プレスリリース
世界の皮膚腫瘍の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の皮膚腫瘍の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Skin Neoplasms Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、皮膚腫瘍(Skin Neoplasms)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。皮膚腫瘍は、角化細胞やメラノサイトなど皮膚由来細胞の良性・悪性増殖性病変を含む広いカテゴリーであり、悪性腫瘍としては主に基底細胞癌(Basal Cell Carcinoma:BCC)、扁平上皮癌(Squamous Cell Carcinoma:SCC)、悪性黒色腫(Melanoma)が重要である。調査会社は、皮膚腫瘍の世界的負担が高齢化、紫外線曝露、診断精度向上などを背景に増加傾向にあり、とくに悪性黒色腫では多くの地域で男性の発症率が女性より高いと整理している。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における発症数、年齢、性別、腫瘍タイプ、診断患者数などを分析している。
まず重要なのは、「皮膚腫瘍全体」と「悪性黒色腫」「非黒色腫皮膚癌」を区別することである。今回の資料ではskin neoplasmsという広い表現を使っているが、具体的な疫学数値の中心は悪性黒色腫と非黒色腫皮膚癌である。したがって、良性皮膚腫瘍まで含めたすべてのskin neoplasmsの発症数として解釈するのは不適切である。
2022年には世界で皮膚悪性黒色腫の新規症例が約33万1,722例、死亡が約5万8,667例とされる。これは悪性黒色腫単独の新規発症数・死亡数であり、BCCやSCCを含む皮膚癌全体ではない。
一方、同年の非黒色腫皮膚腫瘍は世界で約123万4,533例の新規症例が記録されたとされ、主としてBCCとSCCが含まれる。したがって、世界の皮膚悪性腫瘍では症例数ベースでは非黒色腫皮膚癌の方が悪性黒色腫よりかなり多い。
ただし、非黒色腫皮膚癌は国やレジストリによって登録方法が不完全なことが多く、実際の疾病負担が統計より大きい可能性がある。今回の資料自体も「recorded cases」という表現であり、真の全症例数と必ずしも一致しない可能性がある。
悪性黒色腫では、2022年の世界新規症例約33万1,722例に対し死亡約5万8,667例とされる。単純比では約18%に相当するが、これは同一年の新規症例と死亡数を機械的に割った値であり、個々の患者の致死率や5年生存率ではないため、そのように解釈してはいけない。
非黒色腫皮膚癌は症例数が非常に多い一方、資料では早期発見時の生存率が高いとされる。したがって、皮膚癌の疾病負担を評価する際には、症例数の多いBCC・SCCと、死亡・進行リスクの高い悪性黒色腫を分けて考える必要がある。
性別では、悪性黒色腫の負担は多くの地域で男性に偏るとされる。資料では、紫外線関連皮膚悪性黒色腫26万7,353例のうち57%、15万1,921例が男性であったとされる。
ここで57%は「紫外線に起因すると推定された悪性黒色腫症例のうち男性が占める割合」であり、悪性黒色腫全症例の男性比率と完全に同義とは限らない。また、一般人口における発症率そのものでもない。
年齢による性差も重要である。若年成人では女性の悪性黒色腫発症率が男性より高い場合がある一方、年齢が上がると多くの地域で男性の方が高くなるとされる。
したがって、「悪性黒色腫は常に男性に多い」と単純化するのは不適切である。より正確には、若年層では女性優位となる地域があり、中高年以降では男性優位が強くなるという年齢依存的な性差がみられる。
米国でもこの構造は明確である。2025年の侵襲性悪性黒色腫新規症例は約10万4,960例と予測され、その内訳は男性約6万550例、女性約4万4,410例とされる。
単純に見ると男性が約58%を占め、世界のUV関連悪性黒色腫で男性57%というデータと方向性としてよく整合する。
一方、米国では50歳未満の女性では男性より悪性黒色腫発症率が高いとされるが、高齢男性では発症率が大きく上昇する。
したがって、米国でも全年齢合計では男性患者数が多い一方、若年層では女性の疾病負担が相対的に高いという二層構造になっている。
年齢については、資料冒頭で皮膚腫瘍が特に高齢者で増加しているとされる。これは累積紫外線曝露、加齢による皮膚・免疫機能変化、検診機会増加などが影響している可能性がある。
ただし、今回の抜粋では悪性黒色腫、BCC、SCCそれぞれの具体的年齢別発症率は示されていない。そのため、高齢者で何倍増えるかまでは定量化できない。
リスク因子としては、紫外線曝露、遺伝的素因、免疫抑制が主要因として挙げられている。したがって、皮膚腫瘍全体の将来負担は、屋外曝露や日焼け行動だけでなく、免疫抑制患者の増加や高齢化にも左右される。
一方、「increased sun exposure」と「improved detection」が世界発症率上昇の両方に寄与するとされる。したがって、診断件数増加をすべて真の生物学的発症増加とみなすべきではない。皮膚科受診、ダーモスコピー、病理診断などの普及によって軽症・早期病変がより多く診断されることも影響する。
米国の非黒色腫皮膚癌については、年間約540万件が約330万人に発生すると推定される。
ここで非常に重要なのは、「540万cases」と「330万人individuals」が異なることである。同一患者に複数のBCCやSCCが発生することがあるため、症例イベント数はユニーク患者数より多い。
したがって、米国で毎年540万人が非黒色腫皮膚癌になるという意味ではない。
約330万人の人に合計約540万件の腫瘍が発生するという構造であり、再発・多発性病変が患者あたりの治療件数を押し上げている。
この点は市場評価上非常に重要である。皮膚癌では「患者数」と「病変数」が一致しないことがあり、特にBCC・SCCでは一人の患者が複数回の切除・局所治療を受ける可能性がある。
また、世界の非黒色腫皮膚癌2022年新規約123万例と、米国だけで年間約540万件という数字には大きな差がある。
これは明らかに同じ集計方法ではない。
世界123万4,533例は癌登録などで把握された症例数である一方、米国の540万件は推計ベースで、複数病変を含むと考えられる。そのため、これらを直接比較して「米国だけで世界症例の4倍以上」と解釈してはいけない。
この部分は今回の資料内で重要な分母・登録方法の違いであり、世界の非黒色腫皮膚癌統計が過小捕捉されている可能性も示唆する。
地域別では、今回の抜粋では米国以外のドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドについて具体的な国別発症数や有病率は示されていない。
したがって、8主要市場を対象としたレポートではあるものの、この資料だけから国別ランキングを作成することはできない。
また、皮膚腫瘍は紫外線量だけでなく、皮膚色、年齢構成、屋外行動、検診制度、皮膚科アクセス、がん登録体制などによって国際差が大きく変わるため、単純に気候だけで発症率を説明するのは不適切である。
治療は腫瘍タイプ、病期、部位によって大きく異なる。
多くの皮膚腫瘍では外科的切除が標準的治療とされる。特に限局したBCC、SCC、早期悪性黒色腫では完全切除が中心となる。
高リスク病変や再発病変ではMohs顕微鏡手術が選択される場合がある。これは切除断端を段階的に確認しながら腫瘍を除去する方法で、正常組織温存と局所制御の両立を目的とする。
表在性病変では、凍結療法、光線力学療法、局所薬などの非外科的治療も用いられる。
ただし、これらはすべての皮膚癌に一律で使用するものではなく、病変の深さ、組織型、部位、再発リスクなどによって選択される。
進行悪性黒色腫では、免疫チェックポイント阻害薬などの免疫療法や、BRAF・MEK阻害薬などの分子標的治療が用いられる。
ここでも、BRAF・MEK阻害薬は適切な分子異常を有する患者が対象となるため、進行悪性黒色腫全患者に一律適応されるわけではない。
放射線療法や化学療法は、手術不能例や転移例などで使用されるとされる。
ただし、今回の資料では各病型での具体的治療順位や適応条件までは示されていない。
市場・疫学の観点では、「skin neoplasms」というカテゴリーを一括して扱うより、少なくとも悪性黒色腫、BCC、SCCを分けることが重要である。
第一の理由は発症数が大きく異なることである。BCC・SCCなど非黒色腫皮膚癌の方が症例数は圧倒的に多い。
第二に、死亡リスクが異なる。悪性黒色腫は進行すると生命予後への影響が大きい一方、多くの非黒色腫皮膚癌は早期治療で良好な予後が期待される。
第三に、治療市場構造が異なる。BCC・SCCでは外科・局所治療の比重が高く、進行悪性黒色腫では免疫療法・分子標的治療の重要性が高い。
第四に、患者数と病変数の関係が異なる。非黒色腫皮膚癌では一人に複数病変が発生しやすいため、処置件数が患者数を大きく上回り得る。
2026~2035年の患者負担を押し上げる第一の要因は高齢化である。
第二に、長期的な紫外線曝露の蓄積がある。
第三に、皮膚癌検診・自己観察・皮膚科診断の普及によって早期病変がより多く診断される可能性がある。
第四に、免疫抑制状態の患者増加なども高リスク人口を拡大させる可能性がある。
一方、日焼け防止、UV曝露低減、早期受診、定期皮膚検査などが普及すれば、特に進行悪性黒色腫の割合を減らせる可能性がある。
したがって、2026~2035年に皮膚腫瘍の診断件数が増えても、それが必ずしも予後悪化を意味するわけではない。早期診断が増えれば症例数は増えても、進行例・死亡は相対的に抑制される可能性がある。
全体として本レポートは、皮膚腫瘍を「角化細胞やメラノサイトなどから発生する良性・悪性増殖性病変の総称」と位置づけながら、疫学的には主として悪性黒色腫とBCC・SCCなど非黒色腫皮膚癌を分析している。
2022年には世界で皮膚悪性黒色腫約33万1,722例、死亡約5万8,667例、非黒色腫皮膚癌約123万4,533例が記録されたとされる。ただし、非黒色腫皮膚癌は登録漏れが多い可能性があり、世界値を真の全症例数とみなすには注意が必要である。
性別ではUV関連悪性黒色腫の57%が男性で、米国2025年予測でも侵襲性悪性黒色腫約10万4,960例のうち男性約6万550例、女性約4万4,410例と男性優位がみられる。一方、50歳未満では女性発症率の方が高い場合があり、中高年以降に男性優位が強くなるため、性差は年齢依存的である。
米国の非黒色腫皮膚癌は年間約540万件が約330万人に発生するとされ、一人で複数病変を持つケースが多いことが示される。この「件数」と「患者数」を区別することが極めて重要である。
治療では外科的切除を基本として、高リスク・再発病変でMohs手術、表在性病変で凍結療法・光線力学療法・局所治療などを用いる。進行悪性黒色腫では免疫チェックポイント阻害薬やBRAF・MEK標的治療などが重要となる。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢化と累積紫外線曝露による真の患者負担増加に加え、診断精度・受診率向上による症例捕捉増加を区別する必要がある。また、「skin neoplasms」という単一患者プールより、悪性黒色腫、BCC、SCCを病型別に分析する方が実態に即している。
したがって、今後の皮膚腫瘍管理における中心的課題は、増加する高齢・UV曝露リスク集団から早期病変を迅速に発見し、局所治療で治癒可能な段階で介入すること、さらに進行悪性黒色腫については分子・免疫学的特徴に応じた治療へつなげることである。2026~2035年は、日焼け防止と早期診断によって増え続ける皮膚腫瘍の重症化をどこまで抑え、病型ごとに外科・局所治療・免疫療法・標的治療を適切に使い分けられるかが、臨床・疫学・皮膚腫瘍学・研究開発・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
- 序文
1.1 はじめに
1.2 調査の目的
1.3 調査方法および前提条件 - エグゼクティブサマリー
- 皮膚腫瘍の市場概要 ― 8主要市場
3.1 皮膚腫瘍の市場規模実績(2019~2025年)
3.2 皮膚腫瘍の市場規模予測(2026~2035年) - 皮膚腫瘍の疫学概要 ― 8主要市場
4.1 皮膚腫瘍の疫学動向(2019~2025年)
4.2 皮膚腫瘍の疫学予測(2026~2035年) - 疾患概要
5.1 徴候および症状
5.2 原因
5.3 リスク因子
5.4 ガイドラインおよび病期
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 皮膚腫瘍の種類 - 患者プロファイル
6.1 患者プロファイルの概要
6.2 患者心理および心理・感情面への影響因子 - 疫学動向および予測 ― 8主要市場(2019~2035年)
7.1 主な調査結果
7.2 前提条件およびその根拠
7.3 皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
7.4 皮膚腫瘍のタイプ別患者数
7.5 皮膚腫瘍の性別患者数
7.6 皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:米国(2019~2035年)
8.1 米国における前提条件およびその根拠
8.2 米国における皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
8.3 米国における皮膚腫瘍のタイプ別患者数
8.4 米国における皮膚腫瘍の性別患者数
8.5 米国における皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:英国(2019~2035年)
9.1 英国における前提条件およびその根拠
9.2 英国における皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
9.3 英国における皮膚腫瘍のタイプ別患者数
9.4 英国における皮膚腫瘍の性別患者数
9.5 英国における皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:ドイツ(2019~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件およびその根拠
10.2 ドイツにおける皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける皮膚腫瘍のタイプ別患者数
10.4 ドイツにおける皮膚腫瘍の性別患者数
10.5 ドイツにおける皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:フランス(2019~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件およびその根拠
11.2 フランスにおける皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける皮膚腫瘍のタイプ別患者数
11.4 フランスにおける皮膚腫瘍の性別患者数
11.5 フランスにおける皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:イタリア(2019~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件およびその根拠
12.2 イタリアにおける皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける皮膚腫瘍のタイプ別患者数
12.4 イタリアにおける皮膚腫瘍の性別患者数
12.5 イタリアにおける皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:スペイン(2019~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件およびその根拠
13.2 スペインにおける皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける皮膚腫瘍のタイプ別患者数
13.4 スペインにおける皮膚腫瘍の性別患者数
13.5 スペインにおける皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:日本(2019~2035年)
14.1 日本における前提条件およびその根拠
14.2 日本における皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
14.3 日本における皮膚腫瘍のタイプ別患者数
14.4 日本における皮膚腫瘍の性別患者数
14.5 日本における皮膚腫瘍の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:インド(2019~2035年)
15.1 インドにおける前提条件およびその根拠
15.2 インドにおける皮膚腫瘍の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける皮膚腫瘍のタイプ別患者数
15.4 インドにおける皮膚腫瘍の性別患者数
15.5 インドにおける皮膚腫瘍の年齢別患者数 - ペイシェントジャーニー(患者の診療・治療プロセス)
- 治療上の課題およびアンメットニーズ
- キー・オピニオン・リーダー(KOL)の見解
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