プレスリリース
世界の散発性封入体筋炎の市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の散発性封入体筋炎の市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Sporadic Inclusion Body Myositis Epidemiology Forecast; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
本レポートは、孤発性封入体筋炎(Sporadic Inclusion Body Myositis:sIBM)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。sIBMは主として50歳以上の中高年・高齢者に発症する進行性の炎症性・変性性筋疾患であり、希少疾患ではあるものの、加齢人口の増加や診断認知の向上によって臨床的重要性が高まっている。疫学データでは、先進地域で人口100万人あたり約32例程度の有病率に達する可能性があるとされる一方、研究によっては5~180例/100万人と非常に大きな幅が報告されている。調査会社は、こうした地域差や診断体制の違いに加え、高齢化、診断遅延、専門医療へのアクセスなどが今後の患者数推移を左右するとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病率、発症率、年齢、性別、診断患者数などを分析している。
sIBMは、骨格筋の炎症と変性が長期的に進行する疾患で、特に大腿四頭筋と手指屈筋が障害されやすい。大腿四頭筋の筋力低下によって歩行や階段昇降が困難となり、手指屈筋の障害によって物を握る、つまむ、持ち上げるといった手作業能力も低下する。症状は通常ゆっくり進行し、数年から長期間にわたって筋力低下と筋萎縮が進む。
病態には、自己免疫性の炎症反応と筋線維内への異常タンパク質蓄積の両方が関与するとされる。この点がsIBMの特徴であり、単純な自己免疫性筋炎だけでは説明できない。筋組織では炎症性免疫反応がみられる一方、筋線維内では異常タンパク質の蓄積や変性が生じるため、「炎症性」と「変性性」の二つの病態が重なった疾患と考えられている。
臨床的には、歩行速度の低下、転倒、椅子から立ち上がりにくい、階段を上れない、握力が低下するなど、日常生活に直接影響する症状が徐々に進行する。進行すると杖や歩行器、車椅子などの補助具が必要になる患者もいる。生命予後自体は多くの患者で著しく短縮しないとされる一方、身体機能低下による罹病負担は大きく、長期的な介護・リハビリテーション需要が生じる。
疫学的には、Valeria Guglielmiらの2024年の報告で、sIBM有病率は人口100万人あたり約5~180例と幅広く報告されている。これは、sIBMそのものが地域によって真に大きく異なる可能性に加え、診断基準、患者登録制度、専門医の認知度、筋生検や画像検査へのアクセスなどが異なるためと考えられる。したがって、単一の世界有病率を設定するのは難しく、地域別データの解釈が重要となる。
DynaMedexでも、封入体筋炎の有病率は人口100万人あたり約1~182例とされており、非常に大きな疫学的ばらつきが示されている。この差は、特に高齢者人口の割合や診断精度の違いを反映している可能性がある。先進国では高齢者が多いうえ、神経筋疾患専門医、筋生検、筋MRIなどへのアクセスが比較的良好なため、診断患者数が多く把握されやすい。
年齢はsIBMの最も重要な疫学的特徴の一つである。Valeria Guglielmiらの2025年の報告では、sIBMは主として50歳以上の成人に発症し、高齢者における最も一般的な後天性筋疾患の一つとされる。DynaMedexでは平均年齢が72.9歳とされており、患者集団が明確に高齢層へ偏っていることがわかる。
この高齢者優位という特徴は、2026~2035年の患者数予測において非常に重要である。米国、欧州、日本などで人口高齢化が進むことで、sIBMの潜在患者集団そのものが増える可能性がある。また、高齢者では他の神経疾患、整形外科疾患、フレイルなどによって筋力低下が説明されてしまうこともあり、sIBMが見逃される可能性もある。
性別では、男性が女性より多い傾向が一貫して報告されている。多くの研究で男性対女性の比率はおよそ2:1とされ、DynaMedexでも患者の65%が男性であった。したがって、sIBMは高齢男性を中心とする患者分布が特徴的である。
一方で、女性にも一定数発症するため、性別のみで疾患を除外することはできない。高齢者で典型的な筋力低下パターン、特に大腿四頭筋と手指屈筋の進行性筋力低下を認める場合には、男女を問わずsIBMを疑う必要がある。
人種的には、DynaMedexのデータでは82.5%が白人患者であったとされる。ただし、これは特定地域や研究集団の構成を反映している可能性があり、白人で本質的に極端に多いと単純に結論づけることはできない。アジアやその他の地域では疫学調査や患者登録が十分でないことも、見かけ上の人種差に影響している可能性がある。
sIBMにおける大きな課題は診断遅延である。DynaMedexによると、症状出現から確定診断まで4~9年を要する場合がある。この長い診断遅延は、症状が非常にゆっくり進行すること、初期には加齢や整形外科疾患として扱われやすいこと、他の炎症性筋疾患との鑑別が必要なことなどが影響していると考えられる。
診断の遅れは疫学統計にも影響する。実際に疾患を持っていても診断されていない高齢者が存在するため、報告有病率は真の有病率を過小評価している可能性がある。今後、専門医の認知向上や診断基準の標準化が進めば、疾患そのものの発生率が大きく変わらなくても診断患者数は増加し得る。
予後については、生命予後が大幅に短縮しない患者が多い一方、進行性筋変性による身体機能低下が大きな問題となる。資料では、sIBMは罹病負担が大きく、死亡リスクも増加し得るとされる。特に高齢患者では、筋力低下そのものに加え、転倒、運動能力低下、他の併存疾患などが予後へ影響する可能性がある。
したがって、sIBMの疾患負担を死亡率だけで評価するのは不十分である。長期的な歩行障害、上肢機能低下、自立生活能力の喪失、リハビリテーション需要、介護者負担など、機能的な罹病負担が大きい点が重要である。
国別データについては、提示資料に一部注意が必要である。PACE Hospitalsによるデータでは、特発性炎症性筋疾患全体の世界有病率が人口10万人あたり2~25例、発症率が10万人年あたり0.2~2例とされ、米国で約91,700例、日本で約26,000例という数字が示されている。ただし、これらはsIBM単独ではなく、より広い「特発性炎症性筋疾患」全体の患者数であるため、sIBM患者数としてそのまま解釈することはできない。
一方、臨床試験関連データでは、sIBM単独の有病率は成人100万人あたり約5~15例とされ、米国では約20,000例が存在すると推定されている。この数値は、炎症性筋疾患全体の91,700例よりも疾患特異的な推定であり、sIBM市場を評価する際にはこちらの方が直接的な指標となる。
欧州では、提示資料によるとドイツが最大の患者負担、スペインが最小とされている。ただし、これは特発性炎症性筋疾患全体のデータを含むため、sIBM単独の厳密な国別患者数としては慎重に解釈する必要がある。それでも、人口規模、高齢化、診断体制などによって欧州内でも患者数に差があることは示唆される。
日本では、高齢人口が大きいことからsIBMの潜在患者集団は重要である。資料では筋炎全体で約26,000例という数字が示されているが、これもsIBM単独ではない。そのため、日本におけるsIBM患者数を正確に評価するには疾患特異的なレジストリや疫学研究が必要となる。
インドについては疫学データが特に限られている。筋炎全体では約50,000例との推定が示されるものの、sIBM単独の患者数は明確ではない。インドでは高齢者人口の増加に加え、神経筋専門医や筋生検へのアクセスが都市部に偏っている可能性があり、実際の患者数が過少把握されている可能性がある。
このように、国別比較では「sIBM単独のデータ」と「特発性炎症性筋疾患全体のデータ」が混在している点に注意が必要である。提示された米国91,700例、日本26,000例、インド約50,000例などは筋炎全体の文脈を含み、sIBMそのものの患者数とは区別しなければならない。
治療面では、現在sIBMを根治できる治療法は存在しない。特に重要なのは、他の炎症性筋疾患と異なり、コルチコステロイドや一般的な免疫調節薬に対する反応が乏しい点である。炎症所見を伴うにもかかわらず、免疫抑制療法だけでは筋力低下の進行を十分に止められないことが、sIBM治療を難しくしている。
このため、現行治療の中心は症状管理と身体機能の維持である。理学療法や筋力維持を目的とした運動プログラムを行い、可能な限り筋力、歩行能力、関節可動性を維持することが重視される。疾患進行そのものを止めることは難しくても、廃用や二次的な機能低下を抑えることは患者の自立度維持に重要である。
進行した患者では、杖、歩行器、車椅子などの補助具が必要になることがある。上肢機能が低下した場合には、日常生活動作を補助する器具を導入することで自立性を保つことができる。したがって、sIBM治療では薬物療法以上に、長期的なリハビリテーションと生活支援が重要な位置を占める。
一方、新規治療開発も進められている。資料では、モノクローナル抗体、抗炎症薬、異常タンパク質蓄積を標的とする治療、筋変性経路を標的とする治療などが研究されている。これは、sIBMが単なる炎症性疾患ではなく、蛋白凝集や筋線維変性も病態の中心にあることを反映している。
今後の創薬では、免疫反応だけを抑制するのではなく、筋細胞内で起こる異常タンパク質蓄積や変性を直接抑える治療が重要になる可能性がある。従来の免疫抑制療法が十分に効かないことから、病態の複数の要素を同時に標的とするアプローチが求められている。
市場の観点では、sIBMは患者数が非常に少ない希少疾患である一方、長期にわたって進行し、現時点で根治治療がないため、アンメットニーズが大きい。患者が長期間疾患とともに生活することから、薬剤市場だけでなく、診断、リハビリテーション、補助具、介護支援まで含めた継続的な医療需要が発生する。
また、患者数が少ないことは新薬開発上の課題でもある。臨床試験への患者登録が難しく、症状進行も緩徐であるため、短期間で治療効果を評価しにくい。そのため、適切な臨床評価指標やバイオマーカーの確立も、新規治療開発を進めるうえで重要になる。
全体として本レポートは、sIBMを「50歳以上、とりわけ高齢男性に多く、数年から長期間かけて骨格筋機能を徐々に失わせる、希少だが罹病負担の大きい進行性筋疾患」と位置づけている。有病率は研究によって人口100万人あたり約5~180例、あるいは1~182例と幅広く、先進地域では約32例/100万人程度に達する可能性がある。
患者の平均年齢は約72.9歳、男性が約65%を占め、男女比は概ね2:1とされる。また、症状発症から診断まで4~9年かかる場合があり、過少診断が疫学把握の大きな問題である。したがって、今後の診断患者数増加は疾患そのものの発生増加だけでなく、専門医の認知向上と診断の早期化による影響が大きいと考えられる。
2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、人口高齢化が最も重要な患者数押し上げ要因の一つとなる。特に高齢化の進む米国、欧州、日本では、潜在的なsIBM患者プールが拡大する可能性がある。また、診断基準や専門医療アクセスが改善すれば、これまで加齢性筋力低下などとして見過ごされていた患者が新たに診断されることも予想される。
したがって、今後のsIBM管理における中心的課題は、高齢者にみられる特徴的な大腿四頭筋・手指屈筋の筋力低下から早期に疾患を疑うこと、数年単位に及ぶ診断遅延を短縮すること、リハビリテーションや補助具を通じて長期的な身体機能を維持すること、そして炎症だけでなく異常タンパク質蓄積や筋変性そのものを標的とする疾患修飾治療を開発することにある。2026~2035年は、sIBMを単なる「高齢者の原因不明の筋力低下」として扱うのではなく、独立した進行性神経筋疾患として早期に認識し、長期的な機能維持と新規治療開発を並行して進めることが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。
※目次構成
01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件
02
エグゼクティブサマリー
03
孤発性封入体筋炎市場概要(8主要市場)
3.1 孤発性封入体筋炎市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 孤発性封入体筋炎市場の予測市場規模(2026年~2035年)
04
孤発性封入体筋炎疫学概要(8主要市場)
4.1 孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2025年)
4.2 孤発性封入体筋炎疫学予測(2026年~2035年)
05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因
07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 8主要市場における孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける孤発性封入体筋炎疫学状況(2019年~2035年)
16
患者経路
17
治療課題および未充足ニーズ
18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察
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