プレスリリース
ブレインパッド、「とらふぐ亭」を展開する東京一番フーズの子会社、 長崎ファームと業務提携し、トラフグの養殖効率の最適化に向けた取り組みを開始
養殖業の持続可能性を高めるため、IoT/データ活用を通じて養殖コストの低下に貢献
株式会社ブレインパッド(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO 関口 朋宏、以下:ブレインパッド)は、ふぐ料理専門店「とらふぐ亭」を展開する株式会社東京一番フーズ(本社:東京都豊島区、代表取締役社長 坂本 大地)の子会社であり、トラフグの養殖を手掛ける株式会社長崎ファーム(本社:東京都江東区塩浜2‐2‐13、代表取締役 良川 忠必、以下:長崎ファーム)と業務提携し、IoT/データ活用による、トラフグの養殖効率の最適化に向けた取り組みを開始したことを発表します。
日本の養殖業は、飼料価格や設備維持費等のコストの上昇や労働力不足といった課題に直面しており、これらの課題に対して、近年では水産庁が中心となってAIやIoTを活用した「スマート水産業」(*1)が推進されています。こうした技術を導入することで、経験や勘に頼っていた養殖プロセスがデータに基づき最適化され、養殖効率の向上やコスト削減を実現しつつあります。
このような流れを受け、ブレインパッドは、20年以上にわたり培ってきたデータ活用の知見を活かし、IoT技術やデータを活用することによってトラフグの最適な養殖条件を明らかにする取り組みに参画し、魚の養殖効率を最適化するソリューションの開発に向けたアプローチを開始することとしました。
■ 本取り組みを開始する背景
1. 社会的な背景
水産庁が2032年に食用魚介類の自給率を94%まで高めることを目指すと発表している中、国内の自給率を高めるためには養殖業の活性化は必須です。しかし、飼料価格や設備維持費の上昇など、業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、この課題を解決するために、養殖コストを低減する手段が求められているのが現状です。
2. 長崎ファーム・ブレインパッドが本取り組みを開始する背景
長崎ファームは、2023年からトラフグ養殖事業を開始し、業界平均より早く成魚に育て上げることに成功しました。しかし、その成果は各飼育員の経験や勘に頼る部分も多く、科学的に「なぜ、効率的なトラフグ養殖に成功したのか」を説明できない状態でもあり、IoTやデータを活用することにより「トラフグの最適な養殖条件」を特定し、効率的な養殖の再現性を高めたいというニーズが発生していました。
ブレインパッドは、長崎ファームから相談を受ける中で、データ活用を通じて「養殖業の持続可能性」という社会課題を解決することは、当社のPurpose「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」につながると考え、トラフグの最適な養殖条件を明らかにする本取り組みに参画することとしました。
■ 本取り組みの実施概容
● 実験概要
約1年間をかけて、養殖費用との相関性が高いと推測される条件に絞り、生け簀ごとに条件を変更してトラフグの生育度合いのモニタリングを実施します。
モニタリングのイメージ
● 実験スケジュール
【1サイクル目(2025年6月~2026年3・4月)】
養殖費用との相関性が高いと推測される条件に絞り、生け簀ごとに条件を変更してトラフグの生育度合いをモニタリングします。2026年3~4月に出荷可能な大きさに育つ予定であることを見越して実験総括を実施し、重要な条件を整理します。
【2サイクル目(1サイクル目終了後2026年以降)】
1サイクル目で検証できなかった条件を追加してモニタリングを実施し、1サイクル目同様に実験総括を実施します。
ブレインパッドは、IoT/データ活用を通じた魚の養殖効率の最適化ソリューションの開発に向けたアプローチとして、本取り組みに加えて他魚種での実験についても検討を進めており、養殖業の持続可能性に貢献できるよう、取り組みを推進していきます。
■ 株式会社長崎ファーム 代表取締役 良川 忠必氏のコメント
日本の水産業は、天候や病気、そして高い育成コストなど多くの課題を抱えています。しかし同時に、養殖こそが日本の食卓を支える未来の柱になると確信しています。ただ魚を育てるだけでなく、持続可能な食文化を築くための挑戦そのものです。
私たちは2023年にトラフグ養殖を始め、業界平均より早く成魚に育てられる実績を出しています。ただ、その理由を科学的に解明できていないことが課題でした。経験や勘に頼るのではなく、データを用いて“なぜ効率的に育つのか”を明らかにし、再現性のある仕組みを確立したいと考えています。
実証実験を始めて間もないですが、飼育密度や餌の与え方で魚の成長に明らかな差が出る兆しを掴みつつあります。小さな気づきを積み重ねて科学的に裏付けていくことが、養殖の未来を切り開くカギになると実感しています。
今回の取り組みで得られる成果は、トラフグ養殖にとどまらず、日本の水産業全体を変えるきっかけになると信じています。データに基づいた効率化によって、持続可能な養殖を確立し水産業の未来と社会に貢献してまいります。
■ 株式会社ブレインパッド 上席執行役員 エンタープライズ担当 兼 フィナンシャルインダストリー担当 鵜飼武志のコメント
私たちブレインパッドは、「息を吸うようにデータが活用される社会をつくる"Data-driven as Usual"」というビジョンを掲げています。
データ活用が未だ浸透していない産業においても、効率化やノウハウの継承は、データとAIの力が真に試される場所であり、このビジョンの重要な柱の一つです。
長崎ファーム様とのお話し合いの中で、まさに私たちが取り組むべき社会課題がそこにあると強く感じ、共に挑戦させていただく運びとなりました。
日本の食文化と水産業の持続可能な未来に貢献するため、今回の長崎ファーム様との協業は、我々にとっても新たな技術的価値を創出する絶好の機会となると確信しております。今後もビジョンの実現に向けて、多様な産業の皆様との協業を通じて技術知見を深め、データ活用のフロントランナーとして社会に貢献し続ける所存です。
(*1)スマート水産業とは、 AIやIoT、ICTなどの先端技術を水産業に応用し、生産性向上、労働力不足の解消、経営改善などを目指す取り組みを指す。この言葉は、水産資源の減少や漁業就業者の高齢化・減少といった課題に対応するため、水産庁が中心となって提唱・推進している。
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r06_h/trend/1/t1_2_5.html
■ ご参考情報
● 株式会社長崎ファームについて http://nagasaki-farm.co.jp/
株式会社長崎ファームはトラフグ・クロマグロ等の養殖を行っており、海洋環境・資源の持続可能性を踏まえたうえで水産ビジネスの連携を広げております。更に養殖事業の最適化、製品加工&ロジスティックスのネットワークつくりを通して、日本が誇る海の豊かさを、最適な状態・最適なタイミングで国内外の多様な食卓に"魚食の美味しさ" という形でお届けすることが事業ポリシーであります。
● 株式会社ブレインパッドについて https://www.brainpad.co.jp/
ブレインパッドは2004年創業の日本を代表するデータ/AI活用のリーディングカンパニーです。近年は「分析/コンサルティング/SI」「人材育成・教育」「SaaS」の三位一体のビジネスモデルを武器に、企業の内なるIT力を高める「データ活用の民主化と内製化支援」に注力しています。支援実績は金融・小売・メーカー・サービスなど幅広い業種を対象に1,400社を超え、データの力をビジネス創造と企業価値向上につなげるお手伝いをしています。
本社所在地:東京都港区六本木三丁目1番1号 六本木ティーキューブ
上場市場:東京証券取引所 プライム市場(証券コード 3655)
設立:2004年3月
代表者:代表取締役社長 CEO 関口 朋宏
資本金:597百万円(2025年6月30日現在)
従業員数:589名(連結、2025年6月30日現在)
事業内容:データ活用を通じて企業の経営改善を支援するプロフェッショナルサービス、プロダクトサービス
■ お問い合わせ先
● 製品・サービスに関するお問い合わせ
株式会社ブレインパッド
e-mail:info@brainpad.co.jp
*本ニュースリリースに記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
*本ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
以上