プレスリリース
九州発“幻のいくら”の親魚 サクラマスをアップサイクル! 創業122年 博水、宮崎市最古 山口商店、宮崎大学発 Smoltが 歴史的協業を開始
福岡・宮崎の老舗×大学発スタートアップが描く“水産業の未来” サクラマスで繋ぐ持続可能な海のバトン
福岡の地で創業122年を迎える老舗練り物屋 株式会社博水(福岡市、代表取締役:江越 猛信)は、宮崎市で最も歴史のある蒲鉾店 合資会社山口商店(宮崎市、代表:山口 徹)、宮崎大学発のスタートアップで高温耐性の選抜育種を活用したサクラマス養殖を手がける株式会社Smolt(スモルト、宮崎市、代表取締役:上野 賢)と協業を開始します。本協業では、Smoltが養殖する高級魚「サクラマス」から、金色に輝く「つきみいくら(R)」※1を採取した後の魚体をアップサイクル。博水が魚体から魚肉を取り出しすり身に加工する伝統の技術でサクラマスを高品質なすり身に加工し、山口商店が地域の味を活かした製品へと昇華させます。本取り組みは、老舗企業が持つ伝統技術と、スタートアップの革新的なアイデアを融合させ、水産資源の完全活用とフードロス削減を実現し、持続可能な水産業の新たなモデルケースを構築するものです。
左から、博水 江越 雄大、Smolt 土谷 晃史、山口商店 山口 徹
■ 協業の背景:老舗の課題意識と、スタートアップの情熱が合致
近年、気候変動や乱獲による水産資源の減少、担い手不足など、日本の水産業は多くの課題を抱えています。こうした中、株式会社Smoltは、宮崎大学の研究成果を基に、淡水と海水を行き来するサクラマスの完全養殖に成功しました。受精、孵化から次世代の採卵までをすべて自社で完結できるため、天然資源に頼らずに安定的な養殖が可能です。ゲノム編集ではない選抜育種という手法で、高水温耐性などの優れた形質を持つ個体を掛け合わせることにより、地球温暖化が進んだ環境でも持続的にサーモン養殖ができる世界を目指し、研究開発を進めています。特に、製品として産卵期の雌からのみ採取できる「つきみいくら(R)」は、その希少性と美しさから“幻のいくら”として注目を集めています。
幻のいくら「つきみいくら(R)」
しかし、いくらを採卵した後の親魚は、産卵にエネルギーを使うことで身の脂質含量が少なくなるため、食用としての価値が低いとされ、その多くが活用されていませんでした。この貴重な水産資源を無駄にしたくないというSmoltの強い想いに、長年水産資源と向き合い、その価値を最大限に引き出すことに尽力してきた博水と山口商店が共鳴。それぞれの知見と技術を持ち寄ることで、この課題を解決できると確信し、今回の協業が実現しました。
■ 3社の役割:伝統の技と革新の技術が起こすシナジー
株式会社Smolt(宮崎大学発スタートアップ)
- 役割:完全養殖による純国産サーモンであるサクラマスの“本桜鱒”と「つきみいくら(R)」の生産。採卵後の親魚の安定供給。
- 強み:天然資源に頼らないサステナブルな養殖技術。準絶滅危惧種であるサクラマスを選抜育種による品種改良によって安定的に生産することが可能。
完全養殖による純国産サーモンである「サクラマス」
株式会社博水(福岡・創業122年の老舗)
- 役割:Smoltから提供されたサクラマスの魚体から魚肉を取り出しすり身に加工。
- 強み:魚体から魚肉を取り出してすり身に加工する技術は、現在では全国でも数少ない貴重な技術。魚の特性を理解し、その旨味を最大限に引き出すことができる、1世紀以上にわたり培われてきた練り物製造のノウハウ。
博水で製造されたすり身
山口商店(宮崎で創業101年の蒲鉾専門店)
- 役割:博水が加工したすり身を使い、地域に根差した最終製品へと開発・製造。
- 強み:地元の食文化を深く理解し、消費者に愛される商品と話題を創り出す企画力と製造技術。宮崎の地で育ったサクラマスを、宮崎の味として完成させるストーリー。
山口商店 商品イメージ
■ 今後の展望:日本の伝統技術“練り物”の可能性を、未来へつなぐ
私たちが本協業で目指すのは、単に新しい商品を開発することだけではありません。それは、「練り物」という日本の伝統的な食品加工技術が、これまで活用が難しかった魚の未利用部位や、規格外とされる魚(未利用魚)に、新たな価値を与える優れた技術であることを、この取り組みを通じて示していくことです。
魚の命を大切に、余すことなく旨味へと変える練り物の技術は、まさに魚を大切に扱ってきた先人たちの知恵であり、現代のフードロスという課題にも貢献できる大きな可能性を秘めています。私たちはこの協業を通じて、「練り物=海の恵みを活かす技術」としての価値を、改めて丁寧に伝えていきたいと考えています。
その第一歩として、まずは今回の協業から生まれるサクラマスのアップサイクル商品の開発と販売に注力してまいります。そして将来的には、今回のサクラマスでの取り組みをひとつのモデルケースとして、他の魚種や地域への展開も検討してまいります。老舗が受け継いできた知恵と、スタートアップの新しい発想を掛け合わせることで、水産業の持続可能性に貢献し、消費者の皆様に新しい美味しさと食の楽しさをお届けできるよう努めてまいります。この連携から生まれる、新たな価値にご期待ください。
■ 各社代表コメント
株式会社博水 専務取締役 江越 雄大
株式会社博水 専務取締役 江越 雄大
「創業以来122年、私たちは魚という海の恵みに生かされてきました。Smolt社の上野社長の『命を無駄にしたくない』という情熱に触れ、我々の技術でその想いを形にできると確信しました。伝統を守るだけでなく、未来のためにどう革新していくか。この協業は、我々にとって大きな挑戦であり、水産業の新しい扉を開く一歩になると信じています。」
合資会社山口商店 代表 山口 徹
合資会社山口商店 代表 山口 徹
「宮崎で最も古くからの蒲鉾屋として、地元宮崎大学から生まれた新しい挑戦を応援できることを大変誇りに思います。Smoltさんが愛情を込めて育て、博水さんが見事なすり身に仕上げてくれたサクラマスのバトンを、最高の形で宮崎の皆様、そして全国の皆様にお届けするのが私の使命です。地域の宝を、ものづくりの見事を、新しい形で味わっていただきたいです。」
株式会社Smolt 代表取締役 上野 賢
株式会社Smolt 代表取締役 上野 賢
「私たちの長年の研究と技術の結晶であるサクラマスが、歴史ある博水様、山口商店様の手によって新たな命を吹き込まれ、サクラマスの価値を最大化できるこのような取り組みにご一緒できることに、この上ない喜びを感じています。これまで価値を見出されていなかったものに光を当て、消費者に届ける。これこそがサーキュラーエコノミーの本質であり、水産業における新しいモデルケースとなることを確信しております。この連携が、生産者、消費者ともに多くの人々に水産業の可能性を感じていただくきっかけとなることを願っています。」
※1 「つきみいくら(R)」は株式会社Smoltの登録商標です。成熟したサクラマスの雌からのみ採れる、金色に輝く希少ないくら。
【各社概要】
■株式会社博水
所在地 : 福岡県福岡市南区清水2-18-36
代表者 : 代表取締役 江越 猛信
創業 : 1903年(明治36年)
事業内容: 水産練り製品の製造・販売
URL : https://hakusui-foods.com/
博水ロゴ
■合資会社山口商店
所在地 :宮崎県宮崎市橘通西2-2-10
代表者 :山口 徹
創業 :1924年(大正13年)
事業内容:水産練り製品の製造・販売
URL :オンラインショップやまぐちや https://kamaboko-ya.jp/
山口商店ロゴ
■株式会社Smolt
所在地 : 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1 宮崎大学 研究産学地域連携推進機構内
代表者 : 代表取締役 上野 賢
設立 : 2019年4月
事業内容: サクラマスの完全養殖、
及び「本桜鱒」「つきみいくら(R)」の生産・販売
URL : https://www.smolt.co.jp/
Smoltロゴ