乳酸菌ブレビス菌にプリン体を代謝する活性を確認 痛風や尿路結...

乳酸菌ブレビス菌にプリン体を代謝する活性を確認  痛風や尿路結石などの疾患予防の可能性に期待

― 5月2日のアメリカ油化学会2016年大会で発表 ―

医薬品の製造販売を手がける日東薬品工業株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:北尾 哲郎、以下「日東薬品」)は、京都大学 小川 順教授(以下「京都大学」)との共同研究で、ラクトバチルス属ブレビス種の乳酸菌(Lactobacillus brevis NTM003株、以下「ブレビス菌」)に尿酸値を下げる効果が期待できることを確認しました。尿酸が引き起こす痛風や尿路結石などの疾患を予防できる可能性があると考えられます。
この研究結果について、日東薬品は2016年5月2日(月)にアメリカ ソルトレイクシティで開催された第107回アメリカ油化学会[*1]2016年大会で、京都大学と合同で腸内細菌の最新動向について発表いたしました。

プリン体の代謝経路
プリン体の代謝経路

日東薬品ホームページ
http://www.nitto-pharma.co.jp/


■研究の背景 ― 高尿酸血症とは?
レバーや魚、魚の卵などの食材に多く含まれているプリン体。プリン体を含む食品を過剰に摂取し、体内に尿酸が蓄積すると高尿酸血症が引き起こされます。さらに、そのまま放置してしまうと、合併症として痛風や尿路結石などが引き起こされます。日本では痛風と高尿酸血症の患者は増加傾向にあり、全国で約87万人が痛風で通院していると報告されています[*2]。また、高尿酸血症については、30歳以降の成人男性の約30%が罹患していると報告されています[*2]。しかし、プリン体は、日本人の好む食材に多く含まれており摂取を制限することが難しいのが現状です。
近年の報告により、ある特定の腸内細菌がプリン体を体内に吸収されにくい形へと代謝することがわかってきました。そこで日東薬品は、腸内細菌のこの作用に着目し、日東薬品が保有する乳酸菌ライブラリーから、プリン体を代謝する活性を持つ乳酸菌を探索しました。その結果、170株の乳酸菌の中から、最も強い活性を持つ株のひとつとして、菜の花漬けから発見されたブレビス菌を選抜しました。さらに、プリン体代謝活性を確認するために実験を行い以下の結果を確認しました。


■実験結果
ブレビス菌と、プリンヌクレオシド[*3]であるイノシン、グアノシンを試験管内で反応させました。その結果、約30分後にはこれらの代謝物であるヒポキサンチン、グアニンに変換されたことを確認しました。
※ヒポキサンチン、グアニンは、プリンヌクレオシドと比較して、より体内に吸収されにくいプリン塩基の一種です。

<プリン体の代謝経路>
https://www.atpress.ne.jp/releases/102105/img_102105_1.jpg

<グラフ:ブレビス菌のプリンヌクレオシド代謝>
https://www.atpress.ne.jp/releases/102105/img_102105_2.jpg

この実験結果から、ブレビス菌を摂取することで、プリン体が体内に吸収されることを抑制し、痛風や尿路結石などの疾患を予防できる可能性があると考えられます。
日東薬品は引き続きブレビス菌が持つ効果の研究に取り組むとともに、ブレビス菌が持つ健康機能を活かした機能性食品などの実用化を目指します。


■注釈
[*1] アメリカ油化学会
油脂、界面活性剤の科学技術の発展に貢献するために、1909年にアメリカで設立された学会。90か国を超える地域の約4,200名の会員によって構成されています。107回目の大会となった「アメリカ油化学会2016年大会」は、2016年5月1日(日)~4日(水)にアメリカ ソルトレイクシティで開催され、約1,400名が参加しました。本学会では、腸内細菌を国際的に重要なホットトピックスとして取り上げています。全体では約700件の発表が行われました。

[*2] 出典
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

[*3] プリンヌクレオシド
プリン体の一種。グアニン、ヒポキサンチンなどのプリン塩基に糖が結合したもの。


■会社概要
名称  : 日東薬品工業株式会社
所在地 : 京都府向日市上植野町南開35-3
代表者 : 代表取締役社長 北尾 哲郎
事業内容: 医薬品の研究開発、製造販売、機能性食品の研究開発
URL   : http://www.nitto-pharma.co.jp/

取材依頼・商品に対するお問い合わせはこちら

プレスリリース配信企業に直接連絡できます。

  • 会社情報