報道関係者各位
    プレスリリース
    2025年12月19日 10:15
    リスク対策.com

    災害時通信システムの導入率は63.5% 衛星電話が27.9%で最多

    リスク対策.comアンケート調査

    リスク対策.comは、大規模災害で平時の携帯電話やメールが使えなくなった際に備え、各企業がどの程度、衛星通信やIP 無線など、いわゆる「災害時通信システム」を導入しているかを把握することなどを目的に、アンケート調査を実施した。それによると、平時とは別に災害時を想定した通信システムを導入している企業は全体の63.5%にのぼった。傾向としては、従業員数が多い企業ほど導入率は高かった。 

    具体的に採用している通信システムを複数選択方式で尋ねたところ、最も多かったのが衛星電話(イリジウム、インマルサットなど)で27. 9%。2 位は業務用無線(MCA無線、デジタル簡易無線など)で24.0%、3 位は災害対応IP 無線(ハザードトーク、Buddycom など)が20.2%と、僅差で続いた。

    一方で、50%以上の企業が「今後、数年以内にシステムを導入、あるいは見直す可能性がある」と回答している。さらに、今後導入を検討している具体的なシステムについて自由回答で記入してもらったところ、衛星ブロードバンドサービスの「スターリンク」を挙げた企業が多く、今後、災害時通信システムの市場は大きく変化していくことが予想される。

    業務用チャットやメールに高い期待

    アンケートでは、普段使っているメールやオンライン会議システム、SNS などの通信手段について、災害時にどの程度利用できると期待しているかも尋ねた。

    1「まったく期待していない」〜 5「とても期待している」までの5 段階で聞き、平均点を算出したところ、最も期待が高かったのは業務用チャット(Slack、Chatwork、Teams チャットなど)で3.40、次いで電子メール(Web メール含む)が3.36、携帯・スマートフォンのSMS(ショートメッセージ)が3.36と続いた。最も低かったのは携帯・スマートフォンの音声通話で2.65 だった。

    必要な機能は緊急通知やテキスト送信

    災害時に必要と考える機能についても、1「必要ない」〜 5「とても必要だ」までの5 段階で聞いたところ、最も平均点が高かったのは緊急通知(4.32)、次いでテキスト送受信(4.26)、音声通話(4.13)、チャット機能(4.12)となった。

    企業は、災害時にすべての機能をフルに使えることは期待していない一方で、最低限として「誰に」「どのような情報を」「迅速に」伝えられるかを重視している実態が浮かび上がった。

    停電による通信途絶や回線混雑に懸念

    このほか、災害時に想定しているさまざまな通信の不具合についても、1「まったく不安はない」〜 5「とても不安がある」の5 段階で聞いたところ、「広域停電による通信途絶」(平均点4.44)と「回線混雑・トラフィック集中」(4.42)は突出して高い数値となった。過去の災害で繰り返し指摘されてきたことから、企業の担当者の間で強くイメージが定着しているものと推測できる。

    災害時通信システムを導入する企業の傾向

    こうした災害時の被災想定度合いと、災害時通信システムの導入割合には、ほとんど相関は見られなかった。通信途絶を強く不安に感じている企業ほど、災害時通信システムを積極的に採用している、という傾向は確認できない。

    一方で、災害時を想定した通信訓練の実施状況と災害時通信システムの導入割合をクロス集計したところ、まったく通信訓練を実施したことがない企業では、災害時通信システムを採用していない割合が高かったのに対し、過去に一度でも通信訓練を行った企業や、定期的に実施している企業では、その多くが何らかの災害時通信システムを導入していることが明らかになった。

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