報道関係者各位
    プレスリリース
    2025年11月5日 16:00
    あさ出版

    【老舗メーカー“シナノ”が1本2万円の杖を作る本当の理由】『100年企業「変化」のしくみ』2025年11月11日 刊行

    株式会社あさ出版(代表取締役:田賀井弘毅、所在地:東京都豊島区)は柳澤光宏 著『100年企業「変化」のしくみ』https://www.asa21.com/book/b664340.htmlを2025年11月11日(火)に刊行いたします。

    経営危機を乗り越えた老舗企業“シナノ”が実践する「変化のしくみ」

     スキーブームの終焉によって倒産の危機に陥った老舗ポールメーカー・シナノ(長野県佐久市)は、創業から100年を超える歴史の中で、“変化を恐れず進化する力”によって再び成長軌道に乗せました。本書では、経営危機からV字回復を遂げたシナノの実例をもとに、持続的な成長を支える「変化のしくみ」を徹底的に紹介します。
     「変化」「強みの再定義」「インナーブランディング」「商品開発」「アウターブランディング」という5つの軸を中心に、社員の意識改革やD2C戦略、直営店の活用、海外展開の成功プロセスを具体的に解説しています。変わり続ける市場の中で生き残るために、いま必要なのは“変化を仕組みに変える力”です。中小企業経営者や次世代リーダーの方にぜひお読みいただきたい一冊です。


    以下書籍より抜粋

    変わるとは、守るべき自社の核を磨くことだった

     倒産寸前にまで追い込まれる中、社長に就任したのが先代である父・柳澤光臣です。父はトップダウン型のやり方で全従業員を導き、高齢者の歩行を助ける「歩行杖」、歩く際に持つことで姿勢改善やダイエットなどの効果が得られる「ウォーキングポール」などの新商品を開発。業績をV字回復に導きました。私がシナノに入社したのは、父が社長に就任してから5年が過ぎた2003年のことです。
     そして2011年、37歳のときに父の後を継ぎ、社長になりました。それから14年が経過した今振り返ると、私のやり方は父とはだいぶ異なっていたと感じます。父はその当時の環境に適応するため、必死に経営を行いました。そして私も、時代の変化に合わせて生き残る手立てを探してきました。最初から経営の青写真をはっきり持っていたわけではなく、どちらかというと、現状に対応するためにその都度必死で策を練り、実行していったという感じです。
     そのなかでわかってきたのが、自社が長年愛されてきたブランドとは何かを正しく把握し、それを大切に守りながらも磨き続け、その時代、その時代に合った形へと「変化」を遂げていくということでした。

    ブルー・オーシャンを切り拓くウォーキングポール

     ウォーキングポールの試作は、比較的短期間で完了できました。スキーポールとウォーキングポールには共通点が多く、これまでにシナノが積み上げてきたノウハウが生かせたからです。ただ、良いモノを作ればそれでおしまいというわけにはいきません。
     なにしろ、ウォーキングポールの市場は当時、影も形もありませんでしたから。例えばスポーツ量販店の店頭に並べようと交渉したら、「ウォーキングポール? そんなもの誰が買うの?」と門前払いを食らいましたし、介護用品売り場で売ろうとすると「うちではスポーツ用品は扱いませんよ」と断られる始末でした。そこで気付いたのが、ブルー・オーシャンで勝つには、自分たちで新市場を開拓しなければならないということです。そのためには、「独自の価値」が必要でした。レッド・オーシャンでよく見られる既存の価値観とは異なる、全く新しい価値観を提案しなければ、新たな顧客層などつかめないのです。
     そこで協力をお願いしたのが、ポールウォーキングを日本で初めて提唱された方で、医師でもある安藤邦彦先生でした。
     安藤先生のような強い発信力を持つ方にマーケティングを手伝ってもらえたのは幸運でした。これは、今で言うインフルエンサーマーケティングのようなものです。ウォーキングポールのように高齢者がメインターゲットとなる商品であればこそなおさら、安藤先生のような「その道の権威」とタッグを組むことは、市場拡大のためにとても有効なやり方です。

    現在販売されているシナノの歩行杖には、グリップをはじめ、シナノが誇るさまざまな技術が凝縮されている。

    ボトムアップ型組織に欠かせないコアコンピタンスの存在

     「コアコンピタンス(他社には真似できない、自社の核となる能力)を使った事業なら、何をしてもいい」と従業員に伝えました。
     どんなに奇抜な提案でも、コアコンピタンスを活用したものなら何でも大歓迎だというわけです。これが従業員に安心感と勇気を与え、下からの提案を支える役割を果たしています。
     そうした流れの一環として生まれたのが、2021年から発売を始めたキャンプ用品ブランドの「シナノワークス」です。同シリーズでは、シナノが誇るポール製造ノウハウを生かしてタープポールなどを製
    造しており、わずか数年で売り上げを伸ばしつつあります。シナノワークスの事業を提案し、企画化したのは、商品開発部門とD2C部門に所属している2人のメンバーでした。
     彼らはもともとキャンプ好きだったのですが、雑談の中で「シナノの技術を使えば、キャンプ用品が作れるんじゃない?」と盛り上がり、そこから企画案を練り上げて事業化まで進めたのです。
     以前のシナノでは、新商品のほとんどが私のアイデアから生まれていました。ところが、数年前から状況は大きく変わっています。今や、従業員が発案して開発された商品が大半を占めているのです。


    書籍情報

    100年企業「変化」のしくみ 書影
    100年企業「変化」のしくみ 書影

    タイトル:100年企業「変化」のしくみ
    著者:柳澤光宏 
    ページ数:208ページ 
    価格:1,760円(10%税込) 
    発行日:2025年11月11日
    ISBN:9784-86667-770-5
    書籍紹介ページ:https://www.asa21.com/book/b664340.html
    amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866677708/asapublcoltd-22/
    楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/18306224/

    目次

    はじめに
    第1章 企業の寿命を決めるのは「変化」
    第2章 持続的成長をもたらす ボトムアップ型組織への「変化」
    第3章 顧客の心理を「変化」させるブランディングのしくみ

    著者プロフィール

    柳澤光宏(やなぎさわ・みつひろ)

    著者:柳澤光宏(やなぎさわ・みつひろ)氏
    著者:柳澤光宏(やなぎさわ・みつひろ)氏

    株式会社シナノ代表取締役社長。1973年、長野県佐久市生まれ。成蹊大学工学部を卒業後、大手グループ企業にて8年間勤務。2003年に株式会社シナノへ入社し、2011年より現職。創業100年を超え、スキーポール国内トップシェアを誇る同社の技術(コアコンピタンス)を生かし、登山用ポールや高齢者向けの杖、ウォーキングポールへと事業を展開。「人生の半世紀にわたるお付き合い」を目指したものづくりと、社員の自律性を重視した組織づくりを推進している。