プレスリリース
日本の医療機器ソフトウェア(SaMD)市場2026~2033年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本の医療機器ソフトウェア(SaMD)市場2026~2033年、英文タイトル:Japan Software as a Medical Device Market Research 2026-2033」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のSoftware as a Medical Device(SaMD、医療機器プログラム)市場は、医療のデジタル化やAI活用の進展を背景に、高い成長が見込まれている。市場規模は2025年に2,293万米ドルに達し、2033年には9,620万米ドルまで拡大すると予測されている。2026~2033年の年平均成長率(CAGR)は17.3%とされ、今回提示された市場の中でもかなり高い成長率を示す分野である。市場データの対象期間は2023~2033年、予測期間は2026~2033年で、売上高ベースで評価されている。
SaMDとは、病気の診断、治療方針の提案、患者の状態監視、臨床上の意思決定支援など、医療目的で使用されるソフトウェアを指す。従来の医療機器に組み込まれる単なる制御ソフトとは異なり、スマートフォン、タブレット、PC、クラウド環境などの汎用的なデジタル基盤上で独立して動作できる点が特徴である。AI、機械学習、クラウドコンピューティングなどの高度な技術を利用することで、診断精度の向上、医療従事者の業務効率化、患者モニタリングの高度化、治療成果の改善などが期待されている。また、物理的な医療機器に比べてソフトウェアは配布・更新・拡張を行いやすいため、アクセス性とスケーラビリティの高さも市場成長を支える重要な要素となっている。
日本市場の主要な成長要因の一つが、医療分野におけるクラウドコンピューティングとIoTの統合拡大である。クラウド型プラットフォームを利用することで、患者の医療データを安全に保存し、必要な医療従事者がリアルタイムに情報へアクセスし、高度な分析を行うことが可能になる。これにより診療プロセスの効率化や意思決定の迅速化が進む。特に画像診断、遠隔診療、慢性疾患管理、在宅医療などでは、複数の医療機関や患者宅から収集されるデータをクラウド上で統合できることのメリットが大きい。
IoT機器との連携も重要である。ウェアラブル端末、各種センサー、家庭用モニタリング機器などから患者データを継続的に収集し、SaMDで解析することで、患者の状態をリアルタイムに把握できるようになる。これにより、遠隔モニタリング、遠隔診断、疾患の早期発見などが可能になり、不要な通院を減らしながら患者の健康状態を継続的に管理できる。クラウドとIoTを組み合わせることで、大量の患者データを収集・蓄積し、AIなどで解析し、その結果を医師や患者にフィードバックする一連のデジタル医療基盤が構築されつつある。このクラウド、IoT、AIの融合がSaMD分野のイノベーションを加速させ、新たな市場機会を生み出している。
特に日本では高齢化が進行しており、病院への頻繁な通院が難しい患者や、複数の慢性疾患を抱える患者が増えている。このため、医療機関だけに依存せず、自宅や介護施設などで患者を継続的にモニタリングできるSaMDの価値は高い。遠隔診療や在宅医療との連携が進めば、医療アクセスの地域格差の縮小にもつながる可能性がある。
一方、日本市場の拡大を妨げる要因として、高齢患者や一部の医療従事者におけるデジタルリテラシーの不足が指摘されている。日本は高齢者人口の割合が非常に高いため、スマートフォンアプリやオンライン診療システム、AIを利用した医療ソフトウェアなどに慣れていない患者が多いことが課題となる。SaMDが高度な機能を持っていても、患者が適切に操作できなければ、遠隔モニタリングやデジタル診断のメリットを十分に享受できない。
医療従事者側にも同様の問題がある。長年、従来型の診療フローで業務を行ってきた医師や医療スタッフにとって、SaMDを既存の診療プロセスに組み込むことが負担になる場合がある。ソフトウェアの使用方法を十分に理解できていないと、誤った操作や活用不足につながる可能性があり、結果としてSaMDへの信頼を低下させる恐れもある。また、デジタルツールの導入によって診療フローそのものを変更する必要が生じる場合、現場での抵抗感が生まれることも考えられる。そのため、製品の性能向上だけでなく、操作性の改善、医療従事者向け教育、患者向けサポート、既存の電子カルテや業務システムとの円滑な連携が普及の重要な条件となる。
市場は主に「用途」と「適応疾患」によって分類されている。用途別では、疾患管理、診断、治療モニタリング、予測的健康分析、その他に分けられる。適応疾患別では、糖尿病、メンタルヘルス、がん、心血管疾患、呼吸器疾患、その他が対象となっている。この中で、用途別では診断分野が最大の市場シェアを占めると予測されている。
診断とは、画像検査、臨床検査、各種評価・分析などによって疾患、異常、健康状態を特定するプロセスであり、予防医療、早期治療、治療方針決定の基盤となる。近年はAIやソフトウェアを利用した診断支援が急速に進み、従来は医師が目視や経験に基づいて判断していた検査データを、AIが解析して異常の可能性を提示する仕組みが広がっている。これにより診断の正確性や効率性が向上し、医師の負担軽減にもつながる。
診断分野の成長を支えている要因として、がんなどの疾患を早期に発見する必要性、糖尿病や心血管疾患など慢性疾患の増加、AIを活用した医用画像解析技術の進歩、データアナリティクスの高度化などが挙げられる。また、遠隔診断や遠隔医療の普及によって、専門医が不足している地域でもデジタル技術を利用して診断支援を提供できるようになりつつある。AI搭載診断ソフトウェアやクラウド型プラットフォームに対する規制当局の承認が増えることも、市場拡大を後押ししている。
さらに、SaMDは精密医療や個別化医療との親和性が高い。患者ごとの画像、検査値、遺伝情報、病歴などを解析し、その患者に適した診断や治療方針を提示できれば、画一的な治療から個別化された医療への移行を加速できる。医療機関にとっては診断精度を高めながらコストを抑えることが重要であるため、費用対効果が高く、正確性に優れたデジタル診断ソリューションへの需要が高まっている。
具体的な事例として、2025年1月には韓国の医療AI企業Monitor Corporationが、日本のデジタルヘルス企業Doctor-NETと提携し、肺がん診断支援ソフトウェアを日本で販売する取り組みを進めた。同社の「MONCAD CTLN」は、胸部CT画像をAIで解析し、放射線科医による肺がんの検出を支援するソフトウェアである。Doctor-NETは日本国内における同製品の製造販売に関する認証を取得しており、海外AI企業と国内デジタルヘルス企業の提携によって日本市場への展開を進める一例となっている。このような戦略的提携は、SaMD企業が日本の規制や販売ネットワークに対応しながら市場参入を加速する有効な手段になっている。
競争環境では、Japan Medical Device Corporation、Nipro Corporation、Micron、Olympus Medical Systems、Anautなどが主要企業として挙げられている。既存の医療機器メーカーだけでなく、AI企業、IT企業、デジタルヘルス企業などが参入しており、今後は医療機器とソフトウェアの境界がさらに曖昧になっていくと考えられる。特にAI画像診断、臨床意思決定支援、患者モニタリング、慢性疾患管理などを中心に競争が活発化する見込みである。
2026年には、日本のSaMD市場において複数の重要な動きが示されている。5月には、全国医療情報プラットフォームの統合がさらに進展し、電子カルテ(EHR)、遠隔医療システム、SaMD間の相互運用性を高める取り組みが拡大したとされる。医療機関ごとに分断されていたデータをより容易に共有できるようになれば、SaMDが利用できる医療データの量と質が向上し、AI診断やデジタル治療の精度向上につながる。また、医療データが複数施設間で円滑に流通することで、SaMDを診療の一部として導入しやすくなる。
2026年4月には、AIを利用した診断系SaMDの導入がさらに拡大したとされる。疾患検出、画像解析、臨床意思決定支援などでAIソフトウェアの利用が増加しており、政府主導による医療デジタル化と、医療現場における診断効率向上への需要が背景にある。また同月には、クラウドとIoTを統合した患者モニタリングプラットフォームの導入も医療機関で加速した。こうしたシステムでは、患者からリアルタイムでデータを取得し、予測分析を行い、必要に応じて医療従事者へ警告を送ることができる。特に高齢患者や慢性疾患患者の管理に有効とされている。
2026年3月には、FujitsuとDT-AxisがSaMD開発支援に関する戦略的協業を開始したとされる。両社は、SaMDの開発そのものだけでなく、規制承認取得、商用化、市場アクセスまでを包括的に支援することを目指しており、日本におけるデジタルヘルスイノベーションやAI搭載医療ソフトウェアの普及加速につながると期待されている。またFujitsuは同月、AIを用いた診断・モニタリングソフトウェアを中心にSaMDポートフォリオを拡大し、医師の臨床意思決定支援や患者アウトカム改善を目指す取り組みを進めたとされている。
2026年2月にはSony CorporationがAI解析を統合した高度な医用画像ソフトウェアソリューションを導入し、診断精度と医療現場のワークフロー効率の向上を目指したとされる。画像診断はSaMD市場の中心領域の一つであり、AIによって画像から異常候補を自動抽出したり、読影を補助したりする技術は、病院や画像診断センターにおける医師不足や業務負担の軽減につながる可能性がある。
2026年1月にはNTT Dataが、遠隔患者モニタリング向けSaMDを含むデジタルヘルスプラットフォームを強化したとされる。遠隔医療と医療データ統合を重視し、高齢化が進む日本において、自宅など医療機関以外の場所でも継続的に患者を管理できる環境の整備を進める動きとして位置付けられている。
これらの動向から、日本のSaMD市場では単独のアプリケーションを販売するだけでなく、電子カルテ、クラウド、IoT機器、遠隔医療、AI解析基盤などを統合した「医療データエコシステム」の中でSaMDを活用する方向へ市場が進んでいることが分かる。今後の競争では、AIアルゴリズムの精度だけでなく、他システムとの相互運用性、リアルタイムデータ処理能力、臨床現場への導入容易性、規制承認取得能力、市場アクセス、医療従事者向けサポートなどが重要になると考えられる。
市場全体をみると、最大の成長機会は診断、慢性疾患管理、遠隔患者モニタリング、予測分析などにある。糖尿病や心血管疾患、がん、呼吸器疾患などの患者数が増える中、定期的な診察だけではなく、患者データを継続的に収集・解析して疾患悪化を予測したり、異常を早期発見したりする仕組みへの需要が高まるとみられる。特にAIを利用した画像診断SaMDは、医師の専門性を補完できるだけでなく、読影時間の短縮や診断の標準化にも寄与する可能性があり、市場成長の中心領域となる見込みである。
一方、市場の成長には、デジタルリテラシー以外にも、SaMDを既存医療の中にどう組み込むかという実装上の課題がある。医師がソフトウェアから提示された結果をどこまで信頼し、どのように最終的な臨床判断へ反映するか、AIの判断根拠をどの程度説明できるか、電子カルテとの連携をどう確保するかなど、技術面と運用面を同時に解決する必要がある。したがって、単に高度なAIモデルを開発するだけでは市場で成功するとは限らず、医療現場のワークフローに自然に組み込める製品設計が重要となる。
総合すると、日本のSaMD市場は、医療デジタル化、AI・機械学習の進化、クラウド利用拡大、IoT機器の普及、遠隔診療・在宅医療への需要増加、高齢化、慢性疾患患者の増加などを背景として、2033年まで非常に高い成長が期待される市場である。特に17.3%という予測CAGRは、SaMDが日本の医療DXにおける重要な成長領域になっていることを示している。クラウドとIoTを活用したリアルタイム患者管理、AIによる画像診断、データに基づく臨床意思決定支援などが今後の中心的な用途になると考えられる。
同時に、高齢患者や医療従事者のデジタルスキル不足、既存診療プロセスへの統合、医療データの相互運用性、規制対応、製品への信頼確保などが市場普及を左右する。今後は「性能の高いソフトウェアを作ること」に加えて、「医療現場で実際に使い続けられる仕組みを作ること」が企業の競争力を決める重要なポイントになる。
レポートでは、市場規模やセグメント分析だけでなく、今後の技術革新、臨床試験や開発パイプライン、製品性能、市場ポジショニング、成長ポテンシャル、患者から得られるリアルワールドデータ、医師の選好、医療制度の変化、規制・政策、新興技術、競争戦略、市場シェア、新規参入企業なども分析対象としている。さらに、価格モデル、償還、市場アクセス、新規市場への参入・提携戦略、サプライチェーン、流通戦略、サステナビリティ、規制対応、市販後監視、価値ベースの価格設定、研究開発におけるデータ主導型意思決定なども扱うとしている。
想定読者は、製薬会社、医療機器メーカー、バイオ企業、受託製造企業、販売代理店、病院などの医療関連事業者に加え、コンプライアンス担当者、政府・規制関係者、医療経済専門家、市場アクセス担当者、AI・ロボティクス企業、研究開発担当者、臨床試験責任者、ファーマコビジランス専門家、医療投資家、ベンチャーキャピタル、製薬企業のマーケティング・営業担当者、医療コンサルタント、業界団体、アナリスト、物流・サプライチェーン担当者、患者・患者団体、保険会社、大学・研究機関など、幅広い関係者を対象としている。
※目次構成
- 市場の導入および調査範囲
レポートの目的
レポートの対象範囲および定義
調査範囲 - エグゼクティブインサイトおよび主要ポイント
市場ハイライトおよび戦略的示唆
主なトレンドおよび将来予測
用途別市場概要
適応症別市場概要 - 市場動向
市場への影響要因
成長要因
ヘルスケア分野におけるクラウドコンピューティングとIoTの統合拡大
クラウドコンピューティング技術の進歩
XX
阻害要因
高齢患者および医療従事者におけるデジタルリテラシーの不足
支援的な規制環境
XX
市場機会
ヘルステック・スタートアップへの投資拡大
XX
影響分析 - 戦略的インサイトおよび業界展望
市場リーダーおよび先駆的企業
新興の先駆的企業および主要プレイヤー
売上上位ブランドを有する有力企業
確立された製品を有する市場リーダー
経営層(CXO)の見解
最新動向および技術的ブレークスルー
ケーススタディ/進行中の研究
規制および償還制度の動向
ポーターの5フォース分析
サプライチェーン分析
SWOT分析
アンメットニーズおよび市場ギャップ
市場参入・事業拡大に向けた推奨戦略
シナリオ分析:楽観・基本・悲観ケース予測
価格分析および価格動向
キーオピニオンリーダー(KOL) - 用途別
はじめに
用途別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
用途別市場魅力度指数
疾患管理*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
診断
治療モニタリング
予測型ヘルスアナリティクス
その他 - 適応症別
はじめに
適応症別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
適応症別市場魅力度指数
糖尿病*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
メンタルヘルス
腫瘍領域
心血管疾患
呼吸器疾患
その他 - 競争環境および市場ポジショニング
競争環境の概要および主要市場プレイヤー
市場シェア分析およびポジショニング・マトリクス
戦略的提携、M&A(合併・買収)
製品ポートフォリオおよびイノベーションに関する主な動向
企業ベンチマーキング - 企業プロファイル
8.1 Japan Medical Device Corporation*
企業概要
製品ポートフォリオ
製品概要
製品主要業績評価指標(KPI)
製品売上高の実績および予測
製品販売数量
財務概要
企業売上高
地域別売上構成比
売上高予測
主な動向
M&A(合併・買収)
主な製品開発活動
規制当局による承認など
SWOT分析
8.2 その他の主要企業
Nipro Corporation(ニプロ株式会社)
Micron, Inc.
Olympus Medical Systems
Anaut Inc.
※企業一覧は網羅的なものではありません。
- 前提条件および調査方法
データ収集方法
データ・トライアンギュレーション
予測手法
データの検証および妥当性確認 - 付録
当社およびサービスについて
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