プレスリリース
N-E.X.T.ハイスクール構想 「良い実装」第一期共創パートナー募集を開始
提案比較の曖昧さ、初期90日運用の失速、地域差への不適合、 一校止まりの成果――持続的課題に対し、 都道府県教育委員会・学校・大学・地域産業界と共同設計・改善・知見化へ
笹埜健斗(岡山大学特定教授)は、N-E.X.T.ハイスクール構想を「導入して終わる改革」ではなく「地域で回り続ける改革」として具体化するため、都道府県教育委員会・学校管理職・大学・研究機関・地域団体・企業等を対象に、「良い実装」第一期研究実装パートナーの募集を2026年4月28日(火)に開始します。
本募集は、提案比較の基準が曖昧になりやすいこと、導入後90日の運用設計が弱く定着前に失速しやすいこと、地域差や学校差を前提とした実装設計が不足しやすいこと、成果が一校止まりで域内普及の知見になりにくいことなど、高校改革の現場で繰り返し現れる持続的課題に対し、関係者が共同で設計・運用・改善・知見化を行うための枠組みです。

第一期研究実装パートナー募集
文部科学省は2026年2月13日に「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」を公表し、同日に約3,000億円規模の「高等学校教育改革促進基金」を活用したパイロットケースの公募を開始しました。文科省は、今後は各都道府県がグランドデザインを基に実行計画を策定し、3類型に応じた改革先導拠点を創設し、その取組・成果を域内の高校へ普及させる方針を示しています。3類型は、(1)アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援、(2)理数系人材育成支援、(3)多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保です。
さらに文科省資料では、都道府県における連携体制の構築に当たり、総合教育会議や地方産業教育審議会の活用、多様なステークホルダーとの連携、コンソーシアムの構築、地域構想推進プラットフォーム等との連携が示されています。加えて、基金の対象経費には「改革先導拠点の創出」に加えて「高校教育改革加速に係る伴走経費」が含まれ、進捗確認・評価、類型ごとのノウハウ共有、専門家支援が想定されています。
一方、公募要領では、第3回申請期限を2026年5月15日(金)12時必着と定めるとともに、審査項目として、都道府県における課題設定、推進体制、外部機関との連携・協働、取組・成果普及の方略、教員の資質・能力向上と持続可能な執務環境、経費の効果的・効率的使用等を挙げています。また、個別の改革先導拠点に関する事業計画の質問・相談は受け付けないと明記しています。だからこそ今必要なのは、単なる申請支援ではなく、各地域が自ら判断軸を持ち、関係者と役割分担を設計し、初期運用を回しながら改善できる研究実装型の伴走です。
今回の研究実装パートナー募集は、研究的にはDBIRの考え方に沿い、複数当事者から見た持続的課題を起点に、共同設計と反復改善を通じて、学びの変化と実装の条件の双方を捉え、次の地域・学校でも再利用可能な実装知を生み出すことを目指します。広報上の事例紹介にとどまらず、提案比較の判断基準、連携体制の組み方、初期90日運用の勘所、域内普及に必要な条件を整理し、N-E.X.T.ハイスクール構想の実装知として社会に還元していきます。
■主な共創領域
(1) アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援
地域産業や社会・生活基盤を支える分野において、高等教育機関・地域・産業界と連携しながら、学科・コース再編、学校設定科目、新技術活用、外部人材登用等を含む実装を共同設計します。
(2) 理数系人材育成支援
理数的素養を基盤に、自ら問いを立てて解決する学びや、文理融合の探究、理数探究拠点化、進路接続を見据えた設計を共同で進めます。
(3) 多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保
人口減少地域や地理的制約を踏まえ、地域資源や遠隔授業を活用した学びの確保、放課後等を活用した学力向上・学習支援、外部機関との連携による学びの選択肢拡張に取り組みます。
■共創プロセス
(1) 第1段階:持続的課題の明確化
提案比較、役割分担、導入後運用、域内普及のどこに課題があるかを、教育委員会・学校・外部機関の複数視点で整理します。DBIRの出発点である「複数当事者から見た持続的課題」を、N-E.X.T.ハイスクール構想の政策実装に即して定義する段階です。
(2) 第2段階:共同設計
第1弾で公開した評価ガイド、第2弾で整理した判断基準、公開版・内部版ツールキットを活用し、判断軸、役割分担、会議体、90日計画を共同で設計します。これは、文科省が求める実行計画・連携体制・成果普及の方略を、現場で回る形に翻訳する工程です。
(3) 第3段階:初期90日運用と中間レビュー
導入後の宿題整理、週次進捗、月次レビュー、意思決定記録を通じて、実装を止めずに回し、中間時点でうまくいった条件とうまくいかなかった条件を振り返ります。DBIRの反復的・協働的な設計原理を、N-E.X.T.ハイスクール構想の初期運用に落とし込む段階です。
(4) 第4段階:知見化と域内普及
匿名化可能な範囲で、判断基準、役割分担、運用条件、普及条件を整理し、一校完結で終わらない再利用可能な実装知へ変換します。文科省が求める「取組・成果の域内普及」に対応しつつ、研究としても実装としても意味のある知見を残します。

「地域で回り続ける改革」へ変える
■募集対象
・都道府県教育委員会、市区町村教育委員会、学校管理職、探究・情報教育推進担当者
・高校教育改革に関わる大学・研究機関
・地域企業、経済団体、NPO、学校外教育機関、地域連携団体
・実装知の可視化・検証・共有に関心のあるメディア、研究者、支援機関
■受付概要
(1) 募集名称
N-E.X.T.ハイスクール構想「良い実装」第一期研究実装パートナー募集
(2) 受付開始
2026年4月28日(火)
(3) 第一期優先相談締切
2026年5月13日(水)17:00
(4) 申込方法
専用フォーム( https://forms.gle/cuFxctKNxDJsydgr8 )より受付
■笹埜健斗コメント
「N-E.X.T.ハイスクール構想で本当に問われるのは、何を入れるかだけではなく、どんな課題に向き合い、誰と組み、どう改善し、どんな知見を地域に残すかだと思います。私は今回の募集を、単なる協力者集めではなく、現場の持続的課題に対して、教育委員会・学校・大学・地域産業界が共同で設計し、試し、振り返り、次に生かせる実装知をつくるための入口として位置付けています。N-E.X.T.ハイスクール構想を一部の成功例で終わらせず、各地域が自走できる改革へつなげていきたいと考えています。」
■プロフィール
笹埜健斗(ささの・けんと)
岡山大学特定教授。慶應義塾大学SFC研究所上席所員、一般社団法人日本教育DX推進協会理事長。専門はAIによる個別最適かつ協働的な学習体験デザイン。教育DX、探究学習、学習設計に関する研究と社会実装を進めている。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』などメディア出演・情報発信も行う。
■問い合わせ先
笹埜健斗研究室(Kento Sasano Lab.)
申込フォーム: https://forms.gle/cuFxctKNxDJsydgr8
公開ページ : https://sasano.org/
取材申し込み: https://sasano.org/#contact/
■注記
※本募集は文部科学省の公募事業そのものではなく、笹埜健斗研究室による研究実装および共創パートナーの受付です。基金への申請自体は、各都道府県教育委員会等が行う必要があります。