プレスリリース
日本医療機器市場、2035年1,255億米ドル規模に到達予測|CAGR 8.16%、高齢化・低侵襲治療・遠隔医療・スマート医療機器の普及が成長を後押し
日本医療機器市場、2035年に1,255億米ドルへ――高齢化・医療高度化・デジタル化が支える次世代医療機器需要の拡大

日本医療機器市場は、単純な医療需要の増加だけでは説明できない段階へ移行しており、高齢化に伴う慢性疾患・循環器疾患・がん・整形外科領域などの継続的な診療需要に加え、診断精度の向上、低侵襲治療、手術支援、遠隔医療、医療情報連携などへの投資が市場価値を押し上げる重要な要素となっています。特に日本では、限られた医療人材で質の高い医療を維持する必要性が高まっているため、医療従事者の業務を補完しながら診断・治療・モニタリングの効率を高める機器への関心が強まっています。市場規模は2025年の553億8,000万米ドルから2035年には1,255億米ドルへ拡大すると予測され、2026年から2035年にかけて年平均成長率8.16%で成長すると見込まれており、今後10年間は「台数を増やす市場」から「一台当たりの医療価値を高める市場」への転換が競争力を左右する局面になると考えられます。
医療機器とは、医療目的で使用されるあらゆる装置、ソフトウェア、材料、器具、またはその他の物品であり、単独または(製造業者によって定義された)組み合わせで使用されるものを指します。臨床検査機器も医療機器に分類されます。これらの医療機器は、体液、組織、血液など、体から採取された検体を検査するために使用されます。
医療DXの進展が診断・治療機器を単独製品からデータ連携型医療ソリューションへ変える
日本医療機器産業では、機器そのものの性能だけでなく、診療情報、検査データ、画像情報、患者モニタリングデータなどをどのように医療現場で活用できるかが重要な競争軸になっています。厚生労働省は医療DXを継続的に推進しており、2026年には医療DXに関するダッシュボードの公開や標準型電子カルテに関する取り組みなどが進められています。Ministry of Health, Labour and Welfare こうした環境では、画像診断装置、患者監視装置、検査機器、治療支援システムなどについて、単独で機能する製品よりも、病院内の情報基盤や電子カルテ、診療支援システムと接続し、診療判断の迅速化や業務効率化につなげられる製品の重要性が高まります。メーカーにとってはハードウェアの販売だけでなく、ソフトウェア、データ活用、保守、更新、分析機能を組み合わせた継続的な収益モデルを構築できるかどうかが、今後の市場シェア形成に影響する可能性があります。
人工知能を活用したプログラム医療機器の実用化が進み、医療機器メーカーの競争領域はソフトウェアへ拡大
日本医療機器市場で特に注目される変化の一つが、人工知能を活用したプログラム医療機器の存在感の高まりです。画像診断支援、疾病リスク評価、治療判断支援、患者状態の監視など、従来は医療従事者の経験や目視に大きく依存していた領域にデジタル技術が入り込むことで、医療機器の価値提供方法そのものが変化しています。医薬品医療機器総合機構では、2026年度から革新的なプログラム医療機器に対する優先的な審査等の対象品目を随時募集する仕組みが運用されており、2026年には既存の診療情報、二段階承認、生成AI、リアルワールドデータをテーマとした取り組みも実施されています。PMDA この動きは、今後の市場競争が従来型の医療機器製造能力だけでなく、ソフトウェア開発、データ品質、臨床的有用性、安全性評価、規制対応を総合的に管理する能力へ広がることを示しています。
高度診断・低侵襲治療・手術支援の需要が拡大し、病院の設備投資では「精度」と「生産性」の両立が重要に
日本の医療機関では、高齢患者の増加や複数疾患を抱える患者への対応に伴い、診断から治療までの精度と効率を同時に高める医療機器への需要が形成されています。画像診断、内視鏡、循環器関連機器、整形外科機器、手術支援システム、患者監視機器などでは、より高い精度、操作性、低侵襲性、リアルタイム性が製品選定における重要な要素となります。さらに、人材不足への対応という観点から、検査や治療の自動化・半自動化、操作支援、遠隔監視などを実現する機器の価値も高まっています。したがってメーカー側では、単に新機能を追加するのではなく、検査時間の短縮、再検査の削減、医療従事者の作業負担軽減、患者の回復期間短縮など、医療機関が投資効果を説明しやすい具体的な価値を提示することが重要になります。
主要企業のリスト:
• Olympus
• Terumo
• Nipro
• Nihon Kohden
• Fukuda
• Omron
• Konica Minolta
• Menicon
• Shimadzu Corporation
2025年から2035年にかけては、製品販売中心の事業モデルから保守・更新・データ活用を含む長期関係型モデルへ移行
医療機器は一般消費財と異なり、導入後も保守、校正、ソフトウェア更新、消耗品供給、部品交換、トレーニングなどが必要となるため、メーカーと医療機関の関係は販売時点で終了するものではありません。市場拡大が進むなかでは、新規導入台数の獲得に加えて、既存設備の更新需要やアップグレード需要を取り込むことが安定的な成長につながります。特にデジタル化された医療機器では、ソフトウェア更新によって機能を追加できるため、従来の買い替え型需要とは異なる継続収益機会が生まれます。一方、医療機関側では設備投資に対する費用対効果、導入後の運用負担、既存システムとの互換性、サイバーセキュリティなども重視されるため、今後の競争では製品価格だけでなく、導入から運用、保守、更新までを含めた総保有コストと医療現場への実質的な価値を示すことが重要になります。
規制環境の変化と迅速な承認体制が、革新的医療機器の市場投入スピードを左右する主要因に
医療機器市場では、技術革新のスピードが速くなる一方、安全性、有効性、品質を確保するための規制対応が引き続き重要な経営課題となっています。2026年には医療機器および体外診断用医薬品の条件付き承認に関する取り扱いや、製造販売承認申請に関する通知などが改正されており、革新的な製品を市場へ投入する企業にとって規制戦略の重要性がさらに高まっています。PMDA また、2026年3月には第3期医療機器基本計画の策定に向けた検討も進められており、産業振興と医療現場への革新的技術導入をどのように両立させるかが政策面でも重要な論点となっています。Ministry of Health, Labour and Welfare 今後は研究開発部門だけでなく、臨床評価、品質保証、薬事、製造、販売部門が開発初期から連携し、市場投入までの時間を短縮できる組織能力が企業競争力を左右する可能性があります。
「2025年・2026年・2027年・2035年」で見る市場の転換点――短期の制度変化から長期の産業構造変革へ
• 2025年: 市場規模553億8,000万米ドルを基準として、医療DX、高度診断、低侵襲治療、人工知能を活用した医療機器など、高付加価値領域への移行が成長テーマとして一段と明確になりました。
• 2026年: 医療DXの具体的な推進、プログラム医療機器に対する優先的な審査等の継続、生成AIやリアルワールドデータを活用した医療機器開発に関する取り組みなどが進展し、市場のデジタル化と規制対応の両面で変化が加速しています。Ministry of Health, Labour and Welfare
• 2027年: 2026年までに進められたデジタル医療基盤、標準化、人工知能活用、医療機器承認環境の変化が製品開発や医療機関の導入判断に反映され始める時期となり、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた統合型製品の競争がより重要になると見込まれます。
• 2035年: 市場は1,255億米ドル規模まで拡大すると予測され、単純な医療機器需要の増加ではなく、高齢化、医療人材不足、デジタル化、診断・治療の高度化を背景とした高付加価値医療機器への需要が市場成長を支える構造へ移行すると考えられます。
セグメンテーションの概要
製品別
• 医療機器診断機器
• 消耗品・供給品
• インプラント
用途タイプ別
• 整形外科
• 心臓血管
• 腫瘍
• 歯科
• 婦人科・泌尿器科
• 眼科
• 皮膚科
• その他
エンドユーザー別
• 病院
• 診断用検査機関
2035年に向けた競争力は「技術・規制・データ・医療現場」を一体化できる企業戦略によって形成される
日本医療機器市場の今後の成長を捉えるうえで重要なのは、市場規模そのものだけではなく、どの技術領域で医療現場の課題を解決し、継続的な事業価値へ転換できるかという視点です。医療機器メーカー、医療技術企業、電子・半導体企業、情報技術企業などの境界が徐々に薄れるなか、人工知能、画像解析、ロボット技術、センサー、通信、クラウド、データ解析などを医療機器へ組み込むことで、新たな製品カテゴリーが形成される余地があります。一方で、日本市場では規制遵守、品質管理、医療現場との連携、既存設備との互換性、導入後の保守体制なども重要であり、技術力だけでは市場浸透を実現できません。2035年に向けては、研究開発から承認、製造、販売、保守、データ活用までを一貫して設計し、医療機関に対して「導入する理由」を明確に提示できる企業ほど、新たに拡大する高付加価値医療機器需要を事業機会へ転換する余地が広がるとみられます。
日本医療機器市場:次の成長機会を捉えるために企業が注目すべき投資領域とは
• 高齢化によって拡大する慢性疾患・診断需要を捉え、日常診療に組み込まれる医療機器への投資機会を見極めることが市場成長の基盤となる
日本では高齢化に伴って医療需要の構造そのものが変化しており、厚生労働省は75歳以上人口が増加を続ける一方、85歳以上人口も2035年頃まで一貫して増加すると示しています。また、外来患者数は2025年頃、入院患者数は2040年頃、在宅患者数は2040年以降にピークを迎えるとされ、医療需要が病院中心から外来・在宅を含む多様な提供体制へ移行することが重要な市場変化となっています。Ministry of Health, Labour and Welfare このため企業にとっては、大型・高度医療機器だけを対象とするのではなく、慢性疾患の継続管理、早期診断、モニタリング、在宅医療、リハビリテーション、患者負担の軽減など、長期的な医療需要と接点を持つ製品領域を検討することが重要です。特に高齢患者の増加によって医療機関の業務効率化と患者アクセスの両立が求められるなか、診断精度や操作性だけでなく、医療従事者の負担軽減や遠隔管理まで含めた製品価値を構築できるかが、今後の事業展開を左右する要素となります。
• AI・SaMD・リアルワールドデータを組み合わせたデジタル医療基盤への投資が、従来型医療機器との差別化を生み出す重要な成長テーマになる
日本の医療機器市場では、ハードウェア単体からソフトウェア、データ、AIを組み合わせたソリューションへ競争軸が広がっています。厚生労働省は医療DXを、予防から診療、医療介護連携、研究開発までの情報・データを標準化・共通化し、医療の質向上と業務効率化につなげる取り組みとして推進しており、全国医療情報プラットフォーム、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXを主要な柱としています。Ministry of Health, Labour and Welfare さらにPMDAでは、AIを活用したプログラム医療機器やリアルワールドデータを活用した医療機器開発に関する取り組みが進められており、2026年にはSaMDの優先審査に関する取り組みを継続的に実施する方針が示されています。PMDA こうした環境では、画像診断支援、臨床意思決定支援、遠隔モニタリング、データ解析、予後管理など、医療データを継続的に活用できる領域が企業の新たな投資対象となります。特に経営層にとっては、単一製品の販売数量を追うだけでなく、医療機器とソフトウェア、クラウド、データサービスを組み合わせた継続収益モデルを構築できるかどうかが、日本市場での競争ポジションを考えるうえで重要な論点となります。
• 先端治療・低侵襲化・ロボティクスなど「医療成果と医療現場の効率化」を同時に実現する技術への投資余地を評価することが競争戦略の焦点になる
日本の医療機器市場では、単に新しい技術を導入するだけではなく、治療成果、患者負担、医療従事者の作業負荷、医療資源の効率利用を同時に改善できる技術への需要が重要になります。PMDAの2025年度の新医療機器承認情報では、審査分野の一つとしてロボット技術や先進的IoT技術を活用した革新的医療機器が明確に位置付けられており、先端技術を活用した医療機器の実用化が継続的に進められています。PMDA この環境では、手術支援ロボット、画像誘導治療、低侵襲デバイス、精密診断、遠隔操作・支援技術など、医療の高度化と効率化を同時に実現する製品群が事業開発の重要な候補となります。一方で、高価格な先端機器では導入コストだけでなく、医療機関側の設備要件、トレーニング、保守、臨床エビデンス、償還環境まで含めた導入経済性が採用を左右するため、企業は製品性能だけでなく「導入後に医療現場へどのような経済的・臨床的価値を提供できるか」という視点から投資案件を評価する必要があります。
• 日本市場への参入では製品開発だけでなくPMDA対応・承認取得・QMS・国内販売体制まで含めた「市場アクセス能力」への投資が成長速度を左右する
日本医療機器市場で事業を拡大する企業にとって、技術力だけでは市場浸透を保証できず、規制対応と市場アクセスを事業戦略の中核に組み込む必要があります。PMDAは医療機器の承認・認証申請について審査ポイントを整理し、申請資料作成の効率化や審査の迅速化につながる情報を公開しており、2025年度以降に承認申請された一定の医療機器については審査概要も順次公開しています。PMDA また、SaMDについても承認実績のある領域を中心に認証基準の整備や審査ポイントの明確化が進められています。PMDA したがって、海外企業や新規参入企業が日本市場で成長機会を獲得するには、日本向けの臨床・規制戦略、薬事申請、品質管理、国内パートナー、販売・保守ネットワーク、医療機関との関係構築を一体化させることが重要になります。特に先端医療機器では、研究開発への投資額だけでなく、承認取得までの時間、臨床評価に必要なリソース、国内販売網の構築コストを含めて市場参入モデルを設計することが、経営判断上の重要なポイントとなります。
• 2035年を見据えた日本市場では「製品を売る」から「医療エコシステムを構築する」への転換が新たな事業機会を生み出す可能性がある
日本医療機器市場が2025年から2035年にかけて553億8,000万米ドルから1,255億米ドルへ拡大するという市場見通しを前提とすると、企業にとって重要なのは市場全体の成長率だけではなく、成長のどこを収益化するかという視点です。今後は、医療機器メーカー、ソフトウェア企業、データプラットフォーム、医療機関、研究機関、販売代理店などが連携し、診断・治療・モニタリング・在宅ケアをつなぐエコシステム型の事業モデルがより重要になります。厚生労働省が医療DXを医療・介護・研究開発まで横断する基盤として推進していることからも、単独製品ではなくデータ連携や医療現場の業務プロセスまで含めた価値提供が今後の市場形成に影響すると考えられます。Ministry of Health, Labour and Welfare そのため経営層が2035年に向けた投資判断を行う際には、現在の販売規模だけで投資先を判断するのではなく、高齢化による需要変化、デジタル医療への移行、先端治療技術、規制・承認環境、医療機関の導入経済性、国内パートナーシップといった複数の要素を統合して評価することが重要です。こうした視点を持つことで、日本市場における短期的な製品販売機会だけでなく、2030年代に向けた継続的な収益基盤と競争優位の構築につながる事業領域を見極めやすくなります。
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