報道関係者各位
    プレスリリース
    2024年10月31日 10:00
    エイブリック株式会社

    スマホ、ウェアラブル機器向け1セルバッテリー保護IC「S-821A/S-821Bシリーズ」発売

    ハイサイド保護で金属外装バッテリーの安全性と信頼性を確保

     ミネベアミツミグループのエイブリック株式会社(社長:田中 誠司、本社:東京都港区、以下:「ABLIC」)は本日より、Nch  MOSFET(※1)を用いたハイサイド保護(※2)を実現できる1セルバッテリー保護IC「S-821A/1Bシリーズ」の販売を開始しました。

     1セルリチウムイオンバッテリーはスマートフォンやウェアラブル機器などのIT機器をはじめとする様々なアプリケーションに用いられています。特に、昨今のスマートフォンの高機能化に伴い、大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載する傾向にあり、従来の絶縁タイプよりも単位体積当たりの電池容量が多い金属外装を用いるリチウムイオンバッテリーが増加傾向にあります。金属外装は電池の負極電位となっており、電池の出力端子の短絡保護を実現するためには電池の正極側の電流経路を遮断する保護手段(ハイサイド保護)が必要です。

     

     本日発売した新製品「S-821A/1Bシリーズ」は、1セルのリチウムイオンバッテリーの保護ICで、(1) 充放電制御を行うNch MOSFETをリチウム電池の正極側(ハイサイド)へ配置することで、電池の正極側の電流経路を遮断する保護手段を実現するとともに、電池パック側とシステム側のグランドレベルの共通化を可能としシステム設計の簡素化に貢献。また、業界最高クラスの3倍昇圧のチャージポンプを内蔵しているため、Nch MOSFETの駆動電圧が高く、Nch MOSFETのオン抵抗を低減(2)業界トップクラスの精度の放電過電流保護を3段階備えており、安全な領域において異常電流を遮断できる(3)過充電検出電圧精度±15mVと業界トップクラスの高精度化を実現(4)パワーセービング機能により、電池からの放電を禁止すると同時に、保護ICの消費電流を最大50nAに低減し、電池の消費する電流を限りなく0に抑制(5)NTCサーミスタをサーミスタ接続端子 (TH端子) に接続することで過熱保護機能を実現可能、などが特長となっています。

     

     これらの特長により、電池の発火等のリスクへの安全対策の強化や、在庫期間中の電池の残量目減りを最小限に抑えられるといったメリットをもたらし、機器の安全性向上と使いやすさに貢献します。

     

     エイブリックは、今後もリチウムイオンバッテリー保護ICにおいて、さらなる高精度化・高機能化を目指すとともに、多くの分野のアプリケーションに対応できる製品展開を図っていきます。

     

    (※1)  MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor /金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)はゲート・ソース間電圧でドレイン電流を制御するスイッチング素子。Nチャネル(Nch)とPチャネル(Pch)の2種類があり、Nch  はAC/DC電源、モーター制御、DC/DCコンバーター、Pchはロードスイッチ、ハイサイドスイッチなどに使用される。

    (※2) ハイサイド保護:電池のプラス側と負荷の間にMOSFETを挿入し、異常発生時にMOSFETをオフさせることで通電経路を遮断して回路や機器の保護を行う。

                                                                          

      


     

    【主な特長】

    1. Nchハイサイド保護を実現

    充放電制御を行うNch MOSFETをリチウム電池の正極側(ハイサイド)へ配置することで、電池パック側とシステム側のグランドレベルの共通化を可能としシステム設計の簡素化に貢献します。3倍昇圧のチャージポンプを内蔵しているので、Nch MOSFETの駆動電圧を高くすることが可能となりNch MOSFETのオン抵抗低減が実現できます。

     

    2. 3段階の放電過電流保護により高い安全性を実現

    放電過電流1、放電過電流2、負荷短絡と3段階の放電過電流保護を備え、より安全な領域で異常電流を遮断することが可能です。業界トップクラスの検出電圧精度を実現しており、アプリケーション機器の安全性を高めることができます。

     

    3. 過充電検出電圧精度は±15mVと業界トップクラスの高精度を実現

    過充電検出電圧精度は±15mVと、業界トップクラスの検出電圧精度を実現しました。過充電検出電圧を高精度化することにより、安全性を確保しながらバッテリー性能を最大限に引き出すことができます。

     

    4. パワーセービング機能により、消費電流を抑えることが可能

    パワーセービング信号入力端子 (PS端子) を備えており、外部信号にてパワーセービング機能を動作させることで、電池からの放電を禁止すると同時に、保護ICの消費電流を最大50nAに低減し、電池の消費する電流を限りなく0に抑えることが可能です。

     

    5. NTCサーミスタを接続することで過熱保護機能を実現

    NTCサーミスタをサーミスタ接続端子 (TH端子) に接続することで過熱保護機能を実現できます。

    100kΩもしくは470kΩのNTCサーミスタを使用することが可能です。

     

     

    【主な仕様】

    ・過充電検出電圧:3.50 ~ 4.80V ±15mV

    ・過放電検出電圧:2.00 ~ 3.00V ±50mV

    ・放電過電流1検出電圧:-3mV ~ -100mV ±1mV(S-821Aシリーズ)

    -3mV ~ -100mV  ±0.75mV(S-821Bシリーズ)

    ・放電過電流2検出電圧:-6mV ~ -100mV ±3mV(S-821Aシリーズ)

    -6mV ~ -100mV  ±2mV(S-821Bシリーズ)

    ・負荷短絡検出電圧:-20mV ~ -100mV ±5mV(S-821Aシリーズ)

    -20mV ~ -100mV  ±4mV(S-821Bシリーズ)

    ・充電過電流検出電圧:3mV ~ 100mV ±1mV(S-821Aシリーズ)

    3mV ~ 100mV ±0.75mV(S-821Bシリーズ)

    ・0V電池への充電(可能、禁止)

    ・動作時消費電流:6.0μA typ.

    ・パワーダウン時消費電流:50nA max.

    ・パワーセービング時消費電流:50nA max.

    ・最大定格:28V

    ・動作温度:-40~85℃

    ・パッケージ:SNT-8A 1.97×2.46×t0.5mm max.

    WLP-8V 1.08×1.52×t0.35mm  max. 

     

     

    【用途例】

    リチウムイオン二次電池パック、リチウムポリマー二次電池パック    

     

    【搭載製品例】

      スマートフォン、タブレットPC、スマートウォッチなど

         


     

    【製品詳細】

      https://www.ablic.com/jp/semicon/products/power-management-ic/lithium-ion-battery-protection-ic/s-821a-821b/

     

     

    【Webサイト】

    https://www.ablic.com/jp/semicon/    

                       

                  


    本製品は、環境貢献に優れた製品としてミネベアミツミグループの「グリーンプロダクツ」に認定された製品です。詳しくはこちらをご覧ください。https://www.minebeamitsumi.com/news/newproducts/2021/1201086_16441.html