小泉悠と小谷賢がインテリジェンス対談『戦闘国家』9/29発売 ロシア、イスラエルの根本思想を読み解く
株式会社PHP 研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、『戦闘国家――ロシア、イスラエルはなぜ戦い続けるのか』(小泉 悠・小谷 賢 共著/税込1,100 円)を2025年9月29日に発売します。本書は、ロシア研究の俊英・小泉悠氏と、インテリジェンス研究の第一人者・小谷賢氏による対談を書籍化したものです。「インテリジェンス」の観点から、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争の背景と実態を読み解くとともに、日本が抱える課題や今後のあるべき安全保障の姿も浮き彫りにします。2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃から間もなく2年となる今、あらためて2つの戦争の深い見方を養える一冊です。

「滅びる前に滅ぼせ」根本思想を徹底分析
ロシアは広大な国土を防衛するために緩衝地帯が必要という強迫観念が根強く、イスラエルは度重なる悲劇とホロコーストの経験から、それぞれ「滅びる前に滅ぼせ」という信条を持ちます。軍や諜報機関出身者が政権中枢を占め、先制攻撃を辞さないという姿勢がブレないのは、そのためです。小泉氏と小谷氏は、戦争の時事的な分析だけではなく、歴史的側面からも、巨大で強力な諜報国家となった両国の根源思想にアプローチ。2人の対話からは、「専守防衛」を掲げる日本との違いもくっきりと浮かび上がります。
「諜報後進国」日本がやるべきこと
インテリジェンス大国であるロシアとイスラエルに対して、日本は長らくインテリジェンスの弱さが指摘されてきました。その理由として小泉氏は、米国の庇護下にあることで、国家として組織的に諜報に取り組まなかったことを挙げています。そして、依然として軍事関連の教育が忌避され続け、体系的にインテリジェンスを学ぶ機会が乏しい日本の現状に警鐘を鳴らしているのです。中国や北朝鮮の脅威を前に、自国で情報を収集し、判断する力が不可欠であるなどの提言は、国防について改めて考えるきっかけにもなります。
目次より
・インテリジェンスとは何か
・「情報を制す者が世界を制す」
・プーチンはKGBを復活させたい?
・ロシア人にとって国境は「動くもの」
・長引く戦争、収束のカギを握るのは……
・ユダヤ人は「自分たちの力しか当てにしない」
・世界最強のインテリジェンス組織はどこか
・イスラエルにとってイランは「ラスボス」
・秘密組織「別班」の正体
・台湾有事を阻止せよ
書誌情報

タイトル:戦闘国家
サブタイトル:ロシア、イスラエルはなぜ戦い続けるのか
著者:小泉 悠/小谷 賢
レーベル:PHP新書
判型・製本:新書判並製
ページ数:240ページ
定価:1,100円(税込)
発売日:2025年9月29日
ISBN:978-4-569-85988-0
発売元:株式会社PHP研究所
著者プロフィール

小泉 悠(こいずみ・ゆう)
東京大学先端科学技術研究センター准教授。1982年、千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務、外務省専門分析員、未来工学研究所特別研究員などを経て、現職。 専門はロシアの軍事・安全保障。著書に『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版、サントリー学芸賞)、『現代ロシアの軍事戦略』『ウクライナ戦争』(ともにちくま新書)、『ロシア点描』(PHP研究所)、『オホーツク核要塞』(朝日新書)、『情報分析力』(祥伝社)など。

小谷 賢(こたに・けん)
日本大学危機管理学部教授。1973年、京都府生まれ。立命館大学卒業、ロンドン大学キングス・カレッジ大学院修士課程修了。京都大学大学院博士課程修了。博士(人間・環境学)。英国王立統合軍防衛安保問題研究所(RUSI)客員研究員、防衛省防衛研究所戦史研究センター主任研究官などを経て、現職。著書に『日本軍のインテリジェンス』(講談社選書メチエ、山本七平賞奨励賞)、『モサド』(ハヤカワ文庫NF)、『日本インテリジェンス史』(中公新書)など。