ゲノム研究における個人情報保護のための統合システムをリリース

ゲノム研究における個人情報保護のための統合システムをリリース

                              2003年10月14日

三井情報開発がゲノム研究における倫理指針に準拠した個人情報管理システム「SCTS
21」を、病院・研究機関向けに新しいソリューションとして提供開始

三井情報開発株式会社(本社 〒164-8555 東京都中野区東中野二丁目7番14号:代表
取締役社長 鈴木 浩一)は、ヒト由来試料の個人情報情報管理システムであるSCTS21
をバージョンアップ、リリース致しました。

ヒトゲノム配列の決定をうけて、ヒト遺伝子の多型解析など病気と遺伝子の関係につ
いての研究が日に日に盛んに行われるようになってきており、今後のゲノム創薬、オ
ーダーメイド医療へ向けた研究が加速していくことが予想されます。その研究の際に
用いられるヒト由来試料の取り扱いについては、提供者が検体を提供したために、就
職、結婚など社会で生活する上で不利な状況になることがないよう、検体採取者、並
びに研究者には遺伝子情報と個人情報の取り扱いに細心の注意をはらう必要があると
いう認識が高まってきております。

三井情報開発株式会社では、2000年から始まったミレニアムプロジェクト「遺伝子解
析による疾病対策・創薬推進事業」に参画し、臨床データ・実験試料データ・ゲノム
データ情報のすべてを統合した、世界初の検体提供者の遺伝子情報と臨床情報を関連
付けるデータベースシステムとしてSNP2000を開発しました。同プロジェクトでは、
国立機関の病院・研究機関において実際にシステムを運用。提供者の個人情報の匿名
化(※1)を含めゲノムの観点からの疾病、創薬に関わるシステム構築のノウハウを
蓄積してまいりました。
その後、この国家プロジェクトでの成果を広く提供するため、SNP2000システムから
提供者の個人情報の匿名化を行う機能をパッケージ化、自治医科大学 小林 英司 
教授の指導のもとで改良し、SCTS21の製品名で発売を開始しました。現在、国内の多
くの研究機関での稼動実績を持っております。

SCTS21は、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の三省共同により、ヒトゲノム・
遺伝子解析研究一般に適用されるべき倫理指針として告知された「ヒトゲノム・遺伝
子解析研究に関する倫理指針」に準拠しています。主に個人情報の登録、検体の匿名
化から研究機関への匿名化された検体の受け渡しまでといった匿名化業務をサポート
し、個人情報及び検体情報を統合的に管理・匿名化を行うパッケージソフトです。(
Fig.1)
このシステムを利用することにより、検体提供者は、提供した検体によって自分の遺
伝子情報がどのように扱われているか分からないという不安から解放され、研究者に
自分の個人情報を知られることがなくなります。したがって、SCTS21は、ヒト由来試
料と研究結果の「トレーサビリティ」を実現可能にするシステムとして、検体提供者
、研究者の双方にメリットが見込めるシステムとなっております。

今回のバージョンアップでは、実際に検体を取り扱う現場において、挙げられたご要
望に基づいて機能を追加することで、病院・研究所向けのソリューションの幅を広げ
ました。これまで、検体の匿名化を行う際、検体の取り間違いの危険性が指摘されて
いましたが、検体登録時に検体IDをバーコードとして発行する機能を追加し、匿名
化の際に検体を間違えることなく、安心して匿名化を行い、検体提供者の遺伝子情報
を安全かつ正確に管理する事が可能となりました。更に、こういった取り間違いなど
の人的ミスを防ぐために、匿名化する際、バーコードラベルに打ち出す文字、バーコ
ードなどを画面上から自由にレイアウトできる機能も実装され、研究機関に検体を受
け渡す際の事故を最小限に減らせるようになりました。これらの新機能を活用するこ
とにより、これまで不安視されてきた人的ミスを防ぐための運用ソリューションを提
供致します。
実際に現場で匿名化システムを使用されているユーザ様からの声を基にした改良によ
り、SCTS21は倫理指針に沿った検体収集の運用をより効率よく、かつ安全に行うこと
が可能なシステムとなりました。また、今後の倫理指針などにも即座に準拠する体制
が整っており、これからもさらなるSCTS21の機能強化、ソリューションの展開を行っ
ていく予定です。

三井情報開発株式会社では、これまでの導入実績と、そこで培ってきた匿名化業務の
ノウハウを活かし、今後、ヒト由来試料を用いた研究では必須となる匿名化業務のコ
ンサルテーションから検体管理者を対象としたセミナーの開催などの匿名化業務につ
いての導入支援プログラムも充実させる予定です。また、システム面では匿名化シス
テムのカスタマイズから匿名化後のヒト由来試料と研究結果のトレーサビリティを可
能にする実験機器や各種ソフトウェアとの連携まで幅広く、お客様へのご提案を行っ
ております。

※1 ここでいう「匿名化」とは、検体の提供者の個人識別情報が含まれている情報
が外部に漏洩したとしても、決してその個人を特定できないようにするために、提供
者に関する情報からその個人を特定できる情報の全部もしくは一部を取り除き、代わ
りにその個人と関わりのない符号もしくは番号を付随させ、その番号を改めて個人識
別情報として用いて検体の管理を行うことを言います。例えば、検体を管理するため
に提供者の名前を用いるのではなく、ランダムに付与されたID番号を用いるといった
ことが例としてあげられます。

クレジット
・SCTS21 は(株)ジェノックス創薬研究所と共同で開発したものです。
・SCTS21 の大学病院への適用などの改良は自治医科大学 小林英司教授の指導のもと
で進められてきました。
・SCTS21 は三井情報開発(株)の登録商標です。
・SCTS21 の基本特許は(株)ジェノックス創薬研究所と三井情報開発(株)とが共
同で出願しております。

連絡先
〒164-8721
東京都中野区本町1丁目32番2号ハーモニータワー21階
三井情報開発株式会社 バイオサイエンス本部
プロダクトソリューション部
電話 03-5304-7212 FAX 03-3375-2870
URL: http://bio.mki.co.jp E-mail: biosoft@hydra.mki.co.jp

カテゴリ:
企業動向
タグ:
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