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【おならが止まらない】ただのガス溜まり?それとも病気のサイン?消化器内科専門医が原因と対策を解説

「最近、おならが止まらない」と悩む方は非常に多くいらっしゃいます。実際の外来でも「会議中や静かな場所で音が鳴ってしまったらどうしようと不安になり、仕事に集中できない」という切実なご相談をお受けします。特に女性の患者さんからは、「おならがくさいのでは」というお悩みを毎日のように伺います。
私は消化器内科医として日々多くのお腹の悩みに向き合っていますが、デリケートな問題ゆえに誰にも相談できず、「なぜこんなにおならが止まらないのだろう」と一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。「体質だから仕方ない」と思っていた症状でも、実はおならが止まらない背景には、腸内環境の乱れだけでなく大腸の病気が隠れていることもあります。本記事では、「おならが止まらない」とお悩みの方に向けて、その原因からご自宅でできる対策、そして受診の目安まで、専門医の視点で分かりやすく解説します。
「食後になるとガスがたまって、お腹が張って苦しい。」「気づかないうちにガスが出ていて、おならが出続ける気がする。」
おならの悩みは誰にでも起こり得る生理現象ですが、回数が異常に増えたり、お腹の張りを伴う場合は注意が必要です。
「おならが止まらない」のはなぜ?
知っておきたいメカニズム
おならが止まらない主な原因は、「無意識に飲み込んだ空気の量が多いこと」と、「腸内細菌が食べ物を分解する過程で発生するガスが過剰になっていること」の2つです。大半は生活習慣によるものですが、一部に腸の疾患が隠れているケースもあります。
健康な人でも、おならは1日に10〜20回程度出ることがあります。おならは主に以下の2つの成分から作られています。
飲み込んだ空気:食事や会話、早食いなどによって飲み込まれた空気。一部はげっぷとして出ますが、残りは腸へ送られおならになります。飲み込んだ空気が中心のおならは臭くないという特徴があります。
腸内細菌が作るガス:腸内で細菌が食べ物を分解(発酵)する際に発生するガス(水素、メタン、二酸化炭素など)。硫黄を含むガスが増えると、くさい悪臭の原因になります。
なぜ臭くないおならと臭いおならがあるのか、その理由は日々の食事内容や腸内環境の違いにあります。
急におならが増える5つの日常的な原因
急におならが増えたり、臭いがきつくなった場合は、「早食い」「便秘」「特定の食事」「ストレス」「腸内環境の悪化」のいずれかが影響している可能性が高いです。
日常的な5つの原因と、それぞれの具体的な対策を以下の表にまとめました。
| 原因 | メカニズム・特徴 | 具体的な対策 |
|---|---|---|
| ① 早食い・呑気症 | 急いで食べる、スマホを見ながら食べると空気を多く飲み込んでしまう。 | 一口30回を目安によく噛む。食事中の会話を控えめにする。 |
| ② 便秘による腸内発酵 | 便が腸内に長く留まると、悪玉菌による異常発酵が進みガスが大量発生する。 | 水分を十分に摂る(1日1.5〜2L目安)。軽い運動で腸を動かす。 |
| ③ 食生活(FODMAP) | 特定の糖質が小腸で吸収されにくく、大腸で発酵してガスを増やす。 | 症状が強い時は、豆類、玉ねぎ、さつまいも、牛乳などを控えて様子を見る。 |
| ④ ストレス | 自律神経が乱れ、腸のぜん動運動が不安定になりガスを溜め込む。 | 十分な睡眠をとり、リラックスできる時間を作る。 |
| ⑤ 腸内環境の悪化 | 睡眠不足や抗生物質の服用などで腸内細菌のバランスが崩れ、発酵が過剰になる。 | 自分に合った発酵食品を適量摂る(※お腹が張る場合は中止する)。 |
① 早食い・ながら食べ(呑気症)
仕事中の短い昼食や、よく噛まずに飲み込む習慣がある方は要注意です。食べ過ぎや早食いは胃への負担も大きく、無意識に飲み込んだ空気の多くは腸に届き、おならとして排出されます。
② 便秘による腸内発酵
当院へ「ガスが溜まる」「お腹が張る」と受診される患者さんの多くが、自覚のない隠れ便秘を抱えています。便秘を改善するだけでガスだまりが劇的に良くなるケースは珍しくありません。
③ ガスを発生させやすい食生活(FODMAP)
食物繊維が豊富な食品は腸に良いですが、豆類、キャベツやブロッコリーなどの野菜、炭酸飲料などは、人によってガスを増やしやすくなります。これらを食べたから悪いわけではなく、ご自身の腸との相性が影響します。また、肉類などタンパク質の食べ過ぎも悪玉菌を増やしてしまい、臭いガスの元になります。
④ ストレス・自律神経の乱れ
過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、胃腸の働きを不安定にしてガスを溜め込みやすくします。時に胃痛を伴うこともあります。
⑤ 腸内環境の悪化
睡眠不足や偏った食事、抗菌薬(抗生物質)の服用などで腸内フローラのバランスが崩れると、異常発酵が進んでしまいます。
要注意!「おならが止まらない」背後に隠れている消化器の病気
生活習慣を見直しても改善しない場合、「過敏性腸症候群(IBS)」「慢性便秘症」「大腸疾患(ポリープ・がんなど)」といった消化器系の病気が隠れている可能性があります。
それぞれの病気の特徴と違いは以下の通りです。
| 病名 | 主な症状と特徴 | 痛みの傾向 | 緊急度・対応 |
|---|---|---|---|
| 過敏性腸症候群(IBS) | 20〜40代に多い。ストレス等でガスが過剰になり、下痢や便秘を繰り返す。 | 排便後に痛みが和らぐことが多い。 | 中(生活指導・投薬で改善) |
| 慢性便秘症 | 慢性的に便が出ず、おならの回数や臭いが増加する。市販薬の乱用で悪化も。 | 常に張ったような不快感や痛み。 | 中(専門医による排便コントロール) |
| 大腸ポリープ・大腸がん | 腫瘍で腸管が狭くなりガスが溜まる。便秘、血便、便が細くなる等の症状。 | 進行すると強い腹痛を伴うことがある。 | 高(速やかな大腸カメラ推奨) |
過敏性腸症候群(IBS)
20〜40代、特に若い女性にも多く見られる疾患です。日本消化器病学会のガイドライン等でも、ストレスが引き金となり腸の動きに異常が生じることが指摘されています。ガスが過剰に出る「ガス型」のほか、下痢や便秘を交互に繰り返すといった症状が特徴です。
慢性便秘症
慢性的な便秘は、おならの大きな原因です。便秘症の診療ガイドラインにおいても、適切な排便習慣の重要性が説かれています。市販の下剤を長期間乱用すると腸の働きがさらに低下し、よりガスが溜まりやすくなる悪循環に陥ることがあるため、専門医によるコントロールが必要です。
大腸ポリープ・大腸がん
頻度は高くありませんが、腫瘍が腸管を狭くすることでガスの通り道が塞がれ、おならが急に増えたりお腹が張ったりすることがあります。「便秘が続く」「便に血が混じる」「便が細くなった」といった症状を伴う場合は、大腸カメラ(内視鏡検査)での確認が強く推奨されます。
今日からできる!おならを減らすセルフケア

まずは日常生活で以下の点を見直してみましょう。
よく噛んで食べる:一口30回を目安によく噛むことで、空気を飲み込む量を減らし、消化を助けます。
軽い運動を取り入れる:ウォーキングやストレッチで腸の動きを促します。デスクワークの方は、1時間に一度立ち上がるだけでも効果的です。
食事内容の見直し:ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品や食物繊維は一般的に腸に良いとされますが、お腹がすでに張っている時やIBSの方は、逆にガスが増えることがあります。ご自身の体調に合わせて調整してください。
市販の整腸剤やサプリを活用するのも一つの対策ですが、毎日飲んでもお腹の張りが改善しない場合は注意が必要です。また、音を立てないようにとおならを我慢しすぎると、行き場を失ったガスが胃や腸に負担をかけるため推奨できません。おならが臭くない状態を保つには、ご自身に合った適度な食物繊維の摂取が鍵となります。
病院へ行くべき危険な症状のサインと受診の目安
おならの増加だけでなく、血便や強い腹痛、体重減少などを伴う場合は、大腸がんなどの重篤な疾患のサインである可能性があります。すぐに消化器内科を受診してください。
以下の症状に1つでも当てはまる場合は、早めの受診を検討してください。
おならが急に増え、お腹の張りが長時間続く
強い腹痛がある
便に血が混じる(血便)
便が以前より細くなった
原因不明の体重減少がある
発熱を伴う
市販薬を飲んでも便秘や下痢が改善しない
当院の消化器内科での検査(苦しくない大腸カメラ)
「おならくらいで病院に行っていいのだろうか」と遠慮される方がいますが、おならや便秘は消化器内科の日常的な診療領域です。
当院では、問診で食生活や排便習慣を丁寧に確認し、必要に応じて血液検査や腹部エコー検査を実施します。
特に40歳以上の方や危険なサインがある方には、重大な病気を見逃さないため大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をご提案しています。当院では最新の先進的な内視鏡システム(富士フイルム社製など)を導入しており、鎮静剤を用いた「眠っている間に終わる苦痛の少ない検査」を提供しています。年間5,075件を超える豊富な検査実績に基づき、安全かつ精度の高い診断が可能です。
まとめ:おならの悩みは恥ずかしがらず専門医へ
おならは誰にでも起こる自然な現象ですが、「止まらない」「急に増えた」「便通異常を伴う」といった場合には、生活習慣だけでなく病気が関係している可能性があります。
恥ずかしい悩みだからこそ一人で抱え込まず、消化器内科の専門医にご相談ください。早期に原因を特定し、適切な治療や検査を行うことが、症状の改善と大腸疾患の早期発見につながります。胃の不調も含め、引き続き健康に役立つ情報を発信していきます。
【参考・出典元】
日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020(過敏性腸症候群)」
日本消化器病学会関連研究会「慢性便秘症診療ガイドライン2017」
【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は、必ず医療機関をご受診ください。
教えてくれた先生
石岡 充彬(いしおか みつあき)
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック院長。医学博士。 1986年生まれ、秋田育ち。幼少期より内視鏡医である父の背中を見て育つ。地元・秋田大学で消化器内科全般を広く経験し、各種専門医資格および医学博士号を取得。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて、内視鏡診療に特化した知識と経験を積む。2019年には人工知能(AI)を活用した胃がんのリアルタイム診断システムを世界で初めて報告し、その後も最先端の内視鏡医療について全国的な講演活動を行う。2021年より同院健診センター・下部消化管内科の兼任副医長として予防医学の普及にも積極的に取り組む。2022年より都内大手内視鏡クリニック院長職を経て、自身が理想とする「初診から内視鏡検査・結果説明・治療に至るまでの一貫した診療」を行うため、2024年7月に日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックを開院。
お問い合わせ先:
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック
https://ningyocho-naishikyo.jp/