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    プレスリリース
    2026年3月9日 12:00
    東京工芸大学

    ニコンサロン年度賞 第50回「伊奈信男賞」を 東京工芸大学 芸術学部写真学科 小林紀晴教授が受賞

    東京工芸大学(学長:吉野弘章、所在地:東京都中野区、以下本学)芸術学部写真学科の小林紀晴教授が、第50回「伊奈信男賞」(以下、本賞)を受賞しました。

    本賞は、株式会社ニコンおよび株式会社ニコンイメージングジャパンが運営する写真展会場「ニコンサロン」において、毎年1月から12月までに開催された写真展の中から、最も優れた作品に授与される賞です。


    小林紀晴 写真展「Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho Chi Minh-」

    小林紀晴 写真展「Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho Chi Minh-」


    2026年2月25日(水)、本学芸術学部写真学科の小林紀晴教授が第50回「伊奈信男賞」を受賞しました。

    本賞は、株式会社ニコンおよび株式会社ニコンイメージングジャパンが運営する公募制写真展会場「ニコンサロン」において、毎年1月から12月までに開催された写真展の中から、最も優れた作品に授与される賞です。

    小林教授は、2025年4月22日(火)から5月2日(金)までニコンサロンで写真展を開催し、「大転換の時代に向けられた新鮮な眼差しと地に足のついた表現」との評価を受け、このたび本賞を受賞しました。なお、本賞は写真家22名の中から選出されています。

    審査員は、委員長の池上博敬氏をはじめ、小高美穂氏、高砂淳二氏、畠山直哉氏、藤岡亜弥氏、港千尋氏の6名が務めました。


    この受賞を受け、2026年3月17日(火)から3月30日(月)まで、本賞受賞作品展「小林紀晴 写真展『Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho Chi Minh-』」が、東京都新宿区のニコンサロンで再開催することが決まりました。


    今回受賞した小林教授の作品「Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho Chi Minh-」は、ライフワークとして20代前半より30年以上にわたり、アジア各都市を巡り撮影を続けて作品を制作してき延長線にあります。近年、都市から土着的な風景や文化が急速に姿を消し、匿名性と抽象性を帯びた新たな都市像が出現していることに着目。コロナ禍を挟んで3か国4都市を巡り、その変容を「Cyber Modernity≒超現代電子空間」と名づけた作品です。


    小林教授は今回の受賞について「1990年前半から、東南アジア、インドなどを中心に撮影を行ってきました。20代,30代の頃はスナップ、ポートレイを中心として制作してきました。今回の作品はそれらとは大きく違い、コンセプチャル(概念)に基づいて制作をしたもので、まったく新たな境地といえます。その作品を今回評価していただいたことを大変嬉しく思っています」と話します。

    受賞作品展の概要は、以下のとおりです。



    ■第50回(2025年度)「伊奈信男賞」受賞作品展

    タイトル:小林紀晴 写真展「Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho Chi Minh-」

    会場  :ニコンサロン(東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー 28階)

    会期  :2026年3月17日(火)~3月30日(月)

    開館時間:10時30分~18時30分 ※(日曜日休館/最終日は15時まで)

    【ニコンサロン公式サイトURL】

    https://nij.nikon.com/activity/exhibition/salon/

    【受賞記事URL】

    https://nij.nikon.com/activity/news/2026/0225.html



    ■第50回(2025年度)「伊奈信男賞」受賞理由

    小林紀晴氏はアジアの都市を旅しながら、30年以上にわたって、そこに生きる人間と風土を捉えてきた。モンスーンに特徴づけられる気候は、国土と歴史を超えた共通の景観を生み出すが、そこで小林氏は類稀れな感性をもって自然と都市が重なり合う場の空気感を掬い取ってきた。培われた眼差しは日本の古い祭りの現場にも向けられて、人間を含む生命の共同体と、それを包む深い闇に向けてシャッターが切られてきた。積み重ねられた作品群に共通しているのは、歴史性に根ざした「場所」と感応し、光と闇の閾へ向かう透徹した視線であろう。


    だが受賞作の写真展「Cyber Modernity≒超現代電子空間」は、これまでの作品とは大きく異なる。アジア4都市を対象に撮られた写真にあるのは、いままでのような「場所」ではない。拡がっているのは電子の光で照らし出される消費広告と、記号的欲望の空間である。サイゴン川の川べりから土着のモノとヒトは姿を消し、代わりに歴史性を消去するグローバル経済の世界が圧倒する。思えば1990年代のアジアは途上国と一括され「世界の工場」と呼ばれていた。30年後の現在、そこは世界最大の消費市場でありデジタルイノベーションの実験場である。


    小林氏はおそらくこの変化に驚き戸惑いつつも、持ち前のしなやかさをもって対峙したのであろう。文明の転換期とも言える変化に対して写真技術をアップデートし、超近代的な光景を見事に定着させている。かつてフランスの人類学者マルク・オジェは、超近代がもたらす歴史性を欠いた場所を「非・場所」と呼んだ。その思想をタイトルに反映しつつも、小林氏の作品は「非・場所」にも、そこで眺める人間がいるかぎり、「場所」として成立することを暗示している。それは写真家自身が培ってきた内なる歴史性の故であろう。大転換の時代に向けられた新鮮な眼差しと地に足のついた表現が評価される、年度賞に相応しい優れた作品である。

    (選評・港千尋)



    ■小林紀晴

    東京工芸大学 芸術学部写真学科 小林紀晴教授

    東京工芸大学 芸術学部写真学科 小林紀晴教授

    1988年に東京工芸大学短期大学部写真技術科を卒業。卒業後は、新聞社にフォトグラファーとして入社し、1991年に独立。アジアを多く旅し作品を制作してきた。近年は、自らの故郷である長野県諏訪地域での作品制作も行っている。1997年には写真集『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞受賞。2013年には写真集『遠くから来た舟』で第22回林忠彦賞を受賞。その他、写真集『homeland』『SUWA』『kemonomichi』をはじめ、小説『写真学生』『十七歳』『昨日みたバスに乗って』など、写真と文章による活動も多岐にわたり行っている。



    ■ニコンサロン

    ニコンサロンは、写真文化の普及・向上を目的とした写真展示施設です。プロ・アマチュアを問わず、企業戦略にも影響されず、あらゆる分野の優れた作品の展示場として写真展本来の姿を追求することを目的に運営されており、事前の厳正な審査を通過した作品のみが展示の機会を与えられます。



    ■東京工芸大学

    東京工芸大学は1923(大正12)年に創立した「小西寫眞(写真)専門学校」を前身とし、当初から「アートとテクノロジーを融合した無限大の可能性」を追究し続けてきた。2023年に創立100周年を迎える。

    【URL】 https://www.t-kougei.ac.jp/