PwC、APEC CEO年次調査を発表 ‐

APECでは貿易と事業の不確実性が投資の抑制につながらない

2016.12.02 11:00

【参考資料】
*本プレスリリースは、APEC(アジア太平洋経済協力) CEOサミットの開催に合わせ、PwCが2016年11月17日にペルーのリマで発表したプレスリリースを翻訳し、文末にPwC Japanグループ代表のコメントを追記したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

- APECのビジネスリーダーの半数以上が投資の増額を計画
- 短期的な増収見通しは変わらず
- CEOの3分の1は、コネクテッドデバイス上のデジタルデータから新たな収益源を予想

2016年11月17日 ペルーリマ‐PwCが実施した第6回APEC CEO年次調査によると、参加21カ国・地域の調査対象企業のうち、半数以上(53%)が今後12カ月間に投資を増やすと回答しました。今後1年の売上拡大の見通しに慎重で、地域の自由貿易の進捗ペースに失望しているとの報告があるにもかかわらず、このような結果となりました。

PwCはペルー、リマでのAPEC CEOサミット(11月17~19日)に先立ち、APEC21カ国・地域の1,100人以上のビジネスリーダーに調査を行いました。

APEC諸国にとって長期的観点からの好結果は、投資増額分の3分の2以上(69%)が
APEC諸国を投資先としている点です。投資先として中国、米国、シンガポール、インドネシアに魅力を感じるCEOが増えています。地域的な分散化戦略も鮮明になっています。平均すると、PwCが調査したAPEC諸国の企業は自国以外の他の7カ国に投資していました。昨年の平均では6カ国でした。企業のほぼ3分の1(31%)は、APEC以外の国・地域に絞り込んで投資を増やす計画です。

全体として、今後12カ月間の売上拡大に大変自信があると答えたビジネスリーダーは、28%に留まりました。CEOが控えめな増収見通しを示すのは2年連続です。APECでも新進の急成長国のビジネスリーダーは、短期的な売上拡大に前回より自信を強めています。これらの国にはフィリピン(売上拡大に大変自信があるとした回答は65%)、およびベトナム(同50%)が含まれます。

今年は、アジア太平洋地域で自由貿易の目標に向けて大きな進展があると予想するCEOが2年前より増えたものの(2014年の15%に対して22%)、調査対象の過半数
(53%)は引き続き進展は遅いとみています。

同時に、APEC諸国の競争環境は変化しています。今日ではより多くのCEOが、自社の競争環境におけるリーディングカンパニーは、新興国に拠点を置く多国籍企業(18%)か、APEC諸国の各地域のトップ企業(20%)のいずれかとみています。2014年には、この比率はそれぞれ10%と12%でした。最大の競争上の脅威は依然、先進国の多国籍企業です。

PwCペルー法人のカントリー・シニア・パートナー、オルランド・マルケッシ
(Orlando Marchesi)は、次のように指摘しています。

「今年の地政学的な出来事を考えると、事業見通しに対する自信の低さは意外ではありません。この地域にとって極めて重要な点は、ビジネスリーダーが勇気をもって投資とイノベーションに取り組んでいることです」

「当面、APECのビジネスリーダーは、短期の経済見通しと長期投資のバランスを取る必要があるでしょう。広がりを見せる規制と税制環境が、事業への自信と投資に影響を与える大きな要素となります。規制の前で立ちすくんでいては、キャッシュが豊富なのに投資が伸びないという逆説的な世界状況の中で競争力を維持することはできません」

中国のGDP(国内総生産)成長率のペースについても、CEOの見方は分かれています。APECのCEOのほぼ半数は、今後3年間の中国のGDPは年平均5~6%かそれ以下になるとみています。にもかかわらず、CEOは自社の成長ポテンシャルを低くみていません。今後3年にわたり、ビジネスリーダーは自社のブランドを構築し、国内事業を拡大し、パートナーシップによる連携を進めたいと考えています。これらは、中国に投資している内外のビジネスリーダーに最も共通する戦略です。

PwC中国法人会長のレイムンド・チャオ(Raymund Chao)は、次のように述べています。

「APECのビジネスリーダーが景気減速の先までを長期的に見据えていることは意義深いことです。中国はその最たる例です。そのスケールとスキルを念頭に、ビジネスリーダーは、成長減速に対する懸念はあっても、投資と事業の拡大を手控えるには及ばないと考えているのです。中国は依然、APECの企業にとって新しい製品、新しいパートナーシップの可能性をもつパワーハウスです」

APEC諸国のリーダーが警戒すべきこととしてCEOが挙げているのは、政策関連コストをめぐり不確実性が継続している点です。前年同期と比べ、コンプライアンスのコストと税負担の予測に対し「より自信がある」と答えた比率は、回答者のわずか14%でした。

回答者は、域内のクロスボーダー投資の判断に最も影響を与える要因として規制環境(透明なルール、汚職防止)を挙げる傾向にあります。半分以上(58%)が、規制環境は今後3~5年のAPEC諸国への投資判断に「より影響する」とみています。本調査結果は、企業による投資が現在、適正な政策環境と人材プール、および力強い成長見通しをもつAPEC諸国へと流入する傾向を強めていることを示しています。

また、APECの企業は、より幅広い増収戦略に目を向けています。CEOは、全社的なデジタル面でのアップグレードが、営業成績とコスト効率の目標達成に貢献し、顧客体験の改善と資産の最適化を促すと考えています。

本調査結果は、今後3年間で物流、設備、販売時点情報管理(POS)端末のリアルタイム、またはリアルタイムに近いデータ収集がこの地域では広く浸透することを示しています。

回答者の3分の1は、自社のコネクテッドデバイスの役割を統合することにより、新たな収益源が生まれると予想しています。

オルランド・マルケッシは、次のようにも述べています。

「APECの中でも製造業が盛んで資源が豊かな国・地域は、生産、パートナー、物流、顧客、実店舗などからの情報を用いてデータアナリティクスを活用し、それを事業戦略に役立てることができるはずです。デジタルデータの力は、どれだけの情報量を集められるかではなく、得られた情報をどのように生かすかにあります」

本調査結果を受け、PwC Japanグループ代表の木村浩一郎は、日本国内のビジネスリーダーに向けて、以下のようにコメントしています。

「APECは、日本のビジネスリーダーにとっても大変重要な経済協力の枠組みであり、今後もその重要性が増していくことが見込まれている地域です。APEC地域だけでなく世界的な先行き不透明感が強まる中でも、約50%の日本のCEOが昨年同様に投資を増やす意向を示していることから、長期的な成長を目指した戦略的な投資を検討しているとも言えるでしょう。その一方で、データを活用した新たなテクノロジーなどが今後の競争環境を大きく変化させることも想定されます。こうした中、日本企業はテクノロジーを積極的に活用して自らのビジネスモデルを進化・発展させていくことで、APEC地域の経済成長を取り込みながらビジネスを拡大し、ひいてはAPEC地域の持続的な発展に貢献できると期待しています」

以上

注記
1. PwCは、2016年APEC CEOサミットのナレッジパートナーです。レポートの全文(英文)は、www.pwc.com/apecをご覧ください。

2. PwCは、2016年5月から7月にかけ、APEC参加21カ国・地域のCEOと業界リーダー1,154名にインタビューを行いました(このうち、日本のCEOは68名)。

3. 今後の見通しに「やや自信がある」の水準が上昇した一方(2015年の39%から
2016年は49%に)、「あまり自信がない」(27%から17%に)と「まったく自信がない」(5%から3%に)の水準は低下しました。

4. 競争: 34%は、先進国の多国籍企業を自社最大の競争上の脅威とみなしています。しかし、新興国の多国籍企業からの脅威(10%から18%に)と、APEC諸国の地域のリーディングカンパニーからの脅威(12%から20%に)についての懸念は高まっています。

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