報道関係者各位
    プレスリリース
    2026年8月20日 10:00
    マチノコエ

    公園のベンチと、話せる。約100人から集めた「今のコエ」と地域の歴史・伝承をAI対話へ ― 「マチノコエ」大崎市で実証

    「行かなくてもわかる」時代に、「行かなければ感じられない」ものを。 地域の記憶と人をつなぐ新たなAI体験

    Kanauuu合同会社(本社:宮城県大崎市、代表社員 CEO:加藤 充)は、宮城県大崎市の荒雄公園(愛称:カラフル夢広場)を舞台に、地域に残る歴史や伝承、そして今を生きる人々の記憶を、ベンチや東屋、遊具など“その場所にあるモノ”との対話を通して体験する地域プロジェクト「マチノコエ」の実証を進めています。
    2026年8月の古川まつりでは、荒雄公園にまつわる記憶や思いについて約100人に声をかけ、20件を超える印象的なエピソードを収集。集めた声を地域の歴史・伝承と重ね合わせ、ベンチや東屋、遊具など、それぞれに異なる「記憶」と人格を設定しました。
    AIで場所を代替するのではなく、AIによって「その場所へ行く意味」をつくることを目指しています。

    AIなのに、まず約100人に話を聞いた

    マチノコエの制作にあたり、最初に行ったのはAIへの入力ではなく、地域を歩き、人の話を聞くことでした。

    旧荒雄村にまつわる歴史や伝承、青沼彦治翁の功績などを調べるとともに、古川まつりの数日前から地域の方々への聞き取りを実施。祭り当日には家族や友人同士のグループなど約100人に声をかけ、20件を超える印象的なエピソードを記録しました。

    集めたのは、昔から伝わる歴史だけではありません。

    「子どもの頃、この公園でよく遊んだ」
    「昔はここにこんな風景があった」
    「今、この場所をこう感じている」

    といった、今を生きる人たちの記憶や思いも大切にしています。

    それらを地域の歴史・伝承と重ね合わせ、ベンチや東屋、遊具など、それぞれの対象に異なる「記憶」と人格を設定。単なる史跡案内や地域情報検索ではなく、その場所に積み重なってきた時間や人の記憶と対話するような体験を目指しました。

    AIを使えば、情報を短時間でまとめることはできます。
    だからこそマチノコエでは、AIの前に、人の声を聞くことを大切にしています。

    古川まつりで地域の方々から荒雄の記憶や思いを聞き取る様子
    古川まつりで地域の方々から荒雄の記憶や思いを聞き取る様子

    スマホがあればできる。だからこそ、現地へ行く

    今は、スマートフォンがあれば地域の歴史も写真も、ある程度はその場に行かずに調べることができます。

    生成AIに聞けば、地域の概要を数秒で知ることもできます。

    しかし、マチノコエが目指しているのは、「行かなくてもわかる」体験ではありません。

    実際にその場所へ行き、目の前にあるベンチや遊具、東屋などと向き合い、その場所でしか感じられない空気や距離感の中で対話する。

    そこで初めて感じることがあるのではないか。

    その考えから、AIを「現地に行かなくて済むための技術」ではなく、現地へ行く意味を生み出す技術として使っています。

    たとえば同じベンチでも、画面上で情報を見るのと、実際にそのベンチの前に立ち、「ここでは昔、どんな人が座っていたのだろう」と問いかけながら対話するのとでは、受け取るものは大きく異なります。

    便利さが増していく時代だからこそ、身体をその場所へ運ぶことに価値をつくりたいと考えています。

    マチノコエ「広場のベンチ」との対話体験画面
    マチノコエ「広場のベンチ」との対話体験画面

    宮城大学の研究者、市議、市職員らも体験

    これまでの実証では、現地での体験に加え、関係者向けのデモなども含め、20組以上にマチノコエを体験していただいています。

    宮城大学の佐々木秀之教授、中沢峻助教をはじめ、大崎市議や大崎市まちづくり推進課の関係者などにも実際の仕組みを体験していただき、地域の記憶をどのように残していくか、また公共空間でどのような活用が可能かについて意見交換を行いました。

    佐々木教授からは、
    「地域にある歴史や記憶をデジタル上で保存するだけでなく、実際の場所での体験へつなげている点や、地域の人々の声を取り込んでいる点に可能性を感じます」
    との評価をいただいています。

    荒雄公園でマチノコエを体験する様子
    荒雄公園でマチノコエを体験する様子

    歴史だけではなく、「今」を残す

    地域のデジタルアーカイブや史跡案内では、どうしても過去の歴史や著名な人物の功績が中心になりがちです。

    もちろん、旧荒尾村に残る伝承や青沼彦治翁の功績などは、地域を知るうえで欠かせないものです。

    一方で、マチノコエでは、

    「この場所で遊んだ」
    「この風景が好きだった」
    「昔はこうだった」
    「今、この場所にこうなってほしい」

    といった、今を生きる人たちの記憶や思いも同じように残したいと考えています。

    それは今は小さな一言でも、10年、20年と時間が経てば、地域にとって大切な記録になるかもしれません。

    マチノコエは、過去の伝承を伝えるだけでなく、これから伝承になっていくかもしれない「今のコエ」を集める仕組みでもあります。

    荒雄神社の狛犬を前に、スマートフォンで対話を体験する様子
    荒雄神社の狛犬を前に、スマートフォンで対話を体験する様子

    荒雄公園から、ほかの地域へ

    Kanauuu合同会社は、2026年に大崎市・荒雄公園のネーミングライツパートナー企業となりました。

    公園の愛称は「カラフル夢広場」です。

    「カラフル」という名称は、2013年から大崎市で運営する学習塾「カラフル学舎」に由来します。

    長年、教育を通じて地域の子どもたちと関わってきた企業として、ネーミングライツを単に「名前を付ける権利」として終わらせるのではなく、公共空間に新しい価値を生み出す取り組みにつなげたいと考えています。

    マチノコエも、その実践の一つです。

    企画者について

    Kanauuu合同会社 代表社員 CEOの加藤充は、2011年4月、東日本大震災後に宮城県大崎市でボランティア塾を設立。2013年に学習塾「カラフル学舎」を開校し、教育事業を本格的にスタートしました。

    40歳で東北大学大学院教育学研究科を修了し、教育学修士を取得。

    2023年には教育AIプロダクト「NANDE」を開発し、第20回日本e-Learning大賞 経済産業大臣賞を受賞しました。

    2026年、50歳で再び大学院へ進学。現在は宮城大学大学院事業構想学研究科に在籍し、公共空間と地域との新たな関係について研究しています。

    教育、AI、地域、公共空間、表現を横断しながら、新たな学びと地域体験の創出に取り組んでいます。

    Kanauuu合同会社について

    Kanauuu合同会社は、宮城県大崎市を拠点に、教育、AI・ICT、Web・デジタル支援、地域プロジェクト等を展開しています。

    2011年の東日本大震災後に始まったボランティア塾を原点に、教育事業「カラフル学舎」、教育AIプロダクトの開発、大学・研究者との協働、公共空間を活用した地域プロジェクトなどへ活動を広げてきました。

    2023年には第20回日本e-Learning大賞 経済産業大臣賞、AES Global Award – Silver Award、IMS Japan賞 – 奨励賞を受賞。2024年には京都子育て支援プロジェクトに採択されています。

    また、三郷市立早稲田中学校、八戸看護専門学校へのAIプロダクト導入、東北大学医学部の授業内での活用、宮城教育大学・東北学院大学の教員とのSTEAM教育イベントなど、教育現場での実践を重ねています。

    マチノコエ

    Kanauuu合同会社

    カラフル学舎