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「家族に写真を送る」「職場にバラす」と脅されたら?男女トラブルで暴露を迫られたときの対処法

「家族に写真を送る」「職場にバラす」「会社に全部話す」――。
交際相手や不倫・愛人関係にあった相手、マッチングアプリやパパ活で知り合った相手から、このような言葉を投げかけられ、金銭の支払いや関係の継続を迫られるケースがあります。
「自分にも知られたくない事情がある」「本当に家族や職場に知られたら困る」と考えると、相手の要求に応じてしまいたくなるかもしれません。しかし、自分に後ろめたい事情があることと、相手から脅しや暴露を受けることは別の問題です。
「写真を送る」「職場に連絡する」と告げられた段階でも、具体的な言動や要求の内容によっては、脅迫罪や恐喝罪、強要罪などが問題となる可能性があります。また、実際に写真を送信したり、職場などに交際関係や私生活上の事実を伝えたりした場合には、刑事・民事の双方から検討が必要になるケースもあります。なお、特定の相手に伝えた場合でも、状況によっては名誉毀損における「公然性」が認められることがあります。
では、脅されたときに、すぐお金を払うべきなのでしょうか。それとも、相手を無視すればよいのでしょうか。
重要なのは、相手とのやり取りを削除せず、要求内容と脅しの言葉を証拠として残したうえで、感情的に反応しないことです。
本記事では、「家族に写真を送る」「職場に連絡する」と言われた場合に、どのような法的問題が考えられるのか、写真を実際に送られた場合はどうなるのか、そして脅された直後に取るべき対応について、弁護士が具体的に解説します。
二つの予告に共通する性質
「家族に写真を送る」「職場に連絡する」は、どちらも届け先が特定されている予告です。ここが、不特定多数に向けた投稿の予告との大きな違いになります。
投稿型であれば、実行された後にプラットフォーム事業者に対する削除の申出や、発信者情報の開示請求という手続に乗せられる余地があります。これに対して、家族へのメール送信や職場への電話には、間に入る事業者がいません。実行されてしまうと、伝わった内容を回収する手立てはほとんど残らず、対応は相手方本人に向き合う形に絞られていきます。
そのため、この類型では実行される前の段階でどう動くかが、後の負担を大きく左右します。
告げられた段階で問題になり得ること
まだ実行されていなくても、告知そのものが法的な評価の対象になる場合があります。
脅迫罪(刑法222条)……名誉などに害を加えることを告げて人を怖がらせる行為が対象です。法定刑は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金とされています。告げた内容が事実であっても、また実際には送らなかったとしても、成立の余地はあります。
恐喝罪(刑法249条)……告知に金銭の要求が結び付き、相手が畏怖して支払った場合に問題になります。未遂も処罰の対象とされています(同250条)。
強要罪(刑法223条)……「退職届を書け」「二度と会うな」など、義務のないことを無理にさせようとする場合に問題になります。
いずれも、成立するかどうかは告げ方や状況によって判断が分かれます。「言われたのだからすぐに犯罪だ」と決めつけることはできませんが、逆に「自分に落ち度があるから何を言われても仕方がない」ということにもなりません。慰謝料の請求そのものは正当な権利行使であり得ますが、支払わせるために暴露を持ち出せば、権利行使として許される範囲を超えていく可能性があります。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています。
「家族に写真を送る」と言われた場合
写真が絡む場合、法律の当てはまり方はその写真がどう撮られたかで変わります。
撮影に同意していた写真の場合
交際中に同意のうえで撮られた性的な写真については、いわゆるリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が念頭に置いているのは、第三者が本人を特定できる方法で不特定または多数の者に提供したり、公然と陳列したりする行為です。家族という特定の少数者に送る行為が、そのままこの条文に当てはまるとは限りません。ただし、同法3条3項は、公表させる目的で提供する行為も対象としています。
刑事の枠組みに乗りにくい場合でも、民事上は別です。性的な写真を本人の意思に反して他人に見せる行為は、プライバシーの侵害として損害賠償の対象になり得ますし、実行される前であれば、人格権に基づいて送信をやめるよう求める余地もあります。
無断で撮られた写真の場合
隠し撮りなど、同意のない撮影による画像であれば、性的姿態撮影等処罰法が関わってきます。同法では、撮影罪などによって生じた記録を特定・少数の者に提供する行為も処罰の対象とされており(同法3条1項)、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金と定められています。相手が「一人に送るだけだ」と言っていても、それで軽く済むとは限りません。
「職場に連絡する」と言われた場合
職場への連絡が実際に行われた場合、伝えた側の行為は名誉毀損(刑法230条1項)として評価される可能性があります。ここで問題になるのが「公然と」という要件です。
名誉毀損は、不特定または多数の人が知り得る状態でなければ成立しないのが原則ですが、伝えた相手が特定の少数であっても、そこから広まる可能性がある場合には要件を満たすと判断されることがあります。上司一人に伝えたつもりでも、社内に伝わり得る状況であれば、この考え方が働きます。また、名誉毀損は摘示した事実が真実かどうかにかかわらず成立し得るとされています。私生活上の交際関係は、公共の利害に関する事実とは言いにくく、真実であることを理由に責任を免れる余地は広くありません。
繰り返し電話をかけて業務を止めるような態様であれば、業務妨害が問題になることもあります。
一方で、恐れの中身は冷静に見積もる必要があります。職場に知られること自体は苦痛ですが、私生活上の事柄が直ちに重い処分に直結するとは限りません。懲戒処分は、就業規則の定めと、その行為が企業秩序にどう関わるかを踏まえて判断されるのが一般的な考え方です。「知られたらすべてを失う」という前提で判断すると、要求の内容を検討しないまま応じてしまうことになりかねません。
言われた直後にとりたい対応
やり取りをそのまま残す
LINEやメールは、削除せずに残します。通話であれば、日時・相手・言われた内容を、記憶が新しいうちに文字にしておきます。金銭の要求があった場合は、要求された金額と支払期限、どんな不利益を告げられたかを組み合わせて記録しておくと、後の説明がしやすくなります。会話の録音は、自分が当事者として参加している通話であれば、証拠として扱われる場面があります。
その場で支払いや署名をしない
対面や電話で答えを迫られる場面では、金額の合意も、念書への署名も、その場でしないことが基本です。「持ち帰って検討します」と伝えるだけで足ります。強迫による意思表示は取り消せる余地がありますが(民法96条1項)、そのためには争いになるため、署名しないほうが負担は軽くなります。
連絡の窓口を一本化する
代理人を立てて連絡先を弁護士に集約すると、直接のやり取りが止まり、感情的な応酬から離れられます。通知には、本人・家族・勤務先への連絡を控えるよう求める内容を含めるのが通例です。ただし、通知を出せば相手が行動を止めるとは限りません。関係を断ち切る方向に働く場合もあれば、一時的に反発を招く場合もあり、送るタイミングは事案によって判断が分かれます。
警察への相談
危害を加える言葉が含まれている、押しかけられているといった事情がある場合は、警察相談専用電話(#9110)や所轄の警察署への相談を検討します。相談の場では、経緯を隠さずに話す必要が出てきます。事実関係が周囲に伝わる可能性も含めて、どこまで進めるかを考えることになります。
かえって状況を悪くしやすい対応
口止めのための支払い……その場は収まっても、支払った事実が「効き目がある」という判断材料になり、要求が繰り返される場合があります。金銭を渡すなら、清算の合意として書面に残す形にしないと、区切りになりません。
こちら側からの反撃……相手の情報を公開する、相手の家族に連絡するといった行動は、こちらが責任を問われる側に回る原因になります。
相手の落ち度との相殺……相手にも問題があったとしても、それによってこちらの行為の評価が消えるわけではありません。二つは別々に判断されます。
なお、「自分から先に家族や職場に話してしまう」という方法が語られることがあります。相手の持ち札を減らす効果は考えられますが、伝わった事実は元に戻せません。他の手段を検討したうえで、最後に置く選択肢と考えるのが穏当です。
よくある質問
Q. 自分に不倫やパパ活の事実がある場合でも、相手の行為を問題にできますか。
できます。慰謝料を支払う責任があるかどうかと、暴露を材料に支払わせようとした行為の当否は、別々に判断されます。事実があることは、脅しを受け入れる理由にはなりません。
Q. 「送るぞ」と言われただけで、まだ何も起きていません。動く必要はありますか。
告知の時点で記録を残しておくことに意味があります。実行された後になると、いつ、どんな言葉で告げられたかを裏づける材料が集めにくくなります。
Q. すでに家族に写真が送られてしまいました。
送られた相手、日時、内容を確認し、削除と再送の停止を求めることが出発点になります。あわせて、精神的損害についての賠償請求や、刑事手続を検討する余地があります。写真の撮影経緯によって、使える枠組みが変わります。
まとめ
「家族に写真を送る」「職場に連絡する」という予告は、届け先が決まっているぶん、実行されると回収が難しく、事前の対応が結果を左右します。
告げられた段階でも、脅迫罪や、要求と結び付けば恐喝罪・強要罪が問題になり得る
写真については、撮影に同意があったかどうかで当てはまる法律が変わる
職場への連絡は、特定の相手に伝えた場合でも名誉毀損の評価を受けることがある
記録を残し、その場で支払わず署名せず、窓口を一本化することが初動の柱になる
後ろめたさと、脅しの当否は、切り離して考える
一人で抱え込むほど、要求に応じる方向へ流されやすくなります。判断に迷う段階で、事実関係を整理して相談することが、負担の少ない解決につながります。
この記事の監修者
若井 亮(わかい りょう)
代表弁護士 弁護士法人若井綜合法律事務所(東京弁護士会所属)
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の脅迫的な言動にも毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために尽力している。
弁護士法人若井綜合法律事務所
https://wakailaw.com/
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当事務所は、恐喝・脅迫被害をはじめとする男女間のトラブルを数多く取り扱ってまいりました(男女トラブルのご相談は類型23,000件以上お受けしてまいりました)。「家族や勤務先に影響が及ばないように」という点に最大限配慮しながら、内密かつ穏便な解決を最優先に対応いたします。すでに個人情報を知られてしまっている場合や、要求がエスカレートしている場合も、状況に応じて被害の拡大を防ぐ手立てがあります。
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