報道関係者各位
    プレスリリース
    2011年6月1日 10:00
    富士化学工業株式会社

    非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の予防における アスタキサンチンの有用性を確認

    メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人が年々増加し、それに伴い肝障害の増加も目立ってきています。

    図1:AXはCL含有lipotoxic NASHモデルの脂肪化および炎症を抑制
    かつては先進国における肝硬変・肝癌の原因は、ウィルス性肝炎が主な原因でしたが、最近ではそれに変わり、非アルコール性の脂肪肝炎(NASH)※の増加が注目されています。

    このたび、金沢大学フロンティアサイエンス機構特任助教 太田 嗣人先生(内分泌・代謝内科)が、ビタミンEの約1,000倍の高い抗酸化力をもつアスタキサンチンに着目し、マウスを用いた試験でNASH発症と進展(炎症・線維化)の抑制効果を検証した結果、アスタキサンチンの投与により、肝臓の脂肪沈着を抑制するだけでなく、炎症や線維化なども抑制できることが示されました。

    ※ 成人の健診で4~5人にひとりは脂肪肝といわれており、中でも飲酒歴(1日にビール500ml/1本)がないにもかかわらず肝機能異常があって、同時に高血糖、高脂血症、高血圧気味の人はNASHが疑われる。
    単純性脂肪肝のうちの10%がNASHに進展するといわれており、10年間で10~20%が肝硬変へと進展する。米国では、人口の3%(850万人)が、日本では100万人がNASH患者と推定されている。

    ■試験結果
    アスタキサンチン投与により、
    1. 肝組織中の脂肪沈着が抑えられた。
    2. 炎症マーカー(TNFα、IL6)と線維化マーカー(TGF-β、Coll1-a1)が抑制された。
    3. 線維化を惹起する肝星細胞の活性化が抑えられた。

    【太田先生のコメント】
    脂肪沈着が顕著に改善した。(添付資料 図1参照)
    アスタキサンチンは、これまで検討してきた既存のいくつかの薬剤と同等かそれ以上の効果があった。
    今後は予防だけではなく、進展した肝硬変に対し改善する効果があるか、モデル動物を使い検証していきたい。

    添付資料: http://www.atpress.ne.jp/releases/20659/1_5.pdf

    ■試験概要
    ●正常マウス(C57BL/6J)に特殊飼料によってNASHを発症させ、アスタキサンチンの有無によるNASH発症と進展(炎症化)の抑止効果を検討する。
    ●8週間投与
    普通食群、普通食+0.02%アスタキサンチン群、高脂肪食群、高脂肪食+0.02%アスタキサンチン群
    ●投与経過中および終了後に次の項目を評価
     1)血中パラメーター測定
     2)肝組織採取し、免疫染色を用いて病理組織学的に、遺伝子・蛋白を抽出しRT-PCR、ウエスタン法により脂質代謝、炎症、繊維化のマーカーを解析

    【太田先生プロフィール】
    太田 嗣人 医学博士
    オオタ ツグヒト
    TSUGUHITO OTA, M.D., Ph.D.
    金沢大学フロンティアサイエンス機構 特任助教

    ◎略歴
     平成 9年3月 金沢大学医学部卒業
     平成 9年4月 金沢大学医学部第一内科研修医
     平成15年6月 金沢大学大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士)
     平成15年7月 金沢大学附属病院内科医員
     平成17年4月 コロンビア大学医学部内科Henry N. Ginsberg 研究室博士研究員
     平成20年3月 金沢大学フロンティアサイエンス機構 特任助教
     平成20年3月 金沢大学附属病院内分泌代謝内科

    ◎専門分野
     内分泌代謝学 内科学

    ◎学会活動
     糖尿病学会専門医、内科学会認定医
     所属学会:糖尿病学会、内分泌学会、動脈硬化学会、肥満学会、肝臓学会、
          内科学会、米国糖尿病学会、欧州糖尿病学会