サーモフィッシャーサイエンティフィック、 検体採取から遺伝子検査の解析レポートまで わずか1日で実施できる、 初の次世代シーケンシングプラットフォームを発表

病院内において将来的にプレシジョン医療を 進展させる可能性を持つIon Torrent Genexus System

本リリースは、Thermo Fisher Scientificが2019年11月6日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集(一部追記を含む)したものです。

英文プレスリリースは、 http://thermofisher.mediaroom.com/2019-11-06-Thermo-Fisher-Scientific-Introduces-First-Next-Generation-Sequencing-Platform-that-Delivers-Specimen-to-Report-in-a-Single-Day をご参照ください。

英文タイトル:Thermo Fisher Scientific Introduces First Next-Generation Sequencing Platform that Delivers Specimen to Report in a Single Day

本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。



米国メリーランド州ボルチモア(米国現地時間2019年11月6日) - サーモフィッシャーサイエンティフィックは、検体採取から遺伝子検査の解析レポートまでのワークフローの自動化により、わずか1日で検査結果を提供できる、初の完全一体型次世代シーケンシング(以下、NGS)プラットフォーム「Ion Torrent Genexus System*」を発表しました。米国分子病理学協会(The Association for Molecular Pathology, AMP)2019年年次総会で披露されたこのターンキーソリューションは、ゲノムプロファイリングにおける根本的な転換を促進し、それぞれの医療機関におけるNGS検査を将来的に可能にします。加えて、サーモフィッシャーサイエンティフィックはGenexusプラットフォームのための初の全がんパネル「Oncomine Precision Assay*」を発表しました。Oncomine Precision Assayは、単一アッセイでのホルマリン固定パラフィン包埋(以下、FFPE)組織および液体生検試料をもとに、包括的なゲノムプロファイリングを行うことを可能にします。


サーモフィッシャーサイエンティフィックの最高執行責任者であるマーク・スティーブンソン(Mark Stevenson)は、次のように述べています。「私たちのゴールは、臨床医があらゆる臨床現場で包括的なゲノム情報の力を活用できるようにすることで、将来の医療水準を向上させることです。地域病院の患者様が、より良い標的治療の選択と健康状態の改善を導く包括的な検査結果を、より迅速に入手できる日が来ると考えています」


医学雑誌「Clinical Lung Cancer ※1」は最近の研究として、地域病院がその地域のほとんどの患者を治療しているにもかかわらず、NGSベースのゲノム検査を地域病院が提供することを妨げる、さまざまな課題について取り上げています。製品の複雑さやコストといったNGSの導入を阻害する障壁により、地域の分子病理学研究室の大半が単一遺伝子検査に依存せざるを得ない状況に陥っています。このような検査環境では腫瘍の完全なゲノムプロファイルを提供できないため、より包括的なNGS分析のために検体検査を外部委託することを選択する研究室もあります。


医学雑誌「Cancers ※2」の記事は、他の市販NGSプラットフォームを使用している検査施設にNGSテストをアウトソースすることは、結果が出るまで数週間かかる、そしてより大きい検体の採取が必要とされる、という二つの大きな問題を引き起こすことになる、と強調しています。検体採取における厳しい要件は、多くの場合、数量不足(QNS)レポートにつながり、明確な結論が得ることができません。 今年発表されたがんの臨床研究 ※3-6では、検体量の基準を満たしていないために提出されなかった検体は除いて、QNS率が17~23%であることを示しています。これらの問題は、タイムリーな治療の決定と相反することが多々あり、予後不良につながる可能性があります。



■かつてないほど短い所要時間と自動化

Genexus Systemは根本的な転換を引き起こします。これまでになく短い所要時間と、完全に自動化されたワークフローにより、ユーザーの介入とヒューマンエラーの可能性を最小限に抑えます。当システムが必要とする組織検体は最小限の量で済み、一日で包括的なレポートを提供するため、コストの面からも効率よく少量でのバッチ処理を実行することができます。これらの機能を組み合わせることで、将来の分子病理学者は、NGS情報を免疫組織染色(IHC)などの病理組織診断と並行して分析することができます。


早期から当システムにアクセスし検証に協力していた、ポルトガルのポルト大学分子病理学・免疫学研究所(IPATIMUP)の主任研究員であるホセ・ルイス・コスタ(Jose Luis Costa)博士は次のように述べています。「その処理スピードは驚くべきものですが、私にとってGenexus Systemの真の価値は、とても使いやすい点です。難しすぎると思ってNGSをまだ採用していない方は、Genexus Systemがすべての複雑さを取り除いてくれることを理解するでしょう。これは、検体採取から遺伝子検査の解析レポートに至るプロセスにおいて、オペレーターの介入を実質的に不要にする、初のシステムです」


日本におけるNGSとqPCRを使用したリキッドバイオプシースクリーニングを確立するための国家プログラム『AIホスピタルプロジェクト』を率いるプログラムディレクターである中村 祐輔博士は、次のように述べています。「Genexus Systemによって可能になった進歩は、過去20年にわたる次世代シーケンシングの重要な進歩の好例です。この新しいシステムの完全自動化により、がん研究と臨床管理は一変し、将来的には分散型ラボでもNGS検査が活用可能になるなど、より幅広く利用できるようになります」


また、LC-SCRUM-Asiaにおいてがんの臨床試験を主導する、日本の国立がん研究センター東病院の後藤 功一博士は、次のように述べています。「非小細胞肺がんの初回治療薬として、ますます多くの標的療法および免疫療法が承認されており、NGSベースの分子プロファイリング検査の速度はますます重要になっています。PD-L1免疫組織染色の結果と同時にNGS検査の結果を入手できることは、臨床試験において最適な治療選択を決定するために非常に有益です。これほど短時間で結果が得られるこのシステムに大きな期待を寄せており、プレシジョン・オンコロジー(腫瘍学)の分野に変革をもたらすと信じています」


研究施設は、革新的なシーケンシングチップ設計によりシーケンシングの実行を拡張できます。そのため研究施設内において、研究施設に到着した少量の組織検体をコスト的に効率の高い方法でシーケンシング処理を行うことが可能です。Genexus Systemには、Genexus intragrated sequencer、Genexus Purification System、onboard reporting softwareが含まれます。


システムおよび関連試薬は、ISO 13485認証を取得した米国食品医薬品局(FDA)に登録されている施設で製造されています。サーモフィッシャーは、オンコロジー(腫瘍学)および他の臨床応用における診断アッセイの広範なメニューの開発を将来に向けて加速するために、FDAにGenexus Systemの薬事承認を申請する予定です。



■単一アッセイによる固形組織および液体生検がん検体のバイオマーカー検査

Oncomine Precision Assayは、FFPEおよび液体生検検体からのシーケンシングを介して、EGFR、ALK、KRAS、BRAF、ROS1、NTRK、RET、HER2、ERBB2などの関連バイオマーカーを最大限に検出します。Genexus Systemと組み合わせることで、分子検査ラボは、単一遺伝子検査と同じ時間枠内で包括的なNGS結果を生成できるようになります。Oncomine Precision Assayは、オンコロジー(腫瘍学)研究および、感染症、遺伝性疾患、リプロダクティブヘルス(生殖に関する健康)を含むその他複数の研究応用分野のための、初のパネルとなります。



GenexusシステムとOncomine Precision Assayの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

http://www.thermofisher.com/content/lifetech/global/en/home/products-and-services/promotions/life-science/ion-torrent-genexus-system.html


1. Genomic Profiling of Advanced Non-Small Cell Lung Cancer in Community Settings: Gaps and Opportunities; Martin E. Gutierrez, et al.; Clinical Lung Cancer, Nov. 2017.

2. In-house Implementation of Tumor Mutational Burden Testing to Predict Durable Clinical Benefit in Non-small Cell Lung Cancer and Melanoma Patients. Heeke S. et al. Cancers. Aug. 2019;11(9). pii: E1271. doi: 10.3390/cancers11091271.

3. Next-Generation Sequencing in 305 Consecutive Patents: Clinical Outcomes and Management Changes; Gregory J. Kubicek, MD., et al., Journal of Clinical Oncology, Aug. 2019.

4. First-Line Nivolumab Plus Ipilimumab in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer (CheckMate 568): Outcomes by Programmed Death Ligand 1 and Tumor Mutational Burden as Biomarkers; Suresh S. Ramalingam, MD., et al., Journal of Oncology, Feb. 2019.

5. Clinical utility of FoundationOne tissue molecular profiling in men with metastatic prostate cancer; Jason Zhu, et al.; Urologic Cancer: Seminars and Original Investigations, July 2019.

6. Abstract 4889: Comparison of tumor mutational burden using the Ion Oncomine(TM) TML and FoundationOne(TM) assays with routine clinical FFPE tissue samples to predict durable clinical benefit in lung cancer and melanoma patients - a multivariate analysis integrating PD-L1 and CD8+ evaluation. Heeke S. et al. DOI: 10.1158/1538-7445.AM2019-4889; July 2019.


*研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続上での使用はできません



■サーモフィッシャーサイエンティフィック インコーポレイテッドについて

サーモフィッシャーサイエンティフィック インコーポレイテッド(本社:米国マサチューセッツ州ウォルサム、NYSE:TMO)は、240億ドル超の収益と世界中に約70,000人の従業員を擁する、世界をリードする科学サービス企業です。私たちのミッションは、私たちの住む世界を「より健康で、より清潔、より安全な場所」にするために、お客様に製品・サービスを提供することです。私たちはお客様がライフサイエンス研究をさらに加速させ、分析における複雑な課題を解決し、臨床診断性能を向上させ、医薬品を市場に提供し、研究室の生産性を高めることを支援します。当社の強力なブランドである、Thermo Scientific、Applied Biosystems、Invitrogen、Fisher Scientific、Unity Lab Services ブランドは、革新的な技術、購入における利便性、包括的なサービスとサポートにおいて、他に類を見ない組み合わせを提供します。

URL: https://www.thermofisher.com

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