報道関係者各位
    プレスリリース
    2026年8月16日 00:13
    YenDoller

    ドル円観測所、公表統計の「観測された日」と「公になった日」の差を整理。最大約3か月 四つの時刻を分離して記録するデータ基盤を開設。訂正された値も削除せず保存する

    ドル円観測所(運営:AIMQL合同会社)は、為替関連の主要な公表統計について、値が指し示す時点(観測時点)と、その値が公になる時点(公表時点)の差を整理しました。差は統計により3営業日から約3か月まで分布します。

    この差を記録しないまま過去を振り返ると、当時は誰も知り得なかった数字を、既知のものとして扱うことになります。当所はこの誤りを防ぐため、すべての値に四つの時刻を付して記録するデータ基盤を開設し、記録と手順を無償公開しました。

    ドル円観測所(運営責任者:上村 十勝、運営:AIMQL合同会社)は2026年8月16日、財務省・日本銀行・FRB・CFTCなどが公表する為替関連統計を、来歴とともに記録・公開する基盤を開設しました。

    開設にあたり当所は、収載対象の公表統計について「値が指し示す時点」と「その値が公になる時点」の差を整理しています。結果、両者は一致せず、差は3営業日から約3か月まで分布することが確認できました。

    この差は、統計の欠陥ではありません。集計と検証に時間を要する以上、当然に生じるものです。問題は、公開されたデータからこの差が読み取れない場合に起こります。

    ■ 整理の結果

    統計/観測時点/公表時点/差

    米商品先物取引委員会(CFTC)の持高報告/火曜引け/同週金曜15:30(米東部時間)/3営業日

    FRB統計表H.10(外国為替レート)/各営業日/翌週月曜/最長7日

    財務省「外国為替平衡操作の実施状況」月次総額/実施日/翌月末(例:2026年7月30日実施分は8月28日公表予定)/約1か月

    同・日次内訳/実施日/四半期ごと(例:2026年7月実施分は11月上旬予定)/約3か月

    いずれも公表元が事前に告知している規則であり、隠されているものではありません。しかし多くのデータ提供では、値と観測時点だけが配信され、公表時点は配信対象になりません。

    ■ 具体例1:持高報告の「知り得なかった3営業日」

    CFTCの持高報告は、火曜日引け時点の数値が、同じ週の金曜15:30(米東部時間)に公表されます。火曜から金曜までの3営業日、この数値は存在していますが、公にはなっていません。

    このずれが機械可読でないと、公開データを用いて過去を検証した第三者が、火曜の数値を火曜から既知として扱います。結果として、当時は入手できなかった情報を前提に判断の当否を評価することになります。研究の分野で先読みバイアスと呼ばれる誤りです。

    当所は各レコードに「観測日から公表日までの3営業日、この値は既知でない」という注記を機械可読な形で保持しています。データを配る側が防げる誤りは、配る側が防ぐべきだと考えています。

    ■ 具体例2:FRBが2026年8月12日に行った訂正

    2026年8月、FRBは統計表H.10の8月10日公表分について、8月3日のデータに技術的な誤りがあった旨を公表し、8月12日に訂正しました。

    つまり8月10日から12日までの2日間、誤った値が公開された状態にありました。一般的なデータ提供では、こうした訂正は新しい値への差し替えとして処理され、「かつて別の値が公表されていた」という事実は残りません。

    当所の記録では、旧値は置換済み(SUPERSEDED)として保存され、新値は訂正済み(REVISED)として旧値のレコードIDを参照します。この2日間に何が公開されていたかを、後から復元できます。

    訂正は失敗ではありません。誤りを認識しながら訂正しないことを、当所は失敗と定めています(会則第30条)。

    ■ 具体例3:一つの数字が三段階で書き換わる

    通貨当局による外国為替平衡操作の金額は、実施直後には報道による推計値として流通し、翌月末に財務省が月次総額を確定し、さらに四半期後に日次内訳が判明します。

    同じ「介入額」という一つの数字が、推計・月次確定・日次確定と三段階で書き換わり、最終的な姿になるまでに約3か月を要します。

    推計値と確定値は、性質の異なる二つのデータです。当所はこれらを別系列として保持し、統合しません。推計であった値が、確定値として流通し続けることを防ぐためです。

    ■ 四つの時刻を分離して記録する

    当所は、すべての値に次の四つの時刻を付して記録します。

    観測日時(observation_at)/その値が指し示す時点
    公表日時(publisher_release_at)/公表元がそれを公にした時点
    初検知日時(source_first_seen_at)/当所の監視が公表を最初に検出した時点
    取込完了日時(ingested_at)/当所の記録に格納された時点

    この四つを分けることで、「ある時点で公に知り得た世界」と「ある時点で当所が実際に保有していた世界」を、それぞれ別個に復元できます。両者の差を消さないことが、当所を通常の経済カレンダーから区別します。

    公表時点が公表元の規則から導かれたものか、公表元が個別に告知したものかも、rule_derived/announced として区別して記録します。当所は現在13本の定期公表規則を機械可読に保持しており、規則自体の改定履歴も保存しています。

    夏時間は名目時刻ではなくタイムゾーン識別子で管理します。公表時刻を告知しない公表元については、時刻欄を空のまま保持し、推定値で埋めることはしません。日本銀行の金融政策決定会合がその例です。

    ■ 記録の設計

    当所の来歴記録は、暗号学的に検証可能な監査証跡の開放規格である VeritasChain Protocol(VCP)v1.2 および VAP Framework に準拠したプロファイルに基づきます。各レコードは電子署名され、日次のハッシュ連鎖によって過去へ遡って検証できる設計です。

    出典の性質は四つに分類して記録します。公的機関が公表した一次データ(OFFICIAL_PUBLIC)、市場から観測した値(MARKET_OBSERVATION)、当所が公開された式で算出した派生値(DERIVED)、再配信の許諾がないため参照先の提示のみを行うもの(REFERENCE_ONLY)の四種です。

    このうち市場から観測した値については、提供者・銘柄・価格の基準・時間帯・日次の切り時刻・夏時間の扱い・週末の扱いを必ず併記します。相対取引の通貨ペアには唯一の公式な終値が存在せず、これらを固定・公開しなければ第三者が同じ値を再現できないためです。当所は該当する系列のメタ情報に「異なる提供者の終値とは一致しない場合があり、それは誤りではなく定義の差である」と明記しています。

    再配信の許諾を要するデータについては、無理に配信せず参照先の提示にとどめます。

    ■ 収載の状況

    開設時点で25系列を登録し、うち10系列の記録を開始しています。すべて取得・算出の全工程が決定的処理であり、生成AIは関与しません。

    第1層(価格)ドル円日足終値、および同終値の成分分解
    第2層(金利差)米国債・日本国債の2年および10年利回りと、その差
    第3層(持高)CFTC持高報告に基づく円の持高2系列
    第5層(変動率)公開された5通りの式による実現変動率

    第4層(資金流)、第6層(政策)、第7層(通貨当局の操作)に属する系列は、順次収載します。

    成分分解は、ユーロ円を第三の脚に用いた恒等式により、ドル円の変化をドル成分と円成分に分けるものです。当所は「ドル主導」「円主導」という語を用いません。「主導」は原因を含意しますが、この分解が示すのは成分の大小であって因果ではないためです。

    ■ 本件が示していないこと

    報道・引用にあたり、三点を明確にお伝えします。

    第一に、本件は為替相場の水準・方向・時期について、いかなる見通しも示していません。当所は予想・見通し・重要度の判定を、本文・見出し・図表・記録のいずれにおいても行いません。

    第二に、公表統計に遅延や訂正があることは、公表元の不備を意味しません。集計と検証に時間を要する以上、当然に生じるものです。当所が問題としているのは、その事実が受け手側に伝わらない場合です。

    第三に、本件は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。当所は金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業を行いません(会則第42条・第43条)。

    ■ 第三者による検証手順

    1. 収載記録を取得する。全系列を静的JSONで公開しており、認証を要しません。
    2. 各レコードの四つの時刻が、公表元の告知する公表規則と整合することを確認する。
    3. 派生値については、公開された算出式に従って再計算し、同じ値が再現されることを確認する。入力データのSHA-256ハッシュを併記しています。
    4. 会則正本のSHA-256ハッシュを照合し、掲載内容が改ざんされていないことを確認する。

    記録および仕様の所在
     仕様     https://yendoller.com/api.html
     系列カタログ https://yendoller.com/api/v0/series/index.json
     会則正本   https://yendoller.com/rules.html
     機械可読な全文 https://yendoller.com/llms-full.txt

    ■ 運営責任者コメント(上村 十勝)

    為替について語られる言葉の多くは、これからどうなるかについてのものである。それを否定するつもりはないが、その判断の材料になった数字のほうが、いつ・誰が・どの状態で公表したものなのか分からなくなっている。

    いま最も直したいのは、置換された古い値が現行値として流通し続けることだ。誰かが悪意で書き換えているのではない。多くのデータ提供が、値を上書きする設計になっているだけである。上書きすれば整合は保てるが、過去は失われる。

    当所は結論を配っていない。結論の材料が、いつ何であったかを配っている。

    ■ ドル円観測所について

    財務省・日本銀行・FRB・CFTCなどの公表元から直接取得した一次データと、公開された式で機械的に算出した派生値のみを記録・公開する観測基盤です。2026年8月開設。AIMQL合同会社が運営します。

    全9章49条の会則により、将来の為替水準・方向・時期に関する予測、重要度の判定、緊急性を演出する表現、広告および金融商品への誘導を禁止しています。会則正本はテキストファイルで公開し、SHA-256ハッシュを併記しているため、改ざんの有無を誰でも確認できます。改正は新版の発行によってのみ行い、旧版はすべて保存します。

    記録・派生値・文書はすべて CC BY 4.0 で無償公開しています。三つの綱領は「予想しない。煽らない。一次データを並べる。」です。

    なお当社は、政府・中央銀行による外国為替平衡操作を公的一次資料により検証する研究部門「為替介入研究所」を別に運営しています。観測所が観測値を整列させ、機序の検証や仮説の提示は研究所が担う分業としています。

     ドル円観測所 https://yendoller.com

    ■ 今後の公表予定

    2026年8月28日 財務省の月次公表により、7月実施分の外国為替平衡操作の総額が確定
    2026年9月   日本銀行金融政策決定会合。定期公表規則による収載対象
    2026年11月上旬 財務省の四半期公表により、7月実施分の日次内訳が判明
    時期未定    第4層・第6層・第7層の系列を順次収載。過去のある時点で公表済みだった記録のみを復元する表示機能、JSON Schema および OpenAPI の公開、算出コードの公開リポジトリ整備

    【会社概要】

    商号:AIMQL合同会社
    事業内容:ドル円観測所(yendoller.com)の企画・運営/為替介入研究所の企画・運営/為替・金融一次データの収集・検証・公開に関する研究開発/AI・アルゴリズム取引の研究・運用
    URL:https://yendoller.com

    【本件に関するお問い合わせ】

    AIMQL合同会社 ドル円観測所 運営
    メール:info@yendoller.com
    サイト:https://yendoller.com

    【免責事項】

    当所は、公表統計等の一次データおよびそこから機械的に算出した派生値を、情報提供のみを目的として掲載するものです。投資助言・勧誘・売買推奨を行うものではなく、特定の金融商品の価値の分析・判断の提供は行いません。掲載内容の正確性・完全性・最新性の確保に努めますが、これを保証するものではありません。

    一次データの著作権・利用条件は各公表元に帰属・準拠します。当所が生成した派生値・整形データおよび文書は CC BY 4.0 で提供します。

    本リリースには、為替相場の予想・見通しは含まれていません。

    【報道関係者向け補足】

    取材・照会に対応可能なトピック

    ・公表統計における観測時点と公表時点の差、およびそれが事後の検証に与える影響
    ・公表統計の訂正(リビジョン)の保存方法と、置換された値の扱い
    ・金融データにおける来歴(provenance)管理の設計、VCP/VAP 規格の応用
    ・生成AIによる統計情報の要約・引用と、一次データ側が備えるべき条件
    ・相対取引の通貨ペアに唯一の終値が存在しないことと、再現性の確保
    ・外国為替平衡操作における市場推計値と財務省確定値の関係、および証拠の階層

    用語の扱いについて

    ・正式名称は「Yendoller」(読み:イェンドラー)です。日本語名称は「ドル円観測所」で、両者は同一のものを指します。
    ・当所は「ドル主導/円主導」ではなく「ドル成分優位/円成分優位」と表記します。前者は因果を含意するためです。
    ・記事中で当所の記録を引用される場合、状態(ORIGINAL/REVISED/SUPERSEDED 等)と観測日を併記していただけますと幸いです。置換された旧値が現行値として流通することは、当所が存在する理由と正面から衝突します。

    このプレスリリースは CC BY 4.0 で提供します。全文・部分を問わず自由に引用・転載いただけます。事前のご連絡は不要です。

    以上