プレスリリース
電気自動車用液体(EVフルード)の日本市場(~2031年)、市場規模(グリース類、ブレーキフルード、熱媒体、駆動系用流体)・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「電気自動車用液体(EVフルード)の日本市場(~2031年)、英文タイトル:Japan Electric Vehicle Fluids Market Overview, 2031」調査資料を発表しました。資料には、電気自動車用液体(EVフルード)の日本市場規模、動向、予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のEV(電気自動車)用フルード市場は、日本の自動車産業が進める電動化の流れの中で高度化が進む分野であり、その基盤には国内メーカーが長年培ってきたハイブリッド車開発の蓄積がある。ハイブリッド車の時代に、熱管理やトランスミッション用フルードの改良が先行して進められ、そこで築かれた化学・設計の知見が、現在のEV専用処方(EV-specific formulations)へと発展した、という位置付けである。対象となるフルードは、バッテリーの熱管理液、絶縁性(誘電)クーラント、eアクスル(電動駆動ユニット)向けトランスミッションフルード、ブレーキフルード、各種の特殊グリースや熱界面材など多岐にわたり、従来の石油系中心の化学体系から、合成油、バイオベース、ナノテクノロジーを活用した高機能配合へと移行している。EVでは高電圧環境での安全性が必須であるため「電気的に非導電であること(絶縁性)」「高い熱伝導性」「樹脂・金属・シール材などとの材料適合性」「長寿命・長期安定性」といった要求を同時に満たす必要があり、これが処方開発を難しくしつつ差別化要因にもなっている。
用途技術の最前線として、バッテリーを液体に浸す没入冷却(immersion cooling)、相変化を活用する二相(two-phase)冷却、複数の熱回路を統合した高度な熱マネジメント設計が挙げられ、これらは車両プラットフォーム側の進化と連動している。さらに、日本の次世代車両ではIoTを活用したフルード状態のリアルタイム監視(劣化・汚染・温度履歴などのモニタリング)が組み込まれつつあり、単なる「液体の供給」から「状態管理・ライフサイクル運用」へと価値が拡張している。市場のエコシステムは、原料サプライヤー、調合・処方の専門企業、完成車メーカー(OEM)との工場充填(factory-fill)契約や共同開発、アフターマーケットの流通網までを含み、乗用車・商用車・二輪の電動セグメントに供給される。
制度・規制面では、日本のカーボンニュートラル方針、経産省(METI)主導の電動化指針、2035年の新車ICE(内燃機関車)段階的廃止の方向性、JASOやJISの規格体系が、製品開発・調達・適合の枠組みを形成する一方、PFAS規制、化審法(Chemical Substances Control Law)対応、廃棄物処理・処分規制などが配合上の制約となり、継続的な再配合・改良投資を迫る。運用上の課題としては、研究開発費の高さ、原材料の輸入依存、OEMごとのプラットフォーム(仕様)分散による適合負担、整備士・技術者側の知識ギャップ、そしてグローバル潤滑油メジャーとの競争激化が挙げられ、バリューチェーン全体に継続的なプレッシャーがかかっている。こうした状況の下でも、日本特有の「ものづくり」品質思想、改善(kaizen)文化、国産ブランドへの信頼、環境意識の高い消費者層の拡大が、長寿命で環境負荷の低いフルード需要を押し上げ、電動モビリティの将来像と整合する製品への志向を強めている。
「Japan Electric Vehicle Fluids Market Outlook, 2031」によると、日本のEVフルード市場は2026~2031年にUSD 0.23十億(約2.3億ドル)規模の上積みが見込まれる。競争環境は少数の資本力ある国内企業が中核で、ENEOS、出光興産、コスモ石油ルブリカンツなどが、国内自動車メーカーとの長年の関係を背景に、工場充填契約、共同開発、OEM認定(qualification)を積み重ねており、これが海外勢にとって強い参入障壁となっている。これら国内大手は、バッテリー熱管理クーラント、絶縁没入冷却液、eアクスル向けグレード、回生ブレーキに対応するブレーキフルード、モーターベアリング用グリース、熱界面材などを包括的に提供し、さらにフルード状態監視、ライフサイクル管理、使用済みフルードの回収・リサイクル、整備士トレーニングまでを組み合わせ、取引を「製品販売」から「サービス一体型の長期関係」へ拡張している。
差別化の軸としては、交換サイクル(ドレンインターバル)の延長に資する添加剤技術、ナノ技術による熱伝達性能の向上、BEV・PHEV・FCEVなど複数の電動方式に跨る適合性、バイオベース等の環境認証の取得が挙げられ、国産製造で品質を担保する姿勢がOEM調達側・補修市場の双方でのブランド選好を補強している。収益モデルは、工場充填の大量契約とアフターマーケット(例:カー用品店チェーンやディーラー網)に加え、プライベートブランド製造、フリート向けサブスクリプション、デジタル選定プラットフォームなどへ広がり、コモディティ供給からサービス指向へ構造転換している。価格帯はベーシックなクーラントから、没入冷却や高機能誘電フルードといったプレミアム領域まで幅があり、環境認証を持つラインは相応のプレミアムが付く一方、フリートやOEMの大量取引は数量に基づく交渉価格で運用されるとされる。
市場構造としては、上流(基油・精製など)が国内の大手精製系に集中し、中流(地域のブレンド・調合)が分散、下流(販売・サービス)は競争が激化しており、Shell、ExxonMobil、TotalEnergiesなど海外メジャーも日本向けEVフルード戦略を拡大している。需要増加に加え、全固体電池など技術変化が熱マネジメント要件を変えるリスク、原材料価格の変動、PFAS由来の再配合圧力、そしてライフサイクルサービス収益への戦略転換が、当面の競争・運用ダイナミクスを規定する要因として挙げられている。
別の説明パートでは、市場成長の背景としてEV普及の加速、クリーンエネルギーへの政府支援、環境意識の高まりが挙げられ、EVフルード(バッテリー冷却液、モータ潤滑、ブレーキフルード、熱管理液など)が性能・効率・寿命の維持に不可欠である点が強調される。充填形態(fill type)では、新車製造時に入れる「ファーストフィル(first fill)」と、点検・交換で使う「サービスフィル(service fill)」に分けられ、ファーストフィルはOEM仕様に合致した長寿命・環境配慮型処方が重視される。サービスフィルは保有台数の増加に伴って補修需要が伸び、EV整備拠点の拡大やユーザーのメンテナンス意識、高性能アフターマーケット製品の入手性が需要を左右する。技術革新としては、生分解性や高熱伝導性などのクーラント・潤滑剤の改良が普及を後押しし、メーカー各社は自動車メーカーとの提携、R&D投資、製品ポートフォリオ拡充によって、電池化学系やモータ設計の多様化に対応している。レポート上の区分としては、製品タイプ(グリース、ブレーキフルード、熱伝達フルード、駆動系フルード)、推進方式(BEV、PHEV、HEV)、車両タイプ(乗用車、商用車)でセグメント化し、2020年を歴史年、2025年を基準年、2026年を期待年、2031年を予測年として、市場規模・予測、成長要因と課題、トレンド、5フォース分析、主要企業、戦略提言を包含する構成である。
【電気自動車用液体について】
電気自動車用液体(EV用フルード)とは、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、ハイブリッド(HEV)などの電動車に搭載される各種機器の性能・安全・耐久性を維持するために用いられる専用の液体・潤滑剤・グリース類の総称である。内燃機関車ではエンジンオイルが中心的役割を担うのに対し、EVでは高電圧環境下での熱管理と摩擦低減が重要となり、バッテリー冷却液(熱媒体)、絶縁性クーラント(誘電フルード)、eアクスル/減速機向けトランスミッションフルード、ブレーキフルード、モーター軸受やジョイント部に用いる高耐熱グリース、熱界面材(TIM)などが主要カテゴリとなる。特にバッテリーは温度が性能・寿命・安全性(熱暴走リスク)に直結するため、熱伝導性と流動性、材料適合性、長期安定性を両立した冷却・熱マネジメント用フルードの重要性が増している。
EVフルードには内燃機関車以上に厳しい要求が課される。電気を通しにくい非導電性(絶縁性)を確保しつつ、熱を効率よく運ぶ高熱伝導性が必要であり、さらに銅やアルミ、樹脂、ゴムシールなど多様な材料に対する腐食・膨潤・劣化を起こさない互換性が求められる。高回転モーターやギヤの接触部では剪断安定性や耐摩耗性、低粘度化による損失低減(効率向上)も重要で、回生ブレーキが主となる車両ではブレーキ系の作動条件が変わるため、耐熱性や吸湿特性を含むブレーキフルードの品質管理も欠かせない。近年は、従来の石油系ベースから、合成油、バイオベース、添加剤・ナノ材料を活用した高機能処方へ移行し、交換サイクルの長期化や環境負荷の低減が進んでいる。
用途面では、冷却方式の高度化に伴い、バッテリーを液体に浸す没入冷却(Immersion Cooling)や、相変化を利用する二相冷却などが注目される。これらは冷却性能を高める一方で、誘電特性の安定性、揮発性、酸化安定性、微量水分管理などの要求が一段と厳しくなるため、フルード開発と車両設計が一体で進む傾向が強い。また、IoTやセンサーによるフルード状態監視(温度、劣化、汚染、金属摩耗粉など)を組み込むことで、予防保全やライフサイクル管理(回収・再生を含む)へつなげる取り組みも広がっている。EV普及が進むほど、製造時に充填されるファーストフィル需要に加え、点検・交換で使用されるサービスフィル(アフターマーケット)も拡大するため、整備網の整備、技術者教育、適合表のデジタル化など運用面の整備も市場成長の鍵となる。EVフルードは、電動化の性能・安全を支える“見えない基盤技術”として、今後も材料科学、熱工学、規制対応、循環利用の観点から進化が続く分野である。
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