shidax_top
2

社内外に価値を届ける広報──
“読み人知らず”でも、後世に残る「作品(リリース)」を

interview1
shidax_yamashita

 “15社分”くらいの情報を1社で発信するような難しさ 

──御社は非常に多岐にわたる事業を展開されていますが、広報業務において特に難しいと感じている点や課題があれば教えてください。

山下様:そうですね、大きく分けて2つ課題があって、1つは総合的に広報対応できる人的リソースの不足です。弊社は多様な事業を抱えていて、ある専門分野に特化した事業を展開しているわけではないです。そのため広報が扱わなければならない情報量が多いし、幅広い事業をお伝えできる知識力も必要となります。そのため、このレベルで広報対応できる人的リソースという意味での不足です。これでも御社のサービスを導入した当初は、売店やレストランカラオケ、外食事業等、今よりもっと事業を展開していたほどです。
もう1つは、ニュースリリース(以下、リリース)作成に必要なスキルを持った人材の育成に時間がかかることです。弊社は法人向けや公共サービスが多いので、一般の方にわかりやすく自社のサービスを伝える作業に時間がかかります。1つの会社で15社分くらいの情報を扱っているような状況なので、事業内容をしっかり理解していないと正確に外部に発信することができません。
それに、弊社の広報室は広報経験者ばかりを集めているわけではないので、事業内容を理解して的確な情報発信ができるようになるまで、やはり時間がかかると感じています。
shidax4──では課題を解決するために、工夫されていることはありますか?

山下様:実はこの課題は、まだ完全には解決できていない状況です。ですが、リリース作成・配信作業については、御社のサービスを導入したことで、大きな助けになっていると思います。PR会社のように全面的に任せるやり方とも違うし、完全なセルフサービスとも違う。御社のサービスはその中間的な立ち位置で、リリース作成における効率化という面で非常に適した仕組みだったと感じています。例えばリリース作成の技量はまだなかったとしても、御社のサービスならリリースのセットアップ、配信準備という業務は皆でできるという具合です。

「ストーリーで伝える、社員を鼓舞する広報」

──御社のリリースは、公共性の高い内容から時流を捉えたものまで、非常に多様ですが、作成にあたって特に意識されていることはありますか?

山下様:意識しているのは、取り組みの背景や社会的意義まで含めて“物語”として伝えることです。私たちの業務は、その取り組みの出来事や事実を並べるだけではなく、「なぜそれを行ったのか?」という必然性をきちんと伝えることが重要だと思っています。
例えば、公共性の高い災害協定のリリースなどでは、過去の震災における自社対応の経験や、締結した自治体との関係性(元々、その地域でどんなサービスに携わり、だからこの締結に至る)など、表面的な情報の奥にあるストーリーを丁寧に織り込むようにしています。読んだ人が「なるほど、これはやるべくしてやったことなんだ」と納得できるように、ですね。
さらに、それを社内に対しても伝える役割を意識しています。リリースを読んで「自分たちはこんなに意義ある仕事をしていたんだ」と感じてもらえたら、それは一種の社内広報にもなりますよね。

──リリースが社内広報としても機能しているというお話、非常に印象的です。

山下様:まさにそうですね。私はリリースを「作品」だと思っています。それは、メディアの方はもちろんのこと、法人様、自治体様、そしてグループ社員も含めて、今やっていることが将来誰かの手がかりになるように、取り組みの起点や背景を残しておくようにしています。
事業の起源や、時には過去の失敗とそこからの学びを書き留めておくことで、読み手に立体的に伝わるだけでなく、未来の広報や経営の資料にもなり得ます。どんなに小さなニュースでも、そこに込めた想いと経緯をきちんと残す。そうすることで、後世の担当者が見返したときに“つながり”が見えてくるのではないでしょうか。

私自身、社内報で特集記事を制作するときに、過去に発信したリリースをさかのぼることで内容の理解が深まった経験があります。逆に社内報でしっかりまとめておき、後にリリースに役立つこともあります。その時に、「あのときこう書き残しておいてよかった」と思うことが多いです。どんな取り組みにも、時代の変化に対応する中で、シダックスが必然的に始めた取り組みがあり、流れがある。その過程をリリースの中で言語化しておくことが、情報の蓄積と説得力に繋がると考えています。
例えるなら、テレビやNetflixのドラマのように「あのときの伏線がここで回収される」ような構成を目指しています(笑)。ストーリー性のある広報こそが、企業の深みを伝える鍵だと思っています。
shidax2

「アットプレスとの出会いは“即決”だった」

──2014年にアットプレスをご導入いただきましたが、そのきっかけや決め手について教えていただけますか?

山下様:それまで複数のPR会社にリリース配信をお願いしたり、セルフ配信サービスを試していたのですが、2010年代前半当時はまだクラウド型サービスが成熟しておらず、1個リリースをアップロード・配信するにも長時間を要するなど、使い勝手や対応に限界を感じていたタイミングでした。そんな時、広報会議という雑誌に掲載されていた御社の広告を見て、自ら電話をかけたのが始まりです。普段、外部からの売り込みにはあまり応じないのですが、こちらから連絡を取ったのは非常に珍しいケースでした。その後、「明日でも伺います」と営業の方が本当にすぐに来てくださって、あのスピード感と対応の丁寧さが、強く印象に残っています。

──まさに“リリース疲れ”といった状態だったんですね。その中でのアットプレスとの出会いだったと。

山下様:はい。初回訪問のスピード感や、セット作業の丁寧さ、媒体の選定まで手厚くサポートしてくれるスタンスに「これだ」と感じ、すぐに導入を決めました。リリースの作成は自社で行いつつも、配信・校正・媒体選定は専門性のある御社に委ねられる。ちょうどPR会社とセルフ配信の中間のような存在として、非常に助かりました。
また、配信先の選定も丁寧で、「こういうメディアに出したい」と思っていたものがほぼ含まれていたんです。あとは「ここも送ってほしい」というぐらいで、選定メディアが希望と全然違うということもなかったですし、本当に任せられる安心感がありました。届けるべき媒体をしっかり見極めて、信頼性のあるメディアに絞って配信してくれるという、ろ過と選別の姿勢が強く感じられ、そこにメディアリテラシーの高さを感じましたし、そういう意味では、単なる配信プラットフォームではなく、媒体とリリースの適正なマッチングに注力してくれていると感じられました。

  

スピードと柔軟性を兼ね備えた配信体制へ

──2019年からはスマート配信(旧NEWSCAST)をご利用いただいていますが、その背景や導入後の変化についてもお聞かせいただけますか?

山下様:当時は、任意のタイミングでスピーディーに情報を開示しなければならない状況が増えてきたんです。前日の夜や当日の朝まで内容が固まらないこともあって、自社のペースやタイミングで柔軟に発信できる環境が必要になっていたので、スマート配信(旧NEWSCAST)を使うことで、そうした要件にうまく対応できるようになりました。特に良かったのは、誰でも使いやすい操作性ですね。他のスタッフに使い方を引き継ぐ時にも割とスムーズに行えるので、広報経験がないスタッフでも、数回で使いこなせる様になりました。

「地方の仲間にも届く“わかる広報”を目指して」

──では、今後の御社の広報活動について、どのような展望をお持ちですか?

山下様:特に御社のサービスを利用開始した2014年以降そうなのですが、弊社は近年、事業内容が数年ごとに変化してきた会社なので、広報活動も状況に応じて俊敏に対応していく必要があります。計画を立てないわけではありませんが、計画通りにいかないことが多く、柔軟性、即応性が求められるのが現実です。
また、弊社には本社社員の何十倍もの人数の「仲間」が全国に点在しています。そうした仲間たちに「会社がちゃんと見てくれている」「自分たちもシダックスグループの一員だ」と感じてもらえる広報活動をこれからも意識していきたいです。社外への情報発信だけでなく、社内の仲間への“気づき”や“誇り”につながる広報を目指しています。

さらに「どこにニュースバリューがあるのか」を見極めて、時には社員自身が気づいていない価値を見出して伝えることも大事だと思っています。特に、各店舗・施設のスタッフの皆さんが「これくらい当たり前だ」と思って従事していることでも、外から見るとすごいと評価できる取り組みがたくさんあります。そういう部分を拾い上げて、社内外にその価値と意味づけを加え、しっかり可視化させていきたいです。

──日々の取り組みの中に価値を見出して引き上げる、その目線が素晴らしいです。

山下様:シダックスは1959年に創業し、翌1960年に法人を設立。今年(2025)年で65周年を迎えました。自分が広報室からいなくなった後も、退職した後でも、今から35年後の2060年、会社が設立100周年の大きな節目を迎えたときに「この時代にはこういうことがあった」「きちんとまとめてくれていて、ありがたい」と誰かが見て役立ててもらえる、そういうリリース(作品)を数多く残しておきたいんです。それは、読み人知らずでもいいんです。
私は2015年に社史制作に携わったんですが、昔の資料、記録が少なく、非常に苦労することが多かったんです。だからこそ、リリースはもちろんですが、メディア取材対応や社内報、WEBサイト含め、今をきちんと残し、そこにどんな意義や経緯まで含め記録し続けることが、未来の誰かを助けると思っています。
総合サービス企業シダックスグループの一員だからこそ、広報スタッフもサービス力が人一倍高くないといけないと自負しています。だからこそ、受け手側が「サービスが行き届いている」と感じられるように日々仕事に努めたい。そうした意識で、これからも一つひとつのリリースを丁寧に形にしていきたいです。


 

                                   instagram  

Copyright 2001-2025 SOCIALWIRE CO.,LTD. All rights reserved.