プレスリリース
沖縄の老舗牛乳屋さん「宮平乳業」の瓶牛乳、長い歴史に幕
長年愛された瓶牛乳・カフェ瓶商品が終売へ
株式会社宮平乳業(所在地:沖縄県糸満市西崎町4-15-6、代表:宮平隆一)は、長年にわたり沖縄県民に親しまれてきた瓶入り牛乳、およびカフェ瓶商品の製造・販売を終了することを発表しました。

約75年の歴史を刻んだ瓶入り商品、時代の流れとともに
宮平乳業は1919年(大正8年)に宮平隆忠氏が北大東島で創業し、2019年に創業100周年を迎えた沖縄を代表する乳業メーカーです。
創業当初は「やかんで殺菌した牛乳を隣近所へ販売」という小さな始まりでした。
1950年(昭和25年)に2代目の宮平隆政氏が事業を継承し、北大東島から糸満市へ移転。
琉球政府による衛生公認第一号を取得し、瓶牛乳・宮平玄米の本格的な販売を開始しました。
当時は糸満の市場や各家庭を回る宅配形式で、多くの県民の朝食卓を彩ってきました。


その後、3代目の宮平隆雄氏の時代には、量販店への販路拡大を図るため紙パック商品の製造・販売を開始。
1989年(平成元年)に「株式会社 宮平乳業」を設立し、紙パック牛乳、紙パック玄米、瓶牛乳、瓶玄米を量販店・宅配を中心に製造販売してきました。
近年の包装容器市場では、環境配慮や利便性の観点から紙パックやペットボトルへの移行が進み、ガラス瓶を使用した商品は全国的に減少傾向にあります。そのような市場環境の変化や生産効率化の必要性から、長らく県民に愛されてきた瓶牛乳およびカフェ瓶商品の製造・販売終了を決断するに至りました。

沖縄の食文化を支えた瓶入り商品の特長と思い出
宮平乳業の瓶入り商品は、沖縄県内の食文化において独自の地位を築いてきました。
瓶牛乳は、牛乳本来のまろやかさを感じることができ、またガラス瓶特有の冷たさと相まって「沖縄の夏に欠かせない清涼感ある飲み物」として親しまれ、カフェ瓶(カフェオレ)は、独特の甘さと香ばしさで、子どもから大人まで幅広い層に愛飲され、多くの思い出と結びついています。
瓶入り商品ならではの特長
- 風味の保持:
ガラス瓶は内容物と化学反応を起こしにくく、本来の風味を長く保つことができた - 環境への配慮:
回収・洗浄・再利用というリユースシステムにより、現代の環境問題にも先駆的に対応していた - 沖縄の記憶:
「瓶の牛乳を飲んだ記憶」は多くの沖縄県民の共通体験として、郷土の食文化を形成してきた

次の100年に向けた宮平乳業の新たな挑戦
宮平乳業は瓶入り商品の終売という一つの区切りを迎えますが、沖縄の乳業を支える企業として新たな取り組みも積極的に展開しています。
2019年の創業100周年を機に「宮平ジェラート」を発売し、2020年には余剰乳を活用したスキンケアブランド「Chi-Chi」の展開を開始。
2024年には自社製造の「宮平牛乳ジェラート」へとリニューアルするなど、乳製品の可能性を広げる挑戦を続けています。

宮平隆一代表取締役社長は「瓶入り商品の終売は非常に苦渋の決断でしたが、変化する時代において、宮平乳業は『沖縄の家族を想う牛乳を、次の100年も』という理念のもと、新たな形で県民の健康と豊かな食生活に貢献していきたい」とコメントしました。
また、長年にわたって営業職を務めている営業部長も「市場環境の変化や製造体制の見直しなど、さまざまな要因を踏まえ慎重に検討を重ねてまいりましたが、継続が難しく、終売の判断に至りました。販売を続けたいという思いが強かっただけに、非常に残念に感じております。これまでご支援くださった皆様に心より御礼申し上げます」とコメントしています。
なお、瓶入り商品の販売終了日や、これまでお使いいただいた空き瓶の回収方法などについては、同社ウェブサイトやSNSで順次案内される予定です。
会社概要
- 会社名:株式会社 宮平乳業
- 所在地:沖縄県糸満市西崎町4-15-6
- 代表者:代表取締役社長 宮平隆一
- 創業:1919年(大正8年)
- 設立:1989年(平成元年)
- 事業内容:牛乳・乳飲料・清涼飲料水等の製造販売、ジェラート製造販売、スキンケア製品製造販売
- 公式ウェブサイト:https://miyahiranyugyo.co.jp/