報道関係者各位
    プレスリリース
    2021年12月1日 10:00
    株式会社破滅派

    著者自らが出版社を立ち上げる挑戦! 高橋文樹が破滅派から新潮新人賞受賞作 『アウレリャーノがやってくる』を発刊

    「これは泣くだろ! すごい人生だった」(樋口恭介・SF作家) --14年の歳月がつまった文学オブ文学、待望の刊行。

    株式会社破滅派は、新潮新人賞受賞作『アウレリャーノがやってくる』を発刊、12月13日より全国書店・ネット書店で販売開始いたします。


    『アウレリャーノがやってくる』表紙


    ■発刊までの背景

    いまから14年前、ある青年が純文学の新人賞を受賞し、高い評価を得ました。


    ともあれ、「遅れてやってきた島田雅彦」といった観もある作者が、この受賞作を超えて本格的な作家へと成長することを期待するばかりである。

    ――浅田彰(新潮新人賞選評より)


    もしかすると高橋さんは、私などが考えるよりももっともっとスケールの大きな小説へ向かって、歩き出そうとしているのかもしれない。

    ――小川洋子(新潮新人賞選評より)


    阿部和重(初期)と森見登美彦のセンスを足したみたいな感じで、今後も注目。「遅れてきた島田雅彦」とは僕には全然思えませんが。

    ――佐々木敦(STUDIO VOICE 2007/12より)


    高橋の小説は〔略〕人を食った個所のほうぼうで、書き手の人柄(ゴースト)が顔を出す。カラオケならぬブログ以後の世界で、これだけナイーブな素直さが明るくとどまっていられるのは、一つの力と言ってよい。

    ――加藤典洋(2007/10/25朝日新聞朝刊)


    しかしながら、その作品は刊行されることがありませんでした。著者は文壇を離れ、オンライン文芸誌を立ち上げ、同人誌を刷っては書店に置いてもらい、株式会社を作り、Web制作で糊口をしのぎながらプログラミングを学び、電子書籍作成システムを開発し……そうした長い長い14年を経て、ついに自ら立ち上げた出版社から書籍を発刊することになりました。



    ■書籍概要

    ISBN  :978-4-905197-02-7

    定価  :1,800円+税

    ページ数:304P(上製本)

    発売日 :2021年12月13日

    装画  :今日マチ子

    帯文  :樋口恭介


    12月13日より、全国書店・ネット書店で販売開始いたします。

    注文用FAXはこちら: https://www.hanmoto.com/hametuhaf



    【収録作】

    「アウレリャーノがやってくる」

    岩手出身の天地遍人(アマチアマネヒト)はうっとりするほどの美少年。彼は高校卒業と同時に姉を頼って上京し、路上で詩を書く代理詩人を始める。その活動の中でやがて破滅派という文芸同人誌団体と出会い、そこに加入する。リーダー紙上大兄皇子ほか風変わりな同人たちにあてられ、文芸活動に没頭する遍人。やがて、遍人は皇子の恋人である深川潮に惹かれるようになるが、同時に破滅派の経営は逼迫し、破滅のときが近づいていた……。

    実在するオンライン文芸誌「破滅派」を題材にした、エキセントリック・ビルドゥングス・ロマン。


    「フェイタル・コネクション」

    北千住の古いマンションで友人と暮らすタカハシは、ある日東京のドヤ街である山谷(さんや)で山谷感人(かんと)を名乗る自称作家と出会い、ルームシェアの一員として受け入れる。同居人や恋人を巻き込んだガッチャガチャの人間関係を繰り広げつつ、感人とのあいだに芽生える友情と呼ぶのかなんなのかわからない感情。小説をなかなか書こうとしないアルコール依存症の感人はついに血を吐き始め……。

    著者と友人「山谷感人」の実話をもとにしたBOTS(Based On a True Story)小説。


    「彼自身による高橋文樹」

    本来は山谷感人によって書かれるはずだった解説はついに書かれることがなかった。振り込んだギャラの五万円を惜しむ暇もなく、仕方なしに自分で書いた入魂のDIY解説。

    おそらく日本文学史上初の、「モデル小説のモデルになった人による誓約書」が掲載された解説である。プライバシー意識の高まる昨今における「文学的ハック」をとくとご覧あれ。



    ■本件に関するコメント

    高橋文樹『アウレリャーノがやってくる』のゲラをいただいて拝読したのですが、解説が本当にヤバく、呪詛と諦観と、わずかな希望が綴られていて感動しました。一文だけ抜粋させてください。「私の原稿を世に問うためにわざわざ出版社まで作ってくれたのは、私の人生で私だけだ」。これは泣くだろ!すごい人生だった。高橋文樹さんはこの解説を長篇にしたほうがいいと思います。

    ――樋口恭介(SF作家・『異常論文』編集者)



    ■高橋文樹(著者)プロフィール

    1979年千葉県千葉市生まれ。1998年、千葉県立千葉高校を卒業し、東京大学文化III類に入学。私淑する大江健三郎のあとを追い、仏文科へ進学。

    2001年、『途中下車』で大学在学中に幻冬舎NET学生文学賞大賞を受賞しデビュー。その後、次作に恵まれず、2007年オンライン文芸誌「破滅派」を立ち上げ、また、同年「アウレリャーノがやってくる」で新潮新人賞を受賞。

    2010年、株式会社破滅派を設立。オープンソースソフトウェアWordPressをベースにしたウェブ制作を行いながら、電子書籍の発刊やイベント開催、ISBNなしの書籍販売などを手がける。

    2016年にはゲンロン主催大森望SF創作講座に参加し、ゲンロンSF新人賞飛浩隆賞を受賞。ワールドコンへの参加、SF同人誌『Sci-Fire』の創設、千葉市SF作家の会 Dead Channel JPの設立など、精力的に活動を続ける。

    2021年、デビュー20周年企画として、破滅派から初のISBN付き書籍を発行。


    なお、本作の公開過程はYouTubeチャンネル「高橋文樹のふみちゃんねる」で公開されている。

    https://youtu.be/UrweUZ39BTA



    世にひとり出版社は数あれど、文芸作品の執筆から制作・流通・営業まですべてひとりでやる出版社はそれほどないでしょう。ある意味でDIY(Do It Yourself)精神を最大限につきつめた出版活動と言えるのではないでしょうか。


    新しい文芸を模索する会社「破滅派」のあらたな一歩にご期待ください。