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」が6割近くを占め、昨年より14.8ポイントもあがっています。(図表6)


図表6 理想の上司像について(n=307)

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【解説コメント】

新型コロナウイルスの影響で、今年は入社式を中止、オンラインにするといった対応をとった企業もありました。新入社員にとって、着実に仕事に必要な能力やスキルを身に着けていくうえで、例年とは違って、上司・先輩と接する機会が少なくなるのではないかという戸惑いや不安から、丁寧に指導・フォローして欲しいという思いが強く出たのではないかと推察されます 。



5. リモートワーク、カジュアルな服装といった職場環境を重視。

コミュニケーションの取り方にZ世代の特徴が如実に。

働くときの環境について、リモートな環境で働けることを重視しているのは、73.6%(「とても重要である」「やや重要である」を合算)でした。(図表7)

働くときの服装について、カジュアルな服装で働けることを重視しているのは、全体では、57.6%(「とても重要である」「やや重要である」を合算)でした。男女別で見たところ、男性は47.9%、女性は75.3%でした。(図表8)

コミュニケーションの取り方について聞いたところ、Z世代の特徴が如実に表れました。コミュニケーションを取るときの言葉の選び方は、「どちらかというと相手に気を使って言葉を選ぶ」が最も多く、40.7%でした。人との関わりについては、「気心の知れた人と深く付き合う」方が、全体で74.3%(「A」、「どちらかというとA」を合算)を占めました。コミュニケーションの手段については、過半数が「メールやチャットツールなどを使って連絡する」と回答しました。(図表9)


図表7 あなたが働くときに、在宅勤務やシェアオフィスなどリモートな環境で働けることは重要だと思いますか。(1つだけ選択)(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_7.png


図表8 あなたが働くときの服装として、ビジネススーツではなく、カジュアルな服装で働けることは重要だと思いますか。(1つだけ選択)(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_8.png


図表9 コミュニケーションの取り方について(各項目1つずつ選択)(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_9.png


抵抗なく出来る事柄について、8項目を挙げて質問しました。その結果、「抵抗があること」に浮かび上がったのは、「指示が曖昧なまま作業をする」(89.9%)、「飛び込み営業」(87%)、「知らない人・取引先に電話を掛ける」(73.9%)の順でした。(図表10)

「知らない人・取引先に電話を掛ける」ことは、コミュニケーションの手段で過半数が「メールやチャットツールなどを使って連絡する」(図表9)と回答していることからも、電話への不慣れさ、苦手意識が見受けられます。


図表10 抵抗なく出来る事柄について(各項目1つずつ選択)(n=307)

https://www.atpress.ne.jp/releases/216453/img_216453_10.png


【解説コメント】

働き方改革に加え、新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務やシェアオフィスの利用など、リモートワークの導入が進んでいます。また、カジュアルな服装への志向も高まっていますが、女性へのハイヒールの強制を非難する「#KuToo」運動が巻き起こったのも記憶が新しいところです。こうしたニーズを受け止めていくことが、若い社員をひきつけていくうえで、ますます重要になってくるものと思われます。一方で、デジタルネイティブとも言われ、価値観やコミュニケーションスタイルも従来と異なる「ジェネレーションZ」と呼ばれる世代が職場に加わるようになり、上司・先輩の間に戸惑いが生じています。一方的に従来的な方法を押し付けるのではなく、多様な価値観を包摂していくという観点から対応していくことが求められています。

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