報道関係者各位
    プレスリリース
    2025年12月18日 10:00
    GienTech Japan

    GienTech Japan×オートバックスデジタルイニシアチブ対談  -顧客体験から始まるモビリティ経済圏構想-

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    カー用品販売にとどまらず、モビリティライフ全体を支えるインフラへと役割を広げつつあるオートバックス。年間平均2.6回という限られた来店機会を補完し、より深い顧客理解を実現するため、同社はECやオウンドメディアを活用した、“新たな顧客接点づくり”を推進してきました。その一環として、2019年にはショッピングサイトの全面リニューアルに着手し、オンラインと店舗をつなぐ“ハイブリッド型EC”の基盤を構築。現在はAI時代の新しいUX(顧客体験)やモビリティ経済圏を創るマーケットプレイス構想にも取り組んでいます。


    今回、このデジタル改革をリードする株式会社オートバックスデジタルイニシアチブ(以下ABDi)の則末修男氏と、リニューアル当初からの開発パートナーであるGienTech Japan株式会社(以下GienTech)の小早川泰彦氏が対談。ショッピングサイトリニューアルの背景、eコマースプラットフォームのヘッドレス化※1の真の狙い、そして自動運転時代に向けた事業戦略とパートナーシップの未来について語り合いました。


    ※1:eコマースサイトのフロントエンド(UI/表示機能)とバックエンド(eコマースのコア機能)を分離させることで、eコマース開発の柔軟化・効率化を実現できる仕組みのこと


    対談画像1

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    【プロフィール】

    (写真右)則末 修男 (Norisue Nobuo)

    オートバックスセブン IT管掌

    オートバックスデジタルイニシアチブ 代表取締役社長

    日本総合研究所を経て、日本総研システムソリューション(現JSOL)で執行役員、流通・サービスビジネス事業部長などを歴任。2018年4月株式会社オートバックスセブン入社。IT戦略兼オンラインアライアンス事業担当執行役員として、全社のDXを推進し、2023年4月株式会社オートバックスデジタルイニシアチブ代表取締役社長に就任。2025年4月より株式会社オートバックスセブンIT管轄を兼務。


    (写真左)小早川 泰彦 (Kobayakawa Yasuhiko)

    GienTech Japan 代表取締役社長

    GienTech Consulting Japan 代表取締役社長

    阪急電鉄、アクセンチュアを経て、日本ユニシスで部門の統括パートナーを務めた後、2008年1月にGienTech Japanに代表取締役として入社。2025年よりGienTech Consulting Japan代表取締役を兼務。



    【GienTechの“先進的なECノウハウと実装力”に期待して、パートナーに】


    対談画像2

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    小早川:2019年に、御社のショッピングサイトのリニューアルをご支援させて頂いたのが始まりでした。「使いやすいデザイン」はもちろん、「事前決済による店舗受取のスムーズ化」や「電子スタンプによるペーパーレス化」など、オンラインとリアル店舗をシームレスにつなぐ仕組み作りをご一緒しましたね。


    則末:構想からほぼ1年という短期間で形にできました。その後も継続的に機能追加を行なっていますが、これだけ大規模なシステム基盤をこのスピード感で構築できたのは、業界内でも画期的だったと思います。


    小早川:当時はまだ、オンラインと店舗をつなぐ“ハイブリッド型EC”の成功事例は少なかったと記憶しています。


    則末:そうですね。日本ではまだ珍しい取り組みでしたから、「どのような世界観を実現するのか」「リリース後の障害リスクや改善プロセスはどうなるのか」といったシナリオを、当時オートバックスセブンCIOとして、社内へ丁寧に説明する必要がありました。

    それでも弊社には「ITで新しい顧客体験を作りたい」という強い意志があり、2019年にプロジェクトをスタートしました。


    小早川:その重要なタイミングで、弊社をパートナーに選んでくださった決め手は何だったのでしょうか?


    則末:最大の理由は、御社が“先進的なECノウハウ”をお持ちだったためです。当時から、中国市場では、スマートフォン起点の顧客インターフェースや決済手段が日本よりも遥かに進んでいました。中国の大手ECモールの運営にも関わり、グローバルな知見を持つ御社となら、単なるシステム開発以上の「面白い化学反応」が起きるのではないかと期待して指名させていただきました。

    もちろん、最新のEC基盤への深い理解という技術力も不可欠な要素でした。


    小早川:“労働力ではなく頭脳に期待している”と言っていただけたことは、今でも鮮明に覚えていますし、パートナーとして嬉しく思います。一緒に考え、形にしていくという「共創」の姿勢を大切にしてくださっていることを常に感じています。



    【EC注力の背景:年間2.6回しかない顧客接点】


    対談画像3

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    小早川: 御社がこれほどEC強化を急ぐ背景には、顧客タッチポイントに関する課題感があったと伺っています。

    店舗中心のビジネスモデルから、デジタルへ大きく踏み出した理由をお聞かせいただけますか?


    則末: 最大の課題は「接点の少なさ」でした。オートバックスへの来店頻度は年間平均2.6回、しかも多くはオイル交換やタイヤ交換といったメンテナンス目的です。この回数だけでは、お客様のライフスタイルやニーズを十分に理解することは困難です。


    小早川: なるほど。店舗での接点だけでは、顧客像の解像度を上げるのに限界があるということですね。


    則末: その通りです。そこでECやオウンドメディア、Web上の行動履歴などのデータを統合し、現在は、「店舗 + オンライン」の双方から顧客理解を深めています。接点が増えれば増えるほど、お客様の像が立体的になり、より適切な提案が可能になってきました。



    【AI時代のUX:曖昧なニーズから提案できるECへ】

    小早川: 接点が増えるほど、ECでの体験の質(UX)が問われます。現在はどのようなUX改善に取り組まれているのでしょうか?


    則末: 従来の“商品がカタログのように並んでいるだけのEC”では、今の顧客のニーズには対応しきれません。

    ChatGPTやGeminiの普及により、顧客の検索行動は大きく変化しました。例えば「海が見えて写真映えするドライブスポットは?」といった、漠然とした問いから検索が始まるようになっています。


    小早川: 確かに、「商品を探す」前に「どんな体験をしたいか」をAIに相談するケースが増えていますね。


    則末: まさにその変化を捉え、顧客の曖昧な問合せ起点から「では、そのドライブを最高のものにするために何が必要か?」へ自然に導くUXを目指しています。

    その実現に欠かせないのが「ヘッドレスコマース」です。フロントエンド(UI/表示機能)とバックエンド(eコマースのコア機能)を分離するこの構造により、お客様の車リテラシーに応じた柔軟なUIの出し分けが可能になります。



    【車好き層には“メカメカしいUI”を】

    小早川: 車に詳しくない層へのアプローチがある一方で、車好きのハイリテラシー層には、全く異なるUIが必要になりそうですね。


    則末: そうですね。ご自身で整備までされるハイリテラシー層のお客様には、

    ● パーツの詳細な仕様情報

    ● 専門的な取り付け手順

    ● 実際の顧客によるレビュー動画

    といった、深く読み込める詳細なUI、いわばプロ仕様の情報提示が適しています。

    彼らにとっては、購入したパーツを取り付け、そのプロセスをYouTube等で共有すること自体が重要な、UX(顧客体験)になっていますから、そこにとことん寄り添えるUIを提供したいと考えています。



    【組織戦略:デザイン・メディア・マーケの連携強化】

    小早川: ターゲットごとに異なるUXを高頻度で改善していくには、組織側の連携も重要になりますね。


    則末: ヘッドレス化によってフロントエンド開発の自由度が高まる分、デザイナー、メディア連携、マーケティングが一体となって改善サイクルを回す体制が不可欠です。

    ライト層にはメディア記事から自然に購買へ誘導し、コア層にはデータを活用した緻密なパーソナライズを行うなど、複数のアプローチを横断的に連携させています。


    小早川: まさにABDiの“Di(デジタルイニシアチブ)”の名が示す通り、オートバックスグループ全体のデジタル戦略の先導役を担われている印象です。


    則末: ありがとうございます。

    AIの普及でUIのあり方が劇的に変わる今、UX(顧客体験)とカスタマーサクセスを軸にした次世代EC再構築を目指しています。


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    【仕組みではなく“体験”を共創するパートナーへ】

    小早川:御社は今、新しい事業を生み出すフェーズに入っていると感じています。

    コードを書く作業自体はAIが担えるようになりつつありますが、「何をつくるか」「どんな価値を提供するか」を考えるのは、依然として人の役割です。

    今回のヘッドレス化も、最終的にはカスタマーサクセスにつなげるための手段ですよね。


    則末:はい、重要なのは「便利に買えた」こと以上に、“その買い物が、その人のカーライフをどれだけ豊かにできたか”です。

    システムの構造を深く理解し、豊富な海外事例の知見をもつ御社とは、ヘッドレス化の先にある体験づくりまで一緒に描いていきたいと期待しています。



    【海外展開の加速に向けた、グローバルパートナーとしての役割】

    則末:オートバックスセブンは現在、連結売上高約2,500億円規模ですが、長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」では、2032年度に5,000億円を目指しています。

    その成長において、海外市場には大きなチャンスがあります。私たちもシンガポールをはじめ、地域統括本部(Regional HQ)の設立を進めており、既存事業の拡大だけでなく、新規事業、海外展開、M&Aなど、グループ全体のビジョンを再設計している最中です。


    小早川:ぜひ、その挑戦にご一緒させてください。

    国毎にニーズやソリューションが大きく進化している今日、海外の成功例やテクノロジーを日本に還元させる価値はさらに高まっています。

    当社では、弊社グループ名に合わせて、今年9月にブランドをパクテラからGienTechに変更しました。

    これによって、弊社グループでは、各国のグループ企業が、全てGienTechという統一名称となり、グローバルな知見を持ち寄れる体制が整いました。また、GienTechはテクノロジーに限らず、カスタマーサービスやオペレーションまで横断的に支援が可能です。これらを活用して、御社のグローバル課題に対するソリューションを共創していきたいと思っています。


    対談画像5

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    【自動運転時代に向けたビジネスの再定義】

    小早川:最近、自動運転技術の進化を肌で感じる機会が増えました。

    以前、ファーウェイの自動運転車に搭乗した際、詳細な地図データなどのインフラ整備を含めて「ここまで来ているのか」と驚かされました。日本でも空飛ぶ車や物流ドローンの実証実験が始まり、2030年には都市部で商用化を見据えると、オートバックスセブンの次のビジネスももはや“遠い未来”の話でありませんね。


    則末:本当に、すぐ目の前にある未来だと思います。

    現在、オートバックスセブンの売上の40%は、メンテナンスが占めています。

    たとえば空飛ぶクルマや・完全自動運転車が普及しても、安全に移動し続けるためのメンテナンスの需要はなくなりません。むしろ重要性は高まるでしょう。

    故障せずに移動できることが価値の源泉であり、売上5,000億円を目指す上でもメンテナンス領域は強化し続けます。

    また、少子高齢化を見据え、海外人材との連携も進めています。


    小早川:自動運転や空飛ぶクルマの登場は、単に新しいデバイスが増えるだけではありませんね。

    移動の概念が変わり、ライフスタイルそのものが変わる。そうなれば、オートバックスさんが提供できる領域も、カーライフに留まらず、“モビリティライフ全体”へ広がります。

    そこには、まだ見ぬ巨大な事業機会があるはずです。

    どんな接点をつくり、どんな体験を提供するのか──今まさに新しい事業セグメントが生まれようとする入口に立っていると感じています。



    【“物販の次”を描く、新たな経済圏の創造へ】

    則末:これからは、ただ商品を販売するだけでは十分な価値につながりません。

    お客様の状況に合わせて、自社とサードパーティのサービスを組み合わせ、1つの大きな経済圏を作る場が「マーケットプレイス」だと考えています。

    保険やメンテナンスをはじめとした関連サービスなど、各業界のビジネスパートナーと共に、オートバックスセブンとしてモビリティライフ全体の価値を提供していきたいですね。


    小早川:なるほど、単なるECの拡張ではなく、モビリティを中心にした“体験プラットフォーム”をデザインするイメージですね。「マーケットプレイス」に参加するプレイヤーが増えるほど、AIによる最適な提案や動線設計など、プラットフォームとしての質が問われることになります。


    則末:まさにその通りです。

    まずは店舗在庫や中古品を店舗判断で出品できる仕組みから始め、続いて子会社の商品、そして2026年度からはモビリティ関連のサードパーティにも参加してもらうことで、経済圏を広げていきます。

    AIを活用したデジタルマーケティングで、カー用品に限らず「車に関連する領域全て」まで提案を広げたい。

    全国に拠点を持つ強みを活かし、“モビリティに関することなら何でも解決できるマーケットプレイス”を御社と共に実現したいと考えています。


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