報道関係者各位
    プレスリリース
    2026年10月18日 10:00
    医療法人社団博雅会草ヶ谷医院

    なぜ高齢者の死因に「肺炎」が多いのか?

    高齢のご家族がいる方の中には、「肺炎は高齢者にとって危険な病気」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

    実は、高齢者の肺炎は初期症状に気づきにくく、重症化するケースもあります。
    草ヶ谷医院(静岡県静岡市清水区鶴舞町6-1)は、高齢者の死因に肺炎が多い理由や、気をつけたい症状、日常生活でできる予防法について解説します。

    そもそも肺炎ってどんな病気?

    肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が肺の奥——酸素を取り込む「肺胞(はいほう)」という場所まで入り込んで、炎症を起こす病気です。

    のどや気管支の炎症である「かぜ」や「気管支炎」よりも、一段深い場所で火事が起きている、そんなイメージを持っていただくと分かりやすいと思います。

    原因として最も多いのは肺炎球菌をはじめとする細菌です。そのほか、インフルエンザや新型コロナなどのウイルス、マイコプラズマなどもあります。かぜやインフルエンザで気道の防御が弱ったところに細菌が入り込み、肺炎に進展するケースも少なくありません。

    こんな症状は肺炎のサインかも

    • かぜだと思っていたら、1週間以上症状が長引く
    • 熱が一度下がってから、また上がる
    • たんの色が濃くなってきた
    • 呼吸が苦しい、動くと息切れがする

    このあたりが揃ってきたら、「ただのかぜ」と思わずに受診してください。と言いたいところなんですが、実は高齢の方では、この典型的なサインが出ないことがあるんです。ここが病気の一番怖いところです。

    高齢者の死因に肺炎が多い理由は?

    理由その1:気づきにくい。「熱がない肺炎」があるんです

    高齢になると、発熱やせきといった典型症状が出にくくなります。「なんとなく元気がない」 「食欲がない」 「ぼんやりしている」これだけ。熱を測っても平熱。でもレントゲンを撮ると、肺炎がしっかり写っている。外来をやっているとこういう場面に本当によく出会います。症状が地味だから受診が遅れる。見つかった時にはかなり進んでいる。高齢者の肺炎では、これがしばしば起こります。

    理由その2:体の防御力と「余力」が落ちている

    免疫の働きが低下しているのに加えて、せきで異物を外に出す力。「せきの力」そのものが弱くなっています。若い人なら追い出せる病原体や、病原体と体が戦ったあとのゴミである痰などを、体の外に出しきれないんです。これが肺炎の治りを悪くします。

    そしてもうひとつ、臨床をやっていて強く感じるのは「余力」の問題です。高齢の方は、心臓の病気、腎臓の病気、糖尿病や高血圧に伴う動脈硬化など、いくつかの病気をもともと抱えていることが少なくありません。こうした持病(基礎疾患)がある状態で肺炎が起こると、肺炎そのものが重症化しやすいだけでなく、肺炎をきっかけに持病のほうが急に悪化してしまうことがあるんです。

    肺炎は「肺だけの病気」では終わらない。ここが高齢者の肺炎の本質です。

    理由その3:誤嚥(ごえん)——「むせない誤嚥」を知っていますか?

    3つ目が、飲み込む力の低下によっておこる飲み込みの間違い、いわゆる「誤嚥」です。年齢とともに、食べ物や唾液が誤って気管に入りやすくなります。口の中の細菌が唾液と一緒に、気づかないうちに肺へ流れ込んで炎症を起こす。これが 誤嚥性肺炎 です。

    ここで、ぜひ知っておいてほしいことがあります。誤嚥は、食事中に「むせる」ことだけで起こるのではありません。眠っている間に、唾液が少しずつ気管に流れ込むことでも起こります。 つまり、むせない誤嚥があるんです。ご家族が「うちのおばあちゃんは食事でむせないから大丈夫」と思っていても、安心はできません。

    そして誤嚥性肺炎には、もうひとつ厄介な性質があります。肺炎が治っても、「誤嚥しやすい」という状態そのものは治っていないということです。だから繰り返す。繰り返すたびに、少しずつ体力が削られていく。高齢者の死因に肺炎が多い本当の理由は、この「繰り返しながら弱っていく」下り坂にあるのです。

    若い人は大丈夫?——「息苦しさ」だけは年齢に関係なく危険です

    「肺炎はお年寄りの病気でしょ?」と思った方、ちょっと待ってください。

    頻度は高齢者よりずっと低いものの、若い方でも命に関わることはあります。代表的なのは、レジオネラ菌による肺炎や、インフルエンザの後に重い細菌性肺炎を併発するケース。健康な若い方でも、数日で急激に呼吸状態が悪化して、集中治療が必要になることがあります。

    喘息やCOPDなどの呼吸器の持病がある方、糖尿病のある方、喫煙されている方、妊娠中の方は、若くてもリスクが上がります。覚えておいてほしい目安はひとつだけ。

    「息苦しさ」は、年齢を問わず危険なサインです。かぜだと思っていても、呼吸が苦しい、動くと息切れがする、胸が痛いなど。こうなったら、様子を見ずに受診してください。

    肺炎は予防できる病気です——今日からできる4つのこと

    ① ワクチン——まず入り口をふさぐ
    65歳以上の方には肺炎球菌ワクチンの定期接種があります。まだの方は、ぜひご検討ください。
    そして意外に知られていませんが、インフルエンザや新型コロナのワクチンも、間接的に肺炎の予防になります。これらの感染症をきっかけに細菌性肺炎を併発するケースが多いからです。入り口をふさぐことが、肺炎予防の第一歩です。
    当院でも各種ワクチンのご相談を受け付けています。「自分はどれを打てばいい?」という段階からで大丈夫です。お気軽にどうぞ。

    ② 歯みがき——実は誤嚥性肺炎の予防になります
    「歯みがきが肺炎予防?」と思われるかもしれません。これ、本当なんです。
    誤嚥で肺に入るのは、口の中の細菌です。ということは、口の中の細菌そのものを減らせば、肺炎のリスクは下がる。理屈はシンプルですよね。毎日の歯みがき、入れ歯のお手入れ、定期的な歯科受診。地味ですが、確かな予防法です。

    ③ 飲み込む力と体力を保つ
    よくかんで食べる。食事中は姿勢を正す。食後すぐに横にならない。あわせて、日常的に体を動かして、しっかり栄養をとる。のみ込みに関わる筋肉を含めた全身の筋力を保つことが、長い目で見た予防になります。

    ④ 禁煙
    たばこは気道の防御機能を直接壊します。肺炎に限らず、呼吸器を守るうえで禁煙は非常に大切です。当院では禁煙のご相談もお受けしていますので、「やめたいけどやめられない」という方こそ、一度お話しに来てください。

    最後に—ご家族への、いちばん大事なお願い

    ここまで読んでくださった方に、これだけは持ち帰ってほしいことがあります。

    「熱がないから大丈夫」と思わないでください。食欲がない。元気がない。なんとなく、いつもと様子がちがう。それが、高齢者の肺炎の始まりかもしれません。「いつもと違う」と感じたら、早めの受診を。肺炎は、早く見つかれば外来治療で治る病気でもあるのです。

    長引くせき、繰り返す発熱、ご家族の「なんとなく元気がない」気になることがあれば、静岡市清水区の草ヶ谷医院までお気軽にご相談ください。
    呼吸器専門医として、しっかり診させていただきます。


    お問い合わせ先

    内科 呼吸器内科 アレルギー科 草ヶ谷医院
    院長 草ヶ谷英樹
    TEL:054-366-2561
    住所:〒424-0047 
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