報道関係者各位
プレスリリース
2025年6月20日 10:30
株式会社ファイブナイン・ファクトリー

約四半世紀ぶりのCDアルバムリリース! フルート奏者・城戸夕果、ブラジル音楽の名曲を奏でる

レーベル主催の小説家・今野敏の長年の夢が実現

小説家・今野敏が主催する音楽工房「78label」(運営:株式会社ファイブナイン・ファクトリー)は、名フルート奏者・城戸夕果の約25年振りとなるCDアルバム『Brisa』を2025年6月27日(金)に全国のレコードショップでリリースします。また、音楽配信プラットフォームでも順次配信予定です。


78label URL: http://www.78label.com/


城戸夕果 PHOTO

城戸夕果 PHOTO


■『Brisa』リリースの背景

「78label」主催の今野敏と城戸夕果は、今野が城戸のライブに足繁く通うほど、長年交友関係がありました。城戸が奏でる音楽に魅了され、彼女に新しいアルバムのリリースを懇願。ついにこの度、リリースが叶い、今野の長年の夢が実現しました。



■リリース情報

タイトル     : Brisa

アーティスト名  : 城戸夕果

リリース日    : 2025年6月27日

ジャンル     : JAZZ、ブラジル音楽

発売形態     : CD、配信同時

収録曲/作詞・作曲: 1. Brisa/城戸夕果

           2. Joana Francesa/Chico Buarque

           3. A Felicidade/Antonio Carlos Jobim

           4. Anos Dourados/Antonio Carlos Jobim

           5. Choratina/Johnny Alf

           6. Desde Que O Samba E Samba/Caetano Veloso

           7. Para Voces Com Grande Carinho/Hermeto Pascoal

           8. Maninha/Chico Buarque

           9. Eu E A Brisa/Johnny Alf


ジャケット写真

ジャケット写真


■城戸夕果 profile

フルート奏者

神戸生まれ、茅ヶ崎育ち、洗足学園大卒。学生時代からジャズ・フュージョン系のバンドで活動。

90年、初めてブラジルを訪れ、リオで小野リサのセカンド・アルバム『NANA(ナナン)』の録音に参加。93年、リオ録音のリーダー作『XUXU(シュシュ)』を、94年、同じくリオ録音でジョイス(現在名ジョイス・モレーノ)やマルコス・スザーノらが参加した『Rio Smiles』を発表。

『Aracua(アラクアン)』(96年)ではフィロー・マシャード(ギター、ヴォイス)と共演、ブラジル内陸の湿原地帯パンタナールてのフィールド・レコーディングも行った。このほか、ジョアン・ドナート、カルロス・リラ、ジョイスらの録音に参加。ボサノヴァの先駆者ジョニー・アルフのバンド・メンバーとしてブラジル国内ツアーにも参加した。


一方、91年にジャズ・ピアニスト、デューク・ジョーダンとの共演作『YUKA』を、92年にコペンハーゲンでニールス・ぺデルセン(ベース)らと共演したリーダー作『refind.(リファインド)』を録音。同じく92年、文楽とコラボレートした公演『女優と人形 曾根崎心中』(東京、大阪)に出演するなど幅広い分野で活動。

98年、初めて日本のミュージシャンとのバンド編成で録音した『CASA(カーザ)』を、99年、ジョイスがゲスト参加した『Lulu(ルルー)』を発表。日本でライヴ活動を行い、宮沢和史のブラジリアン・バンドJABATIDA、2000年には渡辺香津美のブラジリアンシャワーのメンバーもつとめた。



■ライナーノーツ(転用可)

時には人生を謳歌するかの如く高らかに、時にはそっとささやくようにメロディを紡ぎ出す。ブラジル音楽の魅力は、人間の喜怒哀楽が美しく表現されているところではないか。そして、ブラジル音楽とフルート。この2つの関係性は非常に親密と言っていい。人間の声に近い楽器と言われることも多い、この柔らかな音色の木管楽器は、ブラジルのメロディやリズムによく似合うのだ。ボサノヴァの生みの親であるアントニオ・カルロス・ジョビンも、そのジョビンに影響を与えた作曲家ピシンギーニャもフルートを嗜んでいた。そんな事実を知ると、俄然フルートという楽器が気になってくるのではないだろうか。


城戸夕果の新作『Brisa』は、フルートとブラジル音楽の邂逅をたっぷりと楽しめる作品である。神戸生まれ、茅ヶ崎育ちの城戸夕果は、学生時代にジャズ/フュージョン系のフルート奏者としてキャリアをスタートした。小野リサのバンドに参加したことからサンバやボサノヴァといったブラジル音楽に興味を持ち、90年代初頭は日本とリオデジャネイロの二拠点生活を送りながら、リオ録音のアルバムも数枚制作している。いわば、筋金入りのブラジル音楽の演奏家である。しかし、2000年代に入ってからは、外交官であるパートナーの海外赴任に同行していたこともあって、各地でも音楽活動は行っていたとはいえ、最後にレコーディングしたアルバムは1999年。よって、『Brisa』はなんと四半世紀ぶりのニューアルバムなのである。


それにしても、『Brisa』の選曲を見れば、ブラジル音楽好きは思わず唸るのではないだろうか。いわゆる名曲やスタンダードを集めた安直なインストアルバムではないことは、曲目リストを眺めればすぐにわかるはずだ。誰もが知っている有名曲といえば映画『黒いオルフェ』に使用されたことで知られるアントニオ・カルロス・ジョビンの「A Felicidade」くらいだろうか。同じくジョビンの数ある名曲の中からもう一曲「Anos Dourados」が選ばれているところにこだわりを感じさせてくれる。


他には、ブラジル音楽界のカリスマ的存在であるシコ・ブアルキの楽曲から「Joana Francesa」と「Maninha」、シコと並ぶブラジル音楽界の至宝カエターノ・ヴェローゾの「Desde Que O Samba E Samba」、城戸夕果自身と交流があったレジェンド的存在のジョニー・アルフの作品から「Choratina」と「Eu E A Brisa」、マイルス・デイヴィスとの共演でも知られる鬼才エルメート・パスコアールから直接手渡されたという大切な楽曲「Para Voces Com Grande Carinho」と、必然性のある選曲がなされている。そして、アルバムの冒頭には、今回唯一の麗しきオリジナル楽曲「Brisa」を配し、アルバムを構成しているのだ。


彼女の凛としたフルートの音色をサポートするミュージシャンもまた特筆すべきである。長年の付き合いであるパーカッション奏者の岡部洋一、ジャズもブラジルも多彩にこなせるベーシストのコモブチキイチロウ、そして、ジャズからクラシックまで弾きこなすピアノの伊藤志宏という、いわゆるピアノ・トリオが基軸になっている。そのため、ギターがメインで演奏されるボサノヴァやショーロといったブラジル音楽のフォーマットとはひと味違って、室内楽的な透明感や繊細さ、そしてジャズの要素をふんだんに取り入れたインプロヴィゼーションなどを繰り出して独自のアンサンブルを構築している。彼女にとってもこの編成は新しいトライだったのではないだろうか。


また、このピアノ・トリオ+フルートという編成に加え、客演ミュージシャンたちが花を添える。数曲で聞こえてくるガットギターの音色は、名手として知られるルーラ・ガルヴァオンによるもの。彼の演奏がアルバムの中で点在的に独特のリズムを醸し出しているのは興味深い。そして、「Anos dourados」で聞こえてくるのが、EPOのスキャットだ。昨今はシティポップの文脈で再評価されている彼女は、ブラジル音楽を歌わせても絶品であり、そのエッセンスがこの曲にも絶妙に取り入れられている。また、日本でも非常に人気の高いジョイス・モレーノが、「Maninha」で可憐な歌声を披露してくれる。いずれも城戸夕果と過去に共演歴があり、彼女のフルートとの相性の良さは抜群だ。


何よりも、このアルバム『Brisa』の主役はフルートである。ちょっとした息遣いや楽曲の展開によって表情を変える演奏は、ヴォーカル以上に雄弁であり、ブラジル音楽が持つ喜怒哀楽のヴァイブレーションを生み出している。まさに「時には人生を謳歌するかの如く高らかに、時にはそっとささやくようにメロディを紡ぎ出す」、そんなプレイが展開されていくのだ。四半世紀の時を経て目覚めた、音楽のミューズが紡ぐリリカルな演奏をじっくりと堪能していただきたい。


栗本斉(旅&音楽ライター/選曲家)



■「78label」について

レコード会社勤務経験のある小説家・今野敏(こんの びん)主催の音楽レーベル。

ジャズからポップまで、今野の気の向くまま、今野の嗜好でリリース作品を積み上げている。昨年はSONYミュージックとのコラボで<あぶ刑事JAZZ>をリリースし様々なジャズチャートで1位を獲得している。