報道関係者各位
    プレスリリース
    2026年11月2日 06:00
    公益財団法人名古屋産業科学研究所

    植物へのダメージを抑え、微小害虫を無力化する 「防除用マイクロレーザモジュール」の開発プロジェクトを開始

    〜2026年12月18日「アグリビジネス創出フェア in 東海」にてデモ機展示〜

    公益財団法人名古屋産業科学研究所(所在地:愛知県名古屋市、以下「名産研」)は、名産研が保有する技術(特許出願済)を活用し、株式会社ユニタック(所在地:広島県尾道市、以下「ユニタック」)と共同で、農業用ロボット等への搭載を想定した「微小害虫防除用マイクロレーザモジュール」の研究開発を開始しました。

    パルスレーザ照射試験の一例。矢印はレーザ照射によって無力化された微小害虫
    パルスレーザ照射試験の一例。矢印はレーザ照射によって無力化された微小害虫

    ■ 開発背景

    名産研が座長を務める「先進パルスレーザーによる機能創成と産業応用研究会」は、愛知県発の先進パルスレーザ技術を活用した材料機能創成技術の社会実装を目的として、2026年に設立され、国内外の企業・大学との協働により、ものづくり産業をはじめ、建築、医療、バイオ・ヘルスケア、アグリなど、多様な社会課題の解決を目指しています(下記リンク参照)。

    同研究会のアグリ分野におけるプロジェクトとして、農林水産省の「みどりの食料システム戦略」が掲げる「化学農薬の使用量(リスク換算)50%低減」の実現や、薬剤抵抗性を持つ体長2~3mm程度の微小害虫への対応、環境負荷の低減に向け、パルスレーザの活用を検討してきました。その取り組みが広島県令和8年度「広島県環境・エネルギー産業集積促進補助金」に採択され、ユニタックが研究代表機関となり、名産研、特定非営利活動法人東海地域生物系先端技術研究会(愛知県)、ベーシックバイオ合同会社(愛知県)、株式会社blleggtec(東京都)を協力機関とする実用化推進体制を構築しました。

    ■ 新技術の特長

    1. 植物へのダメージを抑えながら、微小害虫を無力化

    サブナノ秒(10億分の1秒以下)という極めて短いパルス幅で、ピーク出力2メガワットの高出力レーザを直径1mm以下の微小なスポットに集光して照射します。プロジェクトでは、ハイスピードカメラによる撮影・画像解析により、レーザ照射によって微小害虫(アオバハゴロモの幼虫)が物理的に無力化される瞬間と、その詳細な過程を捉えました(下記リンク参照)。

    植物では葉の表層に微細な照射痕が認められる場合もありますが、葉全体の健全性は維持されています。今後、照射条件を最適化することで、害虫への効果を維持しながら、植物へのダメージをさらに低減することを目指します。また、レーザ光を数センチ以内の近距離で集光させる光学設計により、安全距離を設定できる構造としています。

    2. ロボットに後付け可能な小型レーザモジュール

    マイクロチップレーザは、単4電池程度のサイズを想定した小型化が可能で、既存のロボットアームなどへの搭載が期待されます。また、レーザ光源も小型で、DC12V駆動に対応するなど、可搬性に優れた構成を目指しています。今後は、施設園芸などの現場で想定される高温多湿、粉塵、振動といった環境に対応できる堅牢性についても検討を進めます。

    3. 難防除害虫や薬剤抵抗性害虫に対する新たな防除アプローチ

    レーザ照射による物理的な防除は、薬剤抵抗性の有無に左右されにくい新たなアプローチです。カイガラムシなど、殻やロウ質の物質に覆われた難防除害虫への適用も視野に入れ、対象害虫に応じた照射条件や防除効果の検証を進めます。既存の防除法と組み合わせることで、総合的な病害虫管理に新たな選択肢を提供することを目指します。

    ■ 展示会出展のお知らせ

    まずは大学・研究機関向けの研究機器としての提供を検討しており、2026年12月18日に開催される「2026年度アグリビジネス創出フェア in 東海」において本レーザモジュールのデモ機を展示予定です(下記リンク参照)。

    当日は、防除用マイクロレーザモジュールのデモ機に加え、照射試験の映像もご覧いただけます。微小害虫対策に関する研究開発や、農業用ロボットへの応用に関心をお持ちの方は、ぜひ会場でデモ機や照射試験の映像をご覧ください。

    ■ 今後について

    名産研では、「先進パルスレーザーによる機能創成と産業応用研究会」の活動を通じて、研究者と企業の技術交流や産業ニーズとのマッチングを促進し、農業、インフラ、医療・バイオなど幅広い分野での共同研究テーマの創出と、愛知県発の先進パルスレーザー技術の社会実装を推進します。

    ■ 本プレス配信に関するお問い合わせ

    公益財団法人 名古屋産業科学研究所 中部TLO
    担当:藤川
    E-mail: ctlo.sangakurenki2@nisri.jp