株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2023年2月15日に『朝星夜星(読み:あさぼしよぼし)』(朝井まかて著/2420円税込)を発売しました。本書は、直木賞作家の朝井まかて氏の最新作となる長編小説。幕末の長崎で洋食屋を始め、明治の大阪でレストランとホテルを開業した、日本初の西洋料理人である草野丈吉(じょうきち)の半生を、妻ゆきの視点で描きます。激動の近代日本に躍動した男たちと、新時代の外交を“料理”で支えた夫婦の物語です。

初の日本人シェフは五代友厚の“推し”
草野丈吉(1840~1886)は、長崎の出島でボーイや洗濯係をしながら西洋料理を学び、コック見習からオランダ総領事の専属となるまでに腕を磨いた、日本の西洋料理人のパイオニアです。ケータリング先の傾城屋で奥奉公をしていたゆきを見初め、2人は結婚。作中で、ゆきが「美しかあ。星々のごたる」と舌鼓を打つ丈吉の料理は、薩摩藩の御家中である五代才助(友厚)の目にも止まります。五代に「西洋の人間ば知るには同じ物ば食して、躰で知ること」と背中を押されて始めた小さな洋食屋が、のちの「自由亭」です。やがて亀山社中に陸奥宗光、後藤象二郎、岩崎弥太郎といった男たちが、贔屓客として名を連ねるようになります。
長崎が舞台の作品は著者にとって3作目
朝井まかて氏は、直木賞受賞作『恋歌』をはじめ、実在の人物や史実を題材にした作品を数多く発表しています。なかでも、『先生のお庭番』(2012徳間書店)ではシーボルトとその薬草園の園丁熊吉を、『グッドバイ』(2019朝日新聞出版)では坂本龍馬らを経済的にも支えた女性商人・大浦慶を主人公に、幕末の長崎を描きました。『朝星夜星』は、著者にとって3作目となる長崎が舞台の小説です。
作品ゆかりの地でサイン会を開催
『朝星夜星』の発刊を記念して、物語の前半の舞台である長崎でのサイン会開催が決定しています。
詳細はこちら
日時:2023年2月26日(日)15時~16時
会場:メトロ書店長崎本店
参加条件:『朝星夜星』をメトロ書店で予約または購入の際に配布する整理券を持参
定員:先着100名
https://www.php.co.jp/news/2023/02/2302asai.php
『朝星夜星』について
【あらすじ】
長崎の貧しい農家に生まれた丈吉は、18歳で出島の仲買人に雇われ、ボーイ、洗濯係、コック見習いになる。そして21歳のときにオランダ総領事の専属料理人になり、3年後に結婚。夫婦で日本初の西洋料理店を開店する。店には、陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎といった綺羅星のごとき男たちがやって来る。明治の世になり、大阪へ移った丈吉は、天皇が出席する式典などで饗応料理を提供するまでになるのだが……。
【著者】
朝井まかて(あさい まかて)
1959年、大阪府生まれ。甲南女子大学文学部卒。2008年、小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。13年、『恋歌』で本屋が選ぶ時代小説大賞、14年、同作で直木賞、『阿蘭陀西鶴』で織田作之助賞、15年、『すかたん』で大阪ほんま本大賞、16年、『眩』で中山義秀文学賞、17年、『福袋』で舟橋聖一文学賞、18年、『雲上雲下』で中央公論文芸賞、『悪玉伝』で司馬遼太郎賞、大阪の芸術文化に貢献した人に贈られる大阪文化賞、20年、『グッドバイ』で親鸞賞、21年、『類』で芸術選奨文部科学大臣賞と柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に、『先生のお庭番』『白光』『ボタニカ』などがある。
【書誌情報】
タイトル:朝星夜星
著者:朝井まかて
価格:2,420円(10%税込)
判型・製本・頁数:四六判上製512ページ
発行:PHP研究所
ISBN978-4-569-85403-8
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85403-8