【名城大学】JST「さくらサイエンスプログラム」でインドデンプ人文科学大学の教員と学生が来学
飯島澄男終身教授の特別講演も実施

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の国際青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプログラム」で招へいされたインドのデンプ人文科学大学の大学生・大学院生7人と教員1人が12月12日から20日までの9日間、本学を訪問。天白キャンパスで理工学部応用化学科の教員や学生とともに実験などを行い、最新の研究を学んだり交流を深めたりしました。
本学理工学部とデンプ人文科学大学理学部は2018年に学部間学術協定を締結しており、今回は引率のナイク・チャンダン助教と同大で化学や物理学を専攻する学生たちが来学しました。また、この研究交流に先立ち、11月17日から12月7日までインド工科大学ダンバード校からも3人が来学し、11月28日にはJST職員の視察も行われました。
初日には歓迎セレモニーや国際シンポジウムを開催
同事業は、産官学が連携し、日本と海外の青少年が最先端の科学技術分野における国際交流を通して、科学技術やイノベーションの発展に寄与するための国際交流プログラムです。
滞在初日の12日には研究実験棟Ⅱで歓迎セレモニーが行われ、理工学部応用化学科の中村忠司学科長は、本学の概要について述べたあと、「研究を深め、日本文化も味わい、この滞在を充実したものにしてほしい」と緊張気味の学生たちに語りかけるように歓迎のあいさつをしました。受け入れ責任者を務めるナノマテリアル研究センター長の丸山隆浩教授からは、「インド出身で博士課程に在籍する学生もいます。デンプ人文科学大学からの訪問は今回で3回目。交流を継続でき、皆さんをお迎えできることは非常にうれしい」との話がありました。



午後からの国際シンポジウムでは、両大学の教員による研究紹介が行われ、夜には懇親の目的で意見交換会が開催されました。
試料作製や分析などに取り組み、最先端のナノ材料研究にふれる
デンプ人文科学大学の学生たちは初日から、丸山教授の指導のもと研究室の4年生の支援も受けて、カーボンナノチューブの低温合成の実習に挑戦。コールドウォールCVD(化学気相成長)装置を用いて、Ni触媒にエタノールガスを供給して合成を行う実験で、学生たちは教授の説明を聞いて、内容を調べたり実習に取り組んだりしました。


飯島終身教授のエネルギッシュな特別講演

15日には、カーボンナノチューブ(CNT)発見者の飯島澄男終身教授が特別講演を行いました。
飯島終身教授はCNTの発見に至るまでの研究の歩みを紹介し、CNTに白色LEDの光を当てると音が出る現象を解説。一人ひとりの学生の前で実演もしました。さらに、CNTを用いた応用分野の最新動向などを紹介して、「考えることをやめたら発見することはできない」と研究者としての心構えも説きました。
学生たちは熱心にメモを取るなど、飯島終身教授のエネルギッシュな講義に聴き入っていました。

書道にふれ、日本文化を味わうひとときも
12日には、日本文化にふれることを目的に書道の体験を行いました。講師は市内の「スミレ書道教室」を主宰する稲原里映さん。学生たちはまず、稲原さんとアシスタントの中森美結さんから書体の種類やひらがな、カタカナの成り立ちなど、日本の文字の歴史についての説明を受け、筆の持ち方や運筆の仕方を学んだ後、用意された「友」「日本」「平和」などの中から好きな言葉を選んで練習を開始。

初めて筆を持つ学生たちは、筆の弾力や選んだ文字の筆順を確かめながら練習し、うちわやカレンダーへの清書を行いました。名前を入れるとすてきな「お土産」が完成。最後に各自が選んだ文字への思いについて、「『日本』が好きだから選びました」「日本は美しいから『美』にしました」「『絆』は難しい字です」などと伝え合い、日本の書や文化を味わいました。


一行は、19日までラマン分光法やX線光電子分光法を用いた試料分析などの実習を重ね、両大学の学生が共同研究活動の成果を発表し合って交流を深めました。
さらに最先端の実験施設「あいちシンクロトロン光センター」(瀬戸市)などの見学を行い、最終日にはデンブ人文科学大学の教員と学生による本交流事業の成果発表交流会を実施。その後修了式に臨み、21日に帰国しました。