プレスリリース
クラウドコンピューティング市場、2035年に2兆5,675億2,000万米ドルへ拡大|CAGR 13.92%、生成AI・マルチクラウド・データセンター需要が世界的なクラウド移行を加速
AIを「利用する企業」からAIを前提に経営基盤を再構築する企業へ――クラウドコンピューティング市場は2兆5,675億2,000万米ドル規模へ拡大する新たな成長局面に突入

世界のクラウドコンピューティング市場は、2025年の6,974億5,000万米ドルから2035年には2兆5,675億2,000万米ドルへ拡大し、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)13.92%で成長すると予測されています。この成長を従来型の「オンプレミスからクラウドへの移行」だけで説明することはできません。現在の市場を押し上げているのは、生成AI、AIエージェント、大規模言語モデル、リアルタイム分析、デジタルツイン、IoT、サイバーセキュリティなどを企業活動へ組み込むうえで、膨大な演算能力と柔軟なデータ基盤が不可欠になっていることです。Gartnerも、2025年の企業向けパブリッククラウドサービス市場ではAIがクラウド全般の導入を加速させ、ハイパースケーラーによるAI最適化型、分散型、ソブリンクラウドインフラの拡大が成長を牽引したと指摘しています。
クラウドコンピューティングとは、ローカルサーバーやパーソナルコンピューターではなく、インターネット上でホストされているリモートコンピューターのネットワーク上でデータを処理、保存、処理する技術のことです。主に、すべてのネットワーク機器から同時にアクセスできる集合的な記憶領域を指します。 クラウドは今や単なるITコスト削減手段ではなく、新商品開発の速度、AIサービスの投入能力、データ活用、グローバル展開、事業継続性を左右する経営インフラへと位置付けが変わっており、この構造変化が2030年代に向けた市場拡大の中核となっています。
生成AIとエージェント型AIの普及がクラウド需要の質を一変――GPUだけではなくCPU、独自ASIC、ネットワーク、ストレージを統合したAIネイティブ基盤が競争の中心へ
クラウド市場で最も大きな変化を生み出しているのが、生成AIからエージェント型AIへと進むコンピューティング需要の高度化です。従来のクラウド利用では、Webアプリケーション、データ保存、ERP、CRMなど比較的予測可能なワークロードが中心でしたが、AIモデルの学習・推論ではGPU、CPU、高帯域メモリ、高速ネットワーク、大容量ストレージを同時に最適化する必要があり、クラウド事業者の設備設計そのものが変わっています。Microsoftは2026年に、AzureのAI・HPC基盤へAMDの次世代AIプラットフォームやEPYCプロセッサを導入し、特定ベンダーだけに依存しない異種混在型インフラの拡大を進めています。 同社はさらに自社AIアクセラレーター「Maia 200」やCobalt CPUの展開も進めており、クラウド競争は単純なデータセンター数ではなく、1ドル当たりの推論性能、電力効率、モデル選択肢、ネットワーク遅延、開発環境まで含むフルスタック最適化へ移っています。 その結果、企業側でも「どのクラウドを採用するか」という従来の選択から、「どのAIワークロードをどのクラウド、どのチップ、どのリージョンで処理するか」という高度なマルチクラウド戦略が重要になりつつあります。
世界のクラウド競争はサービス開発競争から巨大資本を伴うインフラ競争へ――電力・半導体・冷却・通信網の確保が新たな参入障壁を形成
AI需要の急増は、クラウドコンピューティング市場を過去最大級の設備投資サイクルへ押し上げています。TrendForceは2026年5月、Google、AWS、Meta、Microsoft、Oracle、ByteDance、Tencent、Alibaba、Baiduの世界主要9社による2026年の設備投資総額を約8,300億米ドルと予測し、前年比成長率を約79%へ上方修正しました。 これはクラウド事業における競争条件が、ソフトウェアや価格だけでなく、GPUやASICの調達力、データセンター建設能力、送電網へのアクセス、水・冷却設備、海底ケーブル、土地確保などへ広がっていることを示しています。Microsoftは2026年6月、米テキサス州Pecosに新データセンターキャンパスを建設し、世界全体のデータセンター容量を約2GW追加する計画を発表しました。 一方で、設備投資が急拡大するほど投資回収期間、電力価格、半導体供給制約、地域社会との調整といったリスクも大きくなります。したがって2030年代のクラウド市場では、単に最も大きなデータセンターを建設できる企業ではなく、演算能力を高稼働率で収益化し、エネルギー効率と資本効率を同時に改善できる事業者が優位性を確保する構図が強まるとみられます。
主要企業のリスト:
• Amazon Web Services (AWS)
• Microsoft Azure
• Google Cloud Platform (GCP)
• IBM Cloud
• Oracle Cloud
• Alibaba Cloud
• Salesforce
• SAP Cloud
• VMware
• Rackspace Technology
• Tencent Cloud
• Adobe Cloud
• Hewlett Packard Enterprise (HPE) Cloud
• Fujitsu Cloud
• Cisco Systems Cloud
• Dell Technologies Cloud
• Workday
• ServiceNow
• DigitalOcean
• Red Hat (an IBM subsidiary)
2025年から2036年へ連なるクラウド・AIインフラ市場の重要転換点――大型投資、AIデータセンター稼働、グローバル接続強化を時系列で読み解く
• 2025年:AIクラウド投資の大型化が鮮明に。 Googleは2025年10月、インドのVisakhapatnamに同社初のAIハブを構築し、2026~2030年の5年間で約150億米ドルを投資する計画を発表しました。ギガワット級のコンピュート能力と国際通信ゲートウェイを組み合わせる構想であり、クラウド投資がデータセンター単体から国家規模のデジタルインフラへ拡大していることを象徴しています。
• 2026年:設備投資競争がさらに加速。 TrendForceは主要9クラウドサービスプロバイダーの2026年設備投資を約8,300億米ドルと推計し、AIサーバーとデータセンター能力の確保がクラウド戦略の最重要テーマとなっています。 Microsoftも2026年6月に約2GWの容量を追加するPecosキャンパスを発表しており、大規模AI処理への需要が長期化することを前提とした投資が進んでいます。
• 2027年:AIインフラの実運用拡大が焦点。 CerebrasとGimlet Labsは約100MW規模のAIハードウェア展開を進め、GimletはCerebrasのCS-4を2027年からクラウド基盤で提供する計画を示しており、AI推論特化型クラウドの選択肢が増える可能性があります。
• 2030年:クラウド、通信、AI基盤が一体化する節目。 Googleのインド向け150億米ドル投資計画が2030年まで続くほか、同社は2026年に米国・インド間を軸とした海底ケーブル・光ファイバー拡張構想「America-India Connect」も発表しており、クラウド競争が国際接続性まで含む形へ進んでいます。
• 2036年:これは現時点の確定ニュースではなく長期的な戦略注目点ですが、**AIモデルの常時稼働、ロボティクス、自律型業務システム、産業デジタルツインが広く普及すれば、2035年以降もコンピューティング需要が継続し、クラウドはITサービス市場という枠を超え、電力・通信・半導体を統合する社会インフラ産業へ接近していく可能性があります。
ソブリンクラウドとデータレジデンシーが新たな市場軸へ――金融、政府、医療、通信など規制産業で「どこにデータが存在するか」がクラウド選定を左右
市場拡大のもう一つの重要な方向性が、ソブリンクラウド、データ主権、地域内処理への需要増加です。AIの企業導入が進むほど、顧客情報、決済情報、医療情報、政府データ、知的財産など極めて機密性の高い情報がクラウド上で処理されるため、性能や価格だけでなく「データがどの国に保存されるのか」「どの法律が適用されるのか」「運用者が誰なのか」が調達条件になります。SAPは2025年9月、インドでSAP Sovereign Cloudを発表し、データ、運用、技術、法的側面の4つの主権を重視したサービス展開を進めています。 こうした動きは欧州やアジア、中東を含む各地域で加速すると考えられ、グローバルに一つの巨大クラウドを運用するモデルだけでなく、国・地域ごとに独立性を高めたクラウド環境を構築する分散型アーキテクチャへの投資が増える可能性があります。その結果、地域通信事業者、データセンター事業者、セキュリティ企業、システムインテグレーターにも新たな事業機会が生まれ、クラウド市場の競争構造はハイパースケーラー数社だけでは説明できない多層的なエコシステムへと変化していくでしょう。
セグメンテーションの概要
サービスモデル別
• サービスとしてのインフラ
• サービスとしてのプラットフォーム
• サービスとしてのソフトウェア
展開モデル別
• パブリッククラウド
• プライベートクラウド
• ハイブリッドクラウド
組織規模別
• 中小企業
• 大企業
業種別
• 銀行、金融サービス、保険 (BFSI)
• ヘルスケア
• IT および通信
• 小売
• 政府機関
• 製造業
• その他
マルチクラウドとハイブリッドクラウドが企業ITの標準設計へ――AI時代には価格比較よりワークロード単位で最適なインフラを選ぶ能力が経営競争力に直結
企業ユーザー側では、単一のクラウドへ全面移行するモデルから、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス、エッジを組み合わせるハイブリッド/マルチクラウド構成への移行が進んでいます。特にAI導入では、モデル学習には大量のGPUを持つハイパースケーラーを利用しながら、機密データを扱う推論処理は自社データセンターや国内リージョンで実施するといった使い分けが合理的になります。さらに企業は、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど複数の基盤を併用することで、ベンダーロックインを抑えながら、料金、性能、地域性、AIモデル、データサービスの違いを活用できます。一方、この構造はFinOps、クラウドセキュリティ、データガバナンス、API管理、可観測性、コンテナ管理などの需要を拡大させるため、クラウド市場の成長はIaaSだけでなく運用・最適化・セキュリティを担う周辺市場へ波及します。経営層にとって重要なのはクラウド費用そのものを最小化することではなく、ワークロード単位で「どこで処理すれば最も高い事業価値を生み出せるか」を判断する能力であり、こうしたクラウドアーキテクチャ設計力がデジタル企業と非デジタル企業の競争力格差をさらに広げる可能性があります。
急成長の裏側で高まる電力不足、設備投資回収、サイバーセキュリティの課題――2030年代のクラウド市場では「規模」だけでは勝てない時代へ
市場が13%台の高い成長率を維持すると予測される一方、クラウド事業者と利用企業の双方が無視できない課題も増えています。第一にAIデータセンターは従来型施設よりはるかに高い電力密度を必要とするため、送電網への接続期間、発電能力、再生可能エネルギー調達、冷却水、地域住民との合意形成などがプロジェクト期間を左右します。第二に、巨額設備投資を続けるクラウド事業者には、AIサービス収益を十分な速度で拡大し投資を回収できるかという資本効率上の課題があります。Microsoftだけでも2026年度第4四半期の設備投資額は410億米ドルに達し、その約3分の2がCPU・GPUを中心とする比較的短寿命の資産に充てられました。 第三に、複雑化するマルチクラウド環境ではID管理、API、サプライチェーン、設定ミスを狙う攻撃面も広がります。このため今後は、売上成長だけではなく、1MW当たりの売上高、GPU稼働率、電力利用効率、AI推論単価、セキュリティ水準、設備投資回収期間といった指標がクラウド事業者の競争力を評価するうえで一段と重要になると考えられます。
地域別
北アメリカ
• アメリカ
• カナダ
• メキシコ
ヨーロッパ
• 西ヨーロッパ
• イギリス
• ドイツ
• フランス
• イタリア
• スペイン
• その地の西ヨーロッパ
• 東ヨーロッパ
• ポーランド
• ロシア
• その地の東ヨーロッパ
アジア太平洋
• 中国
• インド
• 日本
• オーストラリアおよびニュージーランド
• 韓国
• ASEAN
• その他のアジア太平洋
中東・アフリカ(MEA)
• サウジアラビア
• 南アフリカ
• UAE
• その他のMEA
南アメリカ
• アルゼンチン
• ブラジル
• その他の南アメリカ
2035年に向けてクラウドは「ITサービス」から世界経済を支える演算・データ・AIプラットフォームへ――企業に求められるのは移行ではなくクラウドを起点とした事業再設計
2035年に2兆5,675億2,000万米ドル規模へ拡大すると予測されるクラウドコンピューティング市場では、今後の競争優位を決定するのはクラウド導入率そのものではなく、クラウド上の演算能力、データ、AIモデルをどれだけ事業成果へ転換できるかという点になります。Microsoftの2026年度第4四半期売上高は前年同期比18%増の900億米ドルとなり、同社はクラウドとAIの需要を主要な成長要因として挙げています。 この動きが示すように、企業ITの中心はサーバーやソフトウェアを所有することから、必要な演算能力を必要な場所で利用し、その上でAIサービスを継続的に開発するモデルへ移行しています。日本企業を含む利用企業には、単純なクラウド移行計画ではなく、AI活用ロードマップ、データガバナンス、ソブリン要件、マルチクラウド管理、FinOps、セキュリティ、人材育成までを一体で設計する経営判断が求められます。クラウドコンピューティング市場の次の10年は「ITインフラの外部化」の延長線ではなく、企業活動そのものをAIネイティブへ再構築する世界的な産業転換期として捉える必要があり、その変化に早期対応できる企業ほど、2030年代のデジタル競争において大きな選択肢を確保できると考えられます。
クラウドコンピューティング市場:日本企業が次の成長を取り込むために、どこへ投資すべきか
• AI時代の企業競争力を左右する「クラウド基盤」への投資を、単なるIT更新から経営戦略へ転換する必要性
クラウドコンピューティング市場で今後重要になるのは、既存システムをクラウドへ移行するだけの投資ではなく、生成AI、データ分析、AIエージェント、新しいデジタルサービスを継続的に稼働させられるクラウド基盤を構築することです。国内市場ではクラウド移行の対象が比較的移行しやすいWebシステムなどから、レガシーシステムやスクラッチ開発システムへ広がっており、企業のクラウド投資は次の段階へ移行しています。IDC Japanも、生成AIの進化がパブリッククラウド市場の成長を加速させていると分析しています。MarketResearch.com そのため経営層にとっては、単純なサーバー移行費用を比較するのではなく、AI活用、データ統合、アプリケーション開発、業務自動化までを含めた**「クラウドを成長基盤として使い切るための投資」**として評価することが重要になります。
• パブリッククラウドだけでなく、ハイブリッド・マルチクラウドを組み合わせた柔軟なITアーキテクチャが投資判断の中心になる
日本企業のクラウド投資では、単一クラウドへの依存を前提とするのではなく、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスを組み合わせ、用途に応じて複数のクラウドを使い分けるアーキテクチャが重要性を増しています。矢野経済研究所によると、2025年の国内IaaS/PaaS市場は2.71兆円に達し、クラウド移行の進展とともにハイブリッド/マルチクラウドの戦略的利用が拡大しています。yanoresearch.com この環境では、企業が投資すべき対象もクラウド利用料そのものから、クラウド最適化、統合管理、セキュリティ、データ連携、FinOps、マネージドサービスへ広がります。特に大規模企業では、既存IT資産をすべて一度に置き換えるよりも、業務特性やデータの重要度に応じて最適な環境を配置することが、コストと事業継続性の両面から重要な投資テーマになります。
• 生成AI・AIインフラ・データセンターを一体で捉え、日本の「AI対応クラウド需要」を先取りすることが成長機会になる
日本のクラウド投資を考える上で、今後特に注視すべき領域が生成AIを支えるAIインフラとデータセンターです。IDCによれば、日本のAIインフラ市場は2025年に6,700億円規模となり、2026年には5,500億ドルではなく55億ドル超の支出規模に達すると見込まれています。また、2028年にはAIインフラへの支出が非AIインフラを上回る転換点になるとの見通しも示されています。IDC これはクラウドサービス事業者だけのテーマではなく、GPUサーバー、ストレージ、ネットワーク、液冷、電力設備、データセンター運用、AI向けマネージドサービスなど、クラウドの周辺バリューチェーン全体に投資機会が波及する可能性を示しています。したがって企業は、クラウドサービスそのものだけを見るのではなく、AIワークロードの増加によって新たに必要となるインフラとサービスまで投資対象を広げて評価する必要があります。
• 日本独自のデータ主権・セキュリティ・政府クラウド需要を捉え、「ローカル対応力」を競争優位につなげる投資戦略
日本でクラウド事業を拡大する企業にとって、グローバルな価格競争だけではなく、データ所在地、セキュリティ、規制対応、公共分野への対応力、国内サポート体制が重要な差別化要因になります。米国商務省によれば、2025年6月時点で日本政府のGovernment Cloudに認定された主要プロバイダーにはAWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle、さくらインターネットが含まれています。Trade.gov また、総務省もクラウド市場の拡大とともに、生成AIなど新技術の利用拡大をクラウド需要の重要な要因として挙げています。IIJ GIO そのため、日本市場を狙う企業にとっては、単に海外で成功したクラウドモデルを持ち込むのではなく、日本の企業・政府・金融・医療・製造業が求めるセキュリティ、データガバナンス、コンプライアンス、サポート体制を組み込む投資が市場参入・拡大の重要な論点になります。
• クラウド市場の成長を「利用企業」だけでなく、業界特化型サービス・マネージドサービス・エコシステム投資へ広げることが次の市場機会を形成する
今後の日本クラウド市場では、単純なIaaS/PaaS/SaaSの提供能力だけでなく、企業の業務変革まで支援できる業界特化型クラウド、マネージドサービス、AI統合、データ分析、セキュリティ、アプリケーションモダナイゼーションを組み合わせたビジネスモデルが重要になります。IDCは、日本企業のクラウド活用がIT・業務効率化を目的とした導入段階から、DXやデータドリブン型ビジネスを実現する高度活用へ移行していると指摘しています。IDC つまり、今後の投資判断では「どのクラウドを導入するか」だけでなく、**「クラウド上でどの産業課題を解決し、どの付加価値を収益化するか」**がより重要になります。製造、金融、医療、小売、通信、公共など、それぞれの業務データや規制要件に合わせたクラウドソリューションを構築できる企業にとって、日本のクラウド市場の拡大はインフラ需要にとどまらず、長期的なデジタル事業の成長機会へつながる可能性があります。
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