報道関係者各位
    プレスリリース
    2026年8月15日 23:01
    AIMQL合同会社

    為替介入研究所、7月末の円買い介入の効果を「半減期8営業日」と判定 基準は結果の判明前に公開

    為替介入研究所、7月末の円買い介入の効果を「半減期8営業日」と判定。基準は結果の判明前に公開

    為替介入研究所(運営:AIMQL合同会社)は、2026年7月30日〜8月3日の円買い介入について、効果の半減期を8営業日と判定しました。
    判定に用いた閾値・データ・規則は結果の判明前に公開しており、「基準が結果より先に存在した」ことを第三者が確認できます。

    為替介入研究所(所長:上村 十勝、運営:AIMQL合同会社)は、2026年7月30日から8月3日にかけて日本の通貨当局が実施した円買い介入(当研究所の呼称:エピソードE6)について、その効果の半減期を「8営業日」と判定し、判定記録および根拠データを公開しました。

    本判定の要点は、数値そのものよりも手順にあります。判定に用いた閾値・データ・判定規則のすべてを、結果が判明する前に公開しており、「基準が結果より先に存在した」ことを、当研究所を信用することなく確認できます。

    なお当該介入については、2026年8月3日の財務大臣談話により、7月31日の実施が米国財務省との協調によるものであったことが公表されています。

    ■ 判定の結果

    当研究所は、介入によって生じた円高幅の半分が戻された時点を「半減期」と定義しています。

    E6では、初回介入日(7月30日)の高値163.740円と、エピソード期間中の最安値155.226円との差8.514円を円高幅とし、その50%を回復する水準として159.483円を基準線に設定しました。

    2026年8月13日のドル円日足終値は159.518円となり、この基準線を上回りました。最終介入日(8月3日)を起点とした経過日数は8営業日です。

    ■ 第7営業日のザラ場について——規則をそのまま適用した

    第7営業日にあたる8月12日の終値は159.426円で、基準線を5.7銭下回っていました。ただし同日のザラ場高値は159.547円、翌13日のザラ場高値は159.567円であり、いずれも基準線を上回っています。

    当研究所は判定規則を「日足終値のみを用い、ザラ場の一時的な到達は算入しない」と事前に定めていました。この規則をそのまま機械的に適用した結果が8営業日です。規則を「高値も算入する」と読み替えれば7営業日になりますが、その読み替えは行っていません。

    事前登録の実質的な価値は、この一点にあります。結果を見たあとで有利な解釈を選べる余地を、あらかじめ消しておくこと。読み替えなかったという事実自体を、公開記録から第三者が確認できます。

    ■ 判定基準を「結果より先」に固定した手順

    当研究所は2026年8月12日、会則および全研究文書・事前登録文書を公開リポジトリ(github.com/fxirjp)へ収載しました。基準線159.483円を含む事前登録文書PR-001は、このとき既に収載されています。

    判定が成立したのは翌8月13日の終値確定時点であり、基準の固定が結果に先行していたことは、リポジトリのコミット履歴という当研究所以外が管理する記録から確認できます。あわせて、収載内容のハッシュ値を記載した文書について公開タイムスタンプへの登録を申請済みです(外部確定の処理は継続中であり、現時点で確認できるのは登録が受理された事実までです)。

    判定根拠となった1分足データはCSV形式で公開し、SHA-256ハッシュを付しています。同一データから同一の判定を再計算できます。

    ■ なぜ「半減期」を測るのか

    介入の評価は「効いたか、効かなかったか」で語られがちですが、当研究所は「効果がどれだけ持続したか」を測定対象としています。介入直後の値動きは各社の報道で共有される一方、効果が何営業日で失われたかは、定義と手順を公開したうえで測定しなければ比較できません。

    測定はエピソード単位で行っています。介入日単位で見ると、次の介入までの観測窓が1営業日以下となる事例が13件中5件あり、半減期そのものが測定できないためです。

    ■ 過去5エピソードとの比較

    エピソード/期間/投入額/半減期

    E1 2022年9月22日       2.84兆円    1営業日
    E2 2022年10月21日〜24日    6.35兆円    5営業日
    E3 2024年4月29日〜5月1日   9.79兆円   15営業日
    E4 2024年7月11日〜12日    5.53兆円   431営業日
    E5 2026年4月30日〜5月6日   11.73兆円    5営業日
    E6 2026年7月30日〜8月3日   12.70兆円(推計) 8営業日

    投入額はE1〜E5が財務省公表の確定値、E6は報道推計です。E6の確定値は2026年8月28日の財務省月次公表を待ちます。

    半減期は1営業日から431営業日まで分布しています。5.53兆円のE4が431営業日、その2倍以上を投じた11.73兆円のE5が5営業日であり、投入額の大小だけでは両者の差を説明できません。

    一方、投入額と半減期の関係そのものについては、効果の回収が観測された5件を対象とした順位相関がρ=+0.205、p=0.741であり、統計的に結論できません。当研究所は「結論できない」を正式な研究結果として記録しています(会則第22条)。

    ■ 事前登録している次の判定——9月の日本銀行会合

    当研究所は、介入効果の持続にはマクロ環境の変化が寄与しうるとの仮説を立て、その判定条件を第1論文の公開時点で固定しています。最終介入日を起点として、(1)日本銀行の政策金利が25bp以上引き上げられる、(2)米2年国債利回りが50bp以上低下する、(3)ドル円の20日実現ボラティリティが直近1年の90パーセンタイルを超える——のいずれかが「半減期の到達より前に」発生した場合に、当該エピソードを該当と分類します。

    「半減期の到達より前に」という順序条件が本質です。効果が消滅した後に起きた政策変更は、その介入の持続性を説明しません。

    この仮説は、当研究所自身の手で一度反証されています。E5では2026年6月16日に日本銀行の利上げが実施されましたが、これは最終介入日から29営業日後であり、効果は既に5営業日で消滅していました。「政策変更が来れば効果は持続する」という単純な命題は成立しません。

    E6については、2026年9月の日本銀行金融政策決定会合が判定対象となります。

    ■ 訂正の履歴を消さない

    当研究所は、第1論文の初期版で「直前の価格速度と半減期に負の相関がある」と報告し、これを撤回しています。右打ち切りの不適切な処理と、連続介入日を独立標本として扱っていた誤りによるものです。撤回の事実と理由は削除せず、訂正記録として公開しています(会則第30条・第32条)。

    外れた予測や撤回した分析が記録に残らない限り、的中だけを数えることに意味はありません。訂正履歴の公開は、当研究所にとって負債ではなく資産です。

    ■ 本判定が示していないこと

    報道・引用にあたり、以下の3点を明確にお伝えします。

    第一に、159.483円は当研究所が観測のために事前登録した基準であり、通貨当局の防衛線ではありません。当局が特定の水準目標を持つか否かについて、当研究所は判断を示していません。

    第二に、基準線の突破は「介入の失敗」や「再介入の予告」を意味しません。介入効果を測定するうえでの一区切りにすぎません。

    第三に、本判定は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。当研究所は金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業を行いません(会則第42条・第43条)。

    ■ 今後の公表予定

    2026年8月28日 財務省の月次公表によりE6の投入額が確定(現在は推計値)
    2026年9月   日本銀行金融政策決定会合。事前登録した判定条件の対象
    2026年11月上旬 財務省の四半期公表によりE6の日次内訳が判明
    確定後     第1論文の次版で6エピソードでの再計算を実施

    第1論文の本文は、データ末尾2026年8月7日時点の分析として凍結しており、今回の確定を受けて遡及改稿することはありません(会則第19条・第23条)。確定値の取り込みは版を改めて行います。

    ■ 所長コメント(上村 十勝)

    事前登録の価値は、当たったか外れたかではない。基準が結果より先に存在したことを、こちらを信じずに確かめられる点にある。

    今回、第7営業日のザラ場は基準線に触れていた。規則を読み替えれば7営業日にできたが、しなかった。読み替えなかったことを第三者が記録から確認できる——研究として意味があるのは、その部分だけである。

    介入の効果がどれだけ続くかは、市場参加者にとっても政策論議にとっても重要な論点だが、測定方法が公開されなければ、誰の数字も検証できない。当研究所は結論を売っていない。結論を疑うための手順を配っている。

    ■ 第三者による検証手順

    1. 公開リポジトリを取得する
        git clone https://github.com/fxirjp/fxir.jp

    2. 事前登録文書PR-001が、2026年8月13日より前のコミットに含まれることをコミット履歴で確認する

    3. 公開されている1分足CSVのSHA-256を照合する

    4. 判定規則に従って再計算し、8営業日が再現されることを確認する

    判定記録および根拠データ:https://fxir.jp/live.html
    事前登録文書PR-001:https://fxir.jp/pr-001.html
    検証手順の詳細:https://fxir.jp/verify.html

    ■ 為替介入研究所について

    日本の通貨当局による外国為替平衡操作(為替介入)を、公的一次資料と原観測市場データのみによって検証する研究機関です。2026年8月8日開設。AIMQL合同会社の研究部門であり、独立した法人格を有しません。

    全68条の会則により、すべての情報をFACT(一次資料で確認済み)/CONFIRMED(確認済み)/ESTIMATE(推計)/HYPOTHESIS(反証条件つき仮説)/UNVERIFIED(未確認)に区分して表示することを義務づけ、推計を事実として表示すること、公的確認前に「介入確定」等と断定すること、煽動的表現を用いることを禁止しています。

    研究成果・データ・計算コード・訂正履歴はすべて無料で公開しています(CC BY 4.0)。標語は「Don't trust, verify.(信用するな、検証せよ)」であり、この原則は当研究所自身の研究成果にも適用されます。

    会則全文:https://fxir.jp/rules.html
    研究一覧:https://fxir.jp/research.html