プレスリリース
世界の緑内障の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の緑内障の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Glaucoma Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、緑内障(Glaucoma)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。緑内障は、網膜神経節細胞の減少と進行性の視野障害を特徴とする視神経障害群であり、眼圧(Intraocular Pressure:IOP)上昇と関連することが多い。世界的に不可逆的失明の主要原因の一つで、病型としては原発開放隅角緑内障(Primary Open-Angle Glaucoma:POAG)が最も多く、これに閉塞隅角緑内障や続発緑内障などが続く。調査会社は、緑内障が主として中高年~高齢者に集中し、年齢、眼圧上昇、家族歴、近視などが重要なリスク要因であると整理している。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間として、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場における発症率、有病率、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。
まず重要なのは、「緑内障全体」と「POAG」を区別することである。今回の資料では、世界の将来患者数や米国患者数については緑内障全体の値が示される一方、2022年の年間発症率23.46/10,000人年という数値はPOAGに限定されている。したがって、この23.46/10,000人年を緑内障全体の世界発症率として扱うべきではない。
2022年の40~79歳成人におけるPOAGの世界発症率は10,000人年あたり23.46例とされる。これは100,000人年あたり約234.6例に相当する。発症率は一定期間中の新規発症を示す指標であり、ある時点で緑内障を有する人の割合である有病率とは別物である。
年齢は最も強いリスク要因の一つであり、POAGまたは緑内障の年齢別発症率は40~44歳で10,000人あたり5.51例、75~79歳では64.36例まで上昇するとされる。単純比較すると、高齢群では若年群の約12倍近い水準となる。
ただし、ここでも分母は年齢別人口であり、「75~79歳の6.4%が毎年発症する」という意味ではない。64.36/10,000は約0.644%/年に相当する。
したがって、緑内障の患者数増加は人口高齢化の影響を非常に強く受ける。若年者より高齢者の新規発症率が著しく高いため、2026~2035年に高齢人口が増加すれば、発症率そのものが大きく変わらなくても絶対患者数は増加し得る。
世界患者数については、2014年のシステマティックレビューによって、40~80歳の緑内障患者が2013年に約6,430万人、2020年に7,600万人、2040年には約1億1,180万人へ増えると予測されたとされる。
これは実測値と将来予測値が混在している点に注意が必要である。特に2040年の1億1,180万人は2014年時点の将来推計であり、今回の2026~2035年レポートが新たに実測した患者数ではない。
それでも、世界的な人口高齢化と人口増加によって緑内障有病者が長期的に増えるという方向性を示す背景データとしては重要である。
また、今回のレポート予測期間は2035年までであるため、2040年の1億1,180万人という数字を2035年時点の予測値として扱ってはいけない。
性別では、世界的に男性の方が女性よりわずかに緑内障リスクが高いとされる。ただし、その差は大きくなく、近年は女性の有病率が上昇し男女差が縮小していると記載されている。
一方、米国の2022年患者数では、女性が約229万人、男性が約194万人と、女性の絶対患者数の方が多い。
これは「世界的には男性の発症・有病リスクがわずかに高い」という記述と必ずしも矛盾しない。米国では女性の平均寿命が長く、高齢女性人口が多いことなどにより、絶対患者数では女性が男性を上回る可能性がある。
したがって、「男性のリスクがわずかに高い」と「米国患者数は女性の方が多い」を混同しないことが重要である。前者は個人レベルの相対的リスクや有病傾向、後者は人口構成を反映した絶対患者数である。
米国では2022年時点で約422万人の成人が緑内障を有し、18歳以上人口の約1.62%に相当するとされる。
このうち女性が約229万人、男性が約194万人とされる。
ただし、229万人+194万人は423万人となり、総数422万人とは約1万人の差がある。これは四捨五入による差の可能性が高いが、資料内では厳密には一致していない。
また、米国の1.62%は18歳以上の成人を分母としている一方、世界の将来患者数は40~80歳を対象としている。そのため、両者の割合や患者数を直接比較する場合には年齢分母の違いに注意が必要である。
緑内障の最大の疫学的問題の一つは未診断患者の多さである。
資料では、アジアの多民族集団研究において、50~59歳の緑内障患者の約49%(±14%)が、すでに臨床的に重要な視野欠損を有していたにもかかわらず、それ以前に診断されていなかったとされる。
この数字は非常に重要で、緑内障が初期段階では自覚症状に乏しく、患者本人が気づかないまま進行し得ることを示している。
ただし、この約49%は「アジア多民族集団の50~59歳の緑内障罹患者のうち、既診断ではなかった割合」に近い指標であり、アジア一般人口の49%が未診断緑内障という意味ではない。
また、「±14%」が標準偏差、信頼区間、研究間変動幅のどれを意味するかは今回の抜粋では明確ではない。したがって、厳密な統計的解釈には注意が必要である。
さらに、この研究ではすでにclinically significant field lossが存在していたとされるため、単に軽症の潜在患者が見逃されていたのではなく、視野障害が臨床的に進行した段階でも未診断患者が多かったことを示唆する。
この点から、緑内障市場・公衆衛生上では「既診断患者数」だけでなく、「潜在的未診断患者数」を考慮する必要がある。
病型ではPOAGが最も多いとされる。一方、閉塞隅角緑内障も重要で、特にアジア系集団では疾病負担が大きい可能性があると資料は示唆している。
ただし、今回の抜粋にはPOAG、閉塞隅角緑内障、続発緑内障それぞれの具体的な構成比は示されていないため、病型別患者数を定量化することはできない。
リスク要因としては、加齢、眼圧上昇、家族歴、近視、コルチコステロイド使用、人種・民族背景などが挙げられている。
ここで重要なのは、緑内障が必ずしも高眼圧だけで定義される疾患ではないことである。資料も「commonly associated with elevated IOP」としており、眼圧上昇は代表的リスク・治療標的ではあるが、視神経障害と視野障害が病態の本質である。
したがって、眼圧が正常範囲でも緑内障性視神経障害を来す患者は存在し得る。今回の資料ではその病型別頻度までは示されていない。
家族歴も重要なリスク因子であり、遺伝的素因を有する人では定期的な眼科検診の重要性が高いと考えられる。
近視もリスク要因として挙げられている。ただし、今回の抜粋では近視患者のうち何%が緑内障になるかといった具体的数値はないため、高リスク集団であるという定性的理解にとどめるべきである。
コルチコステロイド使用についても、続発性眼圧上昇・緑内障のリスクとして挙げられているが、すべてのステロイド使用者に発症するわけではない。
人種・民族については、アフリカ系やアジア系がリスク背景として挙げられている。ただし、病型により人種差の方向は異なる可能性があり、単純に「特定人種はすべての緑内障で同じリスク」とみなすべきではない。
今回の抜粋では、米国以外のドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドについて具体的な患者数や有病率は提示されていない。
そのため、8主要市場を対象とするレポートではあるものの、この資料だけで各国の緑内障患者数を定量比較することはできない。
特に日本、インドを含むアジアでは病型分布や未診断率が欧米と異なる可能性があるが、今回の抜粋では国別数値がないため推測で補うべきではない。
治療の基本目標は、眼圧を低下させてさらなる視神経障害を防ぐことである。すでに失われた視野を完全に回復させることより、進行を抑制して残存視機能を守ることが中心となる。
第一選択薬として、プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などの点眼薬が挙げられている。
ただし、実際の第一選択は患者の眼圧、病型、併存疾患、忍容性などによって異なるため、すべての患者に同じ順序で用いるわけではない。
薬物療法で不十分な場合などには、レーザー治療が用いられる。資料ではtrabeculoplastyとiridotomyが挙げられている。
ここでは病型の違いが重要で、trabeculoplastyとiridotomyは同じ患者群に一律に用いる治療ではない。病型・隅角形態に応じて選択される。
より進行した疾患ではtrabeculectomyなどの濾過手術やMIGS(Minimally Invasive Glaucoma Surgery)が行われる場合がある。
資料ではこれらをadvanced diseaseに対する外科的選択肢としているが、MIGSの適応は手術方式や患者背景によって異なるため、「MIGS=重症例専用」と単純化するのは慎重である。
緑内障は生涯にわたり管理が必要な慢性疾患であるため、継続的な眼圧・視野・視神経評価と服薬アドヒアランスが重要となる。
この点は市場負担にも直結する。新規患者だけでなく、既存患者が長期間点眼治療、検査、レーザー・手術などを受け続けるため、有病患者数が医療需要を大きく規定する。
新規治療としては、神経保護療法や持続放出型ドラッグデリバリーシステムなどが研究されている。
ただし、今回の資料ではこれらは「under active investigation」とされており、確立した標準治療として扱うべきではない。
市場・疫学の観点では、緑内障患者プールの増加要因として第一に高齢化がある。
第二に、診断機器とスクリーニングの普及によって未診断患者が新たに発見される可能性がある。
第三に、近視人口増加などのリスク背景が患者数に影響する可能性がある。
第四に、治療によって失明を防ぎ長期生存する患者が蓄積することで、有病患者数が増加する。
したがって、2026~2035年に診断患者数が増えても、それがそのまま真の発症率悪化を意味するわけではない。長年未診断だった患者を拾い上げることで、統計上の患者数が増える可能性がある。
特に今回示されたアジア研究の約49%未診断という数字は、この「診断ギャップ」が非常に大きい可能性を示している。
一方で、緑内障は不可逆的な視野障害を生じるため、診断増加は早期段階で起こるほど公衆衛生的には望ましい。診断者数が増えても、進行期患者・失明患者の割合が減少すれば、疾病負担は改善したと評価できる。
全体として本レポートは、緑内障を「網膜神経節細胞喪失と進行性視野障害を特徴とし、眼圧上昇と関連することの多い不可逆性視神経障害群」と位置づけている。
2022年の40~79歳におけるPOAG発症率は23.46/10,000人年であり、これは緑内障全体ではなくPOAGに限定された指標である。年齢別では40~44歳の5.51/10,000から75~79歳の64.36/10,000へ急増し、加齢が最重要リスクの一つであることが示される。
世界の40~80歳緑内障患者は2013年約6,430万人、2020年7,600万人、2040年約1億1,180万人と予測されているが、これは2014年レビューによる長期予測であり、2040年値を2035年予測値として扱ってはいけない。
米国では2022年に18歳以上成人約422万人、約1.62%が緑内障を有するとされ、女性約229万人、男性約194万人である。世界では男性にわずかなリスク優位がある一方、米国絶対患者数は女性の方が多く、人口年齢構成と個人レベルの性別リスクを区別する必要がある。
最も重要な課題の一つが未診断患者であり、アジア多民族集団の50~59歳では、緑内障罹患者の約49%(±14%)がすでに臨床的に重要な視野障害を有しながら未診断だったとされる。ただし、この49%は一般人口有病率ではなく、緑内障罹患者集団内の未診断割合である。
治療では眼圧下降を基本として点眼薬、レーザー治療、trabeculectomy、MIGSなどを病型と重症度に応じて組み合わせる。治療の目的はすでに失われた視野を回復させることよりも、残存視機能を守り進行を防ぐことにある。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢化による真の患者プール拡大と、スクリーニング・画像診断の改善による未診断患者の顕在化を区別することが重要である。
したがって、今後の緑内障管理における中心的課題は、自覚症状のない早期段階で患者を発見し、すでに視野欠損が進行してから診断されるケースを減らすことである。2026~2035年は、高齢者、家族歴保有者、高眼圧、近視などの高リスク集団を効率的にスクリーニングし、点眼・レーザー・手術を適切に組み合わせながら不可逆的失明への進行をどこまで抑制できるかが、臨床・疫学・眼科診療・研究開発・市場の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
- 序文
1.1 はじめに
1.2 調査の目的
1.3 調査方法および前提条件 - エグゼクティブサマリー
- 緑内障の市場概要 ― 8主要市場
3.1 緑内障の市場規模実績(2019~2025年)
3.2 緑内障の市場規模予測(2026~2035年) - 緑内障の疫学概要 ― 8主要市場
4.1 緑内障の疫学動向(2019~2025年)
4.2 緑内障の疫学予測(2026~2035年) - 疾患概要
5.1 徴候および症状
5.2 原因
5.3 リスク因子
5.4 ガイドラインおよび病期
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 緑内障の種類 - 患者プロファイル
6.1 患者プロファイルの概要
6.2 患者心理および心理・感情面への影響因子 - 疫学動向および予測 ― 8主要市場(2019~2035年)
7.1 主な調査結果
7.2 前提条件およびその根拠
7.3 緑内障の診断済み有病患者数
7.4 緑内障のタイプ別患者数
7.5 緑内障の性別患者数
7.6 緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:米国(2019~2035年)
8.1 米国における前提条件およびその根拠
8.2 米国における緑内障の診断済み有病患者数
8.3 米国における緑内障のタイプ別患者数
8.4 米国における緑内障の性別患者数
8.5 米国における緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:英国(2019~2035年)
9.1 英国における前提条件およびその根拠
9.2 英国における緑内障の診断済み有病患者数
9.3 英国における緑内障のタイプ別患者数
9.4 英国における緑内障の性別患者数
9.5 英国における緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:ドイツ(2019~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件およびその根拠
10.2 ドイツにおける緑内障の診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける緑内障のタイプ別患者数
10.4 ドイツにおける緑内障の性別患者数
10.5 ドイツにおける緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:フランス(2019~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件およびその根拠
11.2 フランスにおける緑内障の診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける緑内障のタイプ別患者数
11.4 フランスにおける緑内障の性別患者数
11.5 フランスにおける緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:イタリア(2019~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件およびその根拠
12.2 イタリアにおける緑内障の診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける緑内障のタイプ別患者数
12.4 イタリアにおける緑内障の性別患者数
12.5 イタリアにおける緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:スペイン(2019~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件およびその根拠
13.2 スペインにおける緑内障の診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける緑内障のタイプ別患者数
13.4 スペインにおける緑内障の性別患者数
13.5 スペインにおける緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:日本(2019~2035年)
14.1 日本における前提条件およびその根拠
14.2 日本における緑内障の診断済み有病患者数
14.3 日本における緑内障のタイプ別患者数
14.4 日本における緑内障の性別患者数
14.5 日本における緑内障の年齢別患者数 - 疫学動向および予測:インド(2019~2035年)
15.1 インドにおける前提条件およびその根拠
15.2 インドにおける緑内障の診断済み有病患者数
15.3 インドにおける緑内障のタイプ別患者数
15.4 インドにおける緑内障の性別患者数
15.5 インドにおける緑内障の年齢別患者数 - ペイシェントジャーニー(患者の診療・治療プロセス)
- 治療上の課題およびアンメットニーズ
- キー・オピニオン・リーダー(KOL)の見解
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