芥川賞作家・村田沙耶香がロックバンドに歌詞を提供 2017年...

芥川賞作家・村田沙耶香がロックバンドに歌詞を提供  2017年3月にはミニアルバムをリリース予定!

誉田哲也等が参加した2016年のイベントを文芸評論家・藤田直哉氏がレポート

2003年にメジャーデビューし、一時活動を休止後、2008年に活動を再開したロックバンド、inspire:tion(インスパイレーション)が、第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香との共作楽曲「藍色さんぽ」を発表し、SoundCloud上で配信しています。また、2017年3月にミニアルバムのリリースも決定しております。
inspire:tionは、2016年12月に東京・下北沢で自主イベント「コトノハ音楽会」を開催し、このイベントには、村田沙耶香と作家の誉田哲也も参加し、「音楽×文芸」をテーマにした新たな試みとして注目を集めました。

コトノハ音楽会-1
コトノハ音楽会-1

SonudCloud: https://soundcloud.com/user-845146370/aiiro_sanpo
オフィシャルサイト: http://xprs.imcreator.com/free/yako/inspiretion3-2


■ロックバンド「inspire:tion」が共作楽曲を発表
ゆうこ(医師)、瀬木ヤコー(新聞記者)、中越亮佑(映像機器エンジニア)の3人からなり、メジャーデビューを経て自主レーベルでの活動を続けるinspire:tionが、2016年に「コンビニ人間」で第155回芥川賞を受賞した注目の作家、村田沙耶香が作詞を手掛けた共作楽曲「藍色さんぽ」をSoundCloudで発表しました。

この曲は、2012年12月に「音楽会をやろう」とinspire:tionの瀬木ヤコーの家に集まった、村田沙耶香、村田沙耶香の担当編集者の3人で制作。持ち寄った楽器を演奏し、村田沙耶香がその場で短い歌詞を書いて完成しました。

inspire:tionは、2016年12月に音楽と文芸の壁を超える「言葉=コトノハ」の集いとして、「inspire:tion presents コトノハ音楽会」を東京・下北沢のモナレコードで開催。作家でミュージシャンの誉田哲也(著書「ストロベリーナイト」「武士道シックスティーン」など)を加えた「inspire:tion with 誉田哲也」による音楽ライブ、村田沙耶香を迎えたトークコーナーなど、盛りだくさんの内容で観客を楽しませました。
「藍色さんぽ」もこのイベントで演奏されました。

村田沙耶香、誉田哲也など、いま旬な作家が注目するバンド、inspire:tionは、2016年に「ノスタルジア」「tiny dance」の2曲をリリースしており、2017年3月、新たにミニアルバムのリリースを予定しています。


■「inspire:tion presents コトノハ音楽会」の様子を文芸評論家、藤田直哉氏がレポート
◎inspire:tionと村田沙耶香が空間化した「コンビニ人間」的世界
inspire:tionが、芥川賞作家・村田沙耶香と行った「コトノハ音楽会」(2016年12月4日、下北沢モナレコード)は、文芸と音楽のどちらにも新しい可能性を提示するイベントだった。
2016年に本格的に再指導した3人組バンドinspire:tionは、楽曲「ノスタルジア」で21世紀への失望感を、それに耐えるような透明度のある音楽に乗せて歌った。彼らの楽曲にも、村田の作品世界にも惹かれていたぼくには、一石二鳥のイベントである。
結論から言えば、実に巧みに、音楽と文学を融合させ、重層的な空間を構築できていた。inspire:tionが、村田の作品世界を引き受け、積極的に音楽化・空間化する演出で、実際のライブスペースから外に、何重にも世界が広がっていくような気持ちがした。
村田作品、特に芥川賞受賞作「コンビニ人間」では、クリアなコンビニの空間に象徴されるような「空間化されたエロティシズム」が濃厚に漂っている。inspire:tionは、それを楽曲や歌詞のレベルから、ライブスペースそのものの再定義に至るレベルまで変奏・翻訳した。「うた」「ことば」を通じて、硬質かつ金属的ですらある空間的エロティシズム(そうとしか言いようがない)が充満するそのライブは、美術作品さながらに認識を揺さぶった。
inspire:tionはDTMを使いこなすことで作品世界を構築し、情報時代の感性も理解している。だからこそ、空間と時間を観客と共有し生で演奏する「ライブ」という行為を自覚的に再検討し、再定義したのだろう。
ところで、この日発表された楽曲「藍色さんぽ」は、村田が作詞をしており、作曲にも関与しているものであった。会場で披露されることはなかったが、彼女が歌っているバージョンも録音されているという。inspire:tionの瀬木ヤコーと村田は、彼女が芥川賞を受賞する以前からの付き合いであり、その関係性があって今回のライブは実現した(ゲストミュージシャンとして作家の誉田哲也も参加した)。今後も続くというこのイベントで、文芸との関わりの中からさらに興味深い展開がみられることを期待したい。(藤田直哉)

ふじた・なおや
1983年札幌市生まれ、文芸評論家。著書に「虚構内存在―筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉」「シン・ゴジラ論」、編著書に「地域アート―美学/制度/日本」など。


「inspire:tion presents コトノハ音楽会」動画公開中
https://www.youtube.com/watch?v=fdVCyU5WBws

<「藍色さんぽ」歌詞>
僕の足音が消えた、
手の中に体温があった。
藍色の中を歩いていた。
光があった。僕たちは進んだ。 2012.12.9 村田沙耶香


■inspire:tionプロフィール
<ゆうこ>
ボーカル 愛媛県松山市出身

<瀬木ヤコー(せぎ・やこー)>
ギター、ボーカル 作詞作曲 兵庫県芦屋市出身

<中越亮佑(なかごし・りょうすけ)>
ベース、エンジニア 高知県高知市出身

母体は、瀬木と中越が愛媛県にある寮制の高校で組んでいたバンド。高校卒業後、瀬木は京都大学法学部、中越は大阪大学工学部に進学し、同じ大阪大学の医学部に通うゆうこが2人に加わることで、1997年に結成された。
当初、メインボーカルは瀬木で、ゆうこはドラムを担当していた。
2000年前後からDTMを導入し、音作りの魅力に開眼。音を含めて楽曲の世界観を表現するため、ミックスダウンまでをバンド内で完結させるスタイルは、この頃から一貫している。
2003年にミニアルバム「Butterfly Jack」をリリースした後、同年にメジャーデビュー。
「旧世界」「天国と地獄」「Zion Orchestra」と3枚のアルバムを発表後、一時活動を休止した。
2008年に活動を再開し、この頃からゆうこのメインボーカルとしてのポジションが徐々に定着。アルバム「小さな世界とシェルターボーイ」、ミニアルバム「残像LOOP SHOW」と、自主レーベル「FABSTRUCT」から作品を断続的に発表している。
2015年に初のハイレゾ楽曲「まちびとの唄」を無料配信。2016年から再び活動を本格化させている。
言葉にならない何かをすくい取ろうとする歌詞、それに呼応して構築される音は通をうならせ、小説家や詩人からも評価を得てきた。バンドの外では、ゆうこは医師、瀬木は新聞記者、中越は映像機器エンジニア。個性も生き方も異なる3人を、音楽がつないでいる。

Twitterアカウント「@inspiretion3」
https://twitter.com/inspiretion3

オフィシャルサイト
http://xprs.imcreator.com/free/yako/inspiretion3-2


■リリース情報
・2017年3月、ミニアルバムリリース決定!

・「tiny dance」 2016年11月15日発売
iTunes: https://itunes.apple.com/jp/album/tiny-dance-single/id1171729037
mora : http://mora.jp/package/43000117/FAB-2004/

・「ノスタルジア」 2016年6月15日発売
iTunes: https://itunes.apple.com/jp/album/nosutarujia-single/id1122498114
mora : http://mora.jp/package/43000117/DISP-001/

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