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「警察に通報する」「被害届を出す」と脅された……マッチングアプリの相手から連絡が来たとき、焦ってやってはいけない3つのこと

マッチングアプリで知り合った相手と会った後、「警察に通報する」「被害届を出す」「家族や職場にばらす」などと言われ、突然、強い不安を感じるケースがあります。さらに、「通報されたくなければお金を払って」「示談すれば警察には言わない」など、金銭の支払いを求められることもあります。
こうしたとき、「怖いから、とりあえず相手の要求に応じたほうがいいのではないか」と考えてしまうかもしれません。しかし、焦ってお金を払ったり、謝罪文を書いたり、メッセージを削除したりする前に確認しておきたいことがあります。
「警察に通報する」と言われたからといって、それだけで犯罪が成立したり、直ちに逮捕されたりするわけではありません。一方で、相手が実際に警察へ相談・届出を行う可能性もあるため、「ただの脅しだろう」と放置することも適切とはいえません。
重要なのは、「何について通報すると言われているのか」「金銭の要求などが一緒にされているのか」「自分の手元にどのような証拠が残っているのか」を冷静に整理することです。
本記事では、マッチングアプリをきっかけとしたトラブルで「警察に通報する」「被害届を出す」と言われた場合に、まず確認したいポイントや、避けたい対応について弁護士が解説します。
「通報する」は、ほかの脅し文句と構造が違う
「家族にばらす」「SNSに晒す」といった言葉は、相手が自分の手で実行する行為の予告です。これに対して「警察に通報する」は、相手自身が何かをするのではなく、捜査機関という第三者を動かすという予告です。
被害を受けたと考える人が警察に相談し、被害届を出し、あるいは告訴することは、法律上認められた行動です。そのため、「通報すると言うのをやめさせる」「撤回させる」という方向の対応は、基本的には成り立ちません。ここが、投稿の削除や送信を止める話とは大きく異なります。
一方で、通報するかどうかという話に金銭の要求が結び付いたときは、求め方の側が別の評価を受けることがあります。害悪を告げて金銭を求める行為は恐喝の問題になり得ますし、義務のないことを求めれば強要の問題になり得ます。
ただし、被害を受けたと考える人が賠償を求めること自体は正当な行為であり、金額が高いというだけで違法と決まるわけでもありません。境界は微妙で、自分の判断で「これは恐喝だ」と決めつけて強い態度に出ると、かえって不利に働くことがあります。まずは記録を残し、評価は専門家と一緒に行うのが安全です。
何について通報すると言っているのかを確かめる
マッチングアプリをきっかけとしたトラブルでは、次のような主張が持ち出されることがあります。
・性的な行為について同意がなかった、という主張
・相手が18歳未満だった、という主張
・撮影や画像に関する主張
・暴行やけがに関する主張
・貸したお金が返らない、だまされた、という金銭に関する主張
・別れた後の連絡やつきまといに関する主張
これらは、問題となる法律も、争点になる事実も、確かめられ方もそれぞれ異なります。「通報される」という一語でまとめてしまうと、備えるべき点を取り違えます。
最初にしていただきたいのは、相手のメッセージを読み返し、いつの、どの出来事について、何を根拠に言っているのかを書き出す作業です。相手の主張が事実と食い違っていても、その場で言い争う必要はありません。大切なのは、後から説明するための材料が手元に残っているかどうかです。
なお、アプリによっては、退会やアカウント削除によってメッセージ履歴を確認できなくなることがあります。相手にブロックされた場合も同様です。不安な気持ちからアプリごと消してしまい、自分の言い分を裏づける材料まで失ってしまうことがあるため、確認できる範囲は早めに保存しておいてください。
通報されると、実際には何が起きるのか
「通報」と呼ばれるものには、いくつかの段階があります。
相談は、警察に事情を伝えて助言を求めるものです。被害届は、被害に遭った事実を申告する書面で、捜査のきっかけになります。告訴は、処罰を求める意思を明らかにするもので、被害届よりも手続的な重みがあります。相手が「通報した」と言っていても、実際にはどの段階なのかが分からないことは珍しくありません。
そして、届出が出されたからといって、直ちに逮捕されるわけではありません。多くの場合は、警察から任意で話を聞きたいという連絡が入るところから始まります。連絡までの時間には幅があり、しばらく何も起きないこともあります。逆に、連絡がないことが「何も起きていない」ことを意味するとも限りません。
もう一点、押さえておきたいことがあります。届出は、相手が主張する事実をそのまま確定させるものではありません。捜査は、双方の説明とやり取りの記録をもとに事実を確かめていく作業です。そのため、相手が強い言葉で「犯罪だ」と述べていることと、実際にどう評価されるかは、別の話として考える必要があります。
警察から連絡が来た場合、放置は避けるべきです。ただし、話をする前に弁護士に相談してください。一度署名した供述調書の内容を後から覆すのは容易ではありません。緊張した状況で、記憶があいまいなまま話した内容が、その後の判断の土台になってしまうことがあります。
「払えば通報しない」という取引に潜む三つの問題

相手から「払えば通報しない」「示談すれば警察には行かない」と持ちかけられることがあります。応じる前に、次の三点を知っておいてください。
一つ目は、その形になった時点で、求め方の側の評価が変わり得ることです。 賠償の請求そのものは正当であっても、通報するかどうかを条件として金銭を求める形になると、恐喝や強要の問題として見られる余地が生まれます。相手にその自覚がないまま、要求だけがエスカレートしていくケースもあります。
二つ目は、支払っても止まる保証がないことです。 一度応じると「支払う相手」と受け止められ、後日、金額を上乗せした要求が来ることがあります。当事務所に寄せられるご相談でも、その場で払った後に再度連絡が来た、というものは少なくありません。
三つ目は、約束の効き方に限界があることです。 示談書に「通報しない」「被害届を取り下げる」と書いたとしても、それは当事者間の約束であって、捜査機関を拘束するものではありません。名誉毀損罪や器物損壊罪のように、告訴がなければ起訴できない犯罪であれば、告訴の取消しは手続に直接影響します。しかし、そうでない犯罪では、届出が取り下げられても捜査が続く可能性は残ります。
これは「示談に意味がない」という話ではありません。示談が成立している事実は、その後の処分の判断にあたって考慮され得る重要な事情です。問題なのは、その場の勢いで、根拠も金額も詰めないまま合意してしまうことです。順序と形を整えれば、同じ支払いでも意味が変わります。
思い当たることがある場合の考え方
相手の言い分に、まったく心当たりがないとは言い切れない場合もあります。この場合こそ、自己判断で動かないことが大切です。
その場で謝罪文や念書を書くことは避けてください。安心を得たい一心で書いた文章が、事実を認めたものとして扱われることがあります。金額の約束や、一部だけの支払いも同様です。
とくに、相手の年齢について確信が持てない場合は、対応の順序を誤ると影響が大きくなります。関係する法律が複数にまたがり、自分だけで見通しを立てるのは難しい領域です。早い段階で弁護士に相談し、相手とのやり取りの窓口を一本化することをお勧めします。
心当たりがない場合の考え方
事実に反する内容を告げられている場合でも、相手が警察に行くこと自体を止める手段は、基本的にはありません。力を注ぐべきなのは「止めること」ではなく、「求められたときに説明できる状態を作っておくこと」です。
なお、処分を受けさせる目的で虚偽の申告をした場合、申告した側が責任を問われることはあり得ます。ただし、相手の内心を証明することは容易ではなく、そこに主眼を置くと解決が長引きがちです。まずは自分の説明を支える材料を確保することを優先してください。
言われた直後にしておきたいこと
やり取りを保存する。メッセージ、通話履歴、日時が分かるものを、自分に不利に見えるものも含めて残します。都合の悪い部分だけが欠けていると、説明全体の信用性が下がります
その場で払わない、署名しない、金額を口にしない。「考えます」「確認します」と伝えて時間を確保するだけでも十分です
窓口を絞る。感情的な応酬は、そのまま記録として残ります
相談先を確保する。身の危険を感じる状況であれば110番、判断に迷う段階であれば警察相談専用電話の#9110、法的な見通しが必要であれば弁護士という順序で考えます
かえって状況を悪くしやすい対応
ブロック、アカウント削除、履歴の削除。逃げたと受け止められやすく、自分を守る材料まで失います
「とりあえず一部だけ」支払う。支払義務を認めたものと評価されることがあります
SNSでの反論や、相手が特定できる形での投稿。別の責任を問われる可能性があります
よくある質問
Q. 相手が「もう通報した」と言っています。確かめられますか。 第三者が届出の有無を照会することは、通常はできません。相手の言葉だけで判断せず、連絡が来た場合に備えて記録を整えておくのが現実的です。
Q. 私の側に犯罪が成立しないなら、放っておいてよいですか。 成立しないと考えられる場合でも、警察や裁判所から連絡や書類が届いたときは対応が必要です。放置すると、争う機会そのものを失うことがあります。
Q. こちらから先に警察へ相談してもよいのでしょうか。 金銭を求められている状況であれば、相談すること自体に問題はありません。ただし、自分の側の事情によっては説明の順序に注意が必要な場合もあるため、迷うときは先に弁護士へご相談ください。
まとめ
「通報する」という言葉は、それ自体を止めさせる対象にはなりにくい
最初に確かめるのは、何について通報すると言っているのかという中身
届出があっても直ちに逮捕とは限らず、多くは任意の連絡から始まる
警察からの連絡は放置せず、話す前に弁護士に相談する
「払えば通報しない」という約束は、捜査機関を拘束するものではない
その場での支払い、署名、謝罪文は避け、やり取りは消さずに残す
この記事の監修者
若井 亮(わかい りょう)
代表弁護士 弁護士法人若井綜合法律事務所(東京弁護士会所属)
https://wakailaw.com/
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の脅迫的な言動にも毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために尽力している。
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当事務所は、恐喝・脅迫被害をはじめとする男女間のトラブルを数多く取り扱ってまいりました(男女トラブルのご相談は類型23,000件以上お受けしてまいりました)。「家族や勤務先に影響が及ばないように」という点に最大限配慮しながら、内密かつ穏便な解決を最優先に対応いたします。すでに個人情報を知られてしまっている場合や、要求がエスカレートしている場合も、状況に応じて被害の拡大を防ぐ手立てがあります。
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