「第二十七回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」海外53ヶ国を含めた...

「第二十七回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」 海外53ヶ国を含めた186万作品の中から 埼玉県の高校生が文部科学大臣賞に決定!

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、2015年11月3日から2016年2月末日まで募集しておりました、「第二十七回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の入賞作品2,000句を決定いたしました。
そして過去最多応募となった1,862,954句の中から見事、最高位賞である文部科学大臣賞に選ばれたのは、埼玉県鶴ヶ島市の高校1年生の吉村英竜さん(15歳※)の作品「ただいまの静かに響く金魚鉢」です。
この作品は、吉村さんが家族のいない時に帰宅し「ただいま」と言ってしまったが、当然返事はなく、声だけが響くなか、ふと見た金魚鉢の金魚がこちらを向いていた光景を詠んだものです。

吉村英竜さん(文部科学大臣賞受賞者)
吉村英竜さん(文部科学大臣賞受賞者)

【文部科学大臣賞】(応募総数1,862,954句)

ただいまの静(しず)かに響(ひび)く金魚鉢(きんぎょばち)

吉村英竜(ひでたつ)さん 15歳 埼玉県鶴ヶ島市


吉村さんには賞金50万円(※)と副賞が贈られるほか、文部科学大臣賞作品を含める6部門の大賞6句、優秀賞44句、審査員賞11句、後援団体賞11句、都道府県賞240句、佳作特別賞1,687句の合計2,000句が、本年7月下旬から順次、日本茶飲料「お~いお茶」シリーズのパッケージに掲載され、受賞者にプレゼントされます。

「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」は、1989(平成元)年、「お~いお茶」の発売と共にスタートした応募句数日本一の創作俳句コンテスト。入賞作品を商品パッケージに掲載すること、季語や五・七・五の定型等にとらわれず自由な感性で俳句を詠むというユニークさが特徴で、今回で27回目を迎えました。
今回は、新たに作家・クリエイターのいとうせいこうさん、作家の宮部みゆきさんをお迎えし、俳人の安西篤さん、金子兜太さん、黒田杏子さん、星野恒彦さん、写真家の浅井愼平さん、日本語学者の金田一秀穂さん、ギタリストの村治佳織さん、女優の吉行和子さん、日本古典文学研究者のエイドリアン・ピニングトンさんといった各分野の第一人者である全11名により最終審査会を開催し、最高位賞である文部科学大臣賞を選出いたしました。

※受賞者の年齢は応募時のもの。
※賞金50万円の半分は、規定により応募時に所属していた中学校へ提供いたします。
※新俳句大賞動画を、7月7日に伊藤園ホームページにアップする予定です。
http://www.itoen.co.jp


■第二十七回伊藤園お~いお茶新俳句大賞
<文部科学大臣賞>
●賞金:50万円(応募時に小学生、中学生の場合、賞金の半分を応募時に所属していた学校に提供)
賞品 :賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集

ただいまの静(しず)かに響(ひび)く金魚鉢(きんぎょばち)

吉村英竜(ひでたつ)さん 15歳 埼玉県鶴ヶ島市

(作者より)
家族がいない時に帰宅したのに「ただいま」と言ってしまった。当然返事はなく、声だけが響くなか、ふと見た金魚鉢の金魚がこちらを向いていた光景を詠みました。

(選評)
「ただいま」と大きな声をあげて帰宅したのに、家には誰もいないのか。なんの答えもありません。玄関脇にある金魚鉢に、自分の声が空しく響くだけです。金魚鉢はそれほど大きいものではなく、おそらく一匹か二匹の金魚が、ぼんやりと浮いているだけなのでしょう。「静かに響く金魚鉢」は、空っぽの家中の反応のなさのなかにあって、「ただいま」の声に答えてくれるただ一つの生きもののこだまのように感じられます。金魚鉢に焦点をあてたところが、ズンと胸に響きますね。

【作者プロフィール】
吉村英竜(ひでたつ)さん 15歳 埼玉県鶴ヶ島市
応募当時は中学3年生だった吉村英竜(ひでたつ)くんは、現在は埼玉県立大宮高等学校1年生。化学研究部と棋道部に所属し、高校生活を楽しんでいます。
ご家族は、ご両親と弟さんとの4人構成。家族全員仲が良く、進路などについても親子でよく話し合うそうです。吉村くんの趣味は、インターネットや、将棋ゲームをすること。読書も好きで、最近は森鴎外や宮部みゆきさんの作品を読んでいるそうです。好きな教科は、化学と数学。授業の復習や予習を休みの日にも行っているという勉強家です。
小学校で防災標語のコンテストに応募、中学一年生で鶴ヶ島市の読書感想文に入選したことがあり、文章を書くことには抵抗がありません。俳句の創作は小学校の宿題で取り組んだ経験しかありませんが、受験勉強の合間にインターネットで見つけた新俳句大賞に応募したことが、文部科学大臣賞受賞につながりました。
性格は非常に真面目で、興味を持つと自ら徹底的に調べるなど探究心が旺盛です。将来は化学関連の研究者になりたいと考えている吉村くんです。
最終審査員の金子兜太さんは、吉村くんの作品について、「少年から青年に移る男の子の澄んだ感性に引きつけられた。日常の切り取りの若者らしい内面性の深さ。こんな若々しく深い句に出会ったのは何時だったか、と思うほど。」と、高く評価されています。


■大賞
●賞金:20万円(「小学生の部(幼児含む)」、「中学生の部」の賞金の半分は、応募時に所属していた学校に提供)
賞品 :賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」、受賞作品掲載額、入選作品集

【小学生の部(幼児含む)】応募総数537,452句

からすの目(め)ぼくをうつしてとんでった

今井海里(かいり)さん 6歳 秋田県山本郡

(選評)
カラスの目玉は大きくて真っ黒ですね。だから物の姿や景がよく映ります。その目をじっと見つめていると、見ている僕の姿までそこに映っている様子がみえてきます。突然そのからすが飛び立っていくと、からすの目玉に映った僕の姿も、からすの鏡のような目玉ごと、一緒に飛んでいったような気がしてきます。「ぼくをうつしてとんでった」は、からすの目玉をカメラにたとえたカメラマンの早業のように、見事なシャッターチャンスをとらえたものでした。

【中学生の部】応募総数426,820句

三日月(みかづき)をせもたれにして魚釣(さかなつ)り

川原凱道(かいと)さん 14歳 福岡県飯塚市

(選評)
見事な三日月の出ている夜。魚釣りを楽しんでいます。或いは魚釣りをしている人を見ているのかもしれません。釣り人は同じ位置で、じっとしています。ちょうど三日月さまが釣り人の背の位置にあるような感じで、長い時間が過ぎて行きます。そこを「三日月をせもたれにして」と喩えたのです。夜釣りの景を大きな宇宙の空間に広げて、童話の挿絵のように想像の翼を広げたところが、素晴らしいですね。

【高校生の部】応募総数759,486句

教頭(きょうとう)がスルメをひとつ買(か)っていた

古謝(こじゃ)巧真(たくま)さん 17歳 沖縄県中頭郡

(選評)
教頭先生が買物をしている様子を偶然見つけたのでしょう。先生はこちらには気づかないようです。見ると、スルメを一つ買っています。晩酌の肴にするため買ったのでしょうか、一つだけですから一人で飲むためのものでしょうか。生徒が見ていると知ったら買わなかったかもしれません。おそらく日頃、威厳を保っている人だからです。なんだかバツの悪いところを見ちゃったために、かえって先生を身近に感じたような嬉しい気持ちになってきます。

【一般の部A(40歳未満)】応募総数49,340句

花明(はなあ)かり同(おな)じ余韻(よいん)を持(も)つ人(ひと)と

吉澤千恵(ちえ)さん 37歳 茨城県桜川市

(選評)
桜の花が満開になった夜です。闇のなかで花が咲いていると、花の明るさで、まわりがぼおーっと明るくなったような気がしてきます。その中にいると、花の明るさが暗いところにまでも響くような、またその響きが自分自身にも残っているような感じになる。それが余韻です。そんな花明かりの中に、同じように茫然と立っている人がいます。ああ、この人もそうなのかと思うと、花明かりの余韻が響いてきますね。そこが見事です。

【一般の部B(40歳以上)】応募総数72,031句

ゆるし方(かた)を忘(わす)れた午後(ごご)の冬木立(ふゆこだち)

下山(しもやま)桃子さん 40歳 東京都国立市

(選評)
「ゆるし方を忘れた」とは、なにをゆるすのかわかりませんが、身近な誰かに怒りを覚えることがあって、これだけはもうゆるせないと思い込んでいる状態なのでしょう。そんな「午後の冬木立」は、寒々として、まわりもがらんとした感じで静まり返っています。おそらく朝からの怒りはまだ続いているのでしょうが、どこかに「ゆるし方を忘れた」ことへの軽い後悔が兆し始めているようです。冬木立の印象を心の表情のように捉えたところが素晴らしいですね。

【英語俳句の部】応募総数17,825句

from a small window
small small world
my first flight

(訳)小さな窓から/小さな小さな世界/初めての空の旅

大津友美さん 17歳 静岡県浜松市

(選評)
初めて体験するフライトは誰でもどきどきし、高空からどんな世界が見られるか、かたずを呑むことでしょう。ところが実際は、小さな窓からごく限られた世界をのぞいただけでした。その心のたかぶりと、当てはずれの意外感が率直、端的に表されて共感をよびます。“small”を3度くり返し、語頭にF音を重ねたリズムのよい英語に、気持ちがこもっています。

※ 各受賞者の年齢は応募時のもの。


■参考 伊藤園お~いお茶新俳句大賞について
<企画誕生の背景>
伊藤園が世界で初めて緑茶の缶飲料化に成功し、発売5年目にあたる1989(平成元)年は、松尾芭蕉の「奥の細道」300周年ということもあり、俳句が静かなブームを呼んでいました。また前年には俵万智氏の「サラダ記念日」の販売部数が260万部になり、カルチャーセンターでもこの頃から俳句、短歌の人気が高まり、伝統的な短詩形文学の世界に新たな関心が寄せられました。しかし、多くの方々は初心者ということもあって作品発表の機会がほとんどなく、発表したいという想いが強まっていました。そこで日本文化が育んだ緑茶を扱っている伊藤園が、伝統的な日本文化である俳句の一般愛好者に貢献できないか…ということで企画の検討が始まりました。

<企画のコンセプト1>
俳句は、独自の細かい約束ごと(季語、定型など)が重んじられます。しかし、この約束ごとを満たさなくても素晴らしい句はたくさんあります。約束ごとにとらわれない表現は初心者が取り組みやすいと同時に、ベテランと同じ土俵で「表現力」を競い合うことが出来ます。こうして、創作上の制限をできるだけ省き、五・七・五のリズムで自由に表現する「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」が誕生しました。従来の俳句の作風にとらわれず、広く新しい視点で審査を行うために、俳句の第一人者に加え、写真、演劇、文学…といった様々な分野の方々に審査をお願いしております。

<企画のコンセプト2>
伊藤園の「お~いお茶」は、全国で多くの方々に愛飲されており、そのパッケージは、メディアとしても活用できます。1989(平成元)年に誕生した「お~いお茶」は、いつでもどこでもおいしい緑茶を飲んでいただこうと開発した、伊藤園の日本茶飲料ブランドであり、創作上の制限を設けない「新俳句」は「お~いお茶」にふさわしいものだと考えました。短文表現の発表の場として、自社製品のパッケージを開放することは現代にマッチした新しい文化活動であると考えております。

<新俳句大賞の反響と貢献>
第一回に41,373句であった応募作品数は、今回までの累計応募総数が約3,000万句となりました。新俳句の大きな特徴の一つに、初めて俳句を創作した方からの応募が多いことが挙げられます。同時にベテラン俳人にとっても、新俳句大賞は、「俳句の新しい楽しみ方ができる場」として定着してきたようです。
2011(平成23)年から実施されている新学習指導要領では、小学校の国語科で伝統的な言語文化に触れながら言語感覚の育成を狙う事項が新設され、新俳句大賞が教育現場での日本伝統文化継承に貢献しております。実際に第二十七回では、小学校、中学校、高校合わせて2,682校からご応募いただきました。特に高校は、全高校の5校に1校に相当する1,017校より参加いただきました。
さらに「お~いお茶」は、日本のみならず世界の方々に愛飲されております。新俳句大賞への海外からの応募は累計81カ国に及び、“HAIKU”としても注目されています。今後、世界のティーカンパニーを目指す伊藤園は、海外において日本の伝統飲料・緑茶の発展と、同じく日本の伝統文化である俳句を通して日本文化を守り、広く社会につたえていきたいと考えております。

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