世界共通で活用できる新たな液状化予測判定法を開発

~地震動波形の不規則性と継続時間の影響評価及び予測を同時に実現~

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所の佐々 真志グループ長と山崎 浩之特別研究主幹は、このたび世界共通で活用できる新たな液状化予測判定法を開発しました。本成果は、2016年8月8日付けで、地盤工学分野の米国学術誌Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engineering(1*)にて公表されました。
本論文は同ジャーナルのウェブサイト: http://ascelibrary.org/doi/abs/10.1061/%28ASCE%29GT.1943-5606.0001597 にてご覧になれます。

この新たな液状化予測判定法は、従来は困難であった地震動波形の不規則性と継続時間の影響評価及び予測(2*)を同時に実現した実用的な手法であり、世界各国で用いられている様々なタイプの液状化予測判定チャート(3*)に活用できるように一般化したものです。

東日本大震災や熊本地震のような最近の大規模で継続時間の長い地震動を受けて、より適切で合理的な液状化評価予測に対する社会的要請とその重要性は、国内はもとより国際的に益々高まっており、今回開発した新たな液状化予測判定法は、世界各国で今後幅広く活用されることが期待されます。

(1*) Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engineeringは、米国土木学会発刊のジャーナルであり、液状化研究に関して最も伝統ある国際誌です。本成果は、同国際誌より、非常にタイムリーで斬新かつ重要な成果と高く評価されています。

(2*) 地震動の揺れは、地震の規模を表すマグニチュードと共に、震源断層の破壊過程や地震波の伝播経路、また地盤の特性によって大きく異なるため、様々な不規則性の程度や継続時間を有することが分かっていますが、従来の液状化予測判定法では、これらの影響を現実的に評価予測することは困難でした。

(3*) 液状化予測判定チャートとは、地盤液状化に対する地震外力の厳しさを表す繰返しせん断応力比と地盤の液状化抵抗を表す各種現地試験によって得られる液状化強度の関係から液状化発生の可能性を評価・予測する為のチャートであり、現地の強度値として、地盤N値、コーン貫入抵抗値、表面波探査によるせん断波速度値などを採用した多様なタイプのチャートが各国で用いられています。

取材依頼・商品に対するお問い合わせはこちら

プレスリリース配信企業に直接連絡できます。