「コーポレートガバナンスOverview 2019」の発行について

KPMGジャパン(本部:東京都、チェアマン:森 俊哉)は、東証一部上場企業の社外取締役約5,300名を対象に、コーポレートガバナンス改革の動向、情報開示の充実への取組み、その課題等を調査した「コーポレートガバナンスOverview 2019」を発行しましたのでお知らせします。


有価証券報告書における情報開示の充実を図るため、2019年1月に「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(以下「開示府令」)が公布され、3月には「記述情報の開示に関する原則」および「記述情報の開示の好事例集」、6月には「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が公表されました。これらの動きは、コーポレートガバナンスの実質的な改革を要請するものといえます。


本調査は、コーポレートガバナンス改革の動向を調査・分析・発信を行う組織、KPMGジャパン コーポレートガバナンス センター・オブ・エクセレンス(CoE)が2016年より毎年調査を続け、今年で4回目となります。過去1年のコーポレートガバナンス改革の動向についてフォローするとともに、企業における課題を明らかにすべく意識調査の分析に基づく提言、また「開示府令」が求めるコーポレートガバナンス改革の本質について、企業価値向上の論点からの解説をまとめています。主な調査結果は以下のとおりです。



【調査結果のポイント】

■「経営者等の後継者計画の策定」は、社外取締役が取締役会で議論を開始すべきと考える最重要課題

社外取締役が取締役会で議論を開始・深化すべきと考える課題について「経営者等の後継者計画の策定」が最も多い結果となりました。後継者計画の策定は、コーポレートガバナンス・コードにおけるコンプライ率が68.6%と最も低い項目の1つであり、コード改訂を境にコンプライ率は18.0ポイント低下しています(東証上場会社コーポレートガバナンス白書2019)。コード改訂では、取締役の選任に加えて、解任に当たっての方針・手続きの策定と開示が求められるようになり、取締役会におけるさらなる議論が必要です。

「資本コストを意識した業績評価」も議論を開始・深化すべき課題として挙げる社外取締役が多くなっています。また、企業規模が大きい企業群においては「事業ポートフォリオの入れ替え」を課題とする傾向が見受けられました。企業規模が大きい企業ほど多くの事業を抱える傾向があることから、選択と集中を課題視する社外取締役が多いと推察されます。


社外取締役が取締役会で議論を開始・深化すべきと考える課題


■「経営方針や対処すべき課題について十分議論ができている」、と回答した社外取締役は約2割

経営方針や対処すべき課題について、十分に議論ができていると回答した社外取締役は2割にとどまりました。特に規模が小さい企業ほど、これらの議論が不足していると感じる社外取締役が多くなっています。議論が不足する要因として、経営方針策定の前提となる中長期的な事業環境の変化について十分な情報がないことや、短期的に対処すべき課題が多く、長期の経営方針策定まで議論が及ばないといった指摘がなされています。



■「財務戦略について十分に議論ができている」、と考えている社外取締役は約2割

2割の社外取締役が財務戦略について十分に議論ができていると考えているものの、企業規模が小さくなるほど議論が不足していると感じる社外取締役が多くなっています。また企業規模の大小にかかわらず、多くの社外取締役が資本コストを意識した業績管理の展開が課題であると感じています。さらに、投資や株主還元の優先順位を定めるキャッシュフローアロケーションの方針や余剰現預金の活用、最適資本構成の方針策定についても議論が不足しているといった指摘がなされています。


調査報告書は、以下から全文をご覧いただけます

https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2019/11/corporate-governance-overview-2019.html



■「コーポレートガバナンスOverview 2019」について

本調査は、以下を調査の対象としています。

東証一部上場企業 社外取締役(約5,300名)

調査期間:2019年7月~8月

調査方法:書面・ウェブサイトによる回答

回答数 :354名(回答率:7%)



■KPMGジャパンについて

KPMGジャパンは、KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームの総称であり、監査、税務、アドバイザリーの3つの分野にわたる8つのプロフェッショナルファームによって構成されています。クライアントが抱える経営課題に対して、各分野のプロフェッショナルが専門的知識やスキルを活かして連携し、また、KPMGのグローバルネットワークも活用しながら、価値あるサービスを提供しています。日本におけるメンバーファームは以下のとおりです。

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