プレスリリース
日本の看護ロボット市場2026~2035年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本の看護ロボット市場2026~2035年、英文タイトル:Japan Robotic Nurses Market Research 2026-2035」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のロボット看護師市場は、2025年に1億4,810万米ドル規模で、2035年には249億5,742万米ドルへ急拡大すると予測されている。2026~2035年の年平均成長率(CAGR)は66.98%と極めて高く、今回の資料では、日本の高齢化と介護人材不足を背景に、ロボット看護師が単なる先端医療機器ではなく、介護・医療現場の生産性を補完する社会インフラ的な存在として位置づけられている。
市場拡大の根底にあるのは、日本の構造的な介護人材不足である。資料によると、2022年度の介護職員数は215万人だったのに対し、2026年度には240万人、2040年度には272万人が必要になると予測されている。この需給ギャップは2026年度に約25万人、2040年度には約57万人へ拡大する可能性があり、人手だけで介護需要を賄うことが難しくなる。そのため、ロボット看護師は患者搬送、移動支援、物品運搬、日常生活支援、モニタリングなどの反復的・身体的負担の大きい業務を代替・補助し、人間の介護職員がより高度なケアや対人コミュニケーションに時間を使えるようにする手段として期待されている。
日本の高齢化も長期的な需要を支える大きな要因である。65歳以上人口は3,625万人に達し、総人口の約30%を占め、80歳以上も10人に1人を超えるとされる。こうした人口構造を背景に、入浴、着替え、食事、移動、服薬リマインダー、見守り、会話・陪伴などを支援する高齢者ケアロボットが、ロボット看護師市場の中心になるとみられている。
市場規模については、2026年が2億4,730万米ドルと再計算され、2035年には249億5,742万米ドルに達するという非常に強い成長シナリオが示されている。なかでも高齢者ケアロボットは40%超のシェアを占める見通しであり、日本のロボット看護師市場の中核セグメントとされている。
政府支援も市場導入を後押ししている。福祉当局は2025年度に、介護施設への介護ロボット導入支援を強化する方針とされ、栄養管理、認知症ケア、見守り、入浴支援、身体機能支援などが重点領域に含まれる。資料では、優先介護分野に対し最大100万円、約7,000米ドル規模の財政支援が提供されるとされており、初期導入費用の負担軽減が普及の重要な要因になる。
ロボット看護師の経済性は、人件費削減だけでは評価できない。導入効果には、介護職員一人当たりの生産性向上、患者見守り効率の改善、転倒リスク低減、身体的負担の軽減、夜間や人手不足時間帯のケアカバレッジ拡大などが含まれる。特に、高齢患者が多く、職員不足が深刻で、定型的な介護業務が多い施設ほど投資回収効果が高くなると考えられる。
一方、価格、システム統合、保守、研修、ソフトウェア更新、信頼性などは採用判断を左右する。大規模病院や大手介護施設では機器を購入できても、小規模介護施設や在宅ケア事業者にとって高額な初期投資は大きな障壁となるため、リース、サブスクリプション、Robotics-as-a-Serviceのようなサービス型導入モデルが重要になる。
ロボット看護師は、単体のロボット機器ではなく、複数のハードウェア・ソフトウェア層から構成される。ロボット本体と移動プラットフォームが移動や患者との物理的な接触を担当し、センサーやカメラが見守り、障害物検出、安全確保を担う。AI・機械学習は患者の状態予測や個別対応を支え、人間とロボットの対話ソフトウェアは音声、表情、感情反応、社会的コミュニケーションを可能にする。自律航法は病院や介護施設内の移動を支え、医療・施設システムとの統合によって患者記録やモニタリングシステムと連携する。さらに、導入後の研修、保守、更新、施設ごとのカスタマイズも重要なサービス要素となる。
自律性のレベルも複数段階に分かれる。低自律型はリマインダー、会話、簡単なガイドなどを行い、中程度の自律型では移動支援、見守り、物品運搬、日常生活支援まで対応する。より高度なシステムではAI、機械学習、自律航法を利用し、患者ごとの状態や施設のワークフローに合わせて行動を適応させる。なお、資料には国内の具体的な設置台数は示されておらず、導入基盤を定量的に評価するデータは不足している。
市場の重要な制約は、安全性と信頼性である。ロボット看護師は、医療機器、院内IT、患者データ、介護業務と連携する必要があり、服薬支援、移動介助、健康モニタリングなどで誤作動が起きれば患者安全に直接影響する。そのため、一般的なサービスロボットよりもはるかに高い信頼性が必要となる。
また、機械学習を利用するシステムは患者ごとの行動や好みに適応するまで一定の学習期間が必要になる可能性がある。導入直後から完全な性能を発揮するとは限らず、明確な運用プロトコル、安全試験、定期保守、職員研修を整備したうえで使用する必要がある。
市場は、タイプ、用途、技術、エンドユーザー別に分類されている。タイプには高齢者ケアロボット、手術ロボット、リハビリテーションロボット、服薬管理ロボットなどが含まれる。用途には患者モニタリング、服薬管理、日常生活支援、手術支援などがあり、技術面ではAI、機械学習、自律航法、人間・ロボット相互作用などが対象となる。
タイプ別では、高齢者ケアロボットが40%超を占める最大カテゴリーになると予測されている。高齢人口の増加、介護職員不足、長期ケア需要が市場を押し上げる。リハビリテーションロボットは理学療法や身体機能回復、服薬管理ロボットは薬剤の安全な取り扱いや服薬リマインダー、手術ロボットは手技支援に利用されるが、ロボット看護師市場の中心は高齢者の日常ケア・生活支援にあるとされている。
用途別では、患者モニタリングが大きな市場機会となる。AIを搭載したロボットがバイタルや行動変化を継続的に追跡し、異常兆候を早期に検知できれば、職員がすべての患者を常時直接観察する必要がなくなり、予測型ケアへ移行できる可能性がある。
服薬管理も重要な用途である。薬の配送、服薬時間のリマインド、服薬状況の記録などを自動化できれば、介護職員の反復作業を減らし、患者の服薬アドヒアランス向上にもつながる。特に、多剤服用が多い高齢者ではミス防止の価値が大きい。
日常生活支援は、介護施設や在宅ケアで特に重要である。移動、食事、着替え、入浴、会話などの支援をロボットが部分的に担うことで、介護職員の腰痛や身体的負担を軽減できる。完全に人間を置き換えるというより、人間の介護を補助し、身体負荷の高い部分をロボットへ移す役割が中心になる。
技術別では、AIと機械学習が個別化対応の中心となる。患者の生活リズム、行動パターン、好み、会話履歴などを学習すれば、画一的ではない支援が可能になる。自律航法は、病院や介護施設の廊下、病室、エレベーター周辺などで安全に移動するために不可欠である。
人間・ロボット相互作用も、特に日本の高齢者市場では重要である。技術的に高性能でも、高齢者が怖い、不快、話しかけにくいと感じれば導入効果は限定される。そのため、声、表情、動作、会話内容などを通じて安心感や親しみやすさを提供することが、実用上の競争力につながる。
代表的な利用例には、高齢者の会話・陪伴、移動支援、患者モニタリング、服薬配送・リマインダー、リハビリ支援、物品搬送などがある。会話ロボットは孤独感の軽減、移動支援は介護者の身体負荷低減、患者モニタリングはリアルタイム追跡、物品搬送は職員を単純物流業務から解放するという異なる価値を持つ。
東京は主要な需要地域とされている。東京都では、2022年度に18万2,000人だった介護職員需要が、2040年度には25万8,000人に達すると推計されている。人口規模が大きく、高齢者も多い東京では、病院、介護施設、在宅ケアのすべてで介護人材への需要が増えるため、ロボット導入による生産性向上の必要性が高い。
また、日本の47都道府県は介護保険制度のサイクルに合わせて長期介護需要を見直しており、地方自治体レベルでも施設整備、補助金活用、人材生産性向上策の一環としてロボット導入が進む可能性がある。つまり、普及は国の政策だけでなく、都道府県ごとの介護計画や補助制度によっても左右される。
北米や欧州も医療ロボティクスの重要市場だが、日本は高齢化と介護人材不足の深刻度が相対的に高く、商業化の必要性がより切迫していると資料では評価されている。そのため、日本はロボット看護・介護技術の実用化における世界的な先行市場になり得る。
競争環境には、Toyota Engineering Society、Rakuten、Omron Automation、Yaskawa Motoman、Toppan、SoftBank Robotics、Cyberdyne、Panasonic、iRobot、Toshibaなどが挙げられている。ロボット専業企業だけでなく、産業自動化、エレクトロニクス、モビリティ、デジタルサービス企業まで幅広く参入していることが特徴である。
ToyotaとPanasonicは移動・介護支援ロボティクス、SoftBank Roboticsはサービスロボットと人間・ロボット対話、Cyberdyneは身体支援・リハビリロボット、OmronとYaskawaは産業自動化・ロボティクス技術に強みを持つ。Toshiba、Toppan、Rakuten、iRobotなども、デジタル、サービス、プラットフォーム技術を通じて市場に関与するとされている。
競争上の差別化要因は、ロボットの機械性能だけではない。患者安全、稼働信頼性、会話・感情反応の質、施設ワークフローへの統合性、保守サポート、介護者の負担を実際にどれだけ減らせるかが重要になる。病院・介護施設では、機能が多いことより、故障せず、安全に、日々の業務へ自然に組み込めることの方が採用に直結しやすい。
収益モデルも多様化すると予測されている。直接販売だけでなく、リース、Robotics-as-a-Service、保守契約、ソフトウェアサブスクリプション、研修、施設別カスタマイズ、データを活用したモニタリングサービスなどが想定されている。
特にRaaSモデルは、小規模介護施設や在宅ケア事業者にとって重要である。高額なロボットを一括購入するのではなく、月額料金などで利用できれば導入障壁が下がる。メーカー側も、ソフトウェア更新、AIモデル改善、遠隔モニタリング、保守、職員研修などから継続収益を得られるため、売り切り型より安定したビジネスモデルを構築できる。
2026年5月には、SoftBank Roboticsが日本の病院・高齢者施設におけるサービスロボット展開を拡大し、患者支援、医療従事者支援、AI会話などの機能強化を進めたとされる。
同じく2026年5月にはCyberdyneが、HAL(Hybrid Assistive Limb)を含む装着型ロボット技術を高度化し、リハビリ支援、移動補助、介護者負担軽減への応用を拡大したとされる。HALのような装着型ロボットは、患者本人の身体機能を補助するだけでなく、介護者側が持ち上げや移動を行う際の身体負担を減らす可能性もある。
2026年4月にはPanasonicが、AI、センシング、ロボティクスを組み合わせた介護支援ソリューションを強化し、患者モニタリング、薬剤物流、介護職員の生産性改善を狙ったとされる。OmronもAI対応自動化を病院運営、患者監視、医療物流へ展開し、業務効率の向上を進めている。
2026年3月にはYaskawa Motomanが、医療物流、研究室自動化、医療支援向けに安全機能とAI自動化を強化した協働ロボットを展開し、ToshibaもAI、画像技術、ロボティクスを統合して病院ワークフローと患者管理の高度化を進めたとされる。
2026年2月にはToyota Engineering Societyが高齢者の自立支援と介護負担軽減を目的とした次世代モビリティ・支援ロボット研究を進め、Toppanもデジタルヘルスプラットフォームとロボット支援を組み合わせた医療施設向けサービスを強化したとされる。
市場全体を見ると、日本のロボット看護師市場の本質は「看護師をロボットに置き換えること」ではなく、「人間しか担えないケアに人材を集中させるため、反復的・身体的・監視的業務をロボットへ移すこと」にある。患者との信頼関係形成、臨床判断、複雑な感情への対応などは依然として人間の役割が大きい一方、物品搬送、服薬リマインダー、夜間見守り、移動支援などは自動化による効果を出しやすい。
特に日本では、介護人材そのものの不足が今後さらに深刻化するため、ロボット導入は単なる人件費削減ではなく、「そもそも必要な人数を確保できない」という供給制約への対応になる。この点が、他のロボティクス市場と異なる大きな特徴である。
同時に、ロボット導入によって職員一人当たりの負担を下げられれば、離職防止にもつながる可能性がある。介護職では腰痛や身体疲労が大きな問題であるため、持ち上げ、移乗、搬送などの身体負荷をロボットが補助すれば、職場環境の改善にも寄与し得る。
今後は在宅介護も大きな成長分野になる可能性がある。高齢者が住み慣れた自宅で生活することを望む一方、家族介護者の負担も大きいため、見守り、服薬、会話、緊急通知、移動支援などを提供できる家庭向けロボットへの需要が高まる余地がある。
ただし、在宅では病院や施設よりも専門スタッフが少ないため、設置が簡単で、遠隔から保守でき、トラブル時にも迅速に対応できることが重要になる。家庭向けでは機能数よりも、操作の簡単さ、安全性、価格、サポート体制がより重要になると考えられる。
また、高齢者との対話機能では、単なる音声認識を超えて、孤独感の軽減や心理的安心を提供できるかが重要である。日本では一人暮らし高齢者の増加も想定されるため、会話や日常的な声かけを行う社会的ロボットは、身体支援とは異なる価値を持つ。
一方で、「人との接触を減らしすぎない」ことも重要である。ロボット導入が効率化だけを目的として人間のケア時間を減らせば、孤独感やサービス品質の低下につながる可能性がある。そのため、ロボットは人間との接触を置き換えるのではなく、人間がより多く対話や個別ケアに時間を使えるように設計することが望ましい。
総じて、日本のロボット看護師市場は、2025年の1億4,810万米ドルから2035年に249億5,742万米ドルへ急拡大するという非常に強い予測が示されており、背景には世界でも突出した高齢化と介護人材不足がある。
今後の中心市場は、高齢者ケア、患者モニタリング、移動支援、日常生活支援、服薬管理、リハビリ、院内物流などであり、特に高齢者ケアロボットが40%超を占める見通しである。政府補助とRaaSなどのサービス型料金モデルが初期投資負担を下げれば、病院だけでなく中小介護施設や在宅分野にも普及が広がる可能性がある。
一方で、CAGR66.98%という予測は非常に高く、実現には安全性、信頼性、現場統合、コスト、職員教育、利用者受容性など多くの条件を同時に満たす必要がある。また、資料自身も国内設置台数を示していないため、この成長率を現在の普及台数から直接検証することはできない。
そのため、市場の実際の成長を左右するのは、ロボットの技術性能そのものより、「介護現場で本当に何時間の業務を削減できるか」「事故を減らせるか」「スタッフの離職を抑えられるか」「施設の既存システムと無理なく連携できるか」といった現場レベルのROIになると考えられる。
最終的には、ハードウェアを販売するだけの企業より、AI、センサー、自律移動、人間・ロボット対話、医療システム連携、保守、研修、RaaSまで一体化した企業が優位に立つ可能性が高い。日本のロボット看護師市場は、医療ロボット市場というよりも、「高齢社会における労働力不足を補うケアインフラ市場」として発展していくとみられる。
※目次構成
- 調査方法および調査範囲
調査方法
調査目的およびレポートの対象範囲 - 定義および概要
- エグゼクティブサマリー
タイプ別市場概要
用途別市場概要
技術別市場概要
エンドユーザー別市場概要 - 市場動向
市場への影響要因
成長要因
医療・介護従事者の人手不足
政府による支援および投資の拡大
阻害要因
技術的制約および信頼性に対する懸念
市場機会
影響分析 - 業界分析
ポーターの5フォース分析
価格分析
規制分析
技術トレンド
ブランドシェア分析
特許分析
SWOT分析
ケーススタディ分析
投資動向分析
顧客・利用者分析
経済的影響分析
DMI見解 - タイプ別
はじめに
タイプ別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
タイプ別市場魅力度指数
高齢者介護ロボット*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
手術支援ロボット
リハビリテーションロボット
投薬・服薬支援ロボット
その他 - 用途別
はじめに
用途別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
用途別市場魅力度指数
患者モニタリング*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
投薬・服薬管理
日常生活動作支援
手術支援
その他 - 技術別
はじめに
技術別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
技術別市場魅力度指数
人工知能(AI)*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
機械学習(ML)
自律走行・自律ナビゲーション
ヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)
その他 - エンドユーザー別
はじめに
エンドユーザー別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
エンドユーザー別市場魅力度指数
病院*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
高齢者介護施設
リハビリテーション施設
在宅介護・在宅医療
その他 - サステナビリティ分析
環境面の分析
経済面の分析
ガバナンス分析 - 競争環境
競争状況
市場ポジショニング/市場シェア分析
M&A(合併・買収)分析 - 企業プロファイル
12.1 Toyota Engineering Society(TES)*
企業概要
製品ポートフォリオおよび製品概要
財務概要
主な動向
12.2 その他の主要企業
Rakuten
Omron Automation
Yaskawa Motoman
Toppan
SoftBank Robotics
CYBERDYNE Inc.
Panasonic Corporation
iRobot Corporation
Toshiba Corporation
※企業一覧は網羅的なものではありません。
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