世界の肥大型心筋症の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の肥大型心筋症の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Hypertrophic Cardiomyopathy Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、肥大型心筋症(Hypertrophic Cardiomyopathy:HCM)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。HCMは、主として心室中隔を中心に心筋が異常に肥厚する遺伝性心疾患で、MYH7やMYBPC3などサルコメア蛋白関連遺伝子の病的変異が原因として挙げられている。呼吸困難、胸痛、失神などで発症する場合がある一方、無症候のまま経過し、若年者やアスリートでは突然心停止を契機に初めて明らかになることもある。調査会社は、人口ベース画像研究ではHCM有病率が約1/200~1/500、すなわち0.2~0.5%と推定される一方、臨床的に診断されているのはその一部にすぎず、最大約80%が未診断である可能性を強調している。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における有病率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。
HCMは単一の形態ではなく、閉塞性、非閉塞性、心尖部型、中部心室型など複数のサブタイプを含む。これらは血行動態や症状、合併症リスクが異なるため、疫学上も「HCM全体」と「閉塞性HCMなど特定病型」を区別する必要がある。
病態の中心は、心筋肥厚による左室拡張障害、流出路閉塞、不整脈リスクの増加などである。病的変異を有していても必ずしも同じ年齢・同じ程度で心肥厚を示すわけではなく、資料ではvariable penetrance、すなわち浸透率にばらつきがあるとされる。
このため、HCMは出生時から遺伝的素因を有していても、臨床的表現型が小児期、青年期、中年期、あるいは高齢期になって初めて明らかになることがある。したがって、診断年齢と遺伝的発症時点を同一視してはいけない。
疫学的には、人口ベース画像研究でHCM有病率が約1:200~1:500、すなわち0.2~0.5%と推定されている。
これに対し、臨床的に診断されている患者は全体の約10~20%程度にすぎないとされる。
この2つの数字は、HCMに非常に大きな「hidden disease burden」が存在することを示している。
つまり、画像検査や家族スクリーニングを行えばHCM所見を持つ人は0.2~0.5%程度存在する可能性があるが、実際に医療機関でHCMと認識されている患者はその一部に限られる。
資料では、最大約80%のHCM患者が自分の診断を知らない可能性があるとされる。
これは、先ほどの「臨床的検出10~20%」と概ね表裏の関係にある。
ただし、10~20%の診断率と80%未診断という数字は、同じ研究・同じ定義から得られた完全な補数とは限らないため、厳密に100%に合わせて解釈するより、「大多数が未診断」という疫学的メッセージとして理解するのが適切である。
HCMは常染色体優性遺伝をとるとされ、病的変異を持つ患者の第一度近親者は、その変異を受け継ぐ確率が50%とされる。
ここで重要なのは、「第一度近親者の50%が必ず臨床的HCMになる」という意味ではない点である。
50%は病的変異を継承する確率であり、実際の心筋肥厚や症状出現は浸透率や年齢に依存する。
したがって、遺伝子保有と臨床診断を区別する必要がある。
一方で、この50%という遺伝形式のため、cascade screening、すなわち家族内連鎖スクリーニングはHCMの診断患者数を大きく増やす可能性がある。
発端者が診断された後、その両親、兄弟姉妹、子どもなどを心電図、心エコー、遺伝学的検査などで評価することで、無症候段階の患者・保因者を早期に同定できる。
したがって、2026~2035年に家族スクリーニングが拡大すれば、真のHCM発症率が変わらなくても、診断有病者数は増える可能性が高い。
年齢では、HCMは乳児期から高齢期まであらゆる年齢で診断される。
資料では、実際の臨床診断は中年~高齢成人に多い一方、小児発症も存在するとされる。
近年の解析では85~89歳で有病率が約39.0/10,000とピークに達した例が示されている。
39/10,000は0.39%に相当し、人口ベースHCM有病率0.2~0.5%の範囲内に入るため、数値として大きな矛盾はない。
ただし、この39/10,000は特定年齢群における推定値であり、HCM全体の有病率ではない。
また、高齢群で有病率が高いからといってHCMが高齢者に新規発症するという意味ではない。
年齢とともに表現型が明瞭になり、心エコーなどを受ける機会が増え、診断累積が高まることを反映している可能性がある。
その一方、小児や若年者でも突然死リスクを伴うことがあるため、患者数が高齢層に多いからといって若年HCMの臨床的重要性が低いわけではない。
性別では、資料冒頭ではHCMそのものは男女ほぼ同程度に発症するとされる。
一方、観察コホートでは診断患者に男性が多い傾向がある。
これは一見矛盾しているように見えるが、資料ではreferral bias、すなわち紹介・診断バイアスの可能性が挙げられている。
つまり、生物学的な疾患頻度は男女で同程度でも、男性の方が診断につながりやすい可能性がある。
また、女性では身体サイズや心壁厚の診断閾値によって過小診断される可能性があるとされる。
そのため、女性は実際には同程度の遺伝的リスクを持っていても、診断時期が遅くなる場合がある。
資料では、女性はより遅れて受診し、異なる表現型を示す可能性があるとされる。
したがって、「HCMは男性に多い」と単純化するのは不適切である。
より正確には、基礎的な疾患発生は男女ほぼ同等だが、臨床診断患者では男性優位に見えることがあり、その一部は診断・紹介バイアスや閾値設定の影響かもしれない、と整理するのが適切である。
米国では、claims-based analysisに基づく臨床診断HCM有病率が、2013年の0.052%、すなわち約52/10万人から、2019年には約0.057%へ増加したとされる。
2019年末時点では、米国で約26万2,600人が臨床的HCM診断を受けて生存していたと推定される。
ここで重要なのは、0.052%から0.057%への上昇が「HCMの真の遺伝的発症率が上がった」とは限らないことである。
資料全体の文脈では、臨床認知の向上、画像診断、家族スクリーニング、専門施設への紹介増加などによって診断患者数が増えた可能性が高い。
また、米国の臨床診断有病率0.057%は、人口ベース画像研究の0.2~0.5%よりかなり低い。
0.057%は57/10万人であるのに対し、0.2~0.5%は200~500/10万人に相当する。
したがって、米国claims-based有病率は潜在的HCM患者数の一部しか捉えていないと考えるのが自然である。
この差は、本レポートが指摘する「診断患者は全体の10~20%程度」「最大80%が未診断」という主張とも方向性として整合する。
ただし、0.057%と0.2~0.5%を単純に割ると約11~29%となるため、必ずしも厳密に10~20%に収まるわけではない。
これはデータソース、対象年齢、症例定義などの差を反映すると考えられる。
したがって、これらの数字を厳密な同一分母の比率として使うより、「臨床診断率は人口ベース推定よりかなり低い」という点を重視すべきである。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドについては、今回の抜粋ではHCMに特異的な具体的な国別有病率や患者数は示されていない。
そのため、8主要市場を対象とするレポートではあるものの、この資料だけから詳細な国別比較を行うことはできない。
また、各国の診断有病率は、心エコー利用、心臓MRIアクセス、遺伝子検査、専門HCMセンター、家族スクリーニング体制によって大きく変わり得る。
したがって、報告患者数の多い国が必ずしも真の生物学的有病率も高いとは限らない。
HCMの臨床負担は、無症候から突然心停止まで非常に幅が広い。
症状としては呼吸困難、胸痛、失神などが挙げられる。
一部では左室流出路閉塞が症状の中心となり、別の患者では不整脈や拡張障害が問題になる。
したがって、「診断患者数」だけでなく、「症候性か無症候か」「閉塞性か非閉塞性か」「不整脈・突然死リスクが高いか」を分けることが治療需要の評価には重要である。
治療の目的は、症状改善、合併症予防、突然心臓死リスク低減である。
第一選択としてβ遮断薬や非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬が挙げられている。
これらは心拍数を抑え、拡張期充満を改善し、閉塞性病態では圧較差や症状の軽減を目指す。
閉塞性HCMで症状が強く、薬物療法だけでは十分でない患者では、心室中隔縮小療法が検討される。
資料では外科的中隔心筋切除術とアルコール中隔焼灼術が挙げられている。
ただし、これらはHCM全患者に行う治療ではなく、主として症候性閉塞性HCMの選択患者が対象となる。
突然死リスクが高い患者では、植込み型除細動器(Implantable Cardioverter-Defibrillator:ICD)が使用される。
ICDはHCMそのものを治癒させる治療ではなく、致死性心室性不整脈が生じた際に突然死を防ぐための予防デバイスである。
したがって、患者の突然死リスク層別化が治療選択の中心となる。
心房細動を合併した患者では抗凝固療法が推奨されるとされる。
これは血栓塞栓症、特に脳卒中リスクを減らす目的である。
このため、HCMの長期管理では左室肥厚だけでなく、不整脈モニタリングも重要となる。
生活指導、家族スクリーニング、遺伝カウンセリングも治療・管理の重要な構成要素である。
特に常染色体優性遺伝であるため、患者本人を診断した後に家族を評価することは、単なる予防医療ではなく新規患者発見そのものにつながる。
市場の観点では、HCMは「真の有病率」と「診断有病率」の乖離が非常に大きい疾患である。
人口ベース推定0.2~0.5%に対して、米国で臨床診断されているのは約0.057%にとどまる。
したがって、2026~2035年に診断技術や家族スクリーニングが普及すれば、疾患発生率が不変でも診断患者プールは大きく増える可能性がある。
第一の患者プール拡大要因は、心エコーや心臓MRIによる検出向上である。
第二に、cascade screeningの普及がある。
第三に、遺伝子検査の拡大によって、無症候の病的変異保有者が早期に認識される可能性がある。
第四に、女性での過小診断が改善すれば、女性診断患者数が増える可能性がある。
第五に、高齢者でもHCMが認識されるようになれば、従来見逃されていた高齢症例が増える可能性がある。
一方で、診断患者数の増加を真の発症率上昇と誤解しないことが重要である。
HCMは遺伝性疾患であり、短期間で人口の病的変異頻度が大きく変化するとは考えにくい。
したがって、2013年0.052%から2019年0.057%という米国の臨床有病率上昇も、主として認知・検出改善を反映している可能性がある。
全体として本レポートは、HCMを「MYH7、MYBPC3などサルコメア蛋白関連遺伝子変異を背景に心筋、特に心室中隔が肥厚し、拡張障害、流出路閉塞、不整脈、突然死リスクを生じる遺伝性心筋症」と位置づけている。
人口ベース画像研究では有病率約1/200~1/500、すなわち0.2~0.5%とされる一方、実際に臨床診断されるのは約10~20%程度とされ、最大約80%が未診断の可能性がある。
常染色体優性遺伝のため、第一度近親者が病的変異を受け継ぐ確率は50%であるが、これは必ず臨床HCMを発症する確率と同義ではない。浸透率が可変であるため、遺伝子保有者と表現型陽性患者を区別する必要がある。
年齢は乳児から高齢者まで幅広く、近年の解析では85~89歳で約39/10,000と高い有病率が報告される。これは高齢で新たに遺伝疾患が発症するというより、年齢とともに表現型が明瞭化し、診断累積が増えることを反映する可能性がある。
性別では生物学的発生は男女ほぼ同等とされる一方、診断コホートでは男性優位がみられる。この差は紹介バイアスや女性の過小診断、体格依存の診断閾値などの影響を受ける可能性があり、「HCMは男性に多い」と単純化すべきではない。
米国では臨床診断有病率が2013年0.052%から2019年約0.057%へ増加し、2019年末時点で約26万2,600人が診断されていたとされる。ただし、これは人口ベース推定0.2~0.5%より大幅に低く、大きな未診断患者プールが残っていることを示唆する。
治療ではβ遮断薬や非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を第一選択として用い、症候性閉塞性HCMでは外科的中隔心筋切除術やアルコール中隔焼灼術を検討する。突然死高リスク患者にはICD、心房細動合併例には抗凝固療法を用い、家族スクリーニングと遺伝カウンセリングを長期管理に組み込む。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、真の遺伝的HCM発症率の増加よりも、心エコー・MRI・遺伝子検査・cascade screeningの普及によって、これまで未診断だった患者が新たに捕捉されることが最大の変動要因になると考えられる。
したがって、今後のHCM管理における中心的課題は、症候性患者だけを診断するのではなく、無症候家族、女性、高齢者など従来見逃されやすかった集団を適切にスクリーニングし、閉塞性・非閉塞性などの病型と突然死リスクを早期に層別化することである。2026~2035年は、人口ベースでは0.2~0.5%存在すると推定されながら大部分が未診断であるというギャップをどこまで縮小し、診断された患者を症状管理、突然死予防、家族診断へ迅速につなげられるかが、臨床・疫学・研究開発・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
- 序文
1.1 はじめに
1.2 調査の目的
1.3 調査方法および前提条件 - エグゼクティブサマリー
- 肥大型心筋症市場概要 ― 主要8市場
3.1 肥大型心筋症の過去の市場規模(2019~2025年)
3.2 肥大型心筋症の市場規模予測(2026~2035年) - 肥大型心筋症の疫学概要 ― 主要8市場
4.1 肥大型心筋症の疫学動向(2019~2025年)
4.2 肥大型心筋症の疫学予測(2026~2035年) - 疾患概要
5.1 徴候および症状
5.2 原因
5.3 リスク因子
5.4 ガイドラインおよび病期
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 肥大型心筋症の病型 - 患者プロファイル
6.1 患者プロファイルの概要
6.2 患者心理および精神・感情面への影響因子 - 疫学動向および予測 ― 主要8市場(2019~2035年)
7.1 主な調査結果
7.2 前提条件およびその根拠
7.3 肥大型心筋症の診断済み有病患者数
7.4 肥大型心筋症の病型別患者数
7.5 肥大型心筋症の性別患者数
7.6 肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:米国(2019~2035年)
8.1 米国における前提条件およびその根拠
8.2 米国における肥大型心筋症の診断済み有病患者数
8.3 米国における肥大型心筋症の病型別患者数
8.4 米国における肥大型心筋症の性別患者数
8.5 米国における肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:英国(2019~2035年)
9.1 英国における前提条件およびその根拠
9.2 英国における肥大型心筋症の診断済み有病患者数
9.3 英国における肥大型心筋症の病型別患者数
9.4 英国における肥大型心筋症の性別患者数
9.5 英国における肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:ドイツ(2019~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件およびその根拠
10.2 ドイツにおける肥大型心筋症の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける肥大型心筋症の病型別患者数
10.4 ドイツにおける肥大型心筋症の性別患者数
10.5 ドイツにおける肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:フランス(2019~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件およびその根拠
11.2 フランスにおける肥大型心筋症の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける肥大型心筋症の病型別患者数
11.4 フランスにおける肥大型心筋症の性別患者数
11.5 フランスにおける肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:イタリア(2019~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件およびその根拠
12.2 イタリアにおける肥大型心筋症の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける肥大型心筋症の病型別患者数
12.4 イタリアにおける肥大型心筋症の性別患者数
12.5 イタリアにおける肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:スペイン(2019~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件およびその根拠
13.2 スペインにおける肥大型心筋症の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける肥大型心筋症の病型別患者数
13.4 スペインにおける肥大型心筋症の性別患者数
13.5 スペインにおける肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:日本(2019~2035年)
14.1 日本における前提条件およびその根拠
14.2 日本における肥大型心筋症の診断済み有病患者数
14.3 日本における肥大型心筋症の病型別患者数
14.4 日本における肥大型心筋症の性別患者数
14.5 日本における肥大型心筋症の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:インド(2019~2035年)
15.1 インドにおける前提条件およびその根拠
15.2 インドにおける肥大型心筋症の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける肥大型心筋症の病型別患者数
15.4 インドにおける肥大型心筋症の性別患者数
15.5 インドにおける肥大型心筋症の年齢別患者数 - 患者ジャーニー
- 治療上の課題およびアンメットニーズ
- キーオピニオンリーダー(KOL)の見解
■当英文調査レポートに関するお問い合わせ・お申込みはこちら
https://www.marketresearch.co.jp/contacts/
■株式会社マーケットリサーチセンターについて
https://www.marketresearch.co.jp
主な事業内容:市場調査レポ-トの作成・販売、市場調査サ-ビス提供
本社住所:〒105-0004東京都港区新橋1-18-21
TEL:03-6161-6097、FAX:03-6869-4797
マ-ケティング担当、marketing@marketresearch.co.jp














