プレスリリース
世界のマクロファージ活性化症候群の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界のマクロファージ活性化症候群の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Macrophage Activation Syndrome Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、マクロファージ活性化症候群(Macrophage Activation Syndrome:MAS)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。MASは、マクロファージとTリンパ球が過剰に活性化して全身性の強い炎症反応を引き起こす、まれだが生命を脅かし得る高炎症性疾患であり、主として全身性若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:sJIA)、成人発症Still病(adult-onset Still’s disease:AOSD)、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)などのリウマチ性・自己炎症性疾患に合併する。調査会社は、自己免疫・炎症性疾患患者の増加、診断認知の向上、専門的検査の普及などを背景に、主要市場におけるMAS診断患者数が今後増加すると予測している。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、年齢、性別、基礎疾患、診断患者プールなどを分析している。
MASは、臨床的には二次性血球貪食性リンパ組織球症(secondary hemophagocytic lymphohistiocytosis:secondary HLH)の一形態として位置づけられ、特にリウマチ性・自己炎症性疾患を背景に発症する病態である。免疫制御が破綻することでマクロファージやT細胞が持続的に活性化し、大量の炎症性サイトカインが放出される、いわゆるサイトカインストームの状態に至る。
その結果、発熱、血球減少、肝機能障害、凝固異常、多臓器機能障害などが急速に進行する。重症例では集中治療を要し、診断・治療の遅れが死亡につながる可能性が高い。
今回の資料では、MASは主としてsJIAとAOSDの重篤な合併症として説明されている。またSLEに関連するMASも重要な病型として扱われている。
疫学的には、Arthur Dilibeらの2023年の報告で、MASの世界発症率は人口10万人あたり0.16~0.40例、有病率は人口100万人あたり1~24例と推定されている。
これは非常にまれな疾患であることを示している。ただし、発症率0.16~0.40/10万人と有病率1~24/100万人は単純に同じ指標ではなく、前者は一定期間内の新規発症、後者はある時点または期間に存在する患者数を示すため、直接比較すべきではない。
また、MASは基礎疾患の活動性や感染などを契機に急性発症することが多く、慢性疾患のように長期間安定して患者が蓄積するタイプの「有病率」とは性質が異なる。そのため、実際の疾病負担を理解するには発症率、基礎疾患中の発症割合、死亡率を合わせて見る必要がある。
年齢については、基礎疾患によって大きく異なる。AOSD関連MASでは診断年齢中央値が27~36歳とされる一方、sJIA関連MASは16歳未満の小児に発症する。
したがって、「MASは主に27~36歳に多い」と一般化するのは適切ではない。成人発症Still病を背景とする症例では20~30歳代に多い一方、sJIAを背景とする小児MASも重要な患者群である。
この年齢分布の二峰性または多様性は、MASが独立した単一疾患というより、複数の基礎炎症性疾患に続発する症候群であることを反映している。
Veghini DMらの2023年の報告では、AOSD患者の10%超でMASが発症するとされる。
この「10%超」は一般人口におけるMAS有病率ではなく、すでにAOSDと診断された患者の中でMASを合併する割合である。したがって、人口100万人あたり1~24例という一般人口ベース推定とは分母が異なる。
AOSD患者にMASが合併した場合の死亡率は52.9%、MASを合併しないAOSD患者では9.5%と報告されている。
この差は非常に大きく、MASがAOSDの予後を著しく悪化させる合併症であることを示している。
ただし、この52.9%は世界中のすべてのMAS患者の死亡率ではなく、特定のAOSD関連MAS患者集団における値であるため、一般化には注意が必要である。
SLE関連MASについては、Leila Barakatらの2025年の報告で平均年齢26歳、女性7人・男性1人という著しい女性優位が示されている。
さらに、その患者集団では死亡率25%と報告されている。
ただし、これはわずか8人の症例集団であり、一般的なMAS全体の性差や死亡率を代表するデータとして扱うのは不適切である。
SLE自体が女性に多い疾患であるため、SLE関連MASで女性が多いことは、MASそのものの性別リスクではなく、基礎疾患の性差を反映している可能性が高い。
したがって、MASの性差を評価する場合は、AOSD、sJIA、SLEなど基礎疾患ごとに分けて考える必要がある。
資料では「総男性・女性有病患者数」を疫学分類項目として挙げているが、MASには一貫した世界的男女比が明確に提示されているわけではない。
むしろ、性別分布は基礎疾患の種類によって大きく変わると理解するのが適切である。
国別セクションでは、MASそのものよりもAOSDの疫学が多く引用されている点が重要である。
米国について、Iman A. A. Shaatらの2025年の報告ではAOSDの年間発症率が人口10万人あたり0.16~0.4例、5年間の入院死亡率が2.6%とされる。
しかし、この0.16~0.4/10万人はAOSDの発症率であり、MASの発症率ではない。
興味深いことに、この値は冒頭で示されたMAS発症率0.16~0.40/10万人と同じ範囲であるため、資料内でAOSDとMASの疫学値が混在または転用されている可能性がある。
したがって、米国の0.16~0.4/10万人をそのまま「米国のMAS発症率」と解釈するべきではない。
同様に、AOSDの5年間入院死亡率2.6%もMAS患者の死亡率ではない。MAS合併AOSDの死亡率52.9%とは分母と病態が全く異なる。
Raja Bakhshらの2025年の報告では、有病率が0.73~6.77/10万人、日本では約3.9/10万人とされる。
しかし、この文脈もAOSDの疫学を示していると考えるのが自然であり、MASそのものの有病率ではない。
もしMASの世界有病率が1~24/100万人、すなわち0.1~2.4/10万人程度とされる一方、日本3.9/10万人とするなら、後者がMASとしてはかなり高くなる。この点からも、3.9/10万人はAOSD有病率と解釈する方が整合的である。
したがって、この国別セクションでは「基礎疾患であるAOSDの地域差」がMAS患者プールの背景要因として示されていると理解すべきである。
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、インドについては、今回の抜粋ではMASそのものの国別患者数や発症率は具体的に示されていない。
そのため、8主要市場を対象としたレポートではあるが、この提示資料だけからMASの国際比較を行うことは難しい。
MASの疫学を正しく解釈するには、「MASそのものの一般人口発症率」と「基礎疾患患者の中でのMAS合併率」を区別することが重要である。
例えば、世界発症率0.16~0.40/10万人という数字と、AOSD患者の10%超という数字は直接比較できない。
前者は一般人口全体、後者はAOSDという非常に限定された高リスク集団を分母としているためである。
同様に、sJIA患者におけるMAS頻度も一般人口有病率とは別の指標になるが、今回の資料には具体的割合は示されていない。
さらに、「MAS」と「secondary HLH」を完全に同義として扱うことにも注意が必要である。MASは一般にリウマチ性・自己炎症性疾患に関連するsecondary HLHとして位置づけられるが、secondary HLH全体には感染、悪性腫瘍など他の原因も含まれる。
したがって、secondary HLH全体の疫学データをそのままMASに適用すべきではない。
臨床上、MASの最大の問題は急速な悪化である。サイトカインストームによって短期間に多臓器障害が進むため、早期診断が極めて重要となる。
血球減少、肝障害、凝固異常などはMASの特徴として提示されており、基礎疾患の単なる炎症増悪と区別する必要がある。
特にAOSDやsJIA自体でも発熱や炎症反応上昇を認めるため、MAS発症を単なる原疾患のフレアと誤認すると治療開始が遅れる可能性がある。
治療の中心は、高炎症状態を迅速に抑えることである。
第一選択として高用量コルチコステロイドが使用される。これはマクロファージやT細胞を含む過剰免疫活性化を抑え、サイトカインストームを制御することを目的とする。
重症またはステロイド抵抗性の場合には、シクロスポリンなどの免疫抑制薬が用いられる。
さらに、インターロイキン1(IL-1)またはインターロイキン6(IL-6)を標的とする生物学的製剤も使用されるとされる。
これらはMASの背景となる強いサイトカイン活性を抑制する治療として位置づけられる。
ただし、どの薬剤をどの基礎疾患・重症度で使用するかについては今回の資料には詳細なアルゴリズムは示されていない。
生命を脅かす重症例でHLHに類似した病態を示す場合には、エトポシドが検討される。
この点でも、MASとsecondary HLHが病態的に重なり合うことが示されている。
ただし、エトポシドはすべてのMAS患者に使用される標準的初期治療という位置づけではなく、生命危機的な重症例で検討される治療として記載されている。
支持療法も極めて重要である。血球減少や凝固異常に対して血液製剤輸血を行い、呼吸・循環・肝機能などの多臓器障害が進行する患者では集中治療管理が必要となる。
したがって、MAS治療は免疫抑制だけでなく、臓器不全を乗り切るためのICUレベルの支持療法を含む総合的管理となる。
治療のもう一つの柱は基礎疾患のコントロールである。AOSD、sJIA、SLEなどの炎症活動性を適切に抑制しなければ、MASの炎症反応も持続する可能性がある。
そのため、MASだけを独立して治療するのではなく、引き金となっているリウマチ性・自己炎症性疾患と並行して管理する必要がある。
市場の観点では、MASは患者数そのものは少ない希少疾患である一方、急性期に高用量免疫抑制、生物学的製剤、集中治療、輸血など高強度の医療資源を必要とするため、一症例あたりの医療負担が大きい。
また、MASは単独で発症するというより、AOSDやsJIA、SLEなど既存の患者プールから一定割合で発生するため、基礎疾患患者数の増加が潜在的MAS患者数の増加につながる可能性がある。
2026~2035年の診断患者数を押し上げる第一の要因は、自己免疫・自己炎症性疾患の診断患者数増加である。
第二に、MASに対する疾患認知が高まり、従来は重症感染症や原疾患フレアとして扱われていた症例がMASとして診断されるようになる可能性がある。
第三に、血液・炎症関連検査や専門施設へのアクセス改善によって、早期診断率が上昇する可能性がある。
したがって、2026~2035年にMAS症例数が増加しても、それが真の発症率上昇だけを意味するとは限らない。診断感度の向上によって、従来見逃されていた症例が捕捉される影響も大きいと考えられる。
一方、早期診断と迅速な免疫抑制治療が普及すれば、症例数が増えても死亡率や重症化率は低下する可能性がある。
特に、AOSD関連MASで52.9%という高い死亡率が報告されていることを考えると、患者数だけでなく死亡率の改善が今後の重要なアウトカムとなる。
全体として本レポートは、MASを「全身性若年性特発性関節炎、成人発症Still病、SLEなどを背景に、マクロファージとTリンパ球が過剰に活性化してサイトカインストームを引き起こし、血球減少、肝障害、凝固異常、多臓器不全へ進展し得る生命危機的な二次性HLH型高炎症症候群」と位置づけている。
世界の推定発症率は0.16~0.40/10万人、有病率は1~24/100万人とされる一方、これらの数字は希少疾患ゆえに不確実性が大きい。さらに今回の国別セクションにはAOSDそのものの発症率・有病率が多く混在しており、MASの国別疫学として直接解釈しないことが重要である。
年齢は基礎疾患によって異なり、AOSD関連では27~36歳程度、sJIA関連では16歳未満で発症する。したがってMAS全体を若年成人疾患とみなすべきではない。
AOSD患者の10%超にMASが生じるとの報告があり、合併した患者では死亡率52.9%、非合併AOSDでは9.5%と大きな差が示される。一方、SLE関連MASの小規模集団では平均26歳、女性7人・男性1人、死亡率25%だったが、症例数が少なく一般化はできない。
国別には、米国0.16~0.4/10万人、日本約3.9/10万人などの数字が示されているが、これらは文脈上AOSDの疫学値と考えるのが自然であり、MASそのものの発症率・有病率として使用すべきではない。この点は本資料で最も重要な解釈上の注意点の一つである。
治療では、高用量コルチコステロイドが第一選択となり、重症・難治例ではシクロスポリン、IL-1・IL-6標的生物学的製剤、生命危機的なHLH様症例ではエトポシドなどが検討される。さらに輸血、集中治療などの支持療法と基礎疾患の制御が不可欠である。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、AOSD、sJIA、SLEなど基礎疾患の患者数増加、MAS認知向上、診断精度改善によって診断患者プールが拡大する可能性がある。一方で、迅速な診断と早期治療介入が進めば、患者数が増加しても死亡や多臓器不全を減らせる余地がある。
したがって、今後のMAS管理における中心的課題は、基礎リウマチ性疾患の単なる増悪とMASを早期に区別し、高熱、血球減少、肝障害、凝固異常、多臓器障害などの兆候から高炎症状態を迅速に認識すること、早期に高用量ステロイドなどで免疫過剰反応を抑えること、重症例では生物学的製剤やエトポシド、ICU管理を適切に導入することである。2026~2035年は、MASを「まれな合併症」として見逃すのではなく、AOSD、sJIA、SLEなどの患者における緊急性の高いサイトカインストーム症候群として積極的にスクリーニングし、診断から治療開始までの時間を短縮することが、臨床・疫学・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
マクロファージ活性化症候群市場概要(8主要市場)
3.1 マクロファージ活性化症候群市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 マクロファージ活性化症候群市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
マクロファージ活性化症候群疫学概要(8主要市場)
4.1 マクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2025年)
4.2 マクロファージ活性化症候群疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 8主要市場におけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国におけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国におけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本におけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおけるマクロファージ活性化症候群疫学状況(2019年~2035年)
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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