報道関係者各位
    プレスリリース
    2025年12月26日 16:30
    PVC Award実行委員会

    PVC Award 2025受賞作品が決定! 受賞作品をwebサイトで発表

    PVC(塩化ビニル)素材の特長を活かした魅力ある製品を表彰するコンテスト「PVC Award 2025」の受賞作品が決定しました。今回のテーマは「生活を豊かにするPVC製品」。全国から94点の魅力的な作品が応募されました。審査は、一次審査、外部選考員による推薦審査、そして最終審査を経て、受賞作品が決定しました。受賞作品の詳細は、公式ウェブサイトにて公開しております。

    [公式サイト] https://www.pvc-award.com/


    今回のアワードでは、大賞に該当する作品はありませんでしたが、準大賞(副賞50万円)が2点、優秀賞(副賞10万円)3点、特別賞(副賞5万円)3点、入賞(副賞2万円)5点、および、今回から新たにデザイン賞2点(副賞5万円)が選ばれました。


    PVCは省資源でありながら、加工性・印刷性・耐久性・難燃性・耐腐食性・リサイクル性など、優れた特性を備えたプラスチック素材です。本コンテストでは、こうしたPVCの特長を活かし、機能を付加することで、生活の利便性向上やリサイクル促進、医療・福祉、安全、防災など、社会に貢献する製品の発掘を目指します。



    【審査基準】

    ・テーマ「生活を豊かにするPVC製品」との整合性

    ・市場性:市場の規模・売上・伸び等実績、潜在市場獲得力があるか

    ・機能性:PVC素材の特長が活かされ、機能性を有する製品であるか

    ・独創性:新規性や創造的な発想・表現がデザインされているか

    ・環境・社会貢献度:リサイクル、健康、防災、省エネなどへの貢献



    受賞作品は、防災や環境負荷の低減に貢献する製品など、暮らしを豊かにする多様なPVC製品が揃っている点が特徴です。さらに、受賞作品だけでなく、応募されたすべての作品をご覧いただける展示会も開催します。展示会では、来場者の投票によって選ばれる「オーディエンス賞」を設けています。より多くの方にご来場いただき、PVC製品の魅力を体感し、投票にご参加いただけますと幸いです。


    【GOOD DESIGN Marunouchi】(東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F)

    2026年3月2日(月)~13日(金)

    開場11時~20時(13日は14時まで)


    【イオンタウン千種】(愛知県名古屋市千種区千種2-16-13)

    2026年3月19日(木)~21日(土)

    開場10時~18時(21日は14時まで)



    次に受賞作品を紹介します。


    【準大賞】 「環境対応タイルカーペットバッキング『サスティブバック』」

    東リ株式会社

    準大賞(1)

    準大賞(1)

    タイルカーペット(TCP)は、塩化ビニル層と繊維層で構成されています。従来のリサイクル工程では、塩ビ層を分離する必要がありましたが、本取り組みでは分離工程を省略し、回収したTCPを直接粉砕・パウダー化して再生TCPの製造に活用する「完全水平リサイクル」を実現しました。さらに、この再生TCPは繰り返しリサイクル可能である点も大きな特徴です。現在、回収システムを構築済みであり、年間8,000トン規模の大型処理設備の導入も完了しています。審査会においては、回収を含むリサイクルシステムの構築、大型処理設備を含む体制整備、ならびにこれまでの実績が高く評価されました。



    【準大賞】 「彫ると輝く彫刻アート『シャインカービング』(KIRIKOバージョン)」

    義春刃物株式会社(共同:森松株式会社)

    準大賞(2)

    準大賞(2)

    高透明な塩ビシートを彫刻刀で加工すると、彫刻面がガラスのような質感を呈します。この特性にUV印刷を組み合わせ、新しい彫刻アートを創出しました。現在、国内外で認定講師を養成し、教育・認知症予防・ワークショップへの展開を推進しています。審査会では、芸術性と教育・認知症予防・イベントなど幅広い展開が高く評価されました。透明塩ビシートに彫刻刀とUV印刷を組み合わせ、デザイン性豊かな切子調を実現しています。



    【優秀賞】 「簡易型止水シート とめっぱ(R)light」

    帝人フロンティア株式会社

    優秀賞(1)

    優秀賞(1)

    PVCの柔軟性と耐久性を活かし、水圧で変形しながら玄関からの浸水を防ぐ製品です。突っ張り棒の機構で簡単に設置でき、塩ビシートの密着により高い止水性能を発揮します。試験では、Ws-4(4~10L/H)と土嚢(Ws-1(50~200L/H))に比べて高い止水性能が確認されました。審査会では、線状降水帯など近年の降雨激甚化を踏まえた作品として評価されました。PVCシートに壁や床との密着性を高める特殊素材を複合し、高い止水効果を実現した点が高く評価されました。



    【優秀賞】 「PVC レトロタイル」

    大和ちさ(OILdesign)(共同:有限会社オギ工業、森松株式会社)

    優秀賞(2)

    優秀賞(2)

    韓国のポシャギとレトロガラスをイメージした、ビーズ状の凹凸が美しい塩ビ製タイルです。透明凹凸シート・色透明シート・自己粘着シートを組み合わせ、独自の意匠性を実現しました。コースターや植物マット、リノベーション素材などDIYに最適で、自己粘着性により接着剤不要でガラス装飾が可能です。審査会では、高透明度の凹凸シートと色透明シートの美しい組み合わせ、さらに塩ビ素材の自己粘着性を効果的に活用した点が高く評価されました。



    【優秀賞】 「HACHI-ISU(ハチイス)」

    濱脇理恵(Racine Design)/(共同:シンコー株式会社、森松株式会社)

    優秀賞(3)

    優秀賞(3)

    蜂の巣形デザインのキッズソファは、子供に「自分の居場所=小さなすみか」を提供し、形の認識力や想像力を育みます。外装にはPVC合皮を採用し、食べこぼしや落書きも簡単に清掃可能。安全性・デザイン性・教育的価値を兼ね備えた製品です。審査会では、独自性の高いデザインが評価され、合わせてPVC合皮の特長(耐薬品性や柔軟性)を上手く使っているところも評価されました。



    【デザイン賞】 「Adam Basket Tray M」

    株式会社KOMORU(共同:21B STUDIO)

    デザイン賞(1)

    デザイン賞(1)

    透明塩ビに独自の製法で乾燥&粉砕した青森県産りんごの搾り粕を混合し、独特な風合いを持つ塩ビシートを作成。シートをウェルダー加工することで小物収納に便利なインテリアアイテムを作成しました。本来は廃棄されるはずだったリンゴの搾り粕は、リンゴの皮や芯、ヘタ、種などが高いデザイン性の表現を与えています(リンゴ部位の差→風合いに変化)。また、搾り粕に含まれる糖や成分が熱と反応して生まれる赤褐色は、収穫の年や果実の状態によって微妙に異なり、同じものはひとつとしてないとか。

    審査会では、独自のデザイン性が高く評価されました(デザイン系の業界で話題になっているとのこと)。



    【デザイン賞】「LUTILE(ルティル)」

    TOMOMI YOKOYAMA DESIGN(共同:有限会社紅日裁断)」

    デザイン賞(2)

    デザイン賞(2)

    LUTILE(イタリア語で「LUCE=軽い」「UTILE=便利」)は、再生PVCと質感の違う素材を組合せ高級感を与えることで、オフィスなど従来PVCバッグが参入しづらかったシーンにも対応可能な商品です。工場端材からできる再生PVCはバージン材に比べ、コントロールが難しく手間がかかるにもかかわらず、どうしても安いイメージを持たれてしまいます。その部分をデザインでカバーし、高級感を追求しました。

    審査会では、黒色半透明のリサイクル素材を効果的に活用し高級感を演出した点、さらに細部まで配慮されたデザインが高く評価されました。



    【特別賞】 「便利ナット付きユニオン継手」 東栄管機株式会社

    特別賞(1)

    特別賞(1)

    現場でナットを入れ忘れても、後付け可能な便利ナットです。従来のユニオン継手は塩ビ管にナットを先に通す必要があり、忘れると作業やり直しが発生します。本製品は後から簡単にナットをはめ込めるため、失敗をリカバリーできる継手です。審査会では、独特の発想で工事ミスをリカバリーするアイデアが評価されました。



    【特別賞】 「山波商店 キャプチャー」 株式会社ハリミツ

    特別賞(2)

    特別賞(2)

    釣り人の「魚を愛でたい」という想いに応える道具です。釣り上げた魚を傷つけず、ゆっくり観賞や撮影が可能。従来のプラスチック水槽より軽量で割れにくく、持ち運びも簡単。適度な厚みのPVCで自立可能。さらに、子供の観察ケースとしても活用できます。

    審査会では、塩ビ素材に独特の高い透明性と柔軟性を上手くバランスさせた素材変更による利便性向上が評価されました。また、学校など教育現場でも使いやすいです。



    【特別賞】 「change bag」 森松株式会社

    特別賞(3)

    特別賞(3)

    中ポケットを取り換え可能な透明推し活バッグです。付属のバッグインポケットはマジックテープで簡単に着脱でき、缶バッジなどを美しく並べられます。透明ポケットは他の荷物を邪魔せず、推し活アイテムを入れたポケットに簡単に交換できます。

    審査会では、塩ビ素材の透明バッグと推し活シート(バッグインポケット)の組み合わせにより、多様な推し活ニーズを満たす点が評価されました。



    【入賞】

    (1)アキレス ソーラークリアS (アキレス株式会社)

    (2)耐スクラッチ性+高耐候性PVCフィルム (オカモト株式会社)

    (3)普段使いできる防災バッグ (株式会社サンビニール)

    (4)PTPシートリサイクルロープ (株式会社ベルテック)

    (5)ワンタッチサイリウム (白金化成株式会社)



    今回、審査員を務めていただいた橋田氏、山本氏から次の講評をいただきました。


    【芝浦工業大学デザイン工学科教授 橋田規子氏】

    「本年の審査では、材質に取り組んだ作品と、ユニークな使い方の作品という両面が見られました。材質に取り組んだものとして、タイルカーペットの水平リサイクルは分別することなく製品全体をリサイクルチップ化出来るという秀逸なものです。また、遮熱性や耐スクラッチ性のある透明シートは、今後大いに活用して行けそうだと思いました。ユニークなものでは塩ビを彫刻で掘るホビーキットや、ワンタッチでスマホライトを推し色にする塩ビシールなど意外な使い方が面白いと思いました。また、釣った魚を愛でるための携帯透明容器は、様々な自然教育で活かしていけるでしょう。デザイン的に意表を突かれたものは、リンゴ粕を混合した容器で、形と質感に趣がありました。他にも高級感を狙ったバッグなども良いと思いました。塩ビの機能性を活かした製品はまだまだ考えられそうです。今後も、機能性を活かしながらも、デザイン性を加味したバランスの良い作品を期待したいと思います。」


    【国立大学法人 東京科学大学理事 山本佳世子氏】

    「本アワードは一般からの応募も多く、時代ニーズを反映した作品群となるのが特徴の一つです。今回は、憧れのタレントやキャラクターを応援する〈推し活〉関連や、猛暑対策として遮熱機能を追加した商品などが目立ちました。ただこれらは、ちょっとしたアイデア次第という面もあります。対して今回、私が注目をしたのは彫刻アート「シャインカービング」です。着色塩ビ素材をカットしてガラス細工のようにする手法はすでにありました。ですが応募者の彫刻刀メーカーによると、江戸切子のような輝きを引き出すには、自社製品のような切れ味のよい刃物が重要だとのことで、UVプリンターによる着色と併せて高い意匠性を実現しています。そして新たな彫刻体験に向けたキット販売、国内外約100人に及ぶ認定講師養成まで手掛け、ある種の〈ビジネスモデル〉を確立しているのです。次回のアワードでも、ピンポイントの技術やアイデアで終わらず先の展開まで考えを深めた、創造性の高い作品の応募を心待ちにしています。」


    お問合せ : info@vec.gr.jp (PVC Award 2025事務局)

    公式サイト: https://www.pvc-award.com/