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生活習慣病におけるオンライン保健指導サービスの構築 を目指した臨床研究を平成30年11月より実施

~国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の 「平成30年度 IoT等活用行動変容研究事業」に採択~

 このたび、国立大学法人金沢大学国際基幹教育院GS教育系の米田隆教授、株式会社ウィット(東京都新宿区 代表取締役社長:中島 洋 以下ウィット)、医療法人社団 和楽仁 芳珠記念病院(石川県能美市 理事長:仲井 培雄 以下芳珠記念病院)、公立学校共済組合 北陸中央病院(富山県小矢部市 病院長:清水 淳三 以下北陸中央病院)および国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市 学長:浅野 哲夫 以下JAIST)は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の平成30年度「IoT等活用行動変容研究事業」に採択されたことを受け、「生活習慣病に対するオンライン保健指導サービスの構築と行動変容への検証研究」にて実施する臨床研究を平成30年11月20日から開始いたしました。


 AMEDの平成30年度「IoT等活用行動変容研究事業」は、IoTデバイスを活用して収集した健康情報を基に個人の行動変容を促すことで、高血圧や脂質異常症の重症化予防、介護予防、健康経営等につなげる取り組みの科学的なエビデンスを構築し、その社会実装を目標とする事業です。本研究は特に「高血圧性疾患または脂質異常症の重症化予防のためのIoT活用による行動変容促進サービスの創出に関する研究」として、特定保健指導対象者に焦点を当て、IoTデバイスとAI等のテクノロジーを活用したアプリを軸に、特定保健指導の実施率および継続率を向上させる仕組みの構築と、その実用化に取り組みます。受診勧奨や薬物治療を受ける前の段階である保健指導対象者こそ、生活習慣への介入効果が期待できるとともに、IoTリテラシーが高く本取り組みが浸透しやすいと考えました。


 平成20年に始まった特定健康診査(※1)は、現在約5,360万人がその対象となっています。しかし、実際の受診者の割合は約51.4%、うち約469万人の特定保健指導(※2)の対象者における指導実施者の割合は、18.8%にとどまります(厚生労働省「2016年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況(概要)」より引用)。そのため、自宅から離れた医療機関での特定保健指導継続に要する距離的・時間的な負担感を軽減し、日々の体重、血圧、歩数、食事内容などの生活情報のモニタリングと評価(フィードバック)を受けられる仕組みを作ることで、特定保健指導対象者が支援期間の途中で取り組みを中断しないようにするための工夫が求められています。


 こうした現況を受け、本研究ではまず、従来の保健指導に、ウィットが開発した食習慣改善アプリとして既に一般で普及している「あすけん」(※3)を活用した栄養指導を組み込むことで保健指導のセルフモニタリングを支援し、より多くの対象者が行動変容に至れるかを検証します。

 具体的には、石川県内および富山県内で従来の特定保健指導を受ける約300名(高血圧、脂質異常症および糖尿病治療の方は含まない。)を対象に、IoTデバイスとAIテクノロジーを活用した「あすけん」アプリをベースとするオンライン食事指導を6か月間付加し、行動変容の有無を評価、各種指標の解析・評価を行います。実際にIoTデバイスを使用したことで見いだされた課題や注意点、利点をもとに、医学的な有効性・安全性を確保しつつ対象者の距離的・時間的負担を最大限に減らす、新しいオンライン保健指導サービスの形を構築いたします。


 金沢大学が中心となって平成21年度の総務省「ふるさとケータイ創出推進事業」(※4)以来蓄積してきた在宅健康サービスシステム構築の知見を基盤とし、「あすけん」が一般ユーザーと共に培ってきた楽しみながら食事管理をする機能やノウハウと、芳珠記念病院と北陸中央病院に蓄積された長年の地域保健指導の実績と経験、さらには石川県の中核研究組織であるJAISTの医療サービス・システム技術に係る知力を結集し、Society5.0(※5)におけるオンライン保健指導サービスの実用化を目指します。


 また、本研究と並行し、金沢大学とウィットは「あすけん」を利用した糖尿病患者に対する療養指導の臨床研究も進めています。IoTデバイスを使って食事療法をより楽しく、より多くの方へ、安全かつ効果的に実施できるようにすることで、医療者だけでなく受診者や患者も主体となり共に取り組んでいける治療の仕組み作りに貢献してまいります。



【用語解説】

※1 特定健康診査

 日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目した健診を行う。


※2 特定保健指導

 特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すサポートをする。

(※1、2共に 厚生労働省「特定健診・特定保健指導について」から引用)


※3 あすけん

 食からの健康改善に特化し、食事内容に応じた管理栄養士監修のアドバイスが自動的に受けられることを特徴とした、平成30年10月現在250万人を超える利用者がいる食事管理・ダイエットアプリ。昨今では企業の健康経営の取り組みの中での活用が進んでいる。


※4 ふるさとケータイ創出推進事業

 国民に広く浸透している携帯電話を利活用し、地域の高齢者や子供の安心・安全(医療・介護・健康)をサポートするサービス等を行う「ふるさとケータイ」(地域を支援するMVNO)の創出を推進することにより、暮らしの安心・安全等の確保を図る。

(総務省 「ふるさとケータイ創出推進事業」から引用 )


※5 Society5.0

 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、以下のような新たな経済社会をいう。

(1)サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させることにより、

(2)地域、年齢、性別、言語等による格差なく、多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供することで経済的発展と社会的課題の解決を両立し、

(3)人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会

(内閣府 総合科学技術・イノベーション会議「Society5.0 実現に向けて」から引用)


【本事業Webサイト】

http://k-slim.w3.kanazawa-u.ac.jp

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