報道関係者各位
    プレスリリース
    2025年11月26日 13:00
    学校法人近畿大学

    LIXIL、近畿大学と共同で窓断熱改修による健康・経済効果の推定条件を精緻化させた研究論文を発表 年代別の生活スケジュールを導入し、より実生活に近い分析を実現

    株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科 准教授・博士(工学)藤田浩司と、住宅の断熱改修が居住者の健康状態と経済状況に与える効果について、2023年より共同研究を開始しています。このたび、年代別の平均的な生活スケジュールや行動パターンのデータをシミュレーションに導入することで推定条件をさらに精緻化し、その研究結果をまとめ、論文を発表しました。
    断熱性能の低い住宅では、冬の低い室温が血圧上昇・循環器疾患の恐れや、呼吸器系疾患への抵抗力の低下などにつながることが報告されており※1、居住者の健康面への影響が懸念されています。また、暖冷房費の負担も大きく、省エネと健康の両面から、住宅の高断熱化が求められています。
    LIXILと近畿大学はこれまで、窓の断熱改修が暖冷房費だけでなく医療費や薬剤費の削減にもつながる可能性を示してきました※2。今回の研究では、年代別の生活スケジュールのデータを取り入れることで、ライフステージや世帯構成の違いを反映した、より実生活に近い分析を可能としました。

    【近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科 准教授 藤田浩司のコメント】
    住宅の断熱性能が低く冬に低温となる屋内環境は、そこに暮らす人の健康に良くないことが様々な研究から明らかになっています。私たちは、多くの方に断熱の大切さをわかっていただけるように、断熱性能向上による健康効果を医療費で表す研究を進めています。日本にはまだまだ断熱性能が低い住宅が多いため、この研究が断熱性能の向上、健康に暮らせる住宅の増加につながることを期待しています。

    LIXILは、今後も窓・ドアブランドTOSTEMを通じて、住宅の高性能化を推進し、人々の暮らし、ひいては社会全体が豊かで快適になるよう貢献していきます。

    ※1 出典:「Cold Weather Plan For England Making the Case」Public Health England
    ※2 2023年および2024年の共同論文発表に関するプレスリリースは以下をご確認ください。
    2023年11月8日 :近畿大学と共同で、住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究論文を発表
    2024年12月15日:近畿大学と共同で、住宅内温熱環境に基く居住者の医療費・薬剤費の研究論文を発表

    【参考資料】
    ■LIXIL・近畿大学「住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究」

    『推定条件の精緻化の背景』
    これまで医療費の推定に用いる滞在室スケジュールは、国の基準解説書に掲載された「世帯主46歳、配偶者44歳、子供16歳・14歳」の家庭を想定した固定モデルを、すべての年代に適用していました。そのため、定年後の在宅時間の増加や、子供の独立などライフステージの変化が反映されていませんでした。

    『今回の改良内容』
    年代に応じた滞在室スケジュールと世帯構成を考慮した機器スケジュールを新たに作成し、温熱環境シミュレーションに反映することで、より実生活に近い条件での推定を可能としました。スケジュールは公的な時間利用統計などのデータを基に構築しています。

    (表)滞在室スケジュール例 平日
    (表)滞在室スケジュール例 平日
    (表)空調の機器スケジュール例 平日※3
    (表)空調の機器スケジュール例 平日※3

    ※3 世帯構成①:50代夫婦と10-20代子供2人の4人世帯、世帯構成②:60代夫婦の2人世帯

    【年代別の効果の傾向(例)】
    ●戸建て住宅または集合住宅の窓リフォーム※4により形成される住宅内温熱環境から、年代・世帯構成の違いによる年間の医療費・薬剤費期待値※5および暖冷房費を推定※6。
    ●戸建て住宅、集合住宅ともに、窓リフォームによる削減効果は、夫婦50代・子供10-20代2人の4人世帯より、夫婦60代の2人世帯の方が大きい結果となった。これは、世帯人数が減少する事による暖冷房費や医療費の低下よりも、年齢増加による医療費上昇の影響が大きいためと考えられる。
    ●集合住宅は隣接する住戸の影響で、戸建て住宅より温度変化が小さく、暖冷房費・医療費・薬剤費ともに少なくなるため、窓リフォームによる削減効果は戸建て住宅のほうが大きくはなるが、戸建て住宅と同様に、集合住宅も夫婦60代の2人世帯の方が、削減効果が大きい。
    ●窓リフォームによる経済効果(暖冷房費・医療費・薬剤費)は、必ずしも世帯人数が減ると小さくなる訳では無く、居住者の年齢や住まい方が影響している。

    ※4 東京の築30年以上の戸建て住宅または集合住宅(中間階中央住戸)において、戸建て住宅は住宅全体18窓のうち9窓に、集合住宅は住宅全体4窓のうち4窓に内窓(ペアガラス)を設置。
    ※5 期待値とは、確率変数がとる値を、確率によって重みづけした平均値です。住宅内温度が一要因になる10疾患(心疾患・脳血管疾患・高血圧・糖尿病・気管支喘息・アトピー性皮膚炎・肺炎・関節炎・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎)について、患者一人当たりの医療費、薬剤費に有症率(受診を伴う対象疾病の症状がある確率)を掛けて算出しています。必ず推定した医療費、薬剤費が発生する訳ではありません。
    ※6 一例であり、種々の条件によりシミュレーション結果は異なります。

    ■窓断熱改修に関する商品情報
    ●リフォーム内窓「インプラス」
    快適さの秘密は「空気層」。インプラスを取り付けることで、今ある窓との間に空気層が生まれ、これが壁の役割となって、断熱効果や防音効果を生み出します。また、インプラスは樹脂製内窓。樹脂の熱伝導率はアルミに比べて約1/1000。外気の温度に左右されにくく、断熱効果、防露効果を発揮します。工事は最短1時間で完了※7。
    優れた断熱性・遮音性・防露性※8はもちろん、これまでにない表情と質感を再現したデザインで、快適で理想のインテリア空間を演出するリノベーション向けの内窓「インプラス for Renovation」を2020年10月より発売しています。
    ※7 現場の状況により施工に必要な時間は異なります。
    ※8 インプラスを取付ける事で、結露は抑制されますが、室内外の気温差が大きく、室内の湿度が高い場合などには、今ある窓やインプラスに結露が発生する場合もあります。建物の構造、お住まいの諸条件により得られる効果に違いがあります。
    * 病気の予防、治療等を目的とした製品ではありません。

    ●取替窓「リプラス」
    古い窓を新しい窓に取り替えて見た目も機能もリフレッシュ。たとえば、ガタガタしていた窓の開閉もスムーズに。高断熱窓に取り替えることで、外の寒さ・暑さの侵入を抑えてお部屋の快適さもアップ。さらに、リプラスなら窓のタイプの変更もOK。大掛かりな工事が必要ないので、約半日~1日で窓リフォーム完了※9。メーカー・シリーズを問わず取り替え可能です。
    ※9 現場の状況により施工に必要な時間は異なります。
    * 病気の予防、治療等を目的とした製品ではありません。

    【About LIXIL】
    LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約53,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
    株式会社LIXIL(証券コード:5938)は、2025年3月期に1兆5,047億円の連結売上高を計上しています。
    LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/

    【関連リンク】
    生物理工学部 人間環境デザイン工学科 准教授 藤田浩司(フジタコウジ)
    https://www.kindai.ac.jp/meikan/1249-fujita-koji.html

    生物理工学部
    https://www.kindai.ac.jp/bost/